突然始まるポケモン娘と○○○する物語





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突ポ娘 サイドストーリー
太陽の章 シャイニング、太陽よ輝いて

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・夏川が遂に決断した!
選ぶべき一生の伴侶、その横に立つPKMとは一体?
果たして夏川にバラ色の生活は訪れるのか?

突ポ娘 サイドストーリーズ
太陽の章 シャイニング、太陽よ輝いて



夏川
 「むぅ……」

俺の名は夏川慎吾(なつかわしんご)、一般では普通のIT系会社員であり、人は俺をポケモンマニアだと知る。
そんな誰よりもポケモン娘を愛する俺だが……進退窮まった!
それと言うのも目の前の二人が問題なのだが、二人は元々仲も良かったとはいえ、最近ある共通点を得た。

大城
 「さーて今日も愛しの奏の為に働くか〜!」


 「惚気てるなぁ」

大城
 「いや、しかし運命ってやっぱりあるぜ。俺が結婚出来たんだもんなぁ!」


 「……まぁ運命ってのは理解できるか」

身長が高く、どちらかというと身体も鍛えられた大城と、仕事は出来るが目つきが悪く、やや人付き合いが悪い常葉、この二人にはそれ程共通点はない。
だが、俺は大変焦っている。
大城は毎日メロエッタの奏ちゃん相手に惚気話をするし、常葉はいつも美人のPKMに囲まれて羨ましすぎるハーレム野郎だ。

夏川
 (予想外だった……一番無いと思っていた大城が保護責任者になるなんて……)

常葉も今の所浮ついた話は聞かないものの、ぶっちゃけて怪しい。
絶対事実婚状態だよなぁ。

紅理朱
 「な、夏川君、顔怖いよ?」

夏川
 「嫉妬の炎は父心ですから……!」

そう、あんまり気にしすぎても仕方がないのだ。
理解はしているが焦りは消えない。
そのまま仕事を続けるも、常葉に勝てないのは当然にしても、大城にも仕事効率で負けている。

夏川
 (これが……嫁補正か!?)



***



とはいえ、個人にノルマは設定されていない。
それぞれが出来る分量で仕事を進める中、お昼休みが始まった。

夏川
 「大城ー、コンビニで済ませようぜ〜」

俺はいつものように大城を外に誘う。
しかし大城は、ここでさえもその人生勝ち組の余裕を見せつける。

大城
 「ふふふ、夏川よ……これを見ろ!」

大城はそう言ってバッグから可愛らしい弁当包みを取り出した。
それには俺のみならず他の社員まで、その神々しさに後ずさった。

夏川
 「ま、まさか貴様……それは伝説の!?」

大城
 「そう! 愛・妻・弁・当!」


 「もう行っていい?」

いい加減リア充の常葉がウザがっているが、このコントは問答無用で続いた。

夏川
 「女房恋人の名を言うときってのはなぁ……現地の兵隊が甘ったれている証拠なんだよぉ!?」


 「え? なんで?」

夏川
 「チクショウ!? 大城とついでに常葉も豆腐の角に頭をぶつけて死んじまえ―!」


 「俺はついでか!?」

大城
 「ふはは! リア充は爆発などしないのだー!」

俺はサイフを握りしめて逃げるように仕事場を去った。
よもや大城があそこまでリア充に変化するとは……。
これまで常葉だけならハーレム野郎だったで問題なかった。
常葉は幸せオーラを振りまかないし、いつもPKMの事で頼ってくれた。
だが大城は違う! これ見よがしに幸せオーラ全開にして、独身の憎悪を増やす存在になっている!
……実際大城は結婚願望を度々口にしていたから、これがその結果だが、やっぱりアイツだけ幸せになるのは我慢ならん!

