突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語


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突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語
第10話 夏の思い出を作ろう



みなも
 「夏休みですか?」

悠気
 「そっ、みなもさんも一緒にどうかなって」

7月末、もうすぐ夏休みということもあり、瑞香が提案して皆で海に行かないか、話があったのだ。
予定では2泊3日の小旅行で、予算は割り勘……となるはずだったが、母さんが泊まる旅館の宿泊券をある付き合いで貰ったらしく、一先ず予算を気にする必要はなくなった。
参加者は俺、月代、山吹姉妹、コウタ、大城とそこそこの人数で、それぞれ一人まで誘っていいという事になっている。

みなも
 「海ですか……しかし水着を持っていません」

悠気
 「まぁそれは今度買いに行くとして」

月代も水着が無いと言っていたから、一緒に買いに行くのが妥当だろう。

育美
 「みなもちゃんも若者でしょ? 楽しんできなさいな♪」

さて、チケットを貰った張本人は、また親父の所に行く予定があるらしく、家は暫く空ける事になった。
みなもさんを一人留守番させるのも申し訳ないという訳だ。
みなもさんは少しの間思案すると、小さく頭を垂れた。

みなも
 「……畏まりました、旅行先でもユウさまのお世話をさせていただきます」

悠気
 「あ、いや……お世話とかは別に良いから」

しかしみなもさんはあくまで「ユウさまをお世話するのが私の役目です」と頑なに譲る気は無い。
こういうところ、みなもさんって頑固なんだよなぁ。

育美
 「因みにみなもちゃん? 今年の水着トレンドはこれよ!」

そう言って情報誌を広げる母さん。
みなもさんはそれを見ると顔を真っ赤にした。
俺もそれを見ると、黒人のお姉さんが……裸ぁ!?

悠気
 「ヌーディストビーチかなにかの特集!?」

育美
 「違うわよ♪ 今年は布面積が低く、肌の色に馴染んだ水着が人気らしいわよ♪」

確かによく見ると、パッドのような物が胸に張り付いており、裸に見える水着らしい。
みなもさんも勘違いしたらしく、赤面してモジモジしていた。

みなも
 「ユウさまが喜ぶなら……悪くないかもしれません」

悠気
 「みなもさん! そういう献身は要りません! あとこれ……アメリカの情報誌ですし!」

よく見ると英文がびっしり、撮影場所もグアム島とあり、日本向けじゃない。

育美
 「あら? よく見たら本当だわ」

母さんはナチュラルに20カ国語以上を話せるから、英語なんかは自然に読んでしまうのだろう。
時々だけど天然な所を見せるよなぁ。

悠気
 「大体日本の海水浴場でそれやったら、多分つまみ出されるよ?」

今年も無難ならビキニだろう。
もう少し露出下げてもパレオなんかが妥当であろう。

みなも
 「そ、そうですね! 冷静に考えてユウさま以外に見せるのは嫌です……」

育美
 「お〜、つまり悠気には裸を見られても良いと? 流石許嫁!」

悠気
 「惚気かぁ……自惚れていいものか?」

みなもさんもすっかり日本にも馴染み、それなりに色んな表情を見せてくれるようになった。
恥じらいって言うのも、初々しくあり、男としてはそそられる。
とはいえみなもさんに自分を安売りして欲しくないのも確かだからなぁ。



***



後日、終業式もあと僅かという時期。
学校では早くも夏休みどうしようかという話題も多く、先生方も羽目を外さぬよう連絡をして廻っている状態だ。
そんな中、俺は久々に光先輩と廊下で出会った。


 「よぉ! ユウ!」

悠気
 「光先輩ですか」

光先輩は俺を発見すると軽く手を振った。
普段から学校中を神出鬼没に飛び回る光先輩には、天敵の生徒会も右往左往。
しかし本人はどこ吹く風で、笑顔で寄ってきた。


 「ユウよ! 夏休みの予定はどうだ?」

悠気
 「もしかして遊びに誘ってます?」


 「まぁな! なにせこっちは夏休みが終わったら受験だ、これが最後の遊ぶチャンスだからな」

そう言うと、少し疲れたように光先輩は腰に手を当てた。
そうか3年生はもう受験に向けて準備しないといけないもんな。
とは言っても光先輩は全国模試でもトップクラスの成績だったはず。
どちらかと言うと疲れの原因は周囲の圧力の方だろう。


