ポケモンヒロインガールズ





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第三部 ネクストワールド編
第24話 琉生と悠那のラブアンドリスペクト

第24話 琉生と悠那のラブアンドリスペクト



ドタバタドタバタ、そういう擬音が聞こえてきそうな程、今日の学生寮は慌ただしかった。
原因は3人の転校生だ。
その諸原因を追っていこう。

悠那
 「あり得ないんですけどっ!?」

まず騒々しい筆頭は、この2階の寮生の部屋の前で騒ぎ立てる1年八神悠那だった。

悠那
 「なんでよりにもよってコイツの隣なの!?」

悠那が文句を付けたのは銀髪の憂いを帯びた少女だ。
どう見ても八つ当たりだが、銀髪の少女、姫野琉生は悠那の文句にほとほと困り果てていた。

明日香
 「たかが、隣で騒ぎすぎだよなぁ〜」

そう言って、我関せずに呆れた声を上げたのは黒髪ポニーテールの宝城明日香である。
その隣、プラチナブロンドの美しい髪をストレートで腰まで下ろした日英ハーフの長身少女東堂アリアは、頬に手を当て思案していた。

アリア
 「お部屋の事情なのでしょう?」

悠那
 「だとしてもっ! なんで寄りにもよって姫野琉生の隣なの!? 他にも空き部屋あるでしょう!?」

そもそも、こうなった事情はこうだ。
悠那達転校生の引っ越しは午前中に行われた。
ポケモン少女管理局が設置する学生寮は無駄に大きく、ホスピタリティが充実している。
生徒数は10人に満たないのに、部屋の数は倍あるのだ。
本来ならこんな問題には至らない筈だった。
ところが、悠那が使う筈の部屋は欠陥がある事が判明し、急遽他の空き部屋を使う事になったのだ。
それが琉生の隣だった。
因みに部屋は202姫野琉生、204東堂アリア、206宝城明日香、20い江道夢生となっている。
防音はしっかりしているが、プライバシーの保護を理由に部屋は一つずつ離れていた。
そこに210古代燈が入ったまでは良かったのだが……。

悠那
 「ぶっちゃけあそこでも、そこでも! 良かったんじゃないの!?」

悠那はそう言って、205号室と207号室を指差した。
しかし、そうは問屋が降ろさない。
現在それらの部屋は使用不可だと言ったのは皆の先輩友井愛だ。
最もそれは実際の所方弁なのだが、愛曰く『琉生ちゃんと悠那ちゃんなら、必ずやり遂げてくれます♪』と、謎の期待を二人に浴びせているのだ。

明日香
 (まぁぶっちゃけて、これ愛ちゃん先輩の差し金だよなぁ?)

アリア
 (愛先輩……そこまで急かす必要があるのでしょうか?)

愛は悠那と琉生を危惧しているのだ。
悠那は過剰な程琉生に対抗意識がある。
悠那一人が1年生に不和を引き起こすリスクがあるのだ。
一方で琉生の悩みを解消できるのも悠那しかいないと愛は考えた。
琉生は高すぎるオオタチとのシンクロ率に苦悩している。
時折神憑りを見せる琉生の様子には、明日香達も危惧はしていた。
これが悠那ならば、いざという時琉生を力技で取り押さえられる。
二人は犬猿の仲ではなく、無二の親友になって欲しいのだ。

明日香
 「あっちの二人は早くも仲良しこよしなのになぁ〜」

そう言って明日香は吹き抜けの1階を覗き込んだ。
1階キッチンには今二人の少女がいた。

夢生
 「この寮の冷蔵庫の中身は好きに使っていいビュン♪」

ピンク髪ツインテールの小柄な少女江道夢生は、同じ位の身長の紅色セミロングの少女古代燈に寮内を案内していた。
二人は早くも仲が良く、夢生が冷蔵庫から取り出した甘いお菓子を二人でシェアすると、笑い合っていた。