夏川
 「はぁ……しかしいくらディスっても俺の心は晴れんし……」

俺は会社を出て、気が付いたら最寄りのコンビニも通り過ぎてとぼとぼ歩いていた。


 「夏川さん?」

夏川
 「え? あ……福さん!」

突然珍しい場所で出会ったのはピンクの髪と垂れた聴診器のような耳が特徴的なタブンネのPKM福さんだった。
ここから少し離れた場所で保護責任者のだんなさんと一緒にパン屋を経営している。
相変わらず薬指に輝くダイヤモンドの指輪が、その仲を証明しているようだ。

夏川
 「どうしたんですか福さん、この時間じゃお店が忙しいんじゃ」

開業当時美人のPKMが接客する葵ベーカリーはブームに乗って大繁盛した。
一過性のブームは過ぎたが、今でも福さんが接客する葵ベーカリーはそこそこに混雑を見せている。
俺はそんな繁忙期にお店を離れている事に不思議に思っていると。


 「実はね……私専門学校に通っているの」

夏川
 「学校……!」

そう、年末年始にかけてPKM法が改正されたのだ。
これによって社会でPKMが活躍できるようになって、今年からPKMでも募集する学校が現れた。


 「ちゃんとパンを作れるように、お勉強したくってね……夫も応援してくれたのよ?」

技能を持っていると、持っていないでは違う。
福さんはまだまだ若いし、本当に人生を真っ直ぐ進んで羨ましい。
ネットのコラムでも色んなPKMの活躍が連日記事になっている。
大手建設業に就職したキテルグマ、アメリカで論文が掲載されたミカルゲ、少し古いが冬コミで伝説になったピジョットなんてのもいたっけ。


 「夏川さん……少し失礼しますね?」

福さんの耳は普段巻き付けられており、垂れた耳という程度だが、真っ直ぐ伸ばすと1メートルを越える。
その耳の先端を俺の心臓の部分に当てた。
俺はドキッとするが、彼女はヒヤリングポケモン、その耳を使って相手の体調や心理状態を理解する優しいポケモン娘なのだ。


 「悩み……不安、焦燥? 焦っているのですか?」

夏川
 「ええまぁ……」

福さんは耳を巻き戻すと、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
純粋に人が良すぎるから、自分の事のように思ってしまう。
俺はそれが複雑で福さんから目を背けてしまう。


 「……私ではお力になれないでしょうか?」

夏川
 「ごめんなさい……福さんじゃ」

福さんは俺にとって眩しすぎる。
遠目で見るのが丁度良くて、近すぎると眩んでしまう。
福さんはそれ以上は追求せず、会釈だけすると「また葵ベーカリーに寄って下さいね」と残して去って行った。

夏川
 (福さんは人が良すぎて、恋してしまいそうなんだよな……)

だけどそれは流石に不義理だ。
俺は俺で相手を見つけないといけない。



***



カチ、カチカチ!

俺は仕事の合間にパソコンを使ってPKM保護センターの情報を獲得していた。
最近は一時期の爆発的流入も終わって、徐々に保護リストは減少傾向にある。
それでもたまに新入りが入っていたりするんだよね。

夏川
 (この子結構可愛い……何々? ユクシー? 準伝までいるの?)

極めて稀だが、たまに伝説のポケモンも登録されていたりするんだよね。
だからといって俺が求めるのは一生を共に過ごせる子だ。

夏川
 「はぁぁぁ……」

俺は深く溜息を吐いた。
そもそも顔写真と簡素なプロフィールで理解するのは無理なんだよな。
そう大城だって奏ちゃんと出会えたのは病院でだし、常葉なんて運命の出会いし過ぎだし、結局今幸せな奴って、ガチに運のいい人達なんだよね。

大城
 「ふんふんふ〜ん♪」


 「結婚してからキモいな」

大城
 「ほざけ、俺は人生絶頂なのだ!」

二人の仕事風景を見ていると、なんだかんだで二人とも充実している。
俺より慎重派だったはずの大城が、電撃結婚して俺はいつも通りPKMの情報を漁ってばかり。
劣等感……とでも言えばいいのか、複雑な思いはしている。
だけど決して離婚しろとか、そんな風には思っていない。
末永く幸せにはなって欲しいし、きっとなるだろう。
ただ、俺だけ運悪く置いてきぼりなだけだ。



