ポケモンヒロインガールズ - PHG スペシャル
SP05

ミュウ
 「ミュウ!」

ミュウは一瞬で運動場へと転移した。
彼女の見下ろす地上には夥しい数のゲシュペンストがいた。
ミュウは目視で2年生を探す。


 「く! はっぱカッター!」

見つけた!
2年生達は一箇所にかたまり、ゲシュペンストを迎撃している!
だが、余りにも防戦一方だ、ポケモン少女は無限に戦える訳ではない。
ミュウはすぐさま加勢に向かった。

ミュウ
 「ミュウウウウウウ!!」

ミュウはその身体を『ミュウ』としての本来の姿に戻らせた。
それは彼女にとって一種のセーフティロックの解除だった。
ポケモン少女から学び、どの位置が最適か探った結果、脆弱な人間ミュウになったが、今はその時ではない。ポケモン少女ミュウは目視出来る程の強力な念動力を放ち、それをゲシュペンストに向けて放った!

ズガガガガ!

地面が抉れ、地殻津波のように、衝撃波はゲシュペンストの群れを蹴散らす。
それは複数のゲシュペンストβをも巻込み、撃破した。

ミア
 「あれは!? ミュウちゃん!?」

2年生は当然それに気が付いた。
ミュウは直ぐに浮遊しながら、2年生に近づいていく。

ミュウ
 「助けに来たよ!」


 「そりゃありがたいけど、貴方一人で?」

ミュウ
 「う……ミュウ……いてもたってもいられないから」

ミュウは勢いで出て来てしまった事に反省してシュンとしてしまう。

由紀
 「ふ、まぁいいじゃない! さっ! 反撃開始よ!?」

由紀がそう言って気合を入れると、それぞれも頷いた。

ミア
 「射線を確保してください! ゲシュペンストβを砲撃します!」

ミアは巨大な右手を構えた。
ブロスターのソウルを宿したミアは、接近戦では力を満足に発揮出来ない。
ゲシュペンストαがある程度払われた結果、その隙はやってきたのだ!

由紀
 「桜! ミアの背中守れよ!?」


 「任せなさい!」


 「ミュウちゃん、頼りにするわよ♪」

ミュウ
 「ミュウ♪」

2年生とミュウ達の反撃が開始した。



***



運動場に辿り着いた1年生達は驚いた。
夥しい数のゲシュペンストに、そしてそれら相手に善戦している2年生に。


 「先ずは合流を目指します! ゲシュペンストβには迂闊に手を出さない事!」

愛はそう言うとマジカルシャインを放った。
愛の視界全体に広がる光の光爆が力の弱いゲシュペンストから順に消していく。


 「ん、愛ちゃん先輩には負けてられない」

上空から戦場を俯瞰する燈もまた、触発されるように熱風を放った。
熱風は地表を焼き、ゲシュペンストαには特に有効打になった。
一気に道が開くと、真っ先に駆けたのは琉生だ。
他の追随を許さない速度で駆けた、琉生の道を阻んだのはゲシュペンストβだった。

ゲシュペンストβ
 「!!」

ゲシュペンストβは大きな鉤爪のついた手を琉生に向けて振り上げた!

琉生
 「っ!」

琉生は顎が地につくほど屈んだ。
そしてゲシュペンストβよりも早く、彼女は跳ねるようにその大きな尻尾でゲシュペンストβの顎をかち上げる!

ゲシュペンストβ
 「!?」

しかし一撃とはいかない。
ゲシュペンストβの厄介な所は、充分ポケモン少女を殺傷出来る攻撃力と、このタフさだ。
並大抵の牽制では再生力に追いつかないし、そうなると自然と打倒するには大技を使わざるをえない。

琉生
 「邪魔を、しないで!」

琉生は目を光らせた。
ゲシュペンストβを強く憎むオオタチの眼光。
琉生は上下反転した状態から、今度は逆に尻尾を振り下ろす!

ズガァン!!

