ポケモンヒロインガールズ





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第二部 ポケモン少女群雄編
第17話 激突

第17話 激突




 「真希ちゃんいますか〜?」

諜報部を訪れていたのはニンフィア少女の友井愛だった。
関東支部諜報部は現在在籍しているポケモン少女は二人。
その大半があくまでも普通の人がオペレーターとして働いている。

ミア
 「藤原先輩ー、お客様ですー!」

ガタン、乱暴に机を蹴った真希が立ち上がると、その顔は疲れが見えた。

真希
 「ああ、愛……待ってたわよ」


 「あ、あはは……、ちゃんと休めてます?」

真希の疲れの原因はやはり謎のポケモン少女関連だ。
過去幾度となくハッキングを仕掛けてきた謎の存在も危惧の対象で、普段の業務にも弊害が起きている。
ハッキリ言って真希の空回りっぷりは周りから見ても酷いものだった。


 「これ、分析が終わった資料です」

愛は胸元に持った紙の資料を真希へと手渡す。
今の時代に紙の資料というのもおかしな話だったが、これが最もアナログで安全なハッキング対策なのだった。
真希は黒縁眼鏡をかけ直すと、資料に目を通す。


 「あれ? いつもの眼鏡はどうしたんですか?」

真希
 「……これは普通の眼鏡よ、普段のは2回もハッキングされてるんだから、危なっかしくて使えないわよ」

諜報部はポケモン少女用の各種装備品の開発をする技術部も内包している都合上、最新装備が集まりやすい。
それは逆に言うと、デジタルな世界だ。
今の時代、Iot製品の普及は一般にまで広がっている……それこそが逆に不味いのだ。

真希
 「アインシュタインは4度目の世界大戦が起きるなら石と棍棒が主武器になるって言ってたわね」


 「?」

行き過ぎた科学が今度は人類に牙を向くという考えを何十年も前の人が予想していたのだ。
真希からすれば笑えない話だ。


 「あ、それとこれ………」

愛はもう一つ真希のために用意した物があった。
それを手提げ鞄から取り出したのを見ると真希はギョッとする。
それはラベルの張っていないペットボトルだった。
中身は白みがかった液体が入っている。


 「これ、栄養ドリンクです♪」

真希
 「あ、うん……あ、ありがとう」

真希は美人な顔も引きつった台無しな顔で笑顔を浮かべる。
それで用事が済んだのか愛は会釈をすると、背を向けた。


 「それじゃ、私はまだすることがありますので」

愛の姿が見えなくなると、ミアは愛の背中を追って言った。

ミア
 「愛先輩ってなんで諜報部じゃなくて教導部に行ったんでしょうね……」

真希
 「実際スカウトはあったわよ、それでも愛はあの性格だったからね……」

愛の優秀さは本物だ。
特に分析学においては真希やミアにはない才能がある。
温和で理知的、更に頭脳明晰で運動神経も悪くないと、言葉にすれば絵に描いたような完璧超人だ。

真希
 (アレでも結構子供っぽい所あるんだけどねー)

天は二物を与えぬとは良く言ったものだ。
愛でもコンプレックスはあるのだから。

ミア
 「ところで、その怪しげなドリンクは?」

真希
 「愛ってね……料理が得意なのよ、その彼女が作った栄養ドリンク」

真希はそう言いながら、何故かゲンナリしていた。

ミア
 「成る程、愛先輩特製っていうのは、効果ありそうですね」

真希
 「ええ……疲労回復、眠気解消、筋肉疲労の軽減等至れり尽くせりでね……」

ミア
 「まるで栄養士さんですね」

真希は苦笑した。
そうだ、愛は完璧な栄養ドリンクを作っている。
実際効果は覿面だ。
しかしそれならば、何故真希の顔は晴れないのだろうか?