***




 「大城! たまには一杯どうだ?」

仕事終わり、珍しいことに常葉が飲みに誘っていた。
しかし大城は手を横に振って、和やかに断った。

大城
 「悪ぃな! 嫁が心配するからさ!」

夏川
 「カッコカリの癖に〜」

大城
 「カッコカリを付けるな! ケッコンカッコカリならレベル175まで上限開放! 奏の戦闘力は神を越えるぞ!?」


 「経験値何千万いるんだよ……」

経験値以前に恐らく奏ちゃんはまずレベル100ですらないと思うが……。


 「まぁ夏川もあんまり噛みつくな、そのうち落ち着く」

大城
 「やだねー、達観してさ。もう何人孕ませたんだよ?」


 「人聞きの悪いこと言うな!」

夏川
 「はぁ……お疲れ、先帰るわ」


 「ん? ああ、お疲れ〜」

俺はなんだかどっと疲れると、タイムカードを切って家へと向かう。
春……と言っても四月で、どこも新学期で忙しい時期。
とはいえ社会人にはなんらいつもと変わらない時期でもある。
強いて言えば衣替えの季節、まだ冬着の者もいれば、逆に夏着の者もいる。
ガタンゴトンと電車に揺られ、同じように疲れた顔の社会人たちに揉まれる。
こんな嫌すぎる生活でも、俺を支えてくれたのはやっぱりPKMだ。
今日もPKMの動画でも見て、安いスーパーの惣菜で晩ご飯を済まして眠る。
嫌いではないが、新鮮さもない毎日だ。

それでも……そんな日が1週間は続いた。



***



夏川
 「はぁ〜、今日も大城は惚気るし……アレ何日続くんだろう?」

いつものようにお昼休み、俺は寂しくコンビニへと向かう。
大城の幸せの絶頂はいつまでピークなんだろうと辟易しながらも、その幸せさは羨ましい。
とはいえ簡単に得られる物でもないし、俺は適当に弁当コーナーを見ていると、なにやらレジが混雑していた。


 「アレ? ちょっと済まん! 銭落としたか?」

夏川
 (うは……! なにあれ凄い爆乳!)

レジに立っていたのは真っ白い袖なしのシャツと作業用の分厚いズボンを穿いた長身のガテン系お姉さんだった。
鬣にも見えるふさふさの毛は金色で、しなやかなマッシブさというか、一目で強そうと分かるタイプだ。
だがそれよりも凄いのがその隠す気も無い胸! 伊吹ちゃんや華凛ちゃんに匹敵する!?


 「う……やばい、盗まれたかな?」

どうやら、ポケットにサイフでも入れていたのか、それを探しているようだが見つからなくて困っているみたいだ。
世紀末なら覇者にでもなれそうなお姉さんも現代社会では役に立たないらしい。

夏川
 「あの、良かったらこれ……」

俺は千円札を差し出すと、女性は目をキラキラさせた。
いや、よく見るとこの人の瞳、宇宙みたいに瞬いている?


 「う、おおおおおお! 感謝するぞ人の子よぉ!!」

そう言うと爆乳の宇宙的瞳女性は俺に熱いハグをしてきた。
どうやら感情的に動くタイプらしく、人目は特に気にしないようだ。


 「俺はソルガレオ! 人の子よ! 名は!?」

夏川
 「夏川、慎吾……」

俺(身長170センチ)より大きい女性の威圧感は半端ない。
と言うか……ソルガレオォ!?

夏川
 「な、なんで伝説のポケモンがコンビニに!?」

ソルガレオ
 「はっはっは! まぁ話は店を出てからにしようじゃないか!」

その超豪快お姉さんはヒョイッと俺を脇に抱きかかえると、そのままお釣りも受け取らずにコンビニを出ようとする。

夏川
 「わわ! お釣り!」

俺はなんとか店員からお釣りを受け取るとそのまま、豪快お姉さんに拉致されるのだった。



***



豪快お姉さん、ソルガレオは年末のクリスマス頃に顕現したらしい。
かつては神の十柱に数えられたらしいが、それも解散となり人の子として生きることを命じられたらしい。
だが、この豪快お姉さんは、全く不器用な事に日雇い労働でなんとか過ごすド底辺の生活をしていた。
聞いて驚くのは時給650円という、最低賃金割ってんぞこの野郎という事実。
挙げ句本人がまるで細かいことを気にしない(メタルプロテクトの性?)ため、お金の使い方も非常に荒いのだ。
自分が最低水準の生活をしていることに気が付いているのか、分からないがお姉さんは豪快に笑って済ましてしまう。

ソルガレオ
 「慎吾か、ヘタレそうな名前だな!」

夏川
 「俺って進歩ねぇー!?」

いきなり理由もなく名前をディスられる。

夏川
 「そう言うソルガレオさんだって、個体名で名無しと変わらんじゃないですか!?」

俺はムッとして反論すると、ソルガレオ姉さんは腕を組んでうーんと空を見上げた。
日輪ポケモンのソルガレオ、一説ではコスモッグの♂の姿とも言われるけど、お姉さんを見る限り男性ホルモンは確かに多そうだ。

ソルガレオ
 「ならば慎吾よ、お前が俺の名を与えよ」

夏川
 「え? 俺が?」

ソルガレオ姉さんは正面から見ると某ライダーの英霊みたいな髪型もあって、非常に豪快に見える。
満天の笑顔は、細かいことなど全く気にしないのだろう。

夏川
 (ソルガレオ、日輪……○イターン3……いやいや!?)

