突ポ娘短編作品集


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短編集
突ポ娘外伝 薬物ダメ、ゼッタイ!


 「…これ、なに?」

それは夏のある日のこと。
茜は保美香が持って帰ってきた不思議な植物に?を浮かべる。

伊吹
 「クンクン、清涼なこの匂い……ミントだね〜」


 「ミント? あのどんな荒れ地でも自生するとかいう糞ツヨ植物か」

ミント、それはシソ科の植物。
バジルやローズマリー、オレガノ等を含む種らしい。
物凄く匂いが強く、茜はしかめっ面をした。


 「で、こんなに貰ってどうしたんだよ?」

俺はテーブルに山盛りで置かれたミントの山を見て、呆れ返った。

保美香
 「実はいつも行く商店街で、八百屋さんが裏庭にいつの間にか生えているのを発見したそうですの、捨てるのも勿体ないので、譲って頂いたのですが」


 「捨てる? 観賞用じゃだめなの?」


 「ミントってな、下手すら侵略性植物ってレベルで土地を侵食しやがる、それこそ雑草一本生えない土地にするのがミントだ」

俺はミントの簡単な性質を茜に教えると、茜は顔を青くした。
茜って、神様って割には、知識は嫌に偏ってるし、知らない事も多いよなぁ。
まぁだから可愛い俺の嫁なんだが♪

美柑
 「うぇ、しかしこの青臭さ……なんとかしないと部屋中ミント臭くなりますよ?」

美柑もミントの臭いは苦手な方か。
俺や伊吹は平気なんだが、ミントは好き嫌いが結構出るからな。


 「で、食べられるの?」

保美香
 「八百屋さんの話ですと、大丈夫のようですわ」

永遠
 「それなら、私チョコミントが食べた〜い」


 「あ〜い♪」

暑さにだらけた永遠は命を背中に乗せてお馬さんごっこをしていた。
なんだか情けない姿だが、命も喜んでいるし、永遠がいると安心だな!

保美香
 「チョコミントですか? 市販のチョコとアイスを組み合わせればいけない事もないですが」


 「つっても、アレってフレーバー程度に入れる位じゃ?」

ミント風味のアイスって言えば、この時期定番だ。
ミントといえば清涼剤、それ位相性が良いと言える。


 「あむ」


 「て、直に!?」

突然我が妻が、何を思ったのかミントを一摘み口に入れた。
いきなり何やってんの茜さん!?


 「もぐもぐもぐ、これはこれでいける」

保美香
 「あらあらまぁ、洗ってもいませんのに」

伊吹
 「ていうか〜、野生のミントでしょ〜? 食用じゃないなら味は〜……」

ベジタリアンの伊吹も流石に茜の奇行に突っ込んだ。
そういや、野菜って品種改良で今の美味しさになったんだよな。
ミントには強烈な虫除け効果がある、畑を全滅させる覚悟があるならミント一株を放置していれば、一夏でミント畑の完成だ。


 「ん、これ味の濃い物に合うかも……」

美食家の茜さんは、そう味を分析した。
そういやバジルとかローズマリーってステーキに使うな。
なる程ミントってたしかにハンバーグとかにも合うかもな。


 「うん、それになんか癖になる……んぐ!?」

パクパクと、おやつ感覚でミントを食べる茜。
突然、目を見開いて、ビクンと身体を震わせた。

永遠
 「ちょ、ちょっと? 茜大丈夫?」


 「永遠は、お馬さんごっこやめような? 命に馬乗りされた状態で言われても緊迫感ねーから!」

俺は永遠に突っ込みを入れながら、茜を心配して背中を擦った。


 「大丈夫か茜? 喉に詰めたか?」


 「……い」

美柑
 「い?」

それは突然だった。
茜が身体を震わせると、突然人が変わったように飛び上がる!