 「美味しい……♪」

夢生
 「あかりんもお菓子好き?」


 「この世界を包み込むような甘さ、特に好き♪」

夢生
 「だよねー! 今度秘蔵のお菓子をあかりんにもあげるビュン♪」

燈は夢生に自分に近いシンパシーを感じた。
夢生の屈託のない笑顔は、燈が同様に持つ幼い感性だ。
二人はまるで本物の姉妹のようだ。
しかし少々はっちゃけた姉のような夢生には、燈もしっかりしなくてはと思うには充分だった。

アリア
 「お菓子の食べすぎは後で注意せねばなりませんね」

一部始終を2階から見たアリアはそう呟いた。
夢生は放っておけば、お菓子の過食は火を見るほど明らかだった。
幸い厳しい同輩はアリアに琉生といるから問題はなかったが、燈が新たな問題の種にならないとも限らないのだ。

明日香
 「ははっ、どうせならプロテインを摂取すりゃ良いのにな」

アリア
 「それはそれで、あまり一般的ではないのでは……?」

琉生
 「えっ?」

琉生が驚いた。
周囲の目が琉生に移る。
超ストイックな肉体改造を大真面目に励む琉生は今日も部屋の机には自家製プロテインドリンクが置いてある。
気がついたらプロテインがそんなに遠い物では無くなった琉生にとって、アリアの発言が意外だったのだ。

アリア
 「琉生さん?」

明日香
 「ハッハッハ! 琉生もプロテインの方が良いよな!?」

琉生
 「……ノーコメントで」

元々浮世離れしているのに、これ以上普通から遠ざかるのを嫌がった琉生は顔色を悪くして、首を振った。

悠那
 「……はぁ」

悠那はさっきまでの怒りもどこへ行ったのか、疲れたように脱力して、ため息を吐いた。

明日香
 「おっ、諦めたか?」

悠那
 「アンタ達に文句言っても解決しないのが分かっただけよ……」

悠那はそう言うと、窓を見た。
学生寮の直ぐ側にはあの学園がある。

悠那
 (私達の初期戦略目標、神成依乃里を引きずり出すために、この学園の占拠を図ったのよね……)

悠那に去来したのは敗戦の記憶だった。
ダイマックス現象を引き起こした彼女は、当初仮想的としていた星野きららを圧倒し、あの時の高揚感は正に全能を感じ法悦を得た。
だが、直ぐにそれは絶望へと転落した。
目の前の儚げな少女、琉生に完膚なきまでに叩きのめされたのだ。


悠那
 (屈辱……! 私が、全くの無警戒のダークホースなんかに!)

悠那は腕組する指に力を込めた。
そして彼女は歩き出す。

アリア
 「何処へ?」

悠那
 「友井愛に直談判してくる!」

悠那はそう言うと、階段を降りていった。
呆然とそれを見届けた3人は互いに顔を合わせ、そして悠那の背中を見た。

明日香
 「アイツ……そこまで嫌か?」

琉生
 「……一応、追いかけてみる」

アリア
 「琉生さん?」

琉生は顔を俯かせた。
正直琉生だって悠那との付き合いは不安がある。
出来ることならば、一生は関わらないでいたいと思ったのは本当だ。
琉生は無力な少女だ、常にその顔には諦観が宿り、儚さが増す。
だけど、琉生は同時に悠那を受け入れないといけないと、自覚していた。
少しだけ前向きに、元々極度の後ろ向きだった少女の僅かな前進だった。



***



1年生の学生寮の反対側、渡り廊下で繋がった先には2年生の寮がある。
1年生達程騒がしくはないが、こちらもこちらで一悶着があった後だった。
今は沈静化しており、誰もが振り向くであろう美女という言葉がこれ程似合う者もいないだろう七海桜は風呂場に案内されていた。


