突ポ娘短編作品集


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短編集
突然始まるポケモン娘とプロレスでフィーバー! 激闘編

#2



実況
 『さぁここ後楽園ホールは今満員の観客で埋め尽くされています! それもそのはず集まったのはいずれもPKM! そうここは正に人外魔境! どうようなバトルが繰り広げられるのか注目です!』



ガオガエン
 『レディース! アーンド! ジェントルメン! ようこそこの最高の舞台へ! 今宵集まった16名を紹介しよう!』

ルチャブル
 『まずは私達! この大会の主催者であり、一選手として参加するわよ!』

実況
 『さぁまずはリング中央でマイクを構えるチームファイヤーストームズ! 今リング周囲には8組のチームが……おや?』

解説
 『一組いませんね?』

実況
 『どうしたことだこれは!? いや……誰かが駆け込んでくる! あのチームは!?』




 「はぁ、はぁ。間に合った……!」

私は 謎の女性グレートレディから渡されたマスクを被り、なんとか会場へと間に合った。
会場は薄暗く、しかし周囲には観客が埋め尽くしており、そして熱気に包まれていた。
私はマスクの奥からリング中央のガオガエンを見ると、なにやらガオガエンはニヤリと笑っていた。

ガオガエン
 『まずは組み合わせの発表だ!』

実況
 『さぁ集まったのはよりどりみどり、16人の精鋭達、それぞれのファン達がなにやら叫んでいます! さぁ注目の第一回戦は!?』


『レディマシンガンズ VS 四次元殺法ガールズ!』


電光掲示板にデカデカと表示されるチーム名、そして顔写真が映し出されると早くもマスク姿の私がそこにいた。
相手は……!?


実況
 『さぁそれでは選手紹介です! まずはレディマシンガンズ、この二人はどちらもプロフィールが不明ですね?』

解説
 『身長174センチのグレートレディ、身長150センチのリトルレディ、一見プロレスが出来るのか不安ですが、何せPKMですからね……しかしこれは相手が悪い』

実況
 『そう! チーム四次元殺法ガールズはディアルガの永遠女史とパルキア女史のタッグ! これって反則じゃないかー!?』



パルキア
 「うわぁ……あれ王だよね?」

永遠
 「……相方が謎だけどまぁプロレスならひねり潰せるでしょう!」

グレートレディ
 「ふむ、相手は随分慢心しているようですよ、リトルレディ?」

リトルレディ
 「……とはいえ強敵に違いはない」

私たちはリングに上がると、中央には審判が現れる。

審判
 「ルールは打撃投げ関節技あり、反則は3回で退場とする、技の使用は飛び道具禁止、ロープブレイクあり、ホールドして3カウント、もしくは場外に20カウントで敗北となる、いいな!?」

リトルレディ
 「ん……!」

私は頷くと、グレートレディはリングの外へ。
相手もパルキアが後ろに下がり、永遠が立ちはだかる。

審判
 「ファイッ!」

カァァン!!

実況
 『さぁ試合開始です! まず先発はリトルレディと永遠選手! 一見すれば勝負にもなりそうにありませんが、ここは人外魔境! PKM達が織りなす競演! スタートです!』

永遠
 「悪いけど! 速攻で行くわよ!?」

永遠はそう言うと走り込んでくる。
青と黒のレスラースーツを身に纏い、細身だがその伝説のポケモンの力で襲ってくる。
だが、私は冷静に見て、相手の攻撃を捌ききる。

永遠
 (ち!? 流石ギラティナに正面から勝っただけあるわね! だけど!)