 「イェーーイ! ヒャッハー!!」


 「は?」

保美香
 「え?」

伊吹
 「え〜?」

永遠
 「あ、茜が……」


 「あう〜?」

俺たち全員が口をぽかんと開いた。
そこにいたのは茜、なのだが……。


 「ご主人様!」


 「あ、はい!?」

突然茜はビシっと背筋を立てると人差し指を突きつけてくる。
そして彼女は男らしくこう言い放つ。


 「愛してるぜベイベー!」

そう言って笑顔でウィンクした。

美柑
 「い、いやいやいや!? ありえないでしょう!? これ本当に茜さんですか!?」


 「煩せぇ! ツルペタヘタレが!? テメェの可愛いあんよをナマスみてぇに切り刻んでやろうかっ!?」

伊吹
 「あ、茜ちゃんが〜、悪い子になちゃった〜……」

保美香
 「ま、まさか!?」

保美香は茜の豹変の原因に気がついたのか、ミントの山を観察した。
一見すると素人には、それが何なのかは分からない。
だが、日々食材と向き合ってきた保美香は僅かな違いに気がついた。

保美香
 「まさかこれは性格ミント!?」


 「なんだそれは!?」

保美香
 「私も詳しくは知りません、しかしポケモンの世界には性格を変えるミントが存在するのです!」


 「違法薬物じゃないのか!? 覚醒剤系の!?」

伊吹
 「脱法ハーブみたいな依存性はないと思うけど〜?」

性格変えるミントとか、明らかにやばい成分あるだろう!?
これ、茜がラリったりしないよな!?


 「フーハハハ! 最高に気分が良いねぇー! ちょっくら出掛けて来るぜー!?」


 「あ、ちょ、ちょっと待て茜!?」

茜は気が強くなっているのか、歩き方まで乱暴になっており、もはやそこに優しき母の風貌はない。
茜は俺の静止も無視して、出ていってしまった。


 「ど、どうするんだ!? 一生茜はあのままなのか!?」

だとしたら嫌すぎるぞ!?
命も母親がヤンママになってしまったと知ったら、情操教育に悪すぎるぞ!?

保美香
 「お、落ち着いてください! 性格ミントは上書き出来ます! 茜さんの元通りになるミントさえ見つければ!?」


 「どうやって!? 見分け付くのか!?」

伊吹
 「茜ちゃんって〜、真面目だけど〜、おっとりだよね〜?」

美柑
 「あと少し気弱です、物音に敏感だし」

永遠
 「見事に今の茜と正反対ねぇ……しょうがない! 元通りになるように調合よ! 茂君は茜様を連れ戻して!」

永遠は命を背中から降ろすと、ミントの山の置かれたテーブル前に来た。


 「わ、わかった! 信じてるからな!?」

俺はそう言うと慌てて、街へと練りだした妻を追った。
玄関を出て、4階の通路に出ると、まずは上から茜がいないか探す。
すると、1階でセローラの姿を発見した。


 「はぁ、はぁ! セローラ!?」

俺は息を切らしながら全速力で1階に降りる。
すると、地面に蹲ったセローラがゆっくり振り返った。

セローラ
 「ご、ご主人様? あ、茜ちゃんが〜」

セローラは顔を青くしてガタガタ震えていた。



***



少し前……いつもと様子の違う茜ちゃんをセローラが発見したのだ。
いつもように、後ろから忍びより、上機嫌な茜ちゃんのおっぱいに手をのばす!

むにゅん!

セローラ
 「ヒャッハー! やっぱり茜ちゃんは最高ですねー!?」


 「あん? テメェ……汚ねぇ手で何してんだ?」

セローラ
 「へ? 茜ちゃん?」

私は茜ちゃんの様子がおかしい事に気付く。
しかし、身体の反応は僅かに遅れてしまった。


 「さんを付けろや! このデコ助野郎が!?」

突然、私は天地が逆さまになった。
茜ちゃんは凄い剣幕で私の腕を極めると、そのまま投げ飛ばしたのだ!