真希
 (死ぬほど不味いのよね……これ)

愛の味覚を疑うわけではないが、どういう訳か栄養ドリンクだけはいつも味が最悪なのだ。
普段の料理の腕が良いだけに、これだけは不可解だ。

真希
 (とはいえ、飲まないわけには行かないもんな〜)

もし飲まなければきっと愛は悲しむだろう。
それだけは絶対に避けなければならない。
愛の笑顔は絶対に護らないといけないのだ。



***



夢生
 「あすちんと一緒にお出掛けって久し振りビュン」

そう言ったのは制服に身を通した夢生だ。
隣には同じく明日花もいる。

明日花
 「今日はパトロールもないし、ジムも休みだからなぁ」

夢生
 「アーちゃんもるーちゃんも一緒だったら良かったのに〜」

そうは言うが、アリアは愛の仕事の手伝いをしており、琉生は今日も一人でトレーニングをしているらしい。
少し付き合いが悪いが、普段なら明日花だって夢生には付き合ってなかっただろう。
夢生はそれが堪らなく寂しかった。
決して仲が悪い訳じゃないのだが、肝心の自由時間で皆バラバラで気が削がれてしまう。

明日花
 「で、遊びに出るって行ってもどうするんだ?」

夢生
 「とりあえず食べ歩き♪」

明日花
 「お前本当に食うの好きだよなぁ〜」

明日花はそう言って呆れるが、夢生の食べ歩きは今に始まった事でもない。
パトロール中でさえも、頻繁に屋台を利用するような子なのだ。
明日花はその点緩くて気にしないが、根が真面目な琉生やアリアには苦言も呈されている。

夢生
 「あ、チーズドックあるビュン」

明日花
 「ああ、昔流行ったよなぁ……まだ絶滅してなかったんだ」

夢生は良い臭いに誘導されるように、フラフラと屋台に向かった。
よくよく考えれば、夢生の資金源はどうなっているのだろう?

夢生
 「あすちんも食べるビュン?」

明日花
 「遠慮するー、金余裕ないし、今脂質制限してるからー」

夢生
 「ダイエットビュン?」

明日花
 「肉! 体! 改! 造! 高タンパク質低カロリーの物を運動後30分以内に食べると筋肉に変わるんだよ!」

明日花はダイエットかと言われて、顔を真っ赤にして否定した。
密かにお腹周りの贅肉は気にしており、一言に肉体改造と言っても様々な思惑が含まれているのだった。

明日花
 (つーか、なんで夢生はこんだけ食うのに太らねぇんだよ!?)

普段から節制しているアリアや、琉生はともかく夢生はこれと言って特別な事はしていないのに太らないんだから理不尽という物だろう。
明日花とてアリアのような女性像に憧れがない訳ではない。
その乙女心は常に複雑なのだ。

夢生
 「あのー! 1つ下さーい♪」

夢生が移動屋台の前に立つと、丁度作っている最中のようだった。
ルンルン♪ と楽しそうに完成を待つ夢生の後ろで明日花は特に興味もなく辺りを見回した。

明日花
 (平和だよな……それが当然なんだけど)

明日花は平穏な駅前の姿にどこか不満があった。
平和なことは一番なのだが、一方で自分の中に溜まったフラストレーションが中々抜けないのだ。
原因は幾つかあるが、一番大きいのは目の前で闘子がやられたことだろう。

明日花
 (シロデスナ……て、言ってた……正直許せねぇ!)

アレは不意打ちだった。
闘子はチャンピオンだからこそライバルは多い。
だけど強烈なライバル意識をもつ由紀でさえも、あんな卑劣な手段は絶対にとらない。

明日花
 「……案外こういう街の中にいて――」

ふと、明日花は目を泳がせた。
それは極めて偶然だった。
その背中を見てしまったのだ。

明日花
 「――え!? シロデスナ少女!?」

シロデスナ少女の姿を明日花は忘れていない。
黒いドレスのような服に身を通していたが、それに負けないプロポーションがその存在感を強烈に放っている。
なにより一瞬見えた横顔が、明日花は忘れられない。

明日花
 「む……! ちっ!?」

明日花は一瞬夢生の方を振り返り、呼ぼうとした。
しかし距離がある、ここで逃がしたらもう二度と会えないかもしれない。

明日花
 「夢生ー! 悪いが別行動だ!」

夢生
 「ええっ!? あすちん急にどうしたのっ!?」

夢生は驚いて振り返ったが、既に明日花は走り始めていた。
元陸上部、しかも全国大会にも出場したことのあるスプリンターは圧倒いう間に夢生の視界から消えてしまった。

夢生
 「ちょ、ちょっと待ってビュン!?」



***



桜はアジトに向かうところだった。
用意は出来たとはいえ、まだ完全な策にするには時間が足りないという。
アジトでは悠那の苛立ちも最高潮だろう。
あの子は血の気が多いから、早く闘いたくて仕方がない筈だ。


