ポケモンヒロインガールズ





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第二部 ポケモン少女群雄編
第15話 襲撃

第15話 襲撃



パシャ!

琉生達は街に出ると、鈴と愛と共に遊びを楽しんでいた。
鈴の提案でプリントシールを作ると、好き放題に写真を加工する鈴を琉生は複雑な顔で見て、愛は苦笑いをするのだった。

琉生
 「鈴先輩、こういうの慣れてるんですか?」


 「え? 逆に琉生ちゃんプリクラやったことないの!?」

琉生
 「そ、の……私、そう言うの……」

琉生は自分のそれまでの人生にこのように普通の女子のような遊び方をした記憶は無かった。
入学仕立ての彼女を覚えてるだろうか?
人生に希望もなく、何か達観したような大人しい少女であった。
文字通りお人形のような少女は人生においてもそうであったのだろう。


 「鈴ちゃん、遊び方は人それぞれ、ですよ?」

愛はそう言うとウィンクをして、琉生をフォローした。
それ以上触れるな、という先輩からの後達しだった。


 「じゃあじゃあ! 愛ちゃん先輩はどんな遊びを知っているんですか?」


 「え? うふふ〜? 知りたいですか〜?」

愛はそれを聞かれると怪しく微笑んだ。
なんだか嫌な予感がする……そう思ったが口にはしない優しい子の琉生であった。



***



非常に煩くそこら中から音が響く空間。
ゲームフロアに入った三人は今、ちょっとした人だかりを作っていた。
その原因はとある対戦格闘ゲームの前に座った愛の性だ。


 「ふんふんふ〜ん♪ これで18連勝〜♪」

琉生
 「……愛先輩、すごい」


 「ウフフ〜♪ 子供の時から好きだったんですよ、このゲーム♪」

そう言うのも当然だ、そのゲームは愛達が産まれる前、30年以上前のゲームなのだ。
しかし30年経とうと愛好家はいなくならず、今だ現役で遊ばれている希有な作品だ。
愛はこのゲームセンターの常連客だった。
普段いつ休んでいるんだといった感じの愛であるが、彼女は彼女で一筋縄ではいかない癖のある少女なのだ。


 「愛ちゃん先輩? なんか男の人ばっかりじゃありません?」


 「そうでしょうか〜?」

友井愛と言えば、ちょっとした有名人だ。
彼女の隠れファンとも言える人々はここぞと集まってくるのだが、哀しいかなそのゲームの人口もあり、集まるのは男性ばかりなのだ。
愛は全く気にしないが、他より遥かに人見知りの琉生はともかく、人慣れしている鈴でさえ、そのむさ苦しい熱気には圧されていた。


 「おっと、それは甘えですね〜、確反ですよ〜♪」

琉生
 (何を言ってるんだろう……)

愛はと言うと、ニコニコ笑顔で、対戦相手をボコボコにしていった。
普段慈母の星だの、慈愛の女神だの言われる少女だが、ゲームにおいては一切の慈悲が無い。
しかもずっと喋りながら、それこそ鈴の言葉に返す余裕すらありながら、対戦相手達は倒れていく。
その大体は愛の完全勝利、愛に一撃与えられれば、ギャラリーが響めく事態なのだ。


 「むむ……ニンフィア少女になるとゲームに強くなるのかな?」


 「それはないかと〜? だってソウルが宿る以前からですし〜」


 「いやでも、ソウルって生前から潜伏するって説もありますよね?」

ポケモンのソウルは、一体いつ宿るのか……それは現在でも分かっていない。
分かっていることは、14〜5歳程度の女子にソウルは発現し、ポケモン少女になるという程度だ。
潜伏期間があるという説もあるが、それを証明も出来ない。

琉生
 (ソウルは何処に存在するのか、か)

琉生は自分の胸を強く掴み込んだ。
しかしソウルはそこにある訳ではない。
身体の何処を探してもソウルは見つからない。
それは人間の魂の在処を証明するような物なのだ。
だが、ポケモン少女なら、漠然とだがソウルの在処に気付いているだろう。

琉生
 (オオタチさん、私と溶け合っている……)