 「実を言うとな……進路自体はもう決めてるんだ」

悠気
 「やっぱり進学ですか?」


 「そうだな、まぁまだ入学できるか分からんが」

光先輩が入れるか不安な大学なんてどこだろう?
東大でも慶応でも間違いなく光先輩なら入れると思うが。


 「それで夏休みだが……」

悠気
 「海の旅館に2泊3日します。費用は自費になりますけど、来ます?」


 「ほぉ? 高二の分際で学生旅行か? 良かろう引率が必要だな!」

光先輩もそう言うとノリノリだった。
光魔法格好いいポーズみたいな事をしてアピールするが、全力で楽しんでるな。
日程に関しては後日という事で俺たちは別れる。
それにしても、もう3年生には時間が無いのが分かる。
その点2年生は気楽な物だが、来年には俺も同じ悩みを持つんだろうな。



***



瑞香
 「あっつー……」

7月ならば当然だが、夏真っ盛りだ。
瑞香が大城を気に入ってからと言うもの、中庭で5人で昼飯を食う機会が増えたが、流石に瑞香も悲鳴を上げ始めていた。

琴音
 「あっち、日陰あるから」

大城は苦笑いを浮かべると日陰を指差す。
それにしても皆、玉のような汗を流しているな。
白シャツが絶妙の透けそうで透けない辺りがいじらしいが、瑞香に蹴られたくないので、そこは全力で意識の外に持っていく。

瑞香
 「クーラーが恋しいわぁ〜」


 「……」

柚香
 「あの、宵さん大丈夫ですか?」

何やら月代の奴、様子がおかしいな?
玉のような汗を流しているのは瑞香と同様だが、なにかブツブツ呟いている。


 「みず……」

瑞香
 「えっ? 私?」


 「違う……水を……」

悠気
 「ほれ」

俺は水筒を差し出すと、月代はコップも使わずに水筒を逆さまにしてがぶ飲みした。
……とまぁ、この時期の正午はまさに死せる砂漠のような苛酷さだ。
流石に夏服に着替えてもこれは苛酷すぎるな。

瑞香
 「琴音って凄いわねぇ……一年通して中庭で食べてるんでしょう?」

琴音
 「流石に雨の日は食べないけど」

そう言って苦笑する大城だが、この中で一番汗を掻いていないのも大城だ。
まるで魔法でも使っているかのように、大城の大暑性能は群を抜いている。


 「早くご飯にしよ〜」

この時期は夏バテで食も落ちやすい、それを考慮してみなもさんもさっぱりした物が中心で、ユズちゃんや大城も必然的に簡単な料理が中心になっている。

瑞香
 「体育系の部活って食わなきゃ力でないのに、食が細るのよねぇ」


 「へぇだから瑞香って細いんだぁ〜」

瑞香
 「これは努力の賜物! 良いわよねぇ〜、PKMって人間よりスタイル安定するんでしょ?」

柚香
 「そ、そんな事ないよ! 私だってダイエットしてるし!」

琴音
 「最近太ってきた気も……」


 「う……」

3人は体型を指摘されると気まずい顔をした。
ユズちゃんは姉より若干ほっそりしており、見ての通り痩せている。
一方で見た目で分からないが大城は気にしているようだ。
そして一番気にしたのは月代だ、出会った頃に比べて若干ふくよかになった気がするが、男性目線では月代は標準体型だがな。

瑞香
 「うーん、ネットで言ってたんだけどなぁ?」

瑞香は若干情報弱者な所がある。
ネットや情報誌の内容を鵜呑みして、騙される事も多く、その点はゴシップ好きの他の女子と変わりない。

悠気
 「情報はしっかり精査しなければ、躍らされるのみ」

俺はそう言って弁当を食べ進める。
うむ、相変わらずみなもさんの弁当は美味い。
宵も体重の話になった性か、お腹を擦って気にしているが、結局誘惑に負けて食べるのだった。

瑞香
 「あ、そう言えば旅行の件だけど」

瑞香は思い出したようにその話を出すと、俺はとりあえず言うべき事を伝える。

悠気
 「光先輩と、ウチの人が参加するわ」

俺はみなもさんをどう説明すればいいか分からず、ウチの人とした。
実際家政婦がついてくるなんて違和感バリバリだし、いっそ従兄弟のお姉さんにでもするべきだったか?

