突ポ娘短編作品集


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短編集
突ポ娘if アフター+後書き


 「さて……」

今日は俺は店ではなく、波止場にいた。
フェリーの発着場で、ある人物を待っていたのだ。
そして俺はフェリー乗り場から現れる、ハリウッド女優地味た美女を発見した。


 「保美香! 久しぶりだな!」

それはウツロイドの保美香だった。
相変わらずの白い肌、真っ白なワンピースに、クラゲのような帽子は何も変わらない。
大きなトランクケースを持って、保美香はにこやかに駆け寄ってきた。

保美香
 「ああ! だんな様♪ お会いしとう御座いましたわ!」

保美香はそう言うと、涙を目に浮かべた。


 「ああ、俺もだ……電話じゃ味気ないからな」

本州の家族とは連絡はそれなりにしていた。
とはいえ、やっぱり本物は恋しいものだな。
それは向こうも同じらしく、俺は保美香と握手する。


 「にしてもでかいトランクケースだな?」

保美香
 「着替えが主ですけど、お役立ちなるかと思い、いくつか便利グッズを」


 「ふむ? まあいいや、家に案内するぜ」

俺はそう言うと歩き出す。
保美香は静かについてきた。

保美香
 「なんだか少し懐かしい気がしますわ」


 「うん? 小さな島の港町だぞ?」

保美香
 「ああ……いえ、その人間化する前の話ですわ」

ああ、保美香が言っているのは、今よりも前か。
ウツロイドってのはウルトラスペースに生息するポケモンだが、懐かしいってなると、やっぱりアローラ地方出身なのか?
ポケモン娘達はあんまり過去のこと話したがらない。
話しても意味はないし今更帰りたいとも思っていない子が多いのだろう。
やがて他愛もない会話をしていると、直ぐに俺の店が見えた。
大衆食堂緑屋だ。

保美香
 「はあ、ここですか?」


 「そ、今は緑茂だからな」

保美香
 「なんだか不思議かしら、私は常葉保美香なのに」

俺は店の引き戸を開くと中に入る。
まだ開店前で、中は少し薄暗い。


 「ただいまー」

華凛
 「ああ、お帰り……お、保美香! 久しぶりだな!?」

保美香
 「あらあら? うふふ……そっちも元気かしら?」

俺の妻華凛は保美香を見ると嬉しそうに駆け寄った。
しかし保美香は華凛が背中に背負う「それ」を見て、苦笑していた。

保美香
 「実際目撃すると衝撃ですわね……」

華凛
 「うん? 絵梨花の出産をセローラと一緒に手伝ったと聞いているぞ? 別に珍しくないだろう?」

保美香
 「貴方が、だからですわ」

華凛が背負っているのは赤ちゃんだ。
予定より少し早く産まれたのは女の子だった。
少し平均より体重の軽い娘は、種族判定の結果陽性であり、アブソルのPKMだった。
まだ僅かに角が生えている程度、殆ど人間の赤ちゃんと変わらないが、PKMの赤ちゃんという事もあり、今は手探りだった。

保美香
 「名前は確か……」

華凛
 「凛(りん)だ」


 「妻から一文字取ってな」

華凛
 「男の子だったら、華の字から取るつもりだった」

あらあら、最初は戸惑っていた保美香だったが、次第に平常心を取り戻した。


 「ま、兎に角歓迎するぜ!」

保美香
 「ええ、お任せをだんな様、家事全般から子守まで、なんでもこの保美香にご命令を♪」

華凛
 「ふふ♪ 実際助かる、赤子の手で精一杯だからな」

華凛はそう言うと胸を持ち上げた。
それを見て、保美香は華凛に聞く。

保美香
 「華凛前より胸大きくなりました?」


 「ぶっ!?」

俺は思わず吹き出してしまう。
華凛はキョトンとすると、また普段の余裕の笑みを浮かべると答えた。

華凛
 「ふ、胸が張ってな、大きい分母乳が溜まって痛いのさ♪」

保美香
 「まぁ!? だんな様! ちゃんと搾ってあげないと駄目ですわよ!?」


 「あ、あのなぁ〜? 帰ってそうそう猥談って」

華凛の奴、御猪口って楽しんでいるな。
実際まぁ、華凛は母乳が多いそうだし、定期的に搾っている。
凛は小さいながら、一杯母乳を飲んでいるが、華凛は規格外なのかもしれない。

保美香
 「いいえ! 華凛、だんな様とは毎月どれ位してますの!?」


 「おい馬鹿止めろ!? 人の生活バラす必要はねぇ!?」

華凛
 「ニヤリ、それがな? 安定期に入っても、全然してくれないし、週一回程度胸で抜く程度でな?」


 「〜〜〜!」

俺は赤面した。
もうやだ、このHENTAIども。
保美香も保美香だ、セローラじゃあるまいし、何故下の話を聞きたがる?