誰よりもソウルリンク値の高い琉生は一番勘づいているだろう。
そもそもソウルを二つ有する事はありえない。
人間とポケモンのソウルは融合している故に、ポケモン少女という特殊な魂の持ち主になってしまったのだ。


 「大体、ニンフィアちゃんはそんなに格闘ゲーム上手なのですかね〜?」


 「むしろイーブイの呪い?」

琉生
 「呪いなんですか?」


 「なんとなく……イーブイの系譜には、なにかある気が……」


 「アハハ〜♪ なら私はイーブイ一族の末女ですかね〜?」

琉生
 「末女?」


 「なんとなくですが〜♪」

そんな事も言いながら既に20連勝。
プロレベルの腕前を持つ愛であった。



***



琉生達とは別に、スタジアムの控え室には宝城明日花と剛力闘子の姿があった。
今日は既に試合を終えた後だ。
明日花はセコンドとして、闘子の闘いを間近に見て、今日も感動している。

明日花
 「闘子先輩お疲れ様っす!」

闘子
 「いや、そんなに疲れちゃいねぇよ、今日の相手は物足りなかったしな」

明日花
 「いや、それでも先輩の受けてから相手を圧倒するスタイルは惚れるっす!」

闘子
 「ははは、照れるな……」


 「ふん! 何紅くなってんのよ!?」

バン! と強めに開かれた扉から姿を現したのは2年の砂皿由紀だった。
由紀はいつものように顔を険しくして闘子を指差すと。

由紀
 「剛力闘子! アンタを倒すのは私なんだから! 私の前に負けるんじゃないわよ!?」

闘子
 「はは、まぁオレもそう簡単に負ける気はないけどな、心配してるのか?」

由紀
 「か、勘違いしないでよね!? 私はただ最強であることを証明するのにア、アンタが負けたら箔が落ちるからなんだからー!?」

由紀はそう言うと顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
呆然と見ていた明日花は呟く。

明日花
 「砂皿先輩って……ツンデレ?」

自分にはずっと敵愾心を向けて、全く可愛げのない人物だったが、ここに来て明日花は考えを改めようとしていた。

明日花
 (意外と……可愛いとこあるじゃん♪)

それは何処か近寄りがたかった先輩に親近感を覚えた瞬間だった。

闘子
 「はぁ……たく、アイツ扉閉めて出て行けっての」

闘子はそう言うと立ち上がろうとするが、そこは舎弟明日花、すかさず明日花は闘子を留めて、扉を閉めに向かうのだ。

明日花
 「アタシがやりますから、先輩は座っててください!」

闘子
 「お、おう? そうか?」

明日花はドアノブを握ると、閉めようとする……が。


 「少しだけ、二人っきりにさせてね?」

明日花
 「へ?」

突然、耳元で少女の囁きが聞こえた?
耳元? 馬鹿なそんな近くに人がいて気付かない訳がない。
だが、相手は普通ではなかった。

ドン!

明日花
 「て、うわ!?」

闘子
 「明日花!?」

闘子先輩が立ち上がったのが一瞬見えた。
一瞬何故なのか?
一つは自分が外に押し出され倒れ込んだから、もう一つは影が闘子の前に立ったからだ。

ガチャン!

明日花
 「クソ!? 一体何だってんだ!?」

明日花は前のめりに通路に倒れるも直ぐに立ち上がった。
ドアノブを掴み、中に入ろうとするが扉は開かない。
内側からロックが掛けられたのだ!

明日花
 「開かない! クソ!? 先輩! 闘子先輩!? 内側で何が!?」

明日花は必死な表情でドアを叩いた。
しかし内側からはその答えはない。
一体何が起きているのだ?



