突ポ娘短編作品集


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霊視家政婦セローラちゃん!
第4話 水着って言い張れば、どんな格好でも健全扱いって冷静に考えれば凄いよね 前編

セローラ
 「海ですか?」

それは夏のある日の事だった。
今日は茜ちゃんの方からうちに来ると、常葉家は海に行くことを連絡しにきたのだ。


 「なんだかんだ、去年は忙しくて行けなかったからね」

去年っていえば、こっちもまだ幸太郎坊ちゃんが小さくて本当に忙しかったなぁ。
夜泣きすることも毎日で、茜ちゃんに構う暇もなくて、あれ本当にノイローゼになるかと思ったわ。
一方で常葉家の方も大変だったろう。
去年といえばまだPKM法の改正からそれほど経ってない、今でこそある程度落ち着いているけど、常葉家も混乱の中にあった筈だ。

絵梨花
 「それでいつ行くの?」

私の隣にはスヤスヤ気持ちよさそうに母の腕の中で眠る幸太郎坊ちゃんを抱いた絵梨花奥様がいた。
茜ちゃんと絵梨花奥様は一種のママ友、最も茜ちゃんが一方的に絵梨花奥様を尊敬している感じだけど。


 「来週、日程調整に手こずって平日だけど」

セローラ
 「まぁ茜ちゃんの家、大所帯だもんねぇ」

毎日働いているサラリーマンの茂さんは勿論、ポケにゃんでバイトしながらそれぞれ異なる道に進み始めている凪さんと華凛様。
里奈ちゃんは学校があるし、伊吹さんも通信制の学校に通っているみたいだもんね。
まぁツルペタは相変わらず暇してるみたいだけど。


 「あと……それでね? よかったら絵梨花さんも来ませんか?」

絵梨花
 「私も?」

絵梨花奥様は茜ちゃんを見た。
なるほど、茜ちゃんの目的は絵梨花奥様を誘うことか。

絵梨花
 「うーん、参加したいのは山々だけど……」

その言葉を聞いた茜ちゃんは耳を垂れ下がらせながらシュンとした。

絵梨花
 「私じゃちょっと難しいけど、そうね。代わりにセローラちゃん行ったら?」

セローラ
 「は? 家事はどうするのです? それに幸太郎坊ちゃんも」

絵梨花
 「ふふ、私だってお母さんよ? それくらい熟して見せるわ……それに、久しぶりに親子水入らずっていうのも悪くないしね♪」

絵梨花さんはそう言うとウインクした。
そうか、ダンナ様の事も考えないといけないし、なんだかんだで奥様ダンナ様を愛してますからね。

セローラ
 「ですが……私水着なんて持ってないし、そもそも炎タイプですよ?」

絵梨花
 「ふふ♪ でも茜ちゃんと遊べるわよ?」

セローラ
 「むむ、たしかに一理ある」

私はランプラー、水が大ッ嫌いな炎タイプ。
海なんて論外だけど、茜ちゃんと一日中遊べるのはチャンスだ。

セローラ
 「了解しました! セローラちゃん、海行きますっ!」



突ポ娘外伝

霊視家政婦セローラちゃん!

第4話 水着って言い張れば、どんな格好でも健全扱いって冷静に考えれば凄いよね



ガタンゴトン、ガタンゴトン。

電車を乗り継いで1時間、私は常葉家御一行と一緒に海辺の町に向かっていた。
地方の電車に揺られながら、私は常葉家の人たちと大富豪をしている。

セローラ
 「むむむ」

保美香
 「47連敗……それが2年前のわたくしでしたわね」


 「私は47連勝だったけどね」


 「また懐かしい話を」

死んだ魚のように目つきが悪い長身の男性、常葉茂、私の心のご主人さまはゲームには参加せず勝負を見守った。
強すぎる&弱すぎるからと、茜ちゃんと保美香さんも参加していない大富豪、現在トップを走るのは華凛様だった。