 (しかしそれにしても……)

桜は気が付いていた、自分を追う姿に。
その少女に見覚えはなかったが、彼女はその気を見せず、適当な道を選んで歩いていた。
だが……その少女はいつまで経ってもいなくならない。


 「はぁ……」

桜は溜息を零すと、足を止めた。
それを尾行する少女もまた足を止める。


 「一体何方かしら?」

桜は振り返る。
そこには如何にもスポーツマンといった感じの黒髪ポニーテールの少女がいた。
その隠しきれない感情を背負って。

明日花
 「テメェがシロデスナ少女か?」


 「さぁ? 何の事かさっぱりね」

明日花
 「剛力闘子を何故襲った?」


 「だから何の事を言っているのか……」

バチィン!

桜はその瞬間目を見開いた。
その少女は電気を放ったのだ。
放ったと言っても狙いを付けた訳ではない。
ただ周囲に放出しただけ。
だがそれが出来るのはポケモン少女だけだ!


 「貴方っ!?」

明日花
 「アタシの名前は宝城明日花、アンタにやられた闘子先輩の弟子だ!」

気が昂ぶっていた。
明日花は親の敵を見るような目で桜を睨みつけている。
まだ変身もしていないのに電撃が出たのはや暴走しかけているのか?
いや、もうどうでもいい!
暴走だろうが、そうでなかろうが闘子先輩の仇が取れるなら!

明日花
 「変・身!」

明日花はソウルリンクスマートフォンを握りつぶしそうな力で握っていた。
意識も身体もあやふやな状態での変身、彼女は周囲に電撃をばらまきながらゴローニャ少女へと変身したのだ!

明日花
 「覚悟しやがれ!!」

バチバチバチ!!

それは高圧電流の放電だ。
視認できるほどのスパークを放って桜へと迫る。
桜は咄嗟にスマートフォンを取り出した。

冥子
 『おい桜!? 一体何があった!?』

桜の耳元に装着されたインカムから冥子の声が聞こえたが、桜は応じられなかった。


 「メイクアップ!」

冥子
 『止めろ! ソウルリンクスマホは!?』

ソウルリンクスマホ、それは真っ黒な外装をもつスマートフォンだった。
桜のソウルを感知すると、そのソウルリンクを制御して、変身を補助する!
だが、何故桜がそれを持っている!?
ポケモン管理局以外にそれを作れる所は存在しない。
当然ソウルを持たない大体数の人間には無意味な代物だ。
とはいえ、正常な思考を持てない明日花にはその意味は理解できていなかった。

明日花
 「うおおおお!」

獣のように目を猫目にして叫ぶと、電撃が少女に直撃した。
だが、少女に電撃はまるで通用していない。
そこには全身を砂粒に変えたシロデスナ少女がいたのだから。


 「事後報告で謝るわ、正当防衛よ」

冥子
 『正当防衛って!? 兎に角急いで帰ってこい!』


 「目の前の相手が許してくれたらね!?」

既にゴローニャ少女はその重たい身体をドシンドシンと弾ませて、突撃してきている。
桜はこの事態を呪った。
突然妙な子に絡まれたと思ったら、暴走上等の突撃を敢行されるとは思わなかったのだ。
人間のまま電撃を受けていたら黒焦げにされていただろう。
だがシロデスナの身体に電撃は効かない。


 「電気ポケモン? 生憎運が悪かったわね!?」

桜は身体を砂粒に変えて防御態勢に入った。
砂の身体に加えて霊体の身体は並大抵は通用しないが、かといって無敵ではない。
ポケモン少女同士の闘いに絶対はないのだ。

明日花
 「くらいやがれぇ!」

明日花は思いっきり拳を振りかぶった!
桜は冷静に対処をする。

ズボォ!

明日花の拳は桜の砂の身体にめり込むが、それだけだ!