 「シャンプーとかは、名前書いてあるのは勝手に使わないでねー?」


 「ああ、他人に使われるの嫌う人っているわよねー」

案内を任されたのは鈴だった。
2年の中で一番マトモに桜に応対出来るのは鈴だけであり、鈴は籠に立て掛けられたシャンプーボトルを手に取る。


 「因みにこれ私のね」


 「あら、ブランド品?」


 「こう見えても元アイドル、身嗜みに妥協は許されないからねぇ」


 「もう引退したんでしょ? だったらそんなに気にしなくても」


 「まだよ! まだ鈴ちゃんは終わってないのさ!」

鈴はそう言うとビシっと格好いいポーズを決める。
明らかにアイドルというより、ヒーローポーズだが、それだけ鈴は芸能界に思い入れがあるのだろう。
桜はボトルを見ていき、鈴に質問した。


 「使って特に怒られるのは?」


 「間違いなく由紀ね! あの子ガサツに見えて、結構繊細な子だから!」

桜は「ああ」と納得した。
由紀はよく噛み付いてくる狂犬みたいな少女だが、あれは言ってみればマイクパフォーマンスみたいな物だ。
由紀の内面の弱さを桜は的確に読んでいる。


 (あの子……絶対可愛がりたい♪)

桜は鈴には気づかれないように舌舐めずりした。
桜のSな性質は、ここぞで嗜虐心を働かせるのだ。


 「お風呂の使用時間は?」


 「朝6時から夜20時まで、深夜使えない代わりに朝一番由紀とかは一風呂浴びてるわね」

浴場は共用だが、広さはある。
全員一緒に入れるだけの広さがあるが、しかしこの寮では時間をずらして利用するのが習慣化しているようだ。
それに桜も不満はない。
人付き合いは良いほうだが、自分から合わせるというのも恩着せがましい。
他人のペースに極力合わせてこそ、良い女だろう。


 「なるほどねぇ、ご飯はキッチンで皆一緒に?」


 「そっ、まぁ全員が集わない事もままあるけど」


 「ふーん」

桜は適当に相槌を打つと、浴場を出た。
既に時刻は夕方だが、霧島ミアがまだ帰ってきていない。
由紀は寮で桜と一悶着を起こした後、出かけたようだ。


 「寂しいものねぇ」


 「皆帰ってきたら、騒がしくなるわよ」


 「それは楽しみね」

桜はそう言うと目を細め笑う。
鈴はそんな桜を見て、少しだけ不安だった。


 (基本的には信用しているんだけど、なーんか、油断できないのよねぇ?)

それは本能的に桜の本質に気付いているからだろう。
桜は今更鈴達と敵対する気は毛頭ない、だとしても同じようの歩を進められるかは、彼女たち次第なのだ。
桜は桜の正義がある。
鈴にも譲れない物があるように、それぞれに護りたい物がある。


 「ピコン! なんか琉生ちゃんの気配を感じた気が!?」

突然鈴は背筋を立てると周囲をキョロキョロし始めた。
あからさまに挙動不審な姿に思わず桜は苦笑いで退いてしまうう。


 「琉生って、1年生のスーパールーキー?」


 「そう!」

鈴は突然桜に顔を近づけた!
そして上気立つ顔で、鈴は急激に捲し立てるのだ!


 「でもそれだけが琉生ちゃんの魅力ではないの! 確かに彼女は強くて凛々しいけれど、その本質はこれがもう! 儚くて、抱きしめたら折れそうで、そして兎のような瞳が……ああ! もう、たまらん!」


 「よ、よく分かったわ……」

これは絶対に拗らせてるな、桜は自分の性癖は何処へやら、鈴のこの様子にドン引きしてしまう。
そうこうしている間にも鈴は周囲をキョロキョロする。
突如豹変したこの少女のお目当てである姫野琉生 を探しているのだろう。


 「1年生が2年生の寮に来るってのはそうはないんじゃない?」


 「そうでもあるがぁ! この琉生ちゃんセンサーがビンビン来てるのさぁ!」


 「琉生ちゃんセンサー?」

聞いてはいけない禁断のワードだった。
鈴は両手を頭に添えると、謎のセンサーを働かせている。
そんな物実在するのか、いや実在すればプライバシーもへったくれもなくなってしまうが、兎に角大真面目に鈴は琉生の気配を探した。