華凛
 「ふふ♪ 私の強運舐めてもらっては困る♪」


 「だから、お前はプレッシャーだろ! いい加減にしろ!」

永遠
 「里奈……貴方サイコメトリーしてないわよね?」

里奈
 「は、反則行為には手は染めてませんから」

トップの大富豪を維持するのはアブソルの華凛様。
私の元いた世界ではアーソル帝国初代皇帝であり、最終皇帝だったお方。
つまり、私の一番偉い上司って事になり、昔の杵柄で頭が上がらない。
そんな華凛様は綺麗な銀髪に赤いお洒落な着流し(着流しには花の刺繍もある)を優雅に纏い、そして体格からすればとんでもない爆乳を何度も揺らしていた。
そのバストは自称109と言うが、実際はもっと上じゃないかな?
よほど邪魔なのか、しきりに着流しを絞り、胸を持ち上げる仕草が目立つ。

現在平民の凪さんはピジョットだ。
彼女も元いた世界では私の国とは敵対していた。
つまり国家レベルで見れば敵だった相手だ。
紆余曲折経て、今や殺し合いをしていたかとはとても思えないほど凪さんと華凛様は仲がいいけど。
そんな凪さんは茂さんと同い年の25歳、現在大学に通う大学生だ。
ピジョット種は特に美しいと言われるけど、凪さんも例外ではなく美しい茶毛が腰まで伸び、その翼は大きい。
女性としては凛々しく、純粋に格好いい女性よね。

貧民の永遠さんはディアルガ。
なんと伝説のポケモンで本人曰く時の神様。
なんか精神的に幼くて、神様の貫禄まるでないけど、立場上里奈ちゃんの伯母さんだ。
神様のくせに伯母様扱いしたら怒るけどね。

伊吹
 「るんるんるーん♪」

一方、ゲームをしながらすでに窓の外を見て歌を歌う程満喫しているのは伊吹さんだ、同じく平民だが勝負には興味がないみたい。

美柑
 「久しぶりの海だな〜、楽しみ♪」

ツルペタヘタレの美柑さんもゲームはそっちのけだ。
平民という事で余裕があるのも一因か。
因みに富豪は里奈ちゃん、中々負けないから読心術疑惑があるが。
それで大貧民は誰かって?

保美香
 「難しく考えすぎですわ、逆に考えましょう。いかに大貧民を脱出するかを考えるのではなく、もう大貧民でもいいや」

セローラ
 「どこのジョースター卿ですか」

大貧民、それは私だった。
セローラちゃん、運が良い方だと思うんだけど、ゲームだと中々上手く行かないのよね。
過去47連敗の記録を持つ絶望的に運が悪い保美香さんに言われてもちっとも響かないのだが。
華凛様は本当に運が良い、伊達に皇帝まで上り詰めた人じゃないか、実力もそうだが、やっぱり持ってる。
平民の出の私とはなにもかも違う人だ。

セローラ
 「うぅ、いっそ革命できればワンチャンス」

保美香
 「からの革命返し、何度茜にされたか」


 「弱い奴が悪い、そんな風に考えていた時期が私にもありました」

華凛
 「ふ、所詮この世は弱肉強食、強い奴がより強くなるだけだ」


 「エゴだよそれは!」

華凛
 「ならば、富を人民に再分配してみせろ!」


 「ソヴィエト連邦かよ」

雲外鏡
 『ホッホッホ、人は今を意識しすぎる、その百年の人生からすれば全ては取るに足らぬ事だと言うのに』

セローラ
 (黙ってなさい、雲外鏡)

窓には雲外鏡が写っていた。
窓は鏡じゃないが、反射次第で雲外鏡が出現できる条件が揃う時があり、私についてきていた。
とにかく今は大貧民からの脱出よ!

保美香
 「ねぇ茜、人間はどれだけ努力して報われない時ってありますわよね?」


 「だから人間辞めるの?」

保美香
 「まぁPKMなんですけどね!」

伊吹
 「アッハッハ!」


 「PKMジョークか、それで笑う伊吹の沸点も大概だな」

永遠
 「ねぇ〜、茂君、助けてよ〜」

永遠さんはそう言うと茂さんに身を寄せて、猫なで声で助けを請う。
本当にこの人神様なのかな?

