突ポ娘外伝






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最終章 理を侵す者編
後書き

突ポ娘茂編外伝、完結!

思い返せば随分遠くへ来たものだ……そう思わせるには十分すぎる長い物語になってしまいました。
今回はもう一度常葉茂を主人公に、外伝を書こうというコンセプトで始動しました。
物語はとりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていないのPOKE MOA EVIL編を全力でオマージュした構成をしており、これも初期コンセプトの一つでした。
本来向こうは8編ですが、こちら6編なのはご愛嬌。

それでは、ここから各編の紹介に入ります。


第一編 異世界転移編

パッと見だと、これだけで作品完結しても良いくらい、色々盛ってる話、全11話。
旧ヒロイン全員出禁(ジラーチはラスボスのため例外)という茂君にとって過酷過ぎる始まりに同行したのは名もないコマタナ、後のルージュでした。
実はこの異世界転移編、引いてはアルパシティの設定等、ポケモンマスターズ(現在はEX)を元ネタとした、全く別のストーリーをこっちに持ってきて利用したという裏事情があります。
その関係で本来の主人公よりも、ルージュが成長していき、やがて最大の強敵ジラーチを倒すというコンセプトは実に少年漫画的ではなかったでしょうか。

なお、茂君やルージュには関係ありませんが、人の神ユミルをめぐる物語はまだ他にあるようです。



ルージュ

キリキザンの女の子
元ネタはグラブルのハレゼナだったりするけど、気付いた人いるかな?
どんな笑い方をしても必ず不気味になったり、虚勢を張って奇声を発するなど、なにげに外伝内でもかなり弾けた設定の持ち主。
コマタナの劣等生だった彼女は身内にもその存在を否定され、落ちこぼれに絶望した彼女に接触した混沌は願いを叶える代償に常葉茂の命を求めました。
藁にも縋る想いだったルージュは第一話の事件を引き起こし、茂との奇妙なバディを組むこととなりました。
当初は茂殺害を狙うも、次第に茂の暖かさに惹かれ、母親ノワールを撃破した事で、彼女は開花、外伝のヒロインの一人となりました。



ゲオルグ&メリオ

ドクロッグでバディはメリオ。
メリオは召喚に成功した事でゲオルグとバディを組むことに。
ルージュ最初の犠牲者でしたが、実はゲオルグ自身はかなりの強者で、順当に成長していれば、大会屈指のレベルにも到達していただろう。
そういう意味ではまさにルージュの当馬。
それと同時にメリオを通して、世界観の説明役でもあります。



ナッシー&メアリ

ナッシーはアローラのリージョンポケモン。
メアリはここまで黒い部分を描いてからの思いっきり白いキャラとして描きました。
いわゆる一人位味方いてもいいやん的存在。
メアリは没落してしまった貴族の末裔で、彼女は今大会に再び家を復興するために戦いに挑みました。
ナッシーはとポ女からスペシャルゲストでした。
さて、どこに登場しているか、探してみましょう♪



ノワール&アレン

キリキザンの女。
そしてルージュの母親で、茂にカルチャーショックを与えた張本人。
性格は芯が通っており、一族の繁栄を第一に考える女傑。
善か悪かで言えば、間違いなく悪の人。
本編のキャラクター華凛と間接的に関係があり、それは外伝内では語られません。(逆に言えば華凛のルーツを探る外伝なら彼女の出番もあるでしょう)
異世界転移編において作者一番のお気に入りで、異世界転移編において一番最初に完成したプロットもVSキリキザンでした。
だって進化系とのバトル、つまり明確な上位互換、それを乗り越えるってベタだけど熱いよね!





本名吉野鈴、ユキノオーのポケモン少女。
ポケモンヒロインガールズからの客演。
詳しくはPHGの方を見てほしい。



ジラーチ&ルイン

ご存知ラスボスバディ。
ジラーチは唯一本編登場人物のため、説明省きます。
ルインもまたテンプレ的な悪党でいわゆるホビー系作品にいそうな性格や設定を盛りました。
結果はご存知の通り、ジラーチとバディーズ技も使えない程お互い信頼をしていない有様。
もしも茂とジラーチの組み合わせなら、この大会は間違いなくクソゲーと化していたので、所謂補正である。



ユミル

人の神にして、異世界転移編の元凶。
トラブルメーカー気質があり、人とはあらゆる意味で異なる神のため、命の価値観も希薄である。
ユミルは本物の奇跡を起こせるため、あの世界ではユミル教徒達の信仰の対象である。
直接のモデルは特に無いが、彼女もまた、外伝になくてはならないギミックでした。