セローラ
 「ふんぎゃ!? きょ、今日の茜ちゃん……なんだかとってもワイルド……?」

私は大ダメージをもらってしまい、地べたから茜ちゃんを見た。


 「は! 私が欲しいなら、もっと強くなりな! ただし! 私に絡むと火傷するぜ?」

茜ちゃんはそう言うと、笑いながら街の方へと消えていった。
その少しあと、茂さんが慌てた様子で現れたのだ。




***



セローラ
 「茜ちゃん凄いワイルドー!? グレたの!? でも可愛いー!?」


 「よし、この変態は放置しても大丈夫そうだ」

俺はセローラから一部始終を聞き終えると、無視して茜を追う。
あのおっとりお嬢様が、性格ミントで男前ヤンキーママになるとか、正気の沙汰じゃねぇ。
あのミント、絶対にヤバいよ!?
今や優しかった茜は、悪茜(わるあかね)になってしまったのか!?


 「くそ、とはいえ趣味とか記憶が変わらないなら、茜が一人で向かうのは!?」



***



俺が迷わず向かったのはゲームセンターだった。
茜の行きつけの店で、俺は茜を探した。
すると、すごくギャラリーの集まっている場所に気付く。
大会でも開いているのか?
いや、その中心にいたのは、茜だ。


 「ち!?」

茜は性格が変わろうとも、趣味のテレビゲームは変わらない。
特に対戦格闘を好む茜は、今日もアーケードゲームを遊んでいた。
しかし様子がおかしい。

ギャラリーA
 「今日の彼女、変じゃない?」

ギャラリーB
 「ああ、精細に欠くっつーか」

それは、一番近くで見てきた俺が一番分かる物だった。
普段冷静で、顔色に出さない茜が、明確に舌打ちし、いつものクレバーな先読み戦術を発揮できていない。


 (普段の茜はカウンター主体だ)

茜は持ち前の目の良さと、先読みするセンスの高さで、相手に攻撃を振らせてカウンターを取るという戦術を好む。
有利フレームや攻撃判定、食らい判定なんかをプレイしながら覚え、すぐに学習して対応する。
ところが、今の茜はガンガン攻める戦術になっていた。
しかしそれがすこぶる茜のプレイと合わない。
せっかちにも、自分から技を振るい、ガードされてカウンターを貰う姿は、茜のプレイとはかけ離れていた。
そのまま、茜は精彩を欠いたまま、なんとか勝つには勝ったが満足のいかない結果だったか、頭を掻いて席を立った。


 「ち……なんでだ? なんで上手く嵌まらねぇ?」


 「茜!」

俺はギャラリーを掻き分けると茜の元に向かった。
茜は俺を見つけると、耳をピンと立て喜んだ。


 「ご主人様じゃねぇーか! ご主人様も遊ぶかー?」

茜はやっぱり茜じゃないが、快活に笑ってそう言った。
尻尾の揺れや、耳の動きは茜であり、奇妙なアンバランスさがそこにはあった。


 「茜、帰ろう?」


 「け! やだね! 私の生き方は私が決める!」

茜はそう言うとプイっと頬を膨らませながら、顔を背けた。
しかし、尻尾は揺れたままだ。


 「だけど、ど、どうしてもって言うなら……従わなくも、ない」

茜は顔を真っ赤にするとそう言った。
普段デレデレの茜からは貴重なツンデレ茜の状態だった。


 「……しょうがない、それじゃ一回だけ、俺と遊ぶか?」

俺がそう言うと、茜はピコンと耳を立て、前のめりになった。
目をキラキラさせて、ワクワクを隠しきれていない。


 「マジ!? なにする!? ご主人様が選んでいいぜ!?」


 「そうだな、レースゲームはどうだ?」


 「ハッハー! ま、何やらせても私の勝ちだろうけどな!?」

茜はそう言うと、体感型レースゲームのあるコーナーに向かった。
俺はゆっくり歩くと、茜は手を振って急かしてくる。


 「おーい早くー!」


 「やれやれ」

見た目は変わらないのに、性格だけが変わってしまう不思議なミント。
今こうやって燥いでいるのは茜なのに、俺の知っている茜はそこにはいない。
おっとりしてて、いつも俺の横にいる彼女が、やっぱり俺は寂しい。


 「あーもう! 手!」

茜はせっかちにも俺の手を握ると、引っ張った。
普段の茜なら絶対見せない積極さ、手の暖かさは普段の茜通りなんだから、皮肉だった。



***



レースゲームは結局3クレジットも消費しての勝負となった。
やはり茜のプレイは精確さを欠く、荒っぽいプレイに変わっていたが、それでも俺が勝つには難しい。
茜は上機嫌で、何度もとせがんできたが、永遠が来た事でゲームオーバーだった。

