突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第13話 海へ行く




 「海かぁ〜、楽しみだなぁ」

私は明日、ついに初めての小旅行という事で、布団の中でドキドキしていた。
でも、早く寝ないと明日楽しめないもんね。
そう言うわけで目を閉じ、眠りにつく。


 「………」

………。
……。
…。


 「……眠れない!?」

私はベッドからガバッと起きてしまう。
普段夜9時には寝るんだけど、今日は明日が楽しみすぎて眠れそうにない。
悠気の部屋を見るとまだ灯りがついており、起きているみたいだけど。


 (もしかしたら直ぐ眠るかもしれないし、迷惑だよね)

悠気と会話していたら眠れるかと思ったけど、それは断念する。
代わりになにか暇を潰せば、眠れるかなと……ふと天海さんに貰ったパソコンが目に入る。


 「何かゲームでもやろう……」

天海さんから貰ったパソコンには最初から幾つかのゲームが入っていたので、幾つかは遊んでみた。
でもまだまだやった事のないゲームもあったので、適当にフォルダから探してみた。


 「ドラゴン・○ォーター? これで良いや」

私はそのゲームを起動すると、モニターにゲーム画面がフルスクリーンで表示される。
あ、これ○プコンさんのゲームなんだ。


 「ドラゴン? はっ! ムーンフォースで返り討ちにしてやんよ!」

1時間位プレイすれば眠くなるだろう。



***



PM9:00


 「1/8192? 1/64? 何言ってんのこの人?」

とりあえずまだゲーム序盤。
上司の命令でなんか生意気な相棒と物資輸送の護衛をすることに。



***



PM10:00


 「巫山戯んなぁ!? 空を目指したらぁ!」

謎の毒ガスを吸引したらしいヒロイン。
そんなヒロインを救うため研究所を目指すが、治せないらしい、という訳で主人公の怒りと共に私も空を目指すことにした。



***



PM11:00




 「隊長強えぇぇ!? 変身する!? 変身した方が良いの!?」

裏切り者として追われる主人公の前、かつての上司達が部隊を率いて襲ってくるが、これを辛くも撃破。
つか、もう絶望感やばいんだけど……。



***



AM2:00


 「や、やっと味方の施設? なんかリンの上司いい人だけど怪しい……」

ここまで苛酷すぎる戦いも乗り越えてやっと反乱軍の拠点に辿り着いた。
とはいえヒロインの咳き込みもまだまだ悲痛に続く。



***



AM3:00


 「アブソリュートディフェンス詐欺くせぇ!? 統治者マジでやべぇ!?」

右翼曲折あって、ついに軌道エレベーター含む、最上層に辿り着いた!
所が入口で不意打ち! いきなり幹部との戦いは理不尽な防御越しの死闘と化した!



***



AM4:00


 「はぁはぁ、賭けは私の勝ちよ!」

辛くも統治者たちを撃破していく。
さっぱり仕様の理解できなかった爆弾(ブツ)もまさかの透明化するボスに特効と、仕様を理解すると一気に簡単になった。



***



AM5:00


 「増えたー!? エリュオン様ぶっ飛びすぎです! これラスボスだよねぇ!? 変身してもいいよね!? つかD値やばい!?」

ついに起動したエレベーターシャフト、そこで最強の統治者と対峙する。
それはもはや死闘であり、そして勝った先には……まさかラスボスが……。



***




 「うう、うあああ……リュウーーーー!!!」

悠気
 「泣きすぎだよ、月代……!」

ついにエンディング!
ごめんアジーン、最初の頃はディスって!
ニーナが初めて聞かせてくれる叫び、それに涙腺は完全に崩壊した。
いつの間にか後ろにいた悠気まで泣いてるし。

悠気
 「月代……お前徹夜でゲームしてたのかよ?」


 「徹夜? あ……ニーナ、空は青かったよ……」

気が付くと朝が来ていた。
私はすっごい眠い中、時間を確認すると7時だった……。
おかしいぞ? ちょっとゲームすれば眠気が来ると思ってたんだけど、気が付いたらクリアするまでプレイしていた?