 「うふふ♪ 冷静さを欠いた状態では勝てるものも勝てないわよ?」

桜は明日花の腕を砂で固めてロックするとその目を明日花に向けた。


 「さぁ、抗う事はないわよ……夢の世界に来なさい……」

それは瞳術か?
桜の瞳が紫色に光ると、明日花の目も紫色の光が移った。
それは催眠術だ、相手を眠りに誘う桜の持つ技である。
以前、剛力闘子相手にもこの技で奇襲を掛けて圧勝した。


 (よく見ると結構可愛い子じゃない、私の好みよ)

桜には独特のフェチがある。
こういう強気そうな子を虐めると非常に悦に入れるのだ。

明日花
 (あ……れ? アタシ、何して?)

一方で催眠術に掛かりかけた明日花はようやく事態を飲み込み始めていた。
彼女の目の前には顔を蕩けさせたシロデスナ少女がいる。
非常に顔が近い、それこそ恥ずかしさを感じる距離だ。

明日花
 「く、そ………!」


 「うふふ♪ さぁ身体の力を抜いて」

桜は甘い言葉を囁き、明日花を眠りへと誘おうとする。
しかし明日花は言葉に抗った。
彼女の頭には二人の尊敬する先輩の顔が映っていた。
闘子先輩に、砂皿先輩……どちらもライバルであり、同時に尊敬できる先輩だ。
自分はまだ砂皿先輩にも追いついてはいない。
パワーはあるがスピードもテクニックもない自分はあくまでも我武者羅に戦うしかないのだ。

明日花
 「ふざ、けんなー!!!」

バチィィィン!!


 「きゃあ!?」

突然明日花の放った電撃が、桜を怯ませた!
電撃は簡易ながらその場に帯電し、エレキフィールドを形成する!
急に眠気を吹き飛ばした明日花はキッ! と桜を睨みつけてその身体に潜む力の一端を引き出した!

ズガァン!!


 「がっ!?」

突然アスファルトの地面が隆起すると桜の砂の身体を跳ね上げた!


 「なによ!? この技は!?」

ストーンエッジ、シロデスナには決して有効な技ではないが、その知識のない桜にはそれは恐怖の技だ。
ポケモンが古き作品になったこの時代、正確なタイプ相性でさえも把握している者は少ないのだ。

明日花
 「はぁ、はぁ!」

しかし明日花も体力を消耗していた。
いきなり覚えのない技の使用に、大量の電気の消費。
頭が阿呆にならないだけマシだが、燃費の悪さを呪ってしまう。

冥子
 『おい! 急いでそこを離れろ!』


 「そうしたいのは山々だけど!」

相手は嫌がっている?
ならばこれはチャンスだ!
明日花は不敵に笑った。
闘子はピンチの時ほど太々しく笑った。
相手に自分の不利を悟らせるな!


 「ち!? 脳筋の癖に!」

桜は明日花から離れると砂を足下に集めた。
その技は見覚えがあった。

明日花
 「うおおお! 2発目!」

明日花は地面に拳を打ち受けると、桜の下からアスファルトの槍が飛び出した!


 「くうう!? 調子に……乗るなぁぁ!!」

桜が地面に力を送り込む!
するとアスファルトは裂け、明日花をその力は襲った!

明日花
 「うわぁぁぁあ!?」

大地の力だ、その技の殆どを攻撃に使わない桜にとって、その技を使わせたという事はそれだけ追い詰めたという事だった。
明日花は……限界だった。
その重たい身体を背中に倒れさせると、変身が強制的に解除される。


 「……ッ!」

明日花は気絶していた。
その身体はボロボロで、桜は顔を歪ませた。
桜はなんでも暴力で解決する奴が大嫌いだ。
自分はそんな力を用いなくても相手を無力化できるという自負がある。
そんな自分に大地の力を使わせたのは屈辱であった。