尻尾は正確にゲシュペンストβの頭部を捉え、その強烈な一撃は地面を陥没させた。
流石にその一撃には耐えられないか、ゲシュペンストβは消滅する。
琉生はその消滅したゲシュペンストの下に着地すると、遂にミュウを目視で確認した。

琉生
 「ミュウちゃん!」

ミュウ
 「琉生お姉ちゃん!」


 「わお……流石スーパールーキーと言った所だけど、こらー! 一人で戦うなーって、授業でも習ってるでしょー!?」

琉生
 「すいません!」

琉生は謝りながらも、踊るように周囲のゲシュペンストαを薙ぎ払った。

悠那
 「たく! アンタスーパールーキーと言うより、改めてバーサーカーなだけでしょ?」

琉生
 「大丈夫、今は自制効いてる」

悠那
 「そういう問題じゃ……!」

悠那は琉生の側まで飛行すると、その周囲に竜の波動を放った。
これといって空を飛ぶ相手に攻撃手段のない、αやβは悠那の敵にはならない。
だが、ゲシュペンストβはやはり、厄介だ。
特に通常多くても3体といった所のゲシュペンストβが今回に限って多すぎる!

悠那
 「出し惜しみはしないわよ!」

悠那は飛び上がると、3つの口に龍の力を溜め込んだ。
そして最も固まっているゲシュペンストβに狙いを定めると、今や砲口と化した口と両手を向けた。

悠那
 「流星群!」

悠那最大の技、かつてきららの空間防御さえ打ち破った一撃が隕石群となって、降り注ぐ!

ズガァン! ズガァン!!

隕石群は地表を舐め、ゲシュペンストβを飲み込んだ!
その一帯を無差別に滅ぼす一撃に、流石のゲシュペンスト達も耐えられない。
だが、それを見て舌打ちする者もいた。

由紀
 「ち! 派手な奴だな……!」

由紀だった、由紀は慎重にαの群れを的確に処理しながら、ミアの為の射線を開ける。
あの攻撃力は由紀も持っていない。
いや、それどころか全ポケモン少女でもトップクラスの攻撃力だろう。
ポケモン少女同士の戦いでは過剰とも言えるが、ルール無用の対ゲシュペンストには最も有効な女だ。
だからこそ舌打ちせざるをえない。

由紀
 「いい加減、鬱陶しい!」

由紀は地面にスコップのような爪を差し込んだ!
すると由紀の目の前が液状化して、ゲシュペンストαの群れが地面に飲み込まれた。
由紀の十八番、砂地獄だ。


 「追撃♪」

ミアの後ろを守る桜はそう言うと、液状化したエリアに大地の力を放った。
多数のゲシュペンストは動くこともできず消滅する。

由紀
 「こら! 人の獲物!?」


 「ごめん遊ばせ♪ 隙だらけだったから♪」

直接戦闘は苦手な桜だが、接地している相手にはすこぶる強いのも地面タイプ故か。
落とすことが得意なサンドパン少女の由紀と、落ちてる敵に強いシロデスナ少女の桜、本人は納得しないだろうが、相性は抜群だ。

ミア
 「砲撃開始します! 水の波動!」

ドォォン!!

大砲のような音が響くと、地面を震わせた。
隙の大きさもトップクラスだが、右手のメガランチャーから放たれる一撃の威力もトップクラスのミアの砲撃は、悠那の一撃に決して劣っていない!

やや、遅れて着弾した水の波動は地面で弾け飛ぶ、衝撃波を周囲に拡散させ、文字通り弾着した周囲を吹き飛ばした!

明日花
 「あっぶねー、乱戦だとあの人危険すぎだろ」

アリア
 「その分、冷静に戦場を分析してますわね」

やや、皆から離れた場所では明日花とアリアが戦っていた。
アリアはサイコキネシスで相手を制御するとそれを明日花が撃破を繰り返し、堅実に戦った。
既にβも1体撃破しており、戦果は充分だ。

アリア
 「私にも、あのような攻撃力があれば……」

明日花
 「そりゃ、お門違いだろ、適材適所で言えば、逆にアリアの代替は誰にも出来ないぜ?」

明日花は攻撃力があるが、鈍重だ。
一方でアリアは攻撃力は最低レベルでないが、優秀な補助を得意としている。
アリアの補助が無ければ、明日花も本領を発揮できないのだ。
つまりアリアは高望みしなくても、充分役割を果たしている。