第二編 歪められた世界編

一見すると元の世界に帰ってきたかのように見えたが、その世界は第三次世界大戦によって人類が敗者側になったディストピア世界でした。
しかし、その真相は更にその先へと行く。
全11話、実は話数は偶然で、2編連続で11話なのはこの後に大きな影響を与えました。
この編は特に誕生経緯が複雑で、元々マギアナを主人公としたSFファンタジーが元ネタでした、そうクローズの名前もそっちで偽名を名乗るマギアナが用いる予定の名前でした。
そしてもう一つ、保美香編が土台に含まれています。
これは元々外伝の一遍候補にもあったストーリーで、茜と結婚した世界線から、茜が世界を去り、保美香と結婚した世界線を茂がその愛に葛藤するというストーリーでした。
最終的に茂君の精神ダメージがやば過ぎる上に、保美香がそれ以上に不憫なため、結果ボツとなったため、この作品に吸収されました。





クイタランの女の子。
ご存知歪められた世界編の真のヒロイン。
クイタランというパッとしないありふれた単炎の激戦区を生きるからこそ、ある意味ヒロイン抜擢されました。
ごめんなさい、本当は炎タイプならある程度誰でも良かったんです。
卑屈で悪運が良く、よくも悪くも勝者側だって幸運じゃないよというのを彼女の視点で描いていくことに。
よくも悪くも茂君には全く意識をしてもらっていなかったため、まさかと思った人も多いのでは?



クローズ

その正体は茂を慕い続けるマギアナ、その人。
歪められた世界編はマギアナの人ならばあって当然の嫉妬を利用されて引き起こされました。
結果彼女の思い描く英雄譚を引き起こすあの世界は誕生しました。
登場当初から、燐よりもよっぽど茂君と不自然に親しく、この子をヒロインと勘違いした人もいる?
マギアナ悪はそんな、マギアナがクローズと対比になるため生み出されたもう一人のマギアナ張本人であり、どちらが偽物という訳でもありません。
彼女の最期は茂君には大きく堪えることになりました。



セーラ

イタリアの俗物陽キャ魔術師。
クローズにとってはなんだかんだ気を許せる相手だったようだ。
討希の事を兎に角嫌っているが、当の討希には相手にされていない……どころか戦争始まらなかったら命まで狙われていた。
客演のため、あまり過剰には描けなかったので詳しく知りたい人は突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語スピンオフストーリー 『Avenger The After』をご参考にください。(注意、作者は私ではありません。また私の作品とは大きく設定がかけ離れているため、あくまで非公式の作品としてお楽しみください)



討希

国籍不明の陰キャ魔術師。
実は本編(サイドストーリーの方だが)に出演しているが気付いた人いる?
魔術師としてはやや凡だが、それ故に魔術師の価値観にとらわれない大胆なアイディアでクローズを支えた。
かなりの過激派テロリストであり、詳しくはこの場では書けないが後の重要人物である。



ウツロイド

保美香が歪められた存在。
ほぼ保美香であるが、改変された結果独特の彼女が誕生する事になりました。
クローズが言うように、そもそも茂君と相性が良すぎて、世界の寿命を確実に縮めた張本人。
もしも彼女が一番最初に茂君の前に現れていれば、歪められた世界編は大きく変貌していたでしょう。



第三編 閉鎖空間編

今度は転じて、とても狭い世界。
この編は特にとポ女のオマージュが強く、清山拳関係は特にそのままです。
登場人物は全編最小ながら、三者三様の想いや生き様を描く、全編バトルストーリーとなりました。
第三編も当初2案あり、ボツ案の方は脱出物でした。





マーシャドーの少女。
街のありふれた浮浪孤児であり、スリで生きていたポケモンです。
そう、その出自から既に彼女は元ネタのヒロイン、瞳と対になっています。
黄龍に拾われた事で、彼女は拳法を学ぶが、その性格はとても優しく拳法家の適正は低かった。
しかし瞳に黄龍が破れた事で、彼女は復讐心を抱く。
だが、彼女の実力は到底及ぶところではなく、彼女は失意の中で死ぬ運命にありました。
そんな彼女に目をつけ、茂の異能を発現させる実験のため、あの閉鎖世界に召喚されました。
当初は記憶喪失の彼女がその断片的な知識で茂君を導き、ストーリーが進むたび、自分は何者なのか苦心する事に。
最終的にはその優しさも恋の強さだと茂君に肯定された事で、彼女は吹っ切れ、更に中老師から実戦修練により急激にその才能を開花、彼女の目指す真の格闘家への道はまだ遠いが、歩み続ける事になるだろう。