保美香
 「まぁ可哀想に……だんな様、明るい家族計画を立てるなら、そっちの世話も大切ですわよ?」


 「なんで注意されなきゃいけないんだよ〜、理不尽だ」

華凛はケラケラ笑っているが、俺は溜まったもんじゃない。
大人しくこいつら無視して仕込み始めよう。
今日は久々の開店、出産前は本州の病院まで行って、店を開ける余裕がなく、臨時休業が続いていたからな。
そろそろ開店しないと生活費もやばい。

保美香
 「あらあら? わたくしとした事が、荷物置きたいのですが、下宿先はどこかしら?」

華凛
 「ああ、案内するよ」

華凛はそう言うと保美香を連れて店の二階に向かった。
二階は生活スペースで、保美香の部屋は既に作成済みだ。
とりあえず2ヶ月程はこちらに滞在すると言っているし、しばらくは助けられよう。



***



ワイワイ、ガヤガヤ!

保美香
 「はい! ラーメンセット、お待ちですわ!」

店を開店して、ピーク時間を迎えると、いつものように店は繁盛していた。
しかし、華凛が満足に働けない事もあって、ピンチヒッターの保美香は鬼神の如き働きを見せてくれた。

常連客
 「なあ? 初めて見る顔だが、あの人誰だい?」

カウンター席に座る常連客は保美香を見ると、そう言った。
まぁそりゃ疑問に思うわな。


 「お手伝いさんさ」

常連客
 「へえ! しかしこれまた美人さんだねぇ!? もうやっちまったのかい!?」

保美香
 「あらいやだ♪ まだですわ♪」

聞いていたのか、保美香は頬に手を当てると上機嫌にそう言った。
ていうか、この変態なに自重もせず言っちゃる訳!?
まるで堂々と俺が浮気しているみたいじゃないか!?

常連客
 「兄ちゃんやるねぇ? 俺もまだまだだなぁ……!」

変な誤解を与えた。
俺は脱力すると、保美香の手伝いに徹するのだった。



***




 「はぁ〜、お疲れ様〜……」

今日も仕事を終えると、俺はヘトヘトだった。
慣れない接客も熟していたろうに、肝心の保美香は元気なのが釈然としないが、やっぱりこれがPKMとの差なのかね?
さて、そんな保美香は楽しそうに清掃作業をしていた。

保美香
 「ふんふんふーん♪」


 「保美香、楽しそうだな?」

保美香
 「楽しいですわよ? 私は奉仕するのが好きなようです♪」

保美香はそう言うと笑った。
らしいといえばらしいが、少し損した性格にも思えるよな。
こういう所は茜も似ているが、保美香は奉仕されたいとは思わないのか?

華凛
 「二人共、晩御飯の用意出来たぞ♪」

保美香
 「あら、うふふ♪ 華凛、どれだけ腕を上げたか、お手並み拝見ですわね?」

華凛
 「フッ、もう旦那の胃袋を掴んでいるのは保美香ではなく、私だと言うこと、教えてやろう!」

保美香の料理は確かに美味しい。
忙しい中、賄い料理も、やはり保美香は格が違った。
しかし華凛の一年は、俺のための一年だった。
今やそれが家庭の味なのだ。


 「そんな本格的に掃除しなくてもいいから、先に飯にしよう」

保美香
 「衛生面において、妥協すべき点など無いと思うのですが、まぁここはだんな様に従いましょう」

保美香の潔癖症は変わらないな。
どの道飯の後、明日の準備もしないといけないし、その時改めて清掃するんだが、保美香を放っておいたら、新装開店みてぇに綺麗になりかねん。

華凛
 「ほら、二階に上がれ」

保美香は道具を片付けると、俺たちは二階のリビングに上がる。
リビングには卓袱台が置かれており、簡素な畳張りの部屋だ。
この建物自体が昭和時代に建てられたらしく、中途半端に和洋折衷な所がある。