***



闘子
 「……」

闘子はボーとその場に立っていた。
その呆けた表情は異質である。
事実、外から明日花の叫び声が聞こえているにも関わらず、彼女は腕をダラリと下げて意識を喪失しているのだ。
それをクスクスと笑う少女がいた。
全身を砂で構成したドレスを着た少女だった。
しかし異質なのはその少女、肌までも砂で出来ているのだ。
身体の全てを砂で構成した少女なのだ。

砂の少女
 「クスクス、たわいもない……リアルバトル最強? それがこの様なんてね」

闘子
 「う……あ」

闘子が呻き声をあげる。
それは闘士としての矜持か?
だが、砂の少女の目的はただ、無抵抗な剛力闘子を生み出すことじゃない。

砂の少女
 「クスクス、さぁ受けなさい!」

砂の少女は手を翳すと、指先からサラサラと砂がこぼれ落ちた。
その砂粒はやがて嵐となって吹き荒れる!
闘子は何も出来ず、その砂嵐に飲まれ天井にぶつかり、床に落ちた!

闘子
 「う……く?」

砂の少女
 「あら? 目を覚ました?」

闘子
 「お、お前……は?」

砂の少女
 「うふふ、でも動けなさそうね」

闘子は全身を打ち付けて、顔をなんとか持ち上げるがそれが限界だった。
砂の少女はそんな闘子を見て、嘲笑う。

砂の少女
 「なんでも正面から解決しようとする脳筋……所詮この程度ね」

砂の少女はそう言って、闘子を無視して出口に向かった。
闘子は訳が分からなかった。
この砂の塊で出来た少女が何者なのか。
何故自分は気が付いたら床に倒れているのか。
周囲には砂が散乱している。
相手は間違いなく、ポケモン少女だ。

闘子
 (そう言えば、明日花は……?)

今だ朧気な意識は、明日花のことを思い浮かべると、徐々に覚醒し始めた。

闘子
 (明日花もコイツに? それだけは……お、オレが守らないと……!)

その瞬間だ。
ガチャリ、砂の少女がドアのロックを外した。
扉が開かれたその時、闘子はカイリキー少女に変身する。
変身した闘子の身体はみるみるうちに回復していく。
代謝が人間とは違うのだ。


 『おい! やばいぜ桜!? 後ろ!』

それは砂の少女の体内に埋め込まれたインカムの声だ。
桜(さくら)と呼ばれた少女は振り返ると、闘子は既に立っていた。

闘子
 「おおおおおっ!」

明日花
 「闘子先輩ッ!?」

扉の奥には明日花がいた。
桜はその状況に不味いと思った。
目の間には明日花、後ろは闘子。
既に闘子は拳を握っていた。
我武者羅に闘子は桜に向かっていった。

闘子
 「明日花は……やらせねぇ!!」

闘子は桜の顔面を殴り抜いた!
ブォン! 風が明日花の顔を歪める。
明日花の目の前には闘子の拳があったのだ。

明日花
 「え……?」

明日花は顔を青ざめた。
闘子の拳が桜の顔面を貫いたのだ。
だが、それだけだった。


 「クスクス、それが限界?」

闘子
 「ハァ、ハァ……!」

明日花
 「な、何が起きて……?」

目の前で砂の少女は顔面を貫かれたまま笑っていたのだ。
真っ先に思い付いたのはポケモンバトルだった。
だが、これは場外乱闘ではないか!


 「二人とも、ちょっとじっとしててね? もう充分だから?」

闘子
 「お前、は……!?」


 「フフフ、プライバシー保護のため個人名は非公開とさせて頂きます♪ 私はシロデスナ少女……貴方達に宣戦布告をする者」

明日花
 「宣戦布告……!? て、足が!?」

気が付けば、明日花と闘子の足下には砂が集まっていた。
全身が砂で出来たシロデスナは砂のマスタリーだ。
彼女は無尽蔵に産み出す砂を操り、ひっそりと二人の足に砂を集め、固めていたのだ。
そして、桜はゆっくりと闘子の腕をすり抜けていく。


 「それではシーユー♪」

桜はそう言うと、呆然とする明日花の脇を過ぎて、通路を通り過ぎていった。

明日花
 「……一体何が……あ、闘子先輩大丈夫ですか!?」

闘子
 「……オレは大丈夫、だ……それより」

闘子は無理な変身から体力を消耗していた。
砂の少女がその場を去ると、砂は脆くなっていく。

闘子
 「愛に連絡を……全部伝えろ」



***



時同じくして、それは藤原真希の前にも現れた。

真希
 (一体何だって言うのよ!?)