永遠のスピードが上がった!
それはディアルガの時間操作能力!
私は徐々に捌くのが難しくなり、押され始める。
やっぱり永遠と私じゃ体格差もるし、パワー勝負じゃ分が悪い。

実況
 『リトルレディ絶体絶命! 永遠選手の真骨頂が発揮されているぞぉ!?』

グレートレディ
 「リトルレディ! 相手は無敵ではない!」

リトルレディ
 「!」

私はグレートレディの叱責を受けて、永遠の腕を掴む。

永遠
 「やばっ!?」

リトルレディ
 「如何に時間操作能力を持ってしても関節技は抜けられないよね?」

私は瞬時に手首を捻るが、永遠は合わせるように地面に転がった。
永遠の弱点は組みワザを仕掛けられた時は脆いということ。
そして手を繋いでいる限り、私はほぼ1マイクロ秒の速度で相手の体技に対応できる。
そもそも飛び道具を禁止されたルールで永遠の力は純然には発揮できない。
密着戦は私の距離だ。

パルキア
 「永遠ー!」

突然白と青のツートンカラーのレスラーコスチュームに身を包んだ小柄な男装麗人のパルキアがロープを飛び跨ぐ。

実況
 『パルキアカットに行った! しかし同時にグレートレディもロープを越える!』

永遠
 「ち! やるわよパルキア!?」

パルキア
 「少し気が引けるけど!」

実況
 『な、なんだぁ!? 突然リングから怪しげな空間が! リトルレディとパルキアがその中に消える!?』

グレートレディ
 「ほう、隔離しましたか」

永遠
 「あの空間はパルキアの空間、地に足つかない中で茜はどこまで頑張れるかしら?」



***



リトルレディ
 「……く」

パルキア
 「お見逸れいります茜様、しかしこのルールならボクでも勝ち目があるでしょう?」

私はパルキアの創った亜空間に閉じ込められると、パルキアは変幻自在の動きで私を翻弄してくる。
地に足のつかない戦い、確かにこれは絶体絶命……?



***



実況
 『さぁリング上ではグレートレディと永遠選手の睨み合いが続きます!』

グレートレディ
 「来ないのですか?」

永遠
 「なーんか引っかかるのよね。アンタ誰?」

グレートレディ
 「グレートレディ! それだけですよ!」

私は永遠が来ないのを見ると、私から仕掛けた。
睨み合いは観客を白けさせますからね。

永遠
 「ち、時間操作系に接近戦挑もうっての!?」

永遠は時間を操作すると私の後ろに瞬間移動した。
確かに脅威ですが、この程度ではガオガエンたちには遊ばれるのがオチですね。

実況
 『永遠選手、グレートレディの背中を取った!』

グレートレディ
 「貴方の悪い癖は、些か短気な所ですね」

永遠
 「はぁ!? 突然何を!?」

私は永遠の身体を掴んでホールドする!
永遠は咄嗟のことに時間操作が遅れた。

永遠
 「しまっ!?」

永遠
 「組み技の脱し方位学ぶべきでしたね! そして貴方達の最大の誤算を教えましょう!」



***



パシ!

私は確かに無重力空間でパルキアに翻弄された。
だけど、パルキアは律儀で真面目な女の子。
審判さえいないこの空間でさえルールを遵守してしまう。
だから私はパルキアに勝てる。

パルキア
 「腕を!? しかし空間を!?」

確かにパルキアなら組み技なんて空間移動してしまえば造作もないだろう。
でも忘れてないだろうか? 私が誰なのか!

リトルレディ
 「グレートレディ!」

私はパルキアの身体をホールドすると、神の王の力の一端を発揮する。



***



グレートレディ
 「リトルレディ!」

実況
 『な、何事だぁ!? リング上空に空間のひび割れが!? おおっと!? リトルレディ、パルキア共に出現! パルキア選手をパイルドライバーか!?』

違う、これはオリジナルツープラトン!

リトルレディ&グレートレディ
 「「ヴィーナスドッキング!!!」」

実況
 『なんと合体技!? リトルレディとグレートレディの美しき華麗な技に永遠選手パルキア選手が上空で激突! あ、レフェリーコールを取りません! レディマシンガンズの勝利です!』

ワァァァァァァ!