悠気
 「おはよう月代、海行く準備をしろ!」


 「15分……寝させて」

私は疲れ果て、そう言うとキーボードの前で寝落ちした。



***



ガタンゴトン、ガタンゴトン。


 「zzz……」

瑞香
 「宵ったら爆睡ねぇ」

悠気
 「楽しみすぎて、眠れなかったらしい」

俺はお隣さんがやたら騒がしくて5時半位に起きていたが、最初実況動画でも撮影しているのかと思った。
それ位月代は周りが見えない程熱中してたのだ。

みなも
 「ふふふ」

コウタ
 「しかし悠気に親戚がいたとはな」

グースカ眠る月代を見て、微笑むみなもさん。
みなもさんには苦労したが、今のみなもさんは親戚の大学生出海(いずみ)みなもなのだ!



***



悠気
 「いい? 外では絶対に『ユウさま』は無しだからね!?」

みなも
 「そんなこと申されましても……」

出発前、みなもさんには親戚の大学生という設定を伝え、それは了承してくれた。
問題が『ユウさま』の部分だ。
親戚のお姉さんが弟を様付けするか?
愛称にしても良いのを思いつかないと流石にやばい。
大学生のお姉さんに様付けさせてる変態なんて称号要らんぞ!?

みなも
 「ユウさまユウさまですし……」

悠気
 「もういっそ、ユウじゃ駄目!?」

みなも
 「せめてユウお坊ちゃまなら……」

悠気
 「それも露骨におかしい!?」


みなもさんのこういう融通の利かなさは正直やばい!
どうにかしないと、そもそも旅行もできんぞ?

悠気
 「みなも」

みなも
 「は、はわっ!? 突然どうしましたユウさま!?」

みなもさんは突然の呼び捨てに、大層テンパったが、つまりこれが今の俺の心境だ。

悠気
 「結婚しているって設定で考えてみて? 夫をどう呼ぶ?」

みなも
 「ユ、ユウ、ユウキさん……!」

悠気
 「言えた! それでいいんだよみなもさん!」

みなも
 「は、恥ずかしくて死にそうです……」

みなもさんは顔を真っ赤にしてそれを両手で覆い恥ずかしがる。
後は月代を起こすだけだ!



***



悠気
 (という訳でなんとかみなもさんの問題はクリアできた訳だ)


 「出海さんは大学生らしいですが、一体どこに?」

みなも
 「え? あ、あの……!」

悠気
 「あ、先輩、みなもさんは関西の方で!」

俺は早速のピンチに頭をフル回転させてとりあえず関西とだけ出るもその先が直ぐ出ない。

みなも
 「き、近大です! そこの水産学部!」


 「ほう、今や世界でもトップ10数えられる近畿大学ですか」

瑞香
 「えっ!? てことはかなりのインテリ!?」

そういう設定だがな。
さて、そろそろ今回の旅行参加者を紹介していこう。

悠気
 「海が見えてきたな」

まずは俺、主人公が参加しなくて何が海編だってもんよ!


 「zzz……もうゴールしてもいいよね?」

今も爆睡中の宵も参加者だな。
夢の中で鳥の歌でも流れてるんだろうか。
今回もっとも楽しみにしていたのは間違いなく月代で、その性でこのザマなのだから子供っぷりが凄い。

瑞香
 「あら本当! 早く泳ぎたいわ〜!」

そして主催者の瑞香、本来は日帰りを想定していたが、旅行というのも悪くないと、楽しんでるな。

柚香
 「うん、そうだねお姉ちゃん」

そして妹のユズちゃん。
テロ事件に巻き込まれて、瑞香でさえも相当弱っていただけに、ユズちゃんが参加出来るか不安だったがとりあえず無事な姿に安心した。
皆あの事件は気にしているが、あえて触れないのがマナーだろう。