炎が舞っていた。
真希は夕闇の中、人の少ない場所を選び、その謎の相手から距離を離そうとしていた……が。

真希
 (追ってくる……でも何故?)

真希は空を見上げた。
太陽を背にして、逆光で姿は分からないがなんらかの炎タイプのポケモン少女だと思われる。

真希
 (スマホは……無駄か)

真希はこの事態から諜報部本部に連絡を怠る筈が無かった。
だが彼女の顔が晴れる事はない。

真希
 (ジャミングされてる……衛星通信も駄目!)

真希はありとあらゆる電波が使えない事態に苦渋を味わった。
この状況以前にも覚えがある?

真希
 (Iotテロの時、諜報部のプロテクトを破ってハッキングされた事があった……あの時と同じ?)

真希はその場で足を止めた。
そこは街から離れた郊外だ。


 「……鬼ごっこはお終い?」

それは炎の羽だった。
羽を羽ばたかせる度に炎の鱗粉をばらまく少女。
その姿は幼く、身長は140あるか?
全身をモフモフとした厚手のコートのようなドレスを着たおっとり顔の少女。
その全体で最も大きく目立つのは背中の6枚の羽。
ウルガモスのポケモン少女だった。

真希
 「ええ、お終い……だって貴方を捕まえてお終いだもの!」

真希は覚悟を決めた。
これは理不尽な遭遇だ。
真希はいつものようにパトロールをしていた所に、彼女は出没した。
訳も分からないが、街中にポケモン少女が変身した状態で現れたのだ。
真希はこの状況を嫌って、街の郊外に逃げたのだ。
諜報部は戦う部署ではないが、戦わない訳ではない。
まして真希は意外なほど短気な所がある。
戦わずに済むならそれでいい、だが相手にその意思があるなら叩き潰す!

真希
 「私がアギルダー少女と知って来たの?」

ウルガモス少女
 「……お手並み拝見」

ウルガモス少女は飴を口に入れてそう言った。
随分暢気な感じのする少女だ。

真希
 「メイクアップ!」

真希は変身すると、その姿は忍び装束のような黒いドレスに包まれる。
その額には十字傷が浮かび、青色のマフラーは風にたなびいた。

真希
 「何処の誰だか知らないけれど!」

真希はその手に水を生成した。

ウルガモス少女
 「水手裏剣……アギルダーは潤いボディの特性だけど、水タイプじゃない」

真希
 「はぁ!」

真希は迷わず投げた。
と言っても急所は狙わない。
あくまでも相手の羽を狙った。
だが……!

ジュウウウウウ!

水手裏剣が蒸発した。
ウルガモス少女は微動だにもせず、水手裏剣を消滅させたのだ。
ウルガモス少女の力は太陽に等しい、生半可な水は簡単にその熱に飲み込まれる。
これが真正の炎タイプだった。
水技が使えるとは言っても、アギルダー少女は水タイプではない。
むしろその場の空気は乾燥し、真希の身体は悲鳴を上げていた。

真希
 「く……!」

ウルガモス少女
 「アタシは『当てつけ』なの」

真希
 「当てつけ……?」

気になる言葉だった。
それは少女の言葉ではなかった。
では誰の言葉だ?

真希
 (この少女には後ろがある!)

つまりウルガモス少女は単独犯ではない。
誰かが自分にこの少女を当てたのだ。

真希
 「当てつけ……ね」

ウルガモス
 「ん……」

ウルガモス少女が頷く。
その瞬間、真希は色つきの風になった。

真希
 「とりあえず、色々吐いて貰うわよ!?」

真希は一瞬でウルガモス少女の目の前に現れると、その額に虫のさざめきを放った!

真希
 (決まっ……!?)

決まったかに思えた。
音波技は浸透勁のように相手の体内に作用するから、頭部を狙えば脳震盪を狙えるはずだった……。

ウルガモス少女
 「少し、痛い……」

しかし……そのさざめきに全身をやられたのは真希の方であった。

真希
 「か、は……!?」

ウルガモス少女は常に微弱ながら虫のさざめきを全方位に放っていた。
そうすれば安全だと教わっていたからだ。
事実真希はウルガモス少女の前で手を地面に突いていた。

真希
 (く、そ……! 火力負け、か!?)