保美香
 「レバニラに餃子ですか、中華ですね」

華凛
 「ふふ♪ 精力付けて欲しいからな♪」


 「あのな……そういう露骨なのは……」

保美香
 「ならば、ハブ酒なども必要では!?」

俺はズッコケそうになる。
どうしてこの変態達は自重を知らないのか?
あれか? ただでさえ今が大変だというのに、もう二人目が欲しいのか!?
これイエスと言われたら俺断れんぞ!?
ただでさえ華凛と結婚した事、保美香からすれば寝耳に水であったろう。

保美香だけじゃない、少なからず茜や美柑にも影響を与えた。
伊吹や凪は納得してくれたが、俺は狡い男だ。
それでも俺は華凛を愛しているし、華凛も俺を愛してくれた。
結婚し、子供を作った事も後悔なんてしてない。

二人は俺に何を求めているのだろう?

華凛
 「ふふん♪ さぁ、食べてくれ♪」

保美香
 「では、頂きますかしら」


 「……頂きます」

俺はやや釈然としないながら、いつものように座る。
今日は保美香を交えているから、少し狭いように感じた。

保美香
 「はむ、ふむ……このレバニラ、悪くはありませんわ、しかし少し詰めが甘いかしら」

華凛
 「手厳しいな」

保美香
 「感情が前に出過ぎたのではなくて? だんな様を思うなら、心遣いを忘れない事」

保美香は辛口な評価だが、俺はそんなの気にしてはいなかった。
というより慣れたんだが、俺にとってはこれがもうお袋の味だからな。


 「俺はこれが好きだけどな、お袋の味ってそういうもんだろ?」

華凛
 「ダーリン♪」

華凛は嬉しそうに微笑んだ。
保美香はそれ以上は言わなかった。
保美香もまだ、お袋の味は分からないだろう。
保美香は、確かに妥協が無く完璧だ。
尊敬出来るが、俺はそれを華凛には求めない。
美味しいのは保美香かもしれないが、好きなのはきっと華凛だと俺は答えるだろう。

保美香
 「はぁ、惚気られたら、手も足も出ないかしら?」

そう言って保美香は餃子を頂く。
華凛お手製の特大餃子だ。

保美香
 「っ!? こ、こっちはこっちでニンニクと生姜が効きますわね……」

華凛
 「精力付けて欲しいからな♪」


 「……普段は、普通に美味しいからな?」

俺は一応華凛の料理は普段はこんな狙った物は出さない事を伝える。
妻ながら、保美香が来て張り切った結果、茶目っ気が出たのだろう。

華凛
 「今日はきっと大切な日になる……そうだろう? 二人共?」

華凛はそう言うと、俺と保美香を見た。
保美香は顔を真っ赤にすると、静かに俯いてしまった。
俺は意味が分からず、首を傾げる?
大切な日になる? どういう事だ?

華凛
 「保美香、手筈通りだな?」

保美香
 「ええ、勿論……」

華凛は保美香の耳元で小さく囁くと、保美香はそっと頷いた。
なんで保美香は顔が赤い訳?
しかし華凛は俺を見るとフフン♪ と余裕の笑みを浮かべていた。


 「???」

結局、意味の分からないまま、晩飯は終わった。
華凛は後片付けをしながら、凛の世話をし、俺と保美香は明日の準備をする。
全て終わったのは、深夜前にもなった。



***



華凛
 「ふふ、保美香、準備はできたか?」

夜、旦那も寝床に着く時間にも関わらず私は保美香と密会していた。
保美香は一度風呂に入り、身嗜みはきっちり綺麗にして、顔を赤くしていた。

保美香
 「は、はい……い、いつでも」

私は胸を持ち上げると、保美香を安心させるために言った。

華凛
 「不安に思うな、茂さんを信じろ」

保美香
 「で、ですが……!」

私は保美香の肩を掴む
実は保美香がこちらに来ると連絡が来た時、茂さんには内緒の話をしていたのだ。
それは保美香が来る日の指定。
結果的にその性で、本来は出産前から手伝って貰うはずが、出産後になってしまったが。

保美香
 「は、排卵日……今日ですが、やはり緊張します」

私はニヤリと笑う。
こういうやり方はやっぱり私は悪タイプだなと実感する。
そう、保美香には排卵日で調整して貰ったのだ。

華凛
 「今夜這いすれば、高い確率で孕む♪ お前も幸せになれ♪」

私はそう言うと、保美香の背中を押した。
私は普段茂さんと同じ部屋で寝ているが、今日は敢えて保美香に宛てがった部屋で寝ることにする。
当然今日の建前は私のためじゃない、保美香の為に行ったのだ。