明日花
 「避けるなよー! ストーンエッジ!」

アリア
 「補正します!」

明日花は地面に拳を振り下ろすと、離れた場所に鋭い岩の柱が生えた!
貫かれたのはゲシュペンストβだ。
この技はかなり当てにくい、アリアが補助しなければ必殺とはなりえないのだ。

夢生
 「あすちん、アーちゃん、敵大分減ってきたよ!?」

夢生は一番上空で戦場を俯瞰して戦況観察に努めた。
今の所敵増援は確認出来なかった。

アリア
 「ん!? 待って!? この気配は!?」

アリアは予知によって、少し未来の事が分かる。
そして、それを本能的に理解している少女もまたいた。

琉生
 「くう!?」

全身の毛を震わせた琉生は呻いた。
隣にいた、悠那は琉生の顔を覗き込んでギョッとした。

悠那
 「アンタ、顔真っ青よ!?」

琉生
 「くる! 皆気をつけて!?」


 「え!? て、何を……!?」

ミュウ
 「鈴お姉ちゃん伏せて!!」

ミュウだけがその全てを理解していた。
ミュウは咄嗟に鈴を庇うようにサイコフィールドで防御を試みる。
直後、運動場の中央に、それは衝撃波と同時に顕現した。

ズドォン!

ゲシュペンストγ
 「ガオオオオオオン!」

それは異形の怪物だ。
虫にも爬虫類にも見え、体長は少なく見積もっても10メートル!
他のゲシュペンスト同様コールタールに似た黒光りする表面は、背中側が鱗で覆われている。
六本足は虫を思わせるが、その一本でさえ人間より大きい。
目の無い頭は殊更に大きく、ポケモン少女など、そのまま飲み込めそうだ。

明日花
 「う、嘘だろ!? γ!?」


 「はっ!? 誰か琉生さんは!?」

愛はこの非常事態に一番危険な少女を探した。
その少女は、悠那と共に爆心地にいたために、γから離れた場所で地に伏していた。

琉生
 「うぅ……!」

悠那
 「ち……、やってくれる……!」

夢生
 「ふ、二人共大丈夫ビュン!?」


 「夢生さん! 燈さん! その二人を守って上げてください!」


「ん、悠那、手を貸す」

悠那
 「踏み潰されなかったのは幸運かしら……」

とはいえ顕現時の衝撃波をモロに受けたのだ。
悠那は未だ頭がクラクラして、立ち上がれなかった。


 「ちょっと、冗談でしょ……?」

ミア
 「ど、どうすれば!?」

由紀
 「やるしかねぇだろ!? くそ!」

由紀は直様ゲシュペンストγに砂地獄を放った。
しかしそれは、ゲシュペンストγの足の一本を先端だけ沈めた過ぎない。
寧ろそれはゲシュペンストγを刺激した。
ゲシュペンストγは前足を持ち上げると、それを由紀達に向かって振り下ろした!

ゲシュペンストγ
 「ガオオン!!」


 「きゃああ!?」

ズドォン!!

愛が悲鳴を上げた。
地面をえぐり、土煙を上げる一撃が由紀達2年生3人を飲み込んだ。

アリア
 「駄目……勝てない!? このままでは!?」

アリアは両手を顎に当て、震えてしまった。
それ程までにゲシュペンストγは規格外なのだ。

皆が絶望する中、それでも奮起する者は一人いた。

ミュウ
 「琉生お姉ちゃん……皆、皆! ミュウが護る!!」

それはミュウだった。
ミュウは可視化出来る程の念動力を纏うと、ゲシュペンストγの前に飛び立った。

ゲシュペンストγ
 「グルルル……!」

ミュウ
 「お前がミュウの大切な物を傷付ける! ミュウはそれを許さない!!」

ミュウが力を開放した。
サイコキネシス、それがゲシュペンストγを持ち上げた。

アリア
 「あれはミュウさんのサイコキネシス!?」

明日花
 「すげぇ!? アリアのとはレベルが違う!?」

そう、段値だ。
全国選りすぐりのエスパータイプのポケモン少女といえど、ゲシュペンストγを持ち上げられる者はいないだろう。
その殆どはゲシュペンストγの異常で規格外な力の前にねじ伏せられる。
だが、ミュウの力の前では、ゲシュペンストγは身動き一つとれない!