華凛
 「こら、百歩譲ってダーリンの隣は茜に譲るが、その隣は許さんぞ、なぁダーリン? 私と良いことしよう?」

華凛さんはそう言うと永遠さんを押しのけ、茂さんの腕を胸で挟み込む。

永遠
 「む〜!? 上等じゃない! 私もそれはメチャ許せんよなぁ〜!」

セローラ
 「だーもう! イチャイチャするなー! 私だってご主人さまとイチャイチャしたいんだぞー!!?」

私は茂さんを奪いあうこの人たち、煩悩を怒りに変えて爆発させた。

セローラ
 「よろしい! そんなに電車プレイがお好みなら! 今ここでクロスアウッ!」


 「茜」


 「ん」

セローラ
 「くきゅ!?」

服とスカートに手を掛け、真っ裸になろうとした瞬間、茜ちゃんは私の背中に周り、チョークスリーパーを仕掛けた。
私は頸動脈を閉められ、一瞬で意識を落としてしまう。



***



伊吹
 「うーみー!」

セローラ
 「あー、なんか忍者がカタコトで喋って正体が実はエイリアンがボスのマフィアを潰して息子を助ける夢見ました」


 「なにそれ怖い!?」


 「忍者コップサイゾウ?」

保美香
 「なぜ、直ぐに連想できるの?」

私が頸動脈を閉められ、お眠り状態のまま、私達は目的地にたどり着いた。
ここは終着駅で、かなり田舎ね。
海が近く、無人のホームには既に磯の香りがした。
私達はそれぞれの荷物を持つと先ずはホテルを目指す。

永遠
 「華凛、次は水着で勝負よ!」

華凛
 「ふん、勝負とあらば私は強いぞ?」


 「ふぅ……水着、か」

保美香
 「懐かしいですわね、水着勝負」

美柑
 「主殿、皆違って皆良いって採点してくれませんでしたよね」


 「ご主人さまは皆平等に愛してくれるから」

それにしても大所帯だ。
私が知らないご主人さま達の思い出、茜ちゃんや保美香さんを見ていると私は羨ましいと思った。

セローラ
 「2年前じゃ、そもそも私この世界にいませんもんねぇ」


 「2年前の8月27日、俺と茜は地元のヤンキーに襲われてピンチにもなったんだよな、俺がお前たちを本当に大切にしないといけないと思ったのはあの日だった」


 「はい……あの事件の後、ご主人さま優しくなりました」


 「ま、その翌日の8月28日は、突然ゲートに吸い込まれて、お前らと散り散りになったんだけどな!」


 「そこで私は出会った、囚われの身となっていた私を助け、そして力を与えてくれた事今も感謝している……」

華凛
 「私にとっては忌まわしき日だな……一体どれほど私の前に現れない伝説のポケモントレーナーの神話を呪ったことか」

8月28日、ご主人さま達は私が住んでいた世界に召喚された。
そしてそれは私が空から降ってきた茜ちゃんと初めて出会った時でもある。



***



夏、その日は最北端に位置するアノーク地方は比較的温暖だった。
アーソル帝国の首都に聳えるフウカゲツ城の頭上には満月が輝く夜のこと。

セローラ
 「はぁ、忙し忙し」

私は箒を手に城の中を走り回っていた。
真面目に働いているかって?
そんなわけ無いでしょう、働いている振りですから!
そんな訳で適当に廊下を箒で叩いていると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。

メイド長
 「セローラ! 少しいいかしら!?」

メイド長のコンルだった。
マニューラという少し珍しい種族で、メイドになったのは同期なのに直様才覚を見せて出世し、皇帝陛下の側にいる事が許されたメイド長だ。
普通それはハウスキーパーじゃないのかって?
正しい作法ならそうだけど、創作なら大抵メイド長だから気にするな!