幸太郎
 「ふむ、泳ぐなんて久し振りだな」

参加者の一人コウタも、今日無事やってこられた。
こいつは柔道部だから、合宿前に旅行を組まなければならず、日程組みは面倒だったな。


 「ふふっ、泳ぐだけが海の楽しみじゃないぜ?」

そう言って怪しく笑みを浮かべるのは光先輩だ。
光先輩もこれが終わったら受験生らしく忙しくなる。
だからこそ学園の問題児は何をしでかすのやら。

琴音
 「ふふ、私は泳ぐのは苦手だけど」

瑞香の強い推薦もあり、参加したのは大城だ。
ほんの2ヶ月でよくもまぁ仲良くなったもんだとは思うが、なんだかんだでまだこういう親睦会は初めてなんだよな。


 「だったら一緒に泳ごう、琴音お姉ちゃん!」

大城の隣には中学生位のちびっ子がいる。
まぁ中学生でも参加可だが、彼女は歴とした高校生だ。
常葉命1年生、噂の超新星だな。
運動能力は日本トップクラス、その上で本人はEスポーツにのめり込むナード女子だ。
正に天が二分与えた存在だが、唯一本人の悩みは身長のようだ。

みなも
 「ゆうさ……こほん、悠気さん。お茶は如何ですか?」

最後がみなもさん、やっぱり時々危ういけど頑張って演じているのが分かる。

以上この9人が今回の参加者。
そして向かっているのは、少し田舎の海辺の旅館だった。



***



電車を降りると、無人改札を抜けて見えたのは綺麗な青い海だ。


 「んん〜ふあ〜! 海の臭い?」

悠気
 「やっと起きたか」

電車の中で爆睡していた月代は結局目的地に辿り着いても眠っていた。
その性で誰かが運ばなきゃならなくなり、その役目は俺となった。
うん、こういう事は大体予想ついてたよ。
貧乏くじを引くのはいつも俺だからな。

悠気
 「とりあえず重いから降りろ」


 「む〜、重いって言うな〜!」

宵は俺の背中で暴れ始める。
本当にこいつ同い年とは思えないよなぁ。
身体だけは大人っぽくなってるくせに。

みなも
 「月代さん、危ないですよ」

みなもさんが月代を諫めると、月代は大人しくなった。
そのまま、俺の背中から降りると月代は海を眺めた。


 「わぁ〜! 海だ〜!」

琴音
 「えと、次はバスで旅館まで行って荷物を預けたら海に遊びに行くんですね」

瑞香謹製の日程行動表にはバスの時刻まで書いてある。

幸太郎
 「あと5分しかないぞ、急げ!」

俺たちは目の間に見えるバス停に急ぐ。
目の前と言っても距離は600メートルぐらい先、道が湾曲しており、目測では近いが、実質的には遠い。

瑞香
 「やば! バス来てる!」

俺たちを追い越すように後ろにはバスが見えた。
これを乗り遅れると、次来るのは1時間後! 俺は足の遅い大城とユズちゃんを気にする。

瑞香
 「ユズ! 制御装置外して! テレポートすりゃ間に合うでしょ!」

柚香
 「で、でも! 私用で使ったのがバレたら!」

瑞香
 「こんなド田舎でバレるわけ無いでしょ!?」

残り100メートル! バスに先頭を抜かれた!
待って貰うにしてもこのままじゃ後ろが間に合わない!

柚香
 「うう、琴音さん! 手を!」

ユズちゃんが制御装置に触れた。
そのまま大城の手を掴むと、その場から瞬間移動した。

悠気
 「間に合った〜!」

バスは少し予想より速くて焦ったが、運転手が俺たちに気付いて少し待ってくれたお陰でなんとか全員乗ることが出来た。


 「う〜、髪乱れてる〜」

バスの中は空いており、俺たちはそれぞれ適当に座った。
月代はようやく完全覚醒したらしく、バスの中で今更身嗜みを気にしていた。

琴音
 「宵ちゃん、寝癖がすごいね」

月代は普段長い髪を後ろで大きなお団子にして纏めている。
その作業はまず髪の両端三つ編みにして、それを後ろで纏めるというものだ。
今回はその入念な作業の時間も無く、慌てたのか大分乱れている。