ウルガモス少女
 「えーと、どうすれば良いの?」

真希
 (え?)

少女はその場で首を傾げていた、だがそれは真希に向けた物ではない。
今なら、真希を焼却するのも容易いであろうに、その余りにものほほんとした態度には真希はキョトンとした。


 『もういい! 帰ってこい燈(あかり)!』

真希
 (インカム?)

真希は見た。
髪に隠れているが、小さなインカムを右耳に装備していることに気が付いた。


 「ん……帰っておやつ食べたい」

真希
 「ち……この!」

真希はなんとかとっ捕まえようとする。
だが、それを阻止する物があった。


 『グラマラスなねーちゃん、そこまでにしてくれない?』

それはハッキングだった。
真希の眼鏡はインカムになっており、諜報部の特注品だった。
並大抵の方法ではハッキングなど不可能。
だが、その声に真希は覚えがあった。

真希
 「その声は……ンアァ!?」

バチバチバチ!

真希のセルフレームの眼鏡が突然電撃を放つ!
馬鹿な、中に充電器を内蔵しているとはいえ、そんな電圧はないのに!?
だが、現実に眼鏡は焼け焦げて発火を始めている!
真希はなんとか眼鏡を投げ捨てると、ウルガモス少女の背中を見た。
既に太陽を背に、その姿は見えなくなっていた。

真希
 「くそ……逃げられた!」

電撃は怯ませる程度であった。
眼鏡が壊れたのは難儀だが、替えはある。
変身を解除した真希は替えの眼鏡を懐から取り出すと、ソウルリンクスマホを取り出した。
それは夜に変わる閨の頃。

きらら、闘子、真希の三人が同時に謎のポケモン少女に襲われたのだ。



***




 「……サザンドラ少女、シロデスナ少女、ウルガモス少女」

連絡が入ったのは夕方から夜のことであった。
きららだけは連絡が取れず困っていたが、まさかきららまで襲撃されていたのは予想外であった。
幸いにおいて三人とも軽症だったが、これは大問題だ。
愛は直ぐに本部に連絡をすると同時に照会を行った。
だが……本部から帰ってきた答えは。


 「確認の取れていないポケモン少女?」

それが本部の回答だった。
そんな事が有り得るだろうか?
ただでさえ数の少ないポケモン少女は一人でも多く欲しい筈だ。
それ程にゲシュペンストは危険で、地球上ほぼ全ての人間が適性テストを受けている筈なのだ。
一人や二人なら、適性テストから漏れる事もあるだろう。
だが……だ。
三人は暴走などしていなかった。
適性が漏れた子はソウルリンクスマホを持ち得ない。
無くても変身は出来るが、それは暴走が付きまとう。
暴走もしない、ソウルリンクスマホも要らない。
そんな稀有な例が三人もいるなんて、有り得るのか?


 (妥当なのは何処かの支部の裏切り?)

でも、それはあり得ない。
ポケモン少女を総括する本部がそれを否定しているのだ。
サザンドラ少女もシロデスナ少女もウルガモス少女も未発見のポケモン少女と解答したのは本部である。


 「……はぁ、嫌な予感がしますよ、本当に」

愛はパソコンの前で項垂れた。
幸いというか愛は襲撃を受けなかったが、これから受けないとは言えない。
愛は余程のことがない限り単独行動をする子ではないが、それでも危険は付きまとうのだ。


 (仮に反ポケモン少女団とでも称しましょうか、彼女たちの目的は何?)

ただ単純に暴れたいだけ?
暴れたいなら、ポケモンバトルに参加すれば良い。
無論組織に属する事になるが……そもそも組織に属していないポケモン少女が存在するのか?


 (この事件……何か裏がありそうなんですよねぇ)



ポケモンヒロインガールズ

第15話 襲撃 完

続く……。


KaZuKiNa ( 2020/02/02(日) 21:59 )