いやぁしかし懐かしいねぇ。
当時のメイド長はメガネの似合うキリッとした鋭利な目付きが特徴的なクールビューティだったわねー。
線もマニューラとしては太いらしいけど、私基準からしたら細いし、ちっちゃい(これもマニューラとしては大きい)のに巨乳なんだもんなぁ。
それが気がつけばどんどん太って見る影もなくなるんだから。
まぁ本人も自覚してたし、ご飯美味しいなら仕方ないよね!
さて、時を戻そう!

セローラ
 「なんですかメイド長!? ちゃんと仕事してますよ!?」

私は慌てて真面目に掃除を始める。
コンルはセローラちゃんがふざけているときに限って必ず現れる予知能力者かなにかなのだ。
セローラちゃんは権力の犬なので、コンルには逆らわない。

コンル
 「掃除はいいから、少しこっちを手伝って!」

セローラ
 「え?」

普段キッチリカッチリする事を信条とするド真面目ポケモンのコンルにしては妙だった。
兎に角私は箒を壁に立て掛けると、手招きするコンルを追いかけた。

セローラ
 「一体何事です? もう終業時間だと思うんですけどー?」

コンル
 「展望台で、陛下が月見酒をしたいって言い出してね? 設営に手が足りないのよ」

私はその名前にげんなりした。
皇帝陛下の気まぐれか。
カリン様は力と恐怖、そしてカリスマによって北部を統一した。
この国は強権的な所もあるけど、治安は良くなったし、景気も上向いて皇帝の支持率は凄まじい。
でも側に仕える私達メイドからすると、陛下は気まぐれで享楽的過ぎる!

セローラ
 「もう! 陛下は無断で城下に遊びに行ったり、こんな夜遅くにメイドこき使ったり!」

コンル
 「我慢なさい、そういう方に仕えたのよ」

コンルの忠誠心は並じゃない。
実際カリン様に対する恩義は並々としているだろう。
まぁ私は殆ど忠誠心はないが、それは人それぞれなのだ。

やがて、私達は足早に展望台に入った。
展望台には既にメイド数人が忙しそうに走り回っていた。
展望台は屋外であり、見上げれば、満月が大きく輝く。
星々も地上を優しく照らしていた。

コンル
 「セローラ、机の設営をお願い、私は配膳をするから!」

セローラ
 「はーいはいはい、やりますよー」

私は正直モチベが上がらないが、仕方なく仕事をする。
まぁ何せその場にはカリン様と宰相のギーグもいるのだ。
陛下はともかくドンカラスのドス黒い魂を持った宰相ギーグは嫌な相手だ。
やたら小賢しく小物地味ていて、目ざとくセローラちゃんに目をつけてくるかもしれない。
兎に角今は権力の犬として、最低限の働きはする時!
なんて言いながら設営を終えると、その場には陛下とギーグ、そしてお酌をするコンルだけが残り、その他のメイド達は通常業務に戻っていった。
私は疲れた顔で、展望台の端で一息ついた。

セローラ
 (セローラちゃん、奉公人としてやってきたけど、正直辛いなぁ、メイドって休み暇ないし、なにもモチベ上がる要素ないもんなぁ)

私は正直メイドなんて辞めたかった。
でも本来中流家庭の私は奉公人として城で働けるのも凄く貴重な機会だった。
結局仕事を辞めても、今度は顔も趣味じゃない男と結婚させられて自由なんてないに決まっている。
それならまだメイドの方がマシだが、それも限界は近いと感じた。

しかし、運命は……このセローラちゃんに味方した!

セローラ
 「はぁ、月はこんなに綺麗で……え?」

何かが月を横切った。
私はキョトンとした。
私の元に美少女が降ってきたのだ!?