バシャーモの男。
元ネタは餓狼シリーズのテリー・ボガード。
実はルージュの準決の対戦相手もこいつ。
ふざけているが、実力は極めて高く、しかし我流には限界もあり轟は中盤悩むことに。
最終的には我を通す事を徹底して、彼なりに真の格闘家へと至る。





コジョンドの老拳士。
その正体は清山拳正当伝承者中である。
物語は既に彼の死後から始まっており、この人もまた第三編のギミックであり、確信であった。
恋からは憎き対象にもなり得たが、それ以上にその人柄で恋は老師を敬愛する事に。
数少なく茂君を導ける存在であったため、客演ながら大きな影響を一行に与えることに。



第4編 無限の水平線の世界編

文字通り、陸の殆どない世界で、砂が最も貴重品な某有名映画のオマージュましまし。
前編は海の民達の派閥争いを描き、後編は陸の民の世界観を知り、陸の民と海の民の全面戦争を描く。
最大の特徴はジュゴンの瑠音を中心にこの世界が抱える問題を様々な角度で見たことでしょうか。



瑠音

ジュゴンの女性。
陸の民のスパイだが、海の民であるマナフィを敬愛する。
陸にも海にも適応しきれない人魚の不便な体は、どちらからも忌み嫌われていく。
それでも信じられる物を得た彼女は全ての存亡を賭けた戦いに望む。
彼女の心理はとても複雑で、それも前半は殆ど茂君目線で描かず、彼女の心の隙間は後半になって描きました。
一般的なジュゴンは肺呼吸であり、一方で下半身は海獣のようになっているため、両方にある程度適応したその姿が起こす描写は色々苦労しました。



オウガ

ガオガエンの軍人。
陸の民の最高指揮官の一人であり、豪放磊落な性格で茂を振り回すが、茂はその内面を臆病で震えた一人の男と捉えました。
茂君の印象の通り、オウガはマナフィと戦うことで、陸の民に強いる犠牲を恐れました。



ルビィ

フェローチェの宰相。
ムゲンダイナを軍事利用しようとした張本人で、極度の潔癖症の彼女は世界を醜い物と感じていた。
真の狂気を孕んだ人物であり、かつ俗物の彼女は水面下で陸の民の全てを掌握しようとしました。
結果は死亡フラグあるあるでお馴染みの通り死にましたが、この人外伝全編の中でも一番書いてて楽しいキャラでした。そういう意味でも水平線の世界編で一番のお気に入りです。



マナフィ

無限の水平線の世界編のラスボスです。
決して悪人ではなく、憎めないタイプのキャラ、だけど存在理由により、対立せざるをえなかった、もう一つの正義。
そういうコンセプトで描きましたので、むしろ陸の民の方が外道だったりと、終盤は少し哀れかもしれません。
彼女最期までの想いはガイアの復活でしたが、最終的には瑠音に根負けする形で未来を譲りました。
最終的に卵に還元され、来世を待つ形になりましたが……歴史は繰り返すのか。



第5編 おばけカボチャと無垢なる竜編

ある意味一番手こずったのはこの話かもしれない。
元々構想は剣盾発売前だったため、ムゲンダイナの存在は後からの急造でしたので、いくつかストーリーラインの変更を余儀なくされました。
この世界はこれまでに比べて、人間の要素は特に薄く、所謂ハイファンタジーの世界であり、異なる歴史や文化のある世界を構築し、ストーリーもよくあるRPG世界をイメージしました。
始祖の魔女の歴史と迫害、それに伴う陽光の葛藤はテーマであり、そしてこの章は明確な敵が存在しません。
ラスボスは倒すのではなく、救うというのは少し珍しい展開かもしれませんね。



陽光

パンプジンの女の子、サイズは中型。
おばけカボチャと無垢なる竜編のヒロイン。
魔女のテーマをベースにパンプジンとはなにか、そしてそれでもその種族の性を越えられるのか、彼女に課せられた物はあまりに重い。
キャラの制作は特に注意深く、組み立て口調の仕組みや行動ルーチン等、多分一番手間が掛かったキャラだと思います。
それだけに彼女が魔女なのか?
これが物語の結末に大きな意味を与えました。



カボ

パンプジンのもう一つの人格と思われる存在。
男性人格で陽光の精神を保護するため、やや口が悪い。
しかし実際にはもう一つの魂と言える存在で、それ故陽光とは特性も技構成も異なる存在でした。
陽光はカボを認識出来ませんが、カボは認識できます。
そのため周囲も陽光自身でさえ、単なる二重人格の一つと思っていました。
かなりはっちゃけた性格は出番こそ少ないものの、書いてて楽しく、そして書くのがすごく面倒くさかったです。