瑞香
 「うげ……先輩来るんだ……」

瑞香の露骨な嫌そうな顔をユズちゃんや月代が知る由はない。
どうにも性格的な面まであるのか瑞香は光先輩を苦手にしているが、彼自身はそれなりに付き合える相手だ。
ただまぁ、遊ぶときは全力出す人だから、人を振り回すのが好きな癖に、瑞香は振り回されるのには慣れてないのだ。

瑞香
 「誘って良いのは一人までのはずよ?」

悠気
 「先輩は自費だから許してやれ」


 「それに人数多い方が楽しいよ〜?」

琴音
 「うん、それに上級生がいると心強いし」

そう言って瑞香は皆から総スカンを食らう。
まぁ苦手とする理由は分かるが、こうなると瑞香もぐうの音が出ない。

悠気
 「ついでに先輩に勉強教えて貰ったらどうだ?」

瑞香
 「ちょっと〜、旅行に勉強とか持ち込まないでよ〜」


 「旅行に必要なのって、何があるかな?」

瑞香
 「とりあえず着替えよね、それと水着と、あと紫外線対策はしっかりとね?」

琴音
 「シミとかそばかすなんて女子の天敵だからね!」

大城や月代は肌が白い方で、両者共にそれは生態的特徴らしく、それでもUV対策は余念が無いようだ。
イマイチそういう所に鈍い月代はピンと来ていないようだが、女子達はうんうんと頷く。


 「あ、それってあのサンオイル塗って貰う奴? 皆悠気にして貰いたいんだぁ〜♪」

瑞香
 「は、はぁぁぁ!? ゆ、ゆゆ、悠気にそんなの任せられる訳ないでしょう!?」

大城
 「あ、あのね? 今はスプレータイプのもあるから、オイルはもう主流じゃないのよ?」

柚香
 「……!」(コクコクコク!)

ユズちゃんは顔を真っ赤にして首を縦にブンブンと振った。
ドラッグストアなんかに行けば対策グッズが入口に配置されているが、最近は人工スキンをスプレーで作るのが主流だ。
これは人工皮膚を肌の上から貼り付け、日焼けするのは人工皮膚の方で内側の本来の皮膚はバッチリ紫外線から守るわけだ。
最近では男子でも身嗜みを気にする奴も多く、美容品メーカーはこの時期が商戦だと言えよう。


 「そうなんだ〜、ドラマとかでやってたのに〜」

瑞香
 「ま、まぁカップルとかがする程度よねぇ〜」

流石に瑞香も顔を紅くして、目線を泳がせる。
よくまぁ月代の偏った知識は何が由来か分からんものだ。

悠気
 「まぁその点も含めて後日買いに行くか」


 「うん! 水着も決めないとね♪」

瑞香
 「水着……そう、それは女の戦闘服よ!」

柚香
 「お姉ちゃん燃えてるね」

瑞香
 「当たり前でしょう!? 例え見せる相手がいなくても、これを怠ればダサ子一直線! 終生まで女の格を貶めるわ!」

随分大袈裟な事だが、瑞香にとっては冗談ではなく熱く語った。


 「そうそう! 侮っちゃ駄目よ! 男なんて化粧一つで騙せるけど、自分は騙せないからね!?」

瑞香
 「おお、同志……て、杏先生!?」

突然話に加わったのは杏先生だった。
杏先生は玉のような汗を流しているが、その顔は相変わらず美しい。
これで30代後半だというのだから、正真正銘美魔女だろう。


 「貴方達旅行の計画? 羨ましいわねぇ〜」


 「先生は夏休みも忙しいの?」


 「まぁね、それが社会人ってもんよ」

そう言うと本当に疲れているかのように溜息を吐く。
教師というのは、その言葉以上に苛酷なのだろう。
どんな生徒相手でも必ず向き合わねばならず、かといって保護者の意見にも晒され、それでも教師を続けられることは感服する。


 「いい? 貴方達! 10代なんてあっという間よ!? 悔いを残しちゃ駄目! 先人の教訓よ!?」

それはつまり、杏先生も10代の頃に悔いがあるという事か?
一体杏先生の悔いってなんだろう……?