セローラ
 「え? え? 親方ー! 空から美少女がー!?」

ピンと立った茶色い耳、筆のような形の大きな尻尾。
そして凄まじいロリ巨乳のその少女は空から降ってきたのだ。
そうそれが私と茜ちゃんの初めての出会いだった。
当時の茜ちゃんはとても人見知りで無口な子だった。
しきりにご主人様と呼ぶものを探していた。

カリン
 「? あれは?」

コンル
 「セローラ? こら! セローラ! そこで何を!?」

セローラ
 「そんなこと言ってる場合じゃ!?」

私は慌ててその美少女の落下地点に走り込み、その美少女をキャッチした。
その時、茜ちゃんから感じたいい匂いは今でも忘れない。


 「うぅ……ここ、は?」

当時茜ちゃんは不思議な格好をしていた。
寒冷な北部では珍しい薄着で、茜ちゃんは微かに凍えていたのだ。

ギーグ
 「な、なんだ!? 空から降ってきた!?」

カリン
 「ふむ……妙な子だな」


 「?」

美少女、茜ちゃんは周囲をキョロキョロした。
私はその不安気でオドオドした姿を目撃すると、自分の内にある欲望を初めて自覚した。

セローラ
 (ど、どうしよう!? この子セローラちゃんの超好み!)

そう、それまで変態的な趣味など無かった私が初めて、自分の性癖を知った瞬間だった。
だって、茜ちゃん物凄く私好みのエロい体してるし、しかも押し倒してレイプしても全然反撃してこなさそうな弱さがあるんだよ!?

超萌える!

セローラ
 「はぁ、はぁ? お、お嬢ちゃん、名前は?」


 「え……あ」

当時の弱い茜ちゃんは本当に仔猫のようだった。
これまでどうやって生きてきたのかも分からない程弱く、儚い。
まぁ変態のセローラちゃんはだからこそ興奮するのだが。
兎に角犯したい、この無気力美少女を欲望のままひん剥いておっぱい揉みたい!

セローラ
 「ヒャッハー! もう我慢できねぇー!?」

私はかつてない程ハイテンションに歓喜すると美少女に飛び掛かる!
少女は絶望を顔に引き攣らせて、ただ無抵抗だった。

コンル
 「邪な気配!!」

カコーン!!

セローラ
 「ごでりば!?」

咄嗟にメイド長が銀のトレイを投げた。
それは私の横っ面にクリーンヒットし、私のレイプは未遂で終わった。

コンル
 「大丈夫君!? 怪我はない!?」


 「あ、あの……はい」

コンル
 (やだ、この子超可愛い! 保護したい!)

セローラ
 (グフ! コンルも邪な感情視えますよ……)

可愛い物が何よりも好きなコンルにとっても、この儚い少女は性癖にクリーンヒットしたのだ。
奇しくも仕事を辞めたいと思っていた私が、今もメイド業を続けられるのは間違いなく茜ちゃんが降ってきたからだ。

茜ちゃんは私にとって天使だった。
陛下の前に立たされた茜ちゃんは弱くオドオドしている。
しきりにご主人様と呟き、挙動不審だったが。
コンルが面倒を見る事になった。
ギーグは裏があるんじゃないかと、最後まで疑っていたけど。



***



セローラ
 「いやぁ、初めてメイド服に身を通した茜ちゃんは新鮮だったなぁ」


 「私、あの時怖かった……周りに私が知っているもの、何にもなかったから」

再び、時は現在に戻る。
今の茜ちゃんはしっかりしていて、そのお腹はしきりに大きくなっている。
私達は旅館に荷物を預けると、海へとやってきた。
私は普通のビキニで砂浜にやってきたが、肝心の茜ちゃんはシースルーのマタニティドレスを着て、持ってきたビーチパラソルの下に座り込んだ。

セローラ
 「茜ちゃんは遊ばないんですか?」


 「激しい運動は先生にも止められているから」

セローラ
 「それでよく、海にきましたね」

出産の近い時期、お母さんも辛さは並じゃないだろう。
私は絵梨花奥様の出産間際を思い出す。
今度は茜ちゃんがその番なのだ。


 「ふふ、命(みこと)もお腹を蹴っているわ♪」

セローラ
 「あれ? 名前決まったんですか?」


 「ああ、女の子だってさ、まだレントゲンでは尻尾や耳は確認できないらしいが」

そこへ海パン姿に着替えた茂さんがやってきた。
茂さんは茜ちゃんの前に屈み込むと優しい顔でそのお腹を擦った。


 「俺たちの大切な命……だからみこと」


 「ご主人様が名付け親なのよ?」

二人はとても穏やかで、幸せな夫婦の姿だった。
私はそれに妬けるより、これをなんとしても護らなければならないと思った。

セローラ
 「くう!? 尊過ぎますよ!?」

私は涙を拭き、二人を背にした。
海は人混みで溢れ、どんなお邪魔虫がいるか分からない!