保美香
 「羨ましいと思いましたわよ、だんな様の愛を一身で受けられるのが貴方など」

華凛
 「愛は不平等だ、残念ながら全てが平等に愛される事はない、しかし格差はあるが、愛する事は自由だ」

保美香
 「わたくし、受けいれて貰えます?」

私は無言でサムズアップした。
茂さんが拒むなどあり得んよ、茂さんの事は私が一番理解しているつもりだ。

華凛
 「それじゃ、おやすみ」

保美香
 「り、凛の事で問題がありましたら直ぐに駆けつけますから!?」

私はやれやれと首を振ると、凛を抱きながら、保美香の部屋に向かう。
後はお二人のご自由にだ。
まぁ、昨夜はお楽しみでしたね、とからかうネタ位は欲しいが。





神話の乙女と呪いの姫……かつて、混沌とした世界に嘆いた神は涙を地上に落とした。
涙は二人の乙女を産み出し、二人は混沌とした世界を救済した。
しかし、何故二人は同じ男を愛してしまったのか。
それは結果的に、二人の乙女を世界の破壊者にしてしまった。
たった一人に対する愛が、神話の乙女を呪いの姫に変貌させてしまった。

やがて、その肉が朽ち、怨念だけになっても、呪いの姫は愛に焦がれ続けた。
やがて再び世は乱れる時、神話の乙女と呪いの姫は依代を定め、力を貸す。
それは神の依代の代理戦争だと言えた。
だが、呪いの姫が愛に狂うほど、神話の乙女を憎むも、神話の乙女もまた、呪いの姫を救いたかった。

だが同質の存在である二人の乙女は分かり合う事など出来なかった。
終末の時代、神の時代は遠くの昔となり、もはやその戦いもお伽噺として歪められていった。
或いは神話の乙女が、呪いの姫を諌める事を赦さなかったのかも知れない。
歴史において、呪いの姫は出ることが無かったのは、幸か不幸なのか。
しかしそれでも戦いは続く、呪いの姫の依代アブソルの華凛、神話の乙女の依代ピジョットの凪。
極限の戦いの中、伝説のポケモントレーナーに選ばれた茂は、二人の手を取った。
愛そのものが、罪なのか?
ならばその贖罪は共に背負おう。

呪いの姫は初めて、勝利者となった。
いや、初めから勝利者など存在しなかったのかも知れない。
呪いの姫の根源たる呪いは浄化され、それは天へと帰っていった。
願わくばもう、神話の悲劇は繰り返されぬよう。

きっとそれでも人は移ろう者だ。
きっと再び世は乱れる事だろう、それでも人々にその責任を委ねてほしい。
もう、世界は神の愛を受けきったのだから……。



突ポ娘if 神話の乙女と呪いの姫
アフターストリー 完





後書き!

本作は本当に、ただの思いつきで始まりました。
愛と罪をテーマに、二人の神話の乙女が産まれたのは何故だろう?
そんな本編では決して描かれる事のないテーマ故に、本作はif『もしかしたら』という意味を与えました。

そう、神話の乙女と呪いの姫は、元々神の涙であり、文字通り地上に降臨した神様であった。
その神様達のラブロマンスが、後々の神話の乙女達を尽く苦しめたなど笑えない話ですね!(苦笑)

前半はもう一つのifである、華凛の強くてニューゲーム。
所詮は華凛の愛と憎悪を増幅させる為に見せた甘美な夢でしたが、呪いの姫は華凛でもあります。
呪いの姫の怨念は、世界を跨ぎ別世界の華凛にまで影響を与えました。
一方神話の乙女は本作だと結構地味なんですけど、凪を依代にして、呪いの姫が齎す破滅と戦い続けました。

神話の乙女に選ばれた者達は、必ずしも敵対する者達ではありませんでした。
始祖の二人からして、そもそも二人共世界を救済する役目を与えられていたし、その次の依代への転生時は、双子の姉妹の争いでした。
神話の乙女にとって依代は、今回は凪でしたが、ナツメイトやニアの可能性もありました。
しかし、もしかしたらニアやナツメイトが呪いの姫の依代だった可能性も否定は出来ません。
いずれにせよ、それはifの話です。