歓声の中、私は自然と手を挙げて、観客に応えていた。
この私の中に流れる力はなんだろう。
普段の私の中にはない、マスクを通して闘志がこみ上げたのだ。

グレートレディ
 「リトルレディとて、投げ技はあるのですよ、小さな体に無限の力という奴ですかね」

永遠
 「こ、腰が……!?」

リトルレディ
 「ごめん、やり過ぎた」

思いっきり手加減無しに必殺技を放った事で二人は起き上がることも出来ない。
そのまま二人は担架で運ばれるのだった。



***



 「永遠たちが負けたか……」

俺は大城と夏川と一緒に、後楽園ホールとは別の空間に宛がわれた部屋で試合を観戦していた。
控室のようで、テレビ以外はなく、そして出口もない。
俺は特にそれを不安には思っていないが、流石に大城達は別か。
最も本当に心配なのはそっちじゃないんだろうが。

大城
 「頼む奏……絶対怪我だけは……!」

夏川
 「ダイナミックだねぇ……流石ポケモンプロレス」

相変わらずビクビクしまくりの大城と、素直に驚く夏川。
それにしてもグレートレディって何者だ?
やけに茜の呼吸を熟知しているが、俺より茜に詳しいなんて何者だよ。



***



実況
 『さぁ、観客の熱狂も冷めやらぬ中、第2試合の発表です!』

『メロディーファンタジア VS 商店街の守り神』

解説
 『まずはメロディーファンタジアチームのご紹介! 奏選手はメロエッタというポケモンですね、しかしプロフィールからとても戦えなさそうですが、相方の豊花選手は蘭古物店で働くランドロスのPKM、今回は店の宣伝で出場したとのことですね』

実況
 『事実上メロディーファンタジアは豊花選手一人のワンマンチームという事ですか! 一方で商店街の守り神チームはどうですか!?』

解説
 『そうですね、ウツロイドの保美香選手にカプ・コケコの雷鴎選手、非常にバランスのとれたチームに思えますね』




 (道理さん……不思議です、このリングの上だと何故だか力が湧いてくる……!)

それは不思議な感覚だった。
本来なら走ることも出来ない虚弱な私になにかが活力を与えてくれている。
隣には豊穣の神と言われるランドロスの豊花さん、今は化身形態だ。

豊花
 「妊婦さんは後ろで見てな! 私が戦うからさ!」


 「……はい!」

私はリングから出ると、相手はあのカプ・コケコ!
しかしタイプ上は豊花さんが有利だ!
しかし何やら審判と雷鴎さんが揉め始める。

実況
 『どうしたんでしょう? 試合が始まりません……あ! 雷鴎選手の盾が問題のようです! 武器と看做され外すようレフェリーが言っています!』

雷鴎
 「これは身体の一部だぞ!?」

審判
 「ですか、これはプロレス! その装備は許可できません!」

保美香
 「あーもう! 役立たず! 下がってなさい!」

たまらずキレたのは、向こうの相方の保美香さん。
一見するとレスラースーツには見えないフリルのついた可愛らしい白いスーツを身につけて、リングインする。
仕方がなく雷鴎さんはリングから降りると試合は開始した。

カァァン!!

実況
 『先制攻撃を仕掛けたのは豊花選手! 保美香選手の腕を掴みロープに投げたぁぁ!』

豊花
 「ウーラララララァ!」

実況
 「そしてその逞しい二の腕でラリアットォ! しかし保美香選手寸前でそれを回避!」

保美香
 「うわ、あんなのもらったら首の骨折れますわ!?」

豊花
 「ち、結構素早いな」

豊花さんは重量級だ、力は凄いけどその分スピードは保美香さんが上回る。
しかしタイプでは豊花さんが有利、ていうか相手両方とも地面弱点なのね。

保美香
 「とりあえずこういう搦め手は如何!?」

実況
 『おーと!? 保美香選手、がっつり豊花選手と組み合う! しかし何故か五分五分だぁ! 保美香選手のどこにこんな力がぁぁ!?』

豊花
 「パワーシェアかい!?」

保美香
 「ウフフ、飛び道具以外は禁止されてませんものね?」


 「パワーシェア?」

ということは保美香さんと豊花さんの力が均等になった?