 (はぁ……久し振りに茂に電話しようかなぁ〜、子供たち見ているとあの時真莉愛の誘い受けたの失敗だった気がするわぁ)

瑞香
 「ま、まぁ兎に角後は日程の調整ね!」

柚香
 「皆の意見を集めて調整しないといけないもんね」


 「遊べ遊べ! 若人よ! でもお酒は駄目だからね!?」


 「はーい♪」

琴音
 「大丈夫です、若葉君もいますし」

悠気
 (保護者扱い……)

もう既に俺は保護者扱いされているのな。
まぁ既に月代は飼い犬同然だし、間違ってもいないが、大城にそういう扱いされるのは心外だ。
だが、杏先生はそれを危惧すると、俺を指差す。


 「だ・か・ら! 危険なの!? 男なんて皆オオカミよ!? 若葉君だって大人しそうだけど同じ部屋で寝たら食べられちゃうんだから!」

柚香
 「たべ……っ!?」

琴音
 「わわっ、先生、私達はそういう関係では!?」


 「人狼ゲームか〜、皆でやりた〜い♪」

皆が夜の情事に顔を真っ赤にする中、一人意味を理解しない月代はオオカミを人狼ゲームのそれと勘違いしたようだ。

瑞香
 「あ、あはは……人狼、そう人狼ゲームね! 良いわね、やりましょう!」

人狼ゲーム、20年くらい前に爆発的ブームになった定番のパーティーゲームだ。
簡単にざっくり説明すれば、まず村人陣営と人狼陣営に別れる。
村人陣営は全ての人狼を処刑すれば勝利、一方で人狼陣営は村人と同数になった時点で勝利。
つまり人狼は上手く村人の成りきって、村人達の処刑を誘導するのがメインとなる。
この辺りのルールでは昔多くの著名ゲームを産んでいるな。
○ンガンロンパとかが有名か。

更に掻い摘まんで説明すると村人には役職がある。
まず市民、ゲームの中心であり能力は何もない。
しかし市民として推理と議論を構築していくのがこのゲームの醍醐味だ。
次に占い師、毎晩一人だけ人狼かそうでないかを判別出来る。
推論する上でとても重要な役職だが、判別可能なのは人狼かそうでないかだけで、村人の役職は分からない。
霊媒師は前日処刑されたプレイヤーが人狼かそうでないかを判別できる能力を持っており、人狼の数を把握する上で重要な役だ。
最後に狩人、毎晩誰か一人を人狼から守ることが出来る能力をもつ。
しかし同じ人物を連日守ることや、自分自身は守れないので、人狼の思考を読む推理力が求められる。
人狼側は割かしシンプルで、毎晩一人ずつ脱落させていく人狼と、狂人の二つだけだ。
狂人は判定は村人として判定されるため占い師や霊媒師では見抜けない。
そして嘘をつくことで、村人陣営を混乱させる事が目的となる。

長文すまないが、知ってる人はスルーしてくれ。
詳しいルールはそのうちやるから、そっちに委ねる!


 「ふぅ……それじゃ先生戻るけど、羽目外して警察のお世話にならないでよね!?」

結局最後は先生方の定型文で締めて、杏先生は校舎に戻った。
俺たちも昼ご飯を食べ終えると、下に敷いたブルーシートを畳み、それぞれの教室に戻るのだった。



『突然始まるポケモン娘と学園ライフを満喫する物語』

第10話 夏の思い出を作ろう

第11話に続く。


KaZuKiNa ( 2021/03/12(金) 19:19 )