さて、今回はifという事もあり、原作はかなり無視しています。
舞台も第3部歴史改変する物語ベースにしつつも、時期は中盤(つまり永遠が出てこない)、とかなり珍しい時系列だったり。
カゲツの新たな掘り出しや、設定上の存在だった、カトリーヌやフランなど、結構ネタは多かったり。
以下、本作登場キャラの思い入れなど。



・華凛

本作品の主人公。
元祖ヤンデレ、おっぱいお化け。
呪いの姫の依代で、皇帝カリンとして大暴れしたり、甘美な夢に踊らされ、呪いの姫の完全降臨の生贄にされてしまうという被害者役。
元々華凛は、私が神話の乙女という概念において、一番最初に考案したキャラクターでした。
今更ここに書くことあんまりないんだけど、華凛のダークじゃない部分は本編じゃ珍しかったかも?
最も愛したのも華凛であり、華凛を目一杯書けて良かったです。



・凪

本作品におけるある意味ラスボス。
神話の乙女の依代ですが、神話の乙女に対しては批判的で、あくまで華凛と茂を信じて、神話の乙女に完全覚醒しました。
完全覚醒した凪の力もまた、世界を容易に破壊できる恐ろしい力であり、一歩間違えれば世界を全て光りに包み、崩壊させていたでしょう。
それだけ理不尽な力を持ちながら、しかし凪にとってはそれは手段に過ぎず、善悪よる物ではないと断じました。
結果的に、茂を華凛に譲りましたが、凪は現状にも満足しており、原作同様貧乏クジを引く運命のようです。



・茂

ifにおいてもあんまりブレない主人公。
最近の茂君、達観しているというか、親父化して落ち着いていたから、昔の冷たい茂君書いたのすっごい懐かしかった。
正史を知っていれば自ずと分かるんですけど、世界を平気で天秤に掛けるヤンデレ(笑)の性で、茜と結婚したんですが、基本的に不器用です。
全くの余談ですが、華凛が茂を原作で言う中盤(ハロウィン前後)に結婚してしまったので、大体正史で起きるイベントが無視されました。
しかし身持ちの堅かった正史の茂と違い、ifの茂は結構華凛と結婚した事を不義理だと思っています。
この世界ではきっと、保美香や伊吹も孕ませてますね(爆)。
良くも悪くも呪いの姫を救うという奇跡を起こした偉大な男。
つくづくヤンデレに愛される難儀な男である。



・カゲツ

前半の超重要キャラ。
華凛のルーツを書く上でもっと重要な存在なのですが、その謎のベールは未だ開示されず。
そういう意味では肩透かしですが、それもやむ無し。



・ナツメイト

前半のラスボスであり、ヒロイン。
シンボルカラーは白緑。
幼少期から青年期が中心ながら、実質主人公でもありました。
第二部三ヒロインの中で最も不遇だったため、いつかナツメイトが活躍する物語を書くという、作者の切実な思いが本作に至らせました。
いやね? 実はナツメイトメインの作品、過去にもいくつか考案はしたんだよ?
でもプロットまで行って、動機が弱かったり、綺麗に纏められなかったり、没になりまくってるんですよ?
やっと、ナツメイトがめっちゃ活躍する物語書けて満足です♪
ていうか、華凛って実は物語上、敵に因縁無さ過ぎて、ストーリーも華凛がいなくても殆ど問題なかったり。
結果的には、呪いの姫の甘美な夢の再現に過ぎませんでしたが、依代化ナツメイトは書いててメチャメチャキツかった。
何せ本編でも、ここまでではないとはいえ、ヤンデレの彼女、相当鬱屈溜まってたはずですからね……。



・カトリーヌ

幻の三王女の長女。
青黒がシンボルカラーのボッキュンボン。
落ち着いた性格で、物腰やわらかく、母性の塊のような人でした。
文才に秀でており、絵本作家として実は作品を出版していたり。
作中では基本的にナツメイトの味方だが、フランに対しても平等であり、あくまで中立で母親のように妹達を愛しました。
致命的な程、自分に自信が無く、意思薄弱で周りに流されるだけの人であり、スレン王と政略結婚させられました。
しかしカトリーヌ自信は正真正銘の聖女であり、力はないが、結果で答え続ける事で、次第に仲間を増やし、トウジョウ国にクーデターを起こす事に。
因みに、プロット段階では、スレン王死亡後、敵討ちでナツメイトと対峙するカトリーヌというストーリーもあり、こちらでも結果的にはカトリーヌは死なないのですが、あくまでカトリーヌはスレンを愛しているという描写は共通となります。
兎に角カトリーヌはストーリー上難航し、二転三転しました。
そもそも、最初期のプロットでは、出番すら殆どなく、ただの舞台装置でしたからね。
名前の由来はイッシュ四天王カトレアが由来。