永遠
 「もう! 茂君遅いから迎えに来たわよ!?」


 「永遠、茜は元に戻せるのか?」

永遠
 「多分ね」

永遠は時間の神様だ、いくつもの試行の末、茜を元に戻せる性格ミントの配合を見つけたのだろう。
しかし、肝心の茜は。


 「戻る……嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ!?」

茜は涙目になると、地団駄を踏んだ。
永遠は深い溜息を吐くと、強引に茜の手を掴む。
茜は必死に抵抗するが、永遠の方が力もあり、離せない。
普段なら技で返せる筈なのに、今の茜は完全に力任せだ。

永遠
 「我儘言うんじゃない! アンタ、そのまま命に顔を見せるの!?」

永遠は強めにそう言うと、茜はビクンと震えた。
命、その存在は今の茜にとっても変わらないなら、どれだけ大切か分かっているはずだ。


 「命……それでも駄目だ! 帰りたくない!」

永遠
 「なんで? 帰ったってゲームは遊べるわよ?」


 「違う……そうじゃ、ない……! 家に帰ったら私は消えるんだろう? 折角色んな物が見れたのに……そんなの嫌だ……!」


 「っ!? 永遠!」

俺は茜の手を取ると、永遠の手を離した。
永遠は驚いて俺を見る。

永遠
 「ちょ、茂君!?」


 「あと1時間、時間をくれ」

永遠
 「……考えがあるのよね?」

永遠は不機嫌そうに腕を組むと、俺は頷いた。

永遠
 「ハァ……一時間よ? それ以上は待たないんだから!」

永遠は溜息を吐いて、そう言うとその場から消え去った。
俺は茜に向き直る。


 「えっぐ! どうして、ご主人様?」

茜は泣きじゃくっていた。
普段は気丈で、滅多な事では泣かない茜が純粋に感情を爆発させていた。
俺はにこやかに笑うと。


 「少し、散歩するか?」

俺はそう言うと茜の手を引っ張った。
茜は顔を真っ赤にして、慌てて歩調を合わせる。
俺はなるべく茜の歩くスピードに合わせ、町中を散歩した。


 「ねぇご主人様? 私、ご主人様を愛しているわ、絶対、誰よりも」


 「分かる、茜のそういう所、性格が変わっても愛情は変わらないんだな」

茜にとって俺たちは変わらない。
今の茜にとっても家族は大切で、命や俺は愛せるんだ。
でもそれは俺たちには違った。
永遠を見て、初めて分かった。
俺達は今の茜を異物と捉えている。
元の茜に戻せば万事解決なんだと、思わされていた。
でもそうじゃないんだ……この茜にとって、今が正しいんであって、過去の茜は既に異物なんだ。
俺達が強要しようとしたのは、さっさと消えて異物に返せと言っているようなもの。
茜が怯え、嫌がるのは当たり前だった。


 「ご主人様は、私の事嫌いか?」


 「好きだよ、愛してる」


 「だったら!?」


 「でもな? やっぱりおっとりした俺の嫁も大切な存在なんだ」

俺にとってこの二人の茜は、一つの身体を共有する愛する妻に変わりはない。
こっちは快活強気、むこうは無口で弱気。
性格はなにもかも違うが、どちらも茜なんだ。


 「公園、ちょっと休もうか?」

俺達は小さな公園に入ると、備えられていたベンチに腰掛ける。
チョコンと横に座る茜はじっと俺の横顔を見ていた。


 「ご主人様、私はいちゃならないのか?」


 「……」

俺はそれに答えられなかった。
今にも死刑宣告を受けそうな程、涙目になっている俺の妻に何もしてやれないのか?
茜は更に不安そうになると、大粒の涙を零した。


 「私嫌だ……今の私が消えるのは怖い……!」


 「っ……」

俺は無意識に茜を抱きしめると、その頭を優しく撫でた。


 「ご、ご主人様!?」


 「ごめんな……俺はやっぱり悪い男だ、お前を肯定することも、否定する事もできやしない」

俺は涙を零した。
涙が茜に当たる。
茜は俺の顔を見上げた。
俺は優柔不断だ、この怯えた少女を肯定すれば、今までの茜を否定する。
でも、そんな事、絶対に出来やしない。
だが、今の茜を否定なんて事も勿論出来ないんだ。
今の茜を消すなんて、俺はその心の痛みに耐えられない。