幸太郎
 「ふ、そんなに月代が気になるか?」

俺の隣に座るコウタはただでさえ狭い座席をその巨体で埋めるのに、更に腕組みして圧迫し、加えて思ってもいないことを言ってきやがる。

幸太郎
 「てっきりお前は瑞香とくっつくと思ったんだがな?」

悠気
 「お前はどうしてクラスの問題児を俺に押し付けたがる?」

幸太郎
 「そうかな? 月代は良くやってるし、瑞香も案外化けるぞ?」

月代に関してはまぁ分かる。
最近努力を怠りがちだが、それでも賢明にやっていると思う。
だが瑞香が化けるってのは……。

(瑞香
 「ヒック! 悠気……貴方しかいないのよ……私には……っ!」)

悠気
 「……っ!」

俺はあの事件の時のことを思い出す。
俺に抱きついてきた時は驚いたが、あれは演技でも何でもなかった。
事件がそれだけ瑞香を追い詰めたこと、そしてその瑞香を俺は放っておけなかった。
あの後、暫く一緒だったが瑞香が泣き止むと、今回のことは忘れろと言ってきて、別れた。
今も瑞香を見ると妹と仲良く喋っている。
特に問題なさそうなのはなりよりだ。

悠気
 「それよりよ、寧ろお前こそあの二人、気にならねぇのか?」

俺は逆にコウタ二人はどうか聞くが、コウタは鼻で笑い飛ばす。

幸太郎
 「悪いがあの二人も大城も俺の趣味じゃない……敢えて言うなら出海さんだな?」

悠気
 「なに!? お前……まさか年上にしか萌えないタイプか!?」

まさかのみなもさん名前が出てきて俺は焦りまくるが、基本誠実なコウタはみなもさんの見つめると。

幸太郎
 「理由は分からん……だが彼女には何かシンパシーを感じる……!」

シンパシー? コウタの奴、単純に一目惚れじゃないのか?
今までコウタの色恋沙汰なんて聞いたこともない。
と言うか、そもそもコイツの趣味自体知らないんだよな。

悠気
 「結局お前の性癖はなんだ!?」

幸太郎
 「ふっ、それはお前にも教えられんな!」

結局コウタはそう言ってはぐらかす。
昔からこいつは奥ゆかしく、遠目に微笑している奴だ。
そのくせ威圧感はハンパじゃなく、意志薄弱な奴でもない。
女子人気はかなり高いが、浮ついた話も全くなく妙に大人な奴だよな。


 「ふはは! 男子の密談か!? 俺も混ぜてくれよ!」

コウタ
 「葛樹先輩は好きな女子はいるのですか?」


 「おっと、そう来たか……そうだな、いないわけじゃない」

悠気
 「え!? 誰!?」

俺は素直に答えるとは思っておらず、面食らってしまった。
光先輩、好きな女子いたのかよ!?


 「おいおいユウよ、そういうのはここで話すのは無粋というものだ」

悠気
 「そ、そうですね」

やっぱり光先輩も簡単には教えてくれない。
まぁでも女子のいる中で話すのは確かに迂闊で無粋か。


(「ところでコウ、一体ユウの意中の相手は誰だと思う?」)

幸太郎
 (「皆目見当がつきませんな、まぁ悠気が好きな女子なら大体検討つきますが」)


 (「それは俺でもイージーだぜ……」)

何やら急にヒソヒソ喋りだすコウタと光先輩。
俺に聞かれたくない事なのか、なぜか光先輩が落胆している。


 「あ、旅館です!」

やがて、雑談に花を咲かせるとバスは終点に辿り着いた。



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』



第13話 海へ行く 完

第14話に続く。



KaZuKiNa ( 2021/04/02(金) 17:58 )