 「ええい! 鈴ちゃんのバイオセンサーを最大限に発揮すれば!」


 「貴方ユキノオーのポケモン少女よね?」

それはエスパータイプの領分だろう。
そう突っ込みたかったが、今の鈴には何を言っても無駄な気がした。


 「はっ!? そこかっ!?」

鈴は窓を見た。
そして窓に向かって走り出すと、窓には学園が見えた。


 「居たー!!」


 「え!? 嘘でしょう!? て……悠那?」

二人は学園の中に入っていく琉生と悠那を見た。
あの二人が一緒にいる、それは鈴が正気に戻るには充分だった。


 「えーと? なにかあったのかな? かな?」


 「……」

桜は何も言わなかった。
事悠那の事は信用するしかない。
心配で心配で、昼には直接顔を見に行ったが、悠那は無理をしているようにも思えた。
一応は悠那の冷静な判断を信じて、桜は何も言わなかったが、悠那の内に抱える物は桜にも分からない。


 (悠那は……)



***



カツン、カツン。

リノリウムの床が小気味よく二つの足音を刻む。
夕暮れの校内は広く、音がよく響く。
それは二人の不穏な会話までも。

悠那
 「どこまで付いて来る気?」

琉生
 「………私にも、責任はある、から」

悠那はやや怒り肩で胸を揺らした。
一方で琉生はとてもしおらしい。
あらゆる面でこの二人は違う、まるで大人と子供だ。
それでも苛立ったのは悠那の方なのだ。

悠那
 (分からない……やっぱり分からない! この子本当に姫野琉生? あの化け物なの?)

悠那には琉生への恐怖もある。
あの時感じた恐怖と絶望、それをこの銀髪の少女に叩きつけられた。
あの時、琉生の目は人間じゃなかった。
人間じゃないならば何? あの獣臭さすら感じる獰猛さ、あれの正体は?

悠那
 (兎に角だ、コイツには負けられない……百回やって百度勝つ、その証明が必要だ!)

琉生
 「……」

琉生はただ沈み込んでいる。
やっぱりくるんじゃなかったという後悔を持ちながら、それでも悠那のイチャモンに付き合う必要がある。
ただ、悠那の顔を見ることは未だに出来ていない。
悠那の顔を見ると、思い出したくもない思い出が蘇りそうで怖かった。

琉生
 「私なんて……」

悠那
 「?」

悠那は琉生の顔を覗き込んだ時、思わずゾッとした。
ゆらり、琉生の目がそんな悠那を捉えた。
ドロドロとした名も分からない負の感情が琉生に渦巻き、悠那は恐怖に後ずさった。

琉生
 「私なんて……産まれるべきじゃなかった……?」

悠那
 「えっ?」

そんな答えは悠那が望むものではなかった。
だが、琉生はまるで地獄から覗き込むかのような暗い目で悠那見たのだ。

悠那
 「っ!?」

琉生の気配? 存在感が増してきた。
この感じ、琉生の人間性が曖昧になってきている。

悠那
 「暴走!? こんな所で!?」

ビィィィ!

突然廊下の奥から、けたたましいホイッスルが鳴り響いた。
琉生は全身の毛を逆立てると、背筋を真っ直ぐ伸ばして音の方を見た。


 「琉生ちゃーん! 駄目ーっ!?」

それは友井愛だった。
赤い大きなツインテールを揺らしながら、なりふり構わず琉生の胸元に飛び込んだ!