ミュウ
 「はぁぁあ!」

ミュウは立て続けに、吹雪、大文字、雷をゲシュペンストγに浴びせる。
それらはどれも生粋のポケモン少女が使ってもその威力は出ないだろう。

ゲシュペンストγ
 「!!?」

ゲシュペンストγは声さえ出せなかった。
ゲシュペンストγの全てはミュウに掌握されていたのだ。
そのままミュウは念動力の拘束を強め、ゲシュペンストγは黒い煙を吐き出しながら、押しつぶされて消滅した!

ミュウ
 「はぁ、はぁ……ミュウゥ……」

夢生
 「す、すごいビュン! 一人で倒しちゃったビュン!?」

琉生
 「ミュウ、ちゃん?」


 (確かに規格外です、一人で倒すなんてきららちゃんでも無理なのに……だけど、それより闘子ちゃんは? なんで闘子ちゃんがいないの?)

その時、ミュウの戦いを見ていた者がいた。
それはヘックス状の模様が身体を覆う、緑と黒のポケモン少女だった。
身長は高く185センチはあるだろうか。
服を着ているのか、着ていないのか、コートを着ているようにも見えるが、まるでそういうテクスチャでも貼ったのかのように模様が走り、蠢いているのだ。
そして、そのポケモン少女のすぐ近くにベンチで眠らされた少女がいた。
それは剛力闘子だった。
縁もゆかりも無い場所で、闘子はただ静かに眠っている。
それはそのポケモン少女に余計な邪魔をされないためだろう。

ポケモン少女
 「ミュウ……見つけたぞ」



***



ミュウ
 「っ!?」

ミュウはその視線を感じ、身体を強張らせた。
既にゲシュペンストはいない。
一時はどうなるかと思った由紀達もなんとか無事だったようで、その幸運を称賛しあっていた。

ミュウは一度琉生と悠那を見た。
そして安堵した、よかったお姉ちゃん達は無事だと。

ポケモン少女
 「ミュウ、探したぞ」

それはミュウだけが知っている少女だった。
少女と言うには些か無理があるが、それに年齢を問うのも難しいだろう。

琉生
 「え? 誰……?」

琉生は運動場に併設された建物から姿を現したポケモン少女を見た。
それは不思議なポケモン少女だが、第一に感じたのは警戒だった。

琉生
 (なに? アレは誰?)

そのポケモン少女は誰にも目も向けず、ただ真っ直ぐにミュウに向かった。
ミュウはしおらしくなると、地面に降りた。

ミュウ
 「ジガルデ……」

ジガルデ
 「迎えに来た」

それはジガルデだった。
身体の配色の正体はジガルデ・セルと呼ばれる、ジガルデを構成する小さなポケモンだ。
それらが蠢きまわることで、ジガルデの模様や形は如何様にも变化した。

琉生
 (迎えに、きた?)

しかし、それよりも気がかりだったのはジガルデが発したその言葉の方だった。
ミュウの表情は初めてのそれではない。
間違いない、ミュウはジガルデを知っている。
でも迎えに来たってどういう事なの?

ミュウ
 「ジガルデ……私、は」

ミュウは暗く、そして言葉は弱々しかった。
しかしジガルデはそんなミュウを無視して、ミュウの手を掴んだ。

ミュウ
 「ジガルデ!?」

ジガルデ
 「帰るぞ、ここは我々が居ていい世界じゃない」

ミュウ
 「やだ……」

ジガルデ
 「……なに、っ!?」

その異変、一瞬早く反応したのはジガルデだった。
ミュウを掴む腕に向かって正確に放たれた翆の波動、それは悠那が右手から放った竜の波動だった。
竜の波動はミュウを掴む腕に当たると、腕は弾け飛んだ!
ジガルデは舌打ちする。
弾け飛んだジガルデの腕は、それぞれジガルデ・セルになると、這いながらジガルデに吸い込まれた。
そうして、吹き飛ばされた腕は何事もなく再生したのだ。