シェイミ

幻勢最後の刺客!
シェイミの幼女(と思われる)。
正義感に熱く、オールラウンダーで陽光をずっと支え続けました。
生粋の良い子で、本当に(マギアナでさえあったのに)茂君に害する要素が一切無く、それなのに各部のラスボス級の強さがあるチートキャラでした。
扱いはどうしても少し弱く、本人の自己主張の割には目立った個人イベもなく、どうしてもこの編は特では不遇でしょうか。



ナットレイ

傭兵を生業とする女性。
美柑に似ていると作中で言われるように、貴重な貧乳ボクっ娘でした。
所謂盾を持ったナイトであり、小細工の苦手なタイプで恋の鞘当ても遠慮気味でした。
彼女なりに嫉妬もして、そして陽光を認めて、身を引きましたがもう少し尺の余裕があれば、彼女も嫉妬爆発のイベントは用意する予定がありました。
本人曰く負け犬ですが、彼女はあの旅を価値ある物だと思っています。
全編通しても貴重な属性盛り盛りでしたので、作者のお気に入りでした。



ティナ

ギラティナの女性、突ポ娘本編のラスボス。
本編読まないと殆ど分からねぇだろ、という初心者殺しにも程があるキャラでした。
具体的に言うと、サイドストーリーズ、ギラティナに花束を読んで貰わないと理解しづらいかと思います。
そういう意味ではちょっと失敗かなと思います。
この子の登場もまた、当初より予定しており、何れにせよティナを含めても勝てるわけではないという、過酷さを現すキャラ。
そして茂君の事を真剣に考えるからこそ、茂君とは対立するキャラに。



ムゲンダイナ

無垢なる竜、その人。
文字通り、善でも悪でもなく、ただ赤子の暴威がコンセプトでした。
無限の水平線の世界編からの連続登場であり、彼女のパーソナリティがストーリーにおいて重要でした。
そして神をも殺しうる。力こそが、混沌が望む茂への最後の刺客でした。
よくも悪くも徹頭徹尾被害者であり、実は物凄く良い子でした。
そういう意味では見た目って重要ですよね、ムゲンダイナの見た目絶対誤解を与えるタイプですからね。



最終編 理を侵す者編

特異点理(ことわり)を侵す者という全編の共通テーマが回収された章です。
この章は特別で、特に元ネタのPOKE MOA EVILを意識しオマージュしています。
混沌が実験の最終結果として、茂君の回収を図るため、その一環で成果物(ルージュ達)の回収を図りました。
最終的には全てを捨て去る事で、元の世界線に帰還しましたが、この章が茂君に与えた影響は大きいでしょう。



常葉茂

主人公、24歳サラリーマン。
妻のために必死に生きたお父さん。
特異点であり、それは神の用意したルールに従わない者である。
これが人の神ユミルには面白く、クローズやマナフィにとっては誤算であり、混沌にとっては最終成果物であった。
極めて強大だが、酷く曖昧な能力であり、それは神様のストーリーを修正する能力と例えられます。
メタで言えば、次元改変能力であり、混沌はこの能力に翻弄されたと言えます。


混沌

ラスボス。
物語の始まりから終わりまで暗躍し、常葉茂を偶然発見したことで、この物語は始まりました。
混沌の目的は世界を混沌で染めあげることであり、それを阻止する勢力の対抗策として常葉茂の力に目をつけました。
その力は想像以上を絶しており、混沌の力を持ってしても、茂をコントロールすることは不可能でした。
混沌の能力は混沌と呼ばれる力の密度をコントロールする力で、普段は真っ黒でどんなものなのか見えません。
ですが、応用性が高く、小規模なら世界を創造する事や、死者を蘇らせるなど非常に高性能で、この能力を持って、数々の世界を混沌に落としました。
しかし一方で茂の理を侵す能力とは相性が最悪で、全てルール改変により、思惑は潰されました。
意志力は並でなく、最期まで諦めませんでしたが、茂に混沌の膜を剥ぎ取られ、最後はシルエットの女性の放ったミラーショットによって命を落としました。



最後に……。

もう一度茂君の物語を描きたい、そういうコンセプトから始まった物語は全64話を持って終了となりました。
あくまでも外伝であるため、本編には一切関係ありませんが、スナック感覚で楽しめる作品になってくれれば幸いです。
それでは、突ポ娘シリーズはまだ続きますので次回作でお会いしましょう!



後書き……終わり。
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KaZuKiNa ( 2020/12/30(水) 16:01 )