観光客A
 「おい! っべーぞ! あっち見てみろよ!?」

観光客B
 「うお!? なにあれモデル!?」

セローラ
 「うん?」

なんだか一部の観光客が騒ぎ出した。
私は何事かと思うが、ご主人様達は「またか」と呆れていた。

保美香
 「はぁ……やはり水着は慣れませんかしら」

華凛
 「ふん、私の美貌は嫌が応にも目立ってしまうな」

それはナイスビューティな二人の登場だった。
ハリウッド女優かなにかにしか見えない保美香さんは真っ白なパレオに見を包み、麦わら帽子を被る。
赤いビキニに身を包んだ華凛様は自信たっぷり、相変わらず胸を両腕で持ち上げて歩いた。


 「うぅ……やはり恥ずかしいな」

凪さんはやや大胆な水着で恥ずかしそうにしていたが、しかしプロポーションは凄まじく、またその背中の大きな翼とのコンストラストは素晴らしい。
女性が見ても惚れる女性、それが改めて凪さんなんだと思い知る。

伊吹
 「うーみー!」

美柑
 「よーし、遊ぶぞー!」

一方、もう色々やばいが、マイクロビキニにしか見えない、オレンジの水着を来た伊吹さんはおっぱいを揺らしながら、海へと駆け込んだ。
一部男性が悶絶したのは言うまでもない。
一方美柑さんは健全なワンピースタイプね、水着着ても男の娘にしか見えないのは流石か。

永遠
 「はぁ、暑ぅ」

里奈
 「永遠伯母さん、大丈夫?」

永遠
 「……だるい、夏ってあんまり好きじゃない」

一方永遠さんと里奈ちゃんはもはや親子連れにしか見えない。
永遠さんはエロさも充分な水着と、ナイスバディなプロポーションを見せるのに何故か野次馬は集まらない。
あまりにもダウナー過ぎる事と、里奈ちゃんと手を繋いでいるのが原因だろう。
一方里奈ちゃんは小学生のためか、水着も幼い。
一部ロリコンの目を引きつけそうだが、永遠さんがいるので大丈夫でしょう。

セローラ
 「里奈ちゃん、スク水じゃないんですねー」

二人は私達に気づくと、駆けてきた。
里奈ちゃんは顔を真っ赤にすると。

里奈
 「は、恥ずかしくて無理ですよ!?」


 「だってさ? お母さん?」


 「あの頃の私は若かった」

茜ちゃんは首を振る。
もしかして茜ちゃん、昔スク水だった?

保美香
 「懐かしいですわね、胸元に茜と刺繍されたスク水まだ家にありますわよ?」

セローラ
 「え? まじで?」


 「本当は里奈ちゃんに譲るつもりだったけど」


 「サイズ合わなかったんだよなぁ」

身長で言えば、それ程変わらない茜ちゃんと里奈ちゃんだけど、流石に普通の小学生体型の里奈ちゃんとロリ巨乳の茜ちゃんでは、水着のサイズが違う。
改めて茜ちゃんが規格外なのよね。