 「確か……宝城明日花って言ったわね……覚えといてあげる」

桜はそう言うとその身体を地面に溶け込ませた。
砂の身体は一度風に乗れば、遠くへも飛べるし、地面に溶け込めば誰も気付きはしない。

やがて、その戦場の跡のような場所に最初に訪れたのは夢生だった。

夢生
 「あすちん!? 死んじゃダメビュン! しっかりしてビュン!」

夢生はあれからずっと明日花を捜していた。
あの時の明日花の剣幕は尋常ではなく、放ってはおけなかったのだ。
だが大きな雷が落ちて、そこに辿り着いた時には全てが終わっていた。
ボロボロの明日花が一人だけ、それは明確な負けだった。
夢生は直ぐさまスマホで愛に連絡をした。
愛は直ぐに病院に繋ぎ、明日花は病院へと緊急搬入されるのだった。



***



闘子
 「明日花の馬鹿野郎………! 早とちりしやがって!」

闘子はその日学校で苛立っていた。
詳しい事情聴取は明日だが、明日花は一人で闘い負けたのだ。
ただの負けならいい、無事な負けなら百度負けても良い。
だがこの負け方は駄目だ。
闘子は病院に駆け込むと医者にも食い下がった。
絶対明日花を助けろと。
幸い明日花に命の別状はなかった。
1週間は要入院との事だが、とりあえず明日花は叱らないといけない。
何故自分を呼ばなかったのか、一人で先行してこの様など許される訳がないのだ。


 「……はぁ」

一方で愛も溜息を吐いた。
愛からすれば最悪を通り越している。
街を破壊して、自分の身体を傷付けて、でも一番辛いのは明日花を護れなかった自分の無力さだった。


 「私って、そんなに頼りにならないですかね?」

闘子
 「愛……」


 「もし先に私に連絡してくれたら……そんな可能性すら私は与えられませんでした……」

闘子
 「……」

闘子は何も言えなかった。
直接指導していたからこそ、愛は明日花に愛情を持っている。

だけど明日花は自分を省みてくれなかった。
夢生ちゃんを発見したとき夢生ちゃんは大泣きしていた。
夢生ちゃんは多分一番自分に似ていると思っている。
いつも全体を心配できて、少し臆病だけどそれだけ冷静に判断できる。


 「ひっく! 私自分が情けないです……! 明日花ちゃんを護ってあげられなかった!」

愛は涙を堪えられなかった。
闘子もそれを止めなかった。
愛の心を癒やせるのはきっと明日花達の笑顔だけだ。
闘子は付き合いが長いからこそ、それを余計に理解している。

きらら
 「愛、泣くのは止めて」


 「ひっぐ! きららちゃん?」

きららは愛達の前に現れると、いつものようにタンパク……な筈はなかった。
表情こそいつも通りだが、彼女は怒っている。

きらら
 「現場から興味深い物が発見された、諜報部の方で調査しているけど、一応経過を伝えるわ」

闘子
 「それは?」

きらら
 「宣戦布告したポケモン少女達はソウルリンクスマホを使用している」

愛&闘子
 「「っ!?」」

二人は心底驚いたことだろう。
特に愛の衝撃は計り知れない。

闘子
 「ちょっと待てよ!? それじゃアレか? 巷には海賊品が出回ってるってでも言うのか!? 本部しか製法も知らねぇオーパーツだぞ!?」

そう、誰にでも簡単にコピー品を作れる訳ではないのだ。
第一作ったところで誰が持っても役に立つものじゃない。
ただのスマホなら既製品の方が遥かに安いだろう。

だが、だからこそ愛の疑念は留まるところを知らなかったのだ。


 (本部は全員、登録外だと言った……でもそれは嘘だった?)

それは本部に対する疑念。
もしかしたら彼女たちを本部は把握している?


 「……明日休暇を貰います」

闘子
 「はぁ!? 休暇って授業どうするんだ!?」

きらら
 「私が代理しようか?」

闘子
 「いや、お前執行部で……ええい!? 愛! 考えがあるんだろうな!?」

愛はその言葉に既に涙を拭いていた。
そして今度はハッキリとした意思をその目に宿して。


 「本部に行きます、この事件の真相、必ず掴んで見せます!」

愛の決意は既に固まっていた。
もうこれ以上誰かが傷付くのを見てはいられない。
終わらせる事が出来るなら、愛は全てを賭けるだろう。



ポケモンヒロインガールズ

第17話 激突 完

続く……。


KaZuKiNa ( 2020/02/06(木) 16:28 )