ジガルデ
 「一体、なんのつもりだ?」

悠那
 「汚い手で……ミュウに触れてんじゃないわよ!?」

悠那はまだダメージから復帰出来ていなかった。
燈の補助を受けながら、なんとか上半身を持ち上げ、狙撃したのだ。

ミュウ
 「悠那お姉ちゃん……!」

悠那
 「ち……、ミュウ! アンタがなんだっていい! アンタはどうしたいの!?」

ミュウ
 「!? 私が、ミュウがしたいこと……!」

ジガルデ
 「ミュウ、お前はこの世界にとって危険だ、お前ならそれが分かるだろう?」

ミュウ
 「……っ!?」

ミュウは揺れていた。
ジガルデはミュウにとって大切な仲間だ。
決して邪悪な存在だとか、邪神的なものではない。
彼女は秩序ポケモンジガルデ、自らを律し、決して善悪に依らない者なのだ。
だからこそミュウは知っている。
ジガルデの恐ろしさを。

琉生
 「ミュウ!」

不意に、琉生の声がミュウに響いた。
ミュウは顔を上げて、琉生を見た。
琉生は優しく、でも真剣な目でミュウを見ていた。

ミュウ
 「琉生お姉ちゃん……!」

ジガルデ
 「さぁ、ミュウ!」

ミュウ
 「っ! 嫌! ミュウ! やだ!」

ミュウは差し伸べられたジガルデの手を跳ねた。
それに意外な顔をしたのはジガルデだった。

ジガルデ
 「ミュウ……何故?」


 「あ、あの〜? 失礼ですが、貴方はミュウちゃんの何なのでしょうか〜?」

いい加減動き出したのは愛だった。
愛は二人に割って入ると、いつものスマイルを浮かべた。
そして、さり気なくミュウを守るようにジガルデの前に。

ジガルデ
 「言う必要があるのか?」


 「それでしたら、申し訳ございませんが、ミュウちゃんと接触させる訳にはいきません」

ジガルデ
 「なんだと?」

愛は少しだけ目を開いた。
それはミュウを守るための覚悟だった。
そしてそれはミュウだけではなかった。
琉生も、悠那も、そしてダメージの隠せない2年生も、明日花やアリアもだ。

ジガルデ
 「ち、私は君たちと争うつもりはない、私は秩序を監視する者……秩序を乱す者にはなり得ない」

ジガルデは手を引いた。
だがその眼光は些かも衰えていない。

ジガルデ
 「ミュウと私は仲間であり、姉妹だと言える」


 「ということは、お姉さん?」

ジガルデ
 「ミュウが姉だ」


 「ふえ!?」

愛が素っ頓狂な声を上げた。
どう見てもお姉ちゃんはジガルデにしか見えないが、生憎ジガルデもミュウも茶化す様子はない。

ミュウ
 「ジガルデ、もう少しだけ、時間を頂戴……」

ジガルデ
 「……あまり長くは待たないぞ」

ジガルデはそう言うと、頭上からジガルデ・セルを分離させてジガルデは、その場から消えた。
愛は、改めてミュウを見た。
ミュウは不安そうに愛をチラチラと見た。
そんな姿を見て、愛は黙っている訳がないのだ。


 「ミュウちゃん? 大丈夫です、私がついてますから♪」

愛はそう言うとミュウを抱きしめた。
ミュウの身体は震えている。
それを落ち着かせるために。

琉生
 「ミュウ、さっきの事……」

ミュウ
 「ジガルデとは血は繋がってない、産まれたのは私のほうが先だから私が姉、ジガルデは妹になった」

明日花
 「要するに義兄弟か」

一段落すると、皆ミュウの元に集まってきた。
一先ず一難は去ったのだろう。

真希
 「おーい、現場検証入るけど、いいー?」

そこへ恐らく急いで跳んできたであろうアギルダー少女の真希も合流した。
そして反対にジガルデが出てきた建物から、頭を抱えた闘子も現れる。

ミュウ
 「ミュウ……皆、ミュウの事、聞いてほしい!」



ポケモンヒロインガールズ

SP05 完

続く……。

KaZuKiNa ( 2020/08/01(土) 09:07 )