豊花
 「それならさ!」

実況
 『おおっとこれは豊花選手! 剣の舞か!? 攻撃を引き上げたようです!』

保美香
 「あっはっは、その力も均等にしましょう!」


 「私とね!」

私は豊花さんの背中を越えて保美香さんの目の前に現れる。
すると保美香さんと私のパワーがシェアされた。

豊花
 「よっしゃ! くらいなー!」

保美香
 「や、やばっ!?」

私の非力さはきっと茜さん以下、それが保美香さんの力と混ざり、保美香さんは大幅に弱体化する。
一方で私は大幅にパワーアップしてロープの外に出る。

豊花
 「ペシャンコになるかい!?」

両腕を組んでそのまま降り降ろすアームハンマー。
今の保美香さんの力じゃ受けきれない!

雷鴎
 「ち! 我が主の贄となれば!」

豊花
 「なに!?」

実況
 『おおっ!? 雷鴎選手、仮面のような盾のような、それを投げ捨てるとリングイン! 保美香選手を庇ったー!?』

雷鴎
 「くはっ……! こ、ここからは俺が相手だ」

血を吐く雷鴎さんは強い闘志で豊花さんを睨みつけた。
たまらず心配な顔をする保美香さんだけど、雷鴎さんはそっと保美香さんをリングの外に押した。

保美香
 「……無理は禁物ですわよ?」

雷鴎
 「分かっている……!」

豊花
 「良いガッツだよ、そういう男は嫌いじゃない」

剣の舞をした豊花さんの重い一撃を受けて、手を地面につけなかった事は凄い……だけど、戦えるの?

雷鴎
 「……いくぞ、我が全霊!」

雷鴎さんが電撃を纏う!
だが豊花さんに電撃は無効だ!
一体何をする気なのか!?

雷鴎
 「うおお!!!」

実況
 『は、速い!? こ、これはぁ!?』

それは攻撃のために電撃を纏ったのではない。
自分の電力をブーストさせて、身体能力を極限まで引き上げたのだ!
その神速から放たれる正拳突きは脅威の威力を誇り、豊花さんの身体は一瞬でくの字に曲がり、喀血した。

豊花
 「かはっ!? み、ごと……!」


 「豊花さん!?」

保美香
 「雷鴎!?」

負けた? 雷鴎さんが豊花さんの耐久を上回る一撃を与えたのか?
だけど……何かが違う。

雷鴎
 「届かな……かった、か……!」

実況
 『な、なんと! 乾坤一擲の一撃を豊花選手両腕を犠牲に防御していた!?』


 「っ!?」

豊花
 「この一撃、敬意を評するよ!」

実況
 『豊花選手、雷鴎選手の体を引っこ抜く! そしてこれはぁ!!? パワーボム!! 炸裂ぅ!!』

保美香
 「くうっ!?」

リングを揺らす豊花さんの一撃、雷鴎さんは動けなかった。
レフェリーの無常なカウントは、結局雷鴎さんを奮い立たせる事は出来なかった。

審判
 「3!」

カンカンカーン!

保美香
 「雷鴎!?」

ゴングが鳴り響くと、保美香さんはリングに飛び込んだ。
保美香の身を咄嗟に庇い、そしてその傷付いた身体で全身全霊の一撃に賭けた漢は気絶から醒めない。
ただ、保美香さんは雷鴎さんを背負うと、その体を労った。

保美香
 「お疲れ様……負けたけど、貴方の勇姿、皆見たわよ」

パチパチパチ!


 「拍手……たった一撃だったけど、皆雷鴎さんを讃えている」

豊花
 「……く」


 「豊花さん!?」

実況
 『豊花選手膝を突いたぁ! やはりダメージは大きいようだ! 改めて雷鴎選手の一撃の凄まじさを物語る!』


 「豊花さん! 急いで医務室に!」

豊花
 「す、すまないね……迷惑を」

私は豊花さんの身体に肩を貸すとなんとか、リングから降ろす。
その後は運営委員が、二人がかりで豊花さんを支え、私達は医務室へ急いだ。



突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語

第二章 激闘編 完

第三章に続く。


KaZuKiNa ( 2020/12/31(木) 21:08 )