 「ダメダメダメ! 駄目です! 琉生ちゃん駄目ー!?」

琉生
 「あい、先輩?」

段々、琉生の顔が普段の顔へと戻り、その目の焦点が合ってくる。
大粒の涙を流して、兎に角琉生の暴走を阻止しようと励む愛に、ようやく正気に戻った。

琉生
 「私……大丈夫、ですから」


 「琉生ちゃん? 琉生ちゃん! 琉生ちゃーん!」

愛は琉生が正気に戻ったのを見るとまた泣き出してしまう。
それほどまでに琉生の事を大切に思っているのだ。


 「ぐすん! で……二人はどうして学校に?」

悠那
 「部屋割の事でちょっと……ね?」

部屋割、その言葉に愛はピコンと反応した。
恐らく勝手に部屋割を変更した事に対しての抗議だろう。
愛は琉生から離れると、悠那に説明する。


 「ですが〜、悠那ちゃんの部屋の不備は本当なのです、あの寮の半分以上は過去10年一度も使用してない部屋ばかりで」

悠那
 「多少の不便は許容するわ! 兎に角部屋割を変えてほしいの!」


 「何故ですか〜?」

愛はニコニコ笑顔で首を傾げた。
悠那は思わずイラっとしてしまう。
この人畜無害そうな笑顔の奥にのらりくらりと攻撃を躱す策士の一面を感じたのだ。

悠那
 「気に入らないの!」


 「だから、何故でしょうか〜?」

何故? その問の意味悠那にも分かっていた。
嫌いな生徒がいるから席を離して下さいという位無茶振りだ。
だからか、愛は終始笑顔で、悠那を言葉で追い込む。


 「うふふ〜、悠那ちゃん、ラブアンドリスペクトですよ? 我々は仲間です」

悠那
 (くっ!? 言い返せない!)

少なくとも、愛はピュアだ。
真にラブアンドリスペクトを実行し、この世の善を信じてやまない。
通称慈愛の女神の通り名は正にその通りだった。


 「悠那ちゃんは、琉生ちゃんにリスペクト出来ませんか?」

悠那
 「それは……まだ、分からないわ。彼女の事、まだ全然知らないもの……」

悠那の弱さ、悪人にはなれない本質の善性。
それを見て、愛はクスリと笑った。


 「琉生ちゃんは、悠那ちゃんをリスペクト出来ます?」

琉生
 「……分かり、ません……同じです、彼女の事、よく知らない」


 「そうですね、知らないんです。でもそれは当然、まだ出会ったばかりなんですから」

愛は二人に抱きついた、そして二人を寄せ合う。


 「ふたりとも、どうしてそんなに不安に思うの?」

無理やり肩を寄せ合う事になった悠那は気まずそうに琉生を見た。
琉生は呆然と悠那を見上げる。


 「まずは友達から、手を繋いでいきましょう♪」

そう言うと愛は琉生と悠那の手を結ばせた。
悠那は照れくさそうに、頬をムスッとさせて、琉生はただ呆然と受け入れた。


 「嫌ですか?」

琉生
 「いや、じゃない」

悠那
 「あーもう! 分かった! 分かりました! 仲良くすれば良いんでしょ!?」

悠那は無理やり二人を引き剥がすとそう言った。
愛はニコニコ笑い、琉生はキョロキョロと二人を見た。

悠那
 「……ごめん姫野、ちょっとキツく当たりすぎた」

琉生
 「気にしてない……」


 「兎に角、まずはチャレンジ、してみましょう?」

悠那は納得するしかなかった。
愛を説得するつもりが、逆に説得されてしまった。
だが、無闇に敵愾心を抱くのがいけないのは分かる。
ただ、納得は欲しかった。

悠那
 「愛、お願いがある」


 「なんでしょうか?」

悠那
 「姫野との模擬戦を希望するわ!」

それは納得だった。
悠那がずっと不安だったのは、琉生と自分の差だ。
悠那からすれば、琉生は簡単に壊れてしまう程脆く儚い。
だけど、そんな少女に負けた自分がいるのだ。
納得がなければ、きっと琉生を認められない。

愛はトントンと足元を叩くと思案する。
沈思黙考すること数秒、愛は答えを決めた。


 「分かりました……でも、それは今じゃありません!」

悠那
 「え? 今じゃないって?」


 「明日、第二次能力テストを行います!」



ポケモンヒロインガールズ

第24話 琉生と悠那のラブアンドリスペクト 完

続く……。


KaZuKiNa ( 2020/09/30(水) 20:58 )