この娘は紛れもなく茜で、茜の記憶と経験を持っているんだ。
ならばやはりこの娘も茜であり、俺にはそれを否定できない。

大好きで、愛してるからこそ、俺は肝心の決断が出来ないのだ。


 「茜ごめんな……俺はどっちの茜も同じくらい愛してるんだ、だけどそれはやっぱり駄目なんだよな……」


 「ご主人様、泣かないで……! わ、私、ご主人様………ああ!?」

茜は突然、俺を突き飛ばした。
俺は少しだけ怯んで、離れてしまう。
茜は身体を震わせていた。


 「ごめんなさい……私悪い子だから、ご主人様を困らせる……! ごめんなさい、ごめんなさい!?」

茜はそう言うと泣きじゃくった。
何度も何度も謝って、その度に俺は心を締め付けられる。


 「茜!」

俺は茜に強引にキスをした。
ムードの欠片もなく、まるでレイプするように強引に奪う。
茜は抵抗せず、ただ受け入れた。


 「茜、俺は、お前を愛して……」


 「あむ、ご主人様、ありが、とう……」

茜は俺にキスを返してきた。
何度も何分もキスをして、お互いの熱を交換し合う。
気がつけば、空は茜色に染まり始めていた。


***



永遠
 「……時間よ」

1時間後、きっちり時間の神様は目の前に現れた。
俺と茜は静かに俯いていた。
しかし、先に顔を上げたのは茜だった。


 「ご主人様、ありがとう、こんな悪い子でも愛してくれて!」


 「茜!?」


 「もうすぐ茜色の空も暗闇に染まる……私の夢の時間の終わりさ」

永遠
 「決断したのね? それじゃ戻るわよ?」

永遠は時間を弄ると、直ぐに俺達は家の中にいた。

保美香
 「あ、永遠! 旦那さまも! 準備は出来てますわよ!?」

保美香は俺達が瞬間移動すると、直ぐに緑色の液体が入ったコップを差し出した。
これが特別に調合された性格ミントの青汁か。
茜はそれを受け取ると、身体を震わせた。
当然だろう、性格が変われば今の茜は消え去る。
自分で死刑台に登り、死刑を処するのと同じなのだ。


 「茜、今のお前が消えても、お前から今のお前の経験した記憶や感情は消えることはない、記憶となって残り続ける」


 「うん、いくね? ご主人様」

茜は意を決すると、その青汁を飲んだ。
すると、茜はビクンと身体を震わせる。
悪茜が消えたんだ、それがなんとなく理解できた。


 「ん、く?」


 「茜?」


 「ご主人様?」

それは、見覚えのあるおっとりとした顔と口調だった。
俺達はもとに戻った茜に安堵する、しかし……。


 「うふふ〜ご主人様、私身体が熱くなっちゃった〜、私の身体を慰めて〜」

等と言いながら、茜は顔を蒸気させて、妖艶に胸元を開いた。

伊吹
 「これって〜?」

全員の目が永遠に向く。
永遠は顎に手を当てると。

永遠
 「んー? 間違ったかなー? どうやらこの配合ではないらしい」


 「永遠、貴様は断じて永遠ではない!」

永遠
 「馬鹿め!? 凡人が私に勝てるか!? もう一度言う! 私は天才だー!?」

永遠はそう言うと、スタコラサッサと逃げ出してしまった。


 「待てやコラー!? 俺と茜の涙を返せー!?」


 「ねぇ、ご主人様? 早くベッドに向かいましょう〜?」

結局、茜が元に戻るには後3ループはするのだった。
とりあえず薬物ダメ! ゼッタイ!



突ポ娘外伝

悲しき天才の巻 完!


KaZuKiNa ( 2021/07/26(月) 17:22 )