・フラン

三王女次女、ツルペタツインテールの悪魔。
シンボルカラーは黄白。
基本的に有能な人物であり、取り立てて悪人ではありません。
ただ、男子に恵まれなかったホウエン王は、三王女に後継を期待したため、それに応えたくてプライドの高い傲慢な姉の像が完成しました。
基本的にきつい性格な上、言葉も辛辣ですが、家族愛はしっかりあり、罵りつつも実はナツメイトを認めていました。
しかしプライドが高すぎた結果、時期女王ナツメイトに確定すると、スレン王子に諭され、ナツメイトの暗殺とホウエン王の毒殺を同時に実行。
用意周到にも、かなりの根回しをしており、無事フランは女王になりました。
スレンとは共謀するも、基本的にスレンの事はあまり信用しておらず、ただ利害関係の一致で共謀した程度。
実はそれ程世界征服に対する欲はスレン程はありませんでした。
それでもナツメイトの存在を危惧し、南部へと軍を進め、ナツメイトを抹殺しようと必死でした。
このキャラは最後まで生死については悩みました。
殺すことも候補にありましたが、結果的にはもっともフランにとって皮肉の聞いた展開になりました。
名前の由来はホウエン地方トクサネジムリーダーフウとランから。


・呪いの姫

本作のラスボス。
正体は神様が落とした涙。
当初は神話の乙女同様、純白の姿だったが、同じ男を愛してしまったため、漆黒に染まり、それが以降のシンボルカラーとなりました。
呪いの姫は、神話の乙女に破れますが、しかし怨念のような呪いが残り続けます。
呪いの姫は強すぎる愛の為に狂っているため、依代を見つけては憑依し、呪いの姫の暴走を止めるため、神話の乙女は飽くなき争いを繰り返します。
基本的にヤバいヤンデレですが、依代の愛した人物に対しては凄まじくデレデレで、絶対に危害は加えません。
しかし倫理観に薄い為か、はたまた価値観の問題か、愛する人>その他全てという思考が災いして、基本的に災厄を振りまく困ったちゃん。
神話の乙女の伝説の大半は呪いの姫の病んちゃ(誤字ではない!)と言っても過言ではなく、基本的には物語のラスボスだった。
しかし、出自の関係上、神話の乙女とは双子のような関係だったため、神話の乙女に対して異常に執着し、愛と憎しみを全力でぶつけてきます。
かつては混沌と化した世界を救済する為に産まれた存在が、気がつけば世界を混沌にする側になったのは皮肉であった。



・神話の乙女

神様の落とした涙の片割れ、白い方。
呪いの姫と同じ男を愛してしまった為に、神の使徒とも言うべき存在が争い、そしてたまたま勝利者になってしまった方。
死後は、呪いの姫が依代を見つけると、神話の乙女も依代を定めます。
呪いの姫が強すぎる愛と憎しみを基準にするのに対して、神話の乙女の依代は希望の象徴である場合が殆ど。
それ故に後世の歴史家達は神話の乙女をヒロインとして、歴史を綴りました。
呪いの姫と違って、あまり表出する事はないのですが根は凄まじく真面目であり、品行方正で、実直な神の代理に相応しい神聖使徒である。
なんだかんだ、呪いの姫の事は愛しており、それゆえ呪いの姫が世界を脅かすのには、心を痛めており、どれだけ傷ついても、世界を守るために神話の乙女は力を振るいました。
ただ、何度も言及してますが、神話の乙女=正義ではありません。
神話の乙女もまた、全力で力を震えば世界の方が保たないのです。
凪に全てを託し、その最期は呪いの姫と共に天へと帰っていきました。



さて、神話の乙女と呪いの姫は如何でしたでしょうか?
本編には絶対に描くことのできないifのストーリー。
愛することの尊さと、罪深さ……楽しんでもらい、そして考えて頂けたら作者としても嬉しいです。
もし、きっかけ一つで世界が変わるなら、貴方はどんなifを求めますか?



突ポ娘if 後書き 完


KaZuKiNa ( 2021/06/24(木) 18:16 )