華凛
 「ねぇダーリン♪ 私の水着どう?」


 「深紅に金糸、悪趣味な」

華凛
 「な!?」

華凛さんはそのどエロイがクソ目立つ水着の悪評を聞くとガガーンという効果音が聞こえそうなショックを受けて、その場に項垂れた。

永遠
 「アハハハ! ざまぁないな! 茂君の趣味を分かってない! ねぇ? 茂君?」


 「永遠もおばさん臭いからだめ」

永遠
 「おば!? ま、まだ300歳だもん! 若いもん!?」

とはいうか、挙動がおばさんくさいのは事実だ。
あと人間目線だと300歳はおばあちゃんだよ。
永遠さん、折角美人なのに本当に残念な美人だよねぇ。

保美香
 「はいはい、水着自慢はそこまでにしなさい」


 「保美香、水着一新したんだな」

保美香
 「はい♪ だんな様に気に入られるために張り切るのはやめにしましたわ、そんな事しなくてもだんな様は愛してくれますもの♪」


 「貫禄あるねぇ」


 「まるで愛人だな」

セローラ
 「ぐぬぬ……私もご主人様の愛人になりたい!」

悔しいけど保美香さんは達観していて貫禄ある。
既に熟年夫婦のように茂さんと保美香さんは一心同体であり、遠慮も華も要らないのだ。
それがまだわかっていない華凛様と永遠さんは「ぐぬぬ」と呻いた。

保美香
 「それでだんな様はいかが致します?」


 「茜に付き添うよ」


 「ん、ご主人さまと一緒♪」

身重の茜ちゃんを放っておけないのはご主人さまにとって当然よね。
それは勿論私も同じだ。
茜ちゃんに近寄る良からぬ虫は私が排除します!


 「ほら、落ち込んでないで、華凛も遊んでこい」

華凛
 「うぅ……分かった、暖かい海は初めてだからな、楽しんでくる」

華凛様はそう言うと海へと向かった。


 「暖かい海って……」

セローラ
 「北部は寒中水泳位しかできませんからねー」

私や華凛様は常冬の国の出身だ。
たしかに地球上では日本の海は冷たい方かもしれないが、それでも常冬の国出身からしたら暖かいのだ。

永遠
 「うう! 遊ぶわよ里奈! 海での楽しい遊び方教えてあげる!」

里奈
 「あ、は、はい!」

永遠さんも落ち込んでばかりはいられない。
里奈ちゃんの手を掴むと海へと走り出した。
なんだか里奈ちゃんの方がしっかりしてて立場逆転してる感じがしますね。


 「セローラは遊ばないの?」

セローラ
 「とは言っても私炎タイプですよ?」

炎タイプが海に入るなんて自殺行為だ。
いや、PKMなんだから多分死にはしないと思うけど、本能的に忌諱するのは当然なのだ。
何より私の生き甲斐は茜ちゃんなのだ。
その茜ちゃんが日陰で休んでいるなら、私は側にいる。

セローラ
 「本当は茜ちゃんとエッチなことしたいですけど、赤ちゃんに影響でたら怖いんで自重します」


 「言わんでいい欲望口に出来るお前が凄いわ」


 「むぅ、セローラのHENTAI」

セローラ
 「ふはは! そう、私がHENTAIです!」

なーんて言いながら私は茂さんに絡みついた。

セローラ
 「なーのでー、ご主人さま、セローラと良いことしませんかー?」

保美香
 「セローラ、それを許すと思って?」

セローラ
 「あ」

保美香さんの事、忘れてた。
てっきり皆と一緒に海に行ったと思っていたら、忍ぶようにそこにいた。
そう言えばこの人も岩タイプだから海苦手だよね?

保美香
 「うふふ、折角かしら? ちょっと度胸試ししますかしら?」

セローラ
 「え? ちょ、なんで触手うねらせているんですか!? 後セローラちゃんどこに連れて行く気!?」

保美香
 「あっはっは! 畏れる必要はない!」

セローラ
 「いーやー!?」

保美香さんは狂気的に笑うと、私の手を掴み、海へと引きずられる。
私は全力で拒否したが、保美香さんに力では敵わない。

保美香
 「海へ来たなら! レッツ! ダイブ!」

セローラ
 「ヤーダー!? やめてー!?」


 (コズミック・ホラー……)



霊視家政婦セローラちゃん! 第4話後編に続く!


KaZuKiNa ( 2021/02/13(土) 12:55 )