ソルガレオ
 「ふふ」

気が付くと、ソルガレオ姉さんが妖艶に微笑む物だから、俺はドキッとしてしまう。

夏川
 「天海(あまみ)ってどうです?」

ソルガレオ
 「夏川天海か……悪くない。ミルキーウェイというのもいい感じではないか」

夏川
 (そういう解釈はなかったが……天に夏の川、天の川は夏の海のよう……か)

天海
 「うむ! それでは俺はこれから天海と名乗らせて貰う! よろしくな慎吾よ!」

夏川
 「はい?」

気が付いたらソルガレオ姉さん……もとい天海姉さんが俺の前で膝をついた。
その様は騎士か何かのようにも思え、もしかすればその神の十柱の頃はこういう人だったのかな?

天海
 「さぁ慎吾よ! まずはどうする!? 男らしく世界征服でもしてみるか!?」

夏川
 「しないから! 後なんで急に態度を変えたわけ?」

少なくとも命名前までは天海姉さんと俺は対等だった。
所が、命名した瞬間何でか彼女が俺を立てようとしている?
しかし天海姉さんはあっけらかんと言うが……。

天海
 「名を与えると言うことを主従を組むという事だぞ? 知らんかったのか?」

夏川
 「は!? そんなの初耳!? ていうか主従って!」

天海
 「俺はこれでもお前を気に入ったから、主人として認めたのだぞ? ほら! 堂々としろぉ!」

そう言うと天海姉さんは俺を肩車する。
俺は慌てて天海姉さんの上でバランスを取る。

夏川
 (これって天海姉さんを下に……っ!?)

あまりにもエロい妄想に自粛する。
兎に角この人は、俺の理想する女性とは真逆だった。
俺とは違ってムキムキで身長が高くて、そしてオタクの俺とは真逆の豪快体育系。
だけどそんな事さえ、天海姉さんには些細な事なのかもしれない。



***



ザワザワ、ザワザワ。

なんとかお昼を食べ終えて仕事場に戻ると、当然職場は大騒然と化した。
理由はまぁ分かっている。

天海
 「ここが慎吾の働く場所か!」

大城
 「でけぇ……アレ誰だ?」


 「どこかで見た気が?」

夏川
 (押し切られた……)

天海姉さんはいたく俺を気に入ったらしく、俺に付いてきた。
俺は天海姉さんをオフィスに入れるのは阻止したかった。
だが、持ち前のデバフ無効っぷりで突き通された。
結果、俺の最初のPKMとなったソルガレオの天海姉さん、持ち前の豪快っぷりで俺をどこまで振り回す気だろう。

天海
 「ん? 慎吾との関係? ご主人とペットとか?」

夏川
 「ちょー!? 何言っちゃってんのー!?」

夏川慎吾の周りの心証が50下がった!



***



行く先々で大騒動を起こす天海姉さん。
家へ帰るのがこれ程鬱になるのは初めてかもしれない。
ウチは家族と一緒に住んでおり、お袋は早速天海姉さんと会うと。

お袋
 「あらまぁ! 外人さんかしら? 大きいのねぇ〜!」

天海
 「今日からこの家でお世話になる天海と申します!」

意外にも礼儀正しくお袋に会釈すると、お袋は気をよくしたのか手を口に当てて笑っていた。
ていうか、お袋PKMって気付いてない?

夏川
 「その人、PKMだよ。外人さんじゃないから」

お袋
 「あらそうなの? まぁウチのどら息子を宜しくお願いねぇ?」

天海
 「お任せを! とりあえず先ずはその華奢な体の改善からだな!?」

夏川
 「お袋は敬うのに、なんで俺にはそういう態度!?」

こうして……嫌にマッシヴなPKMが我が家にホームステイを始めた。
頭は悪いが馬鹿ではない天海姉さんはお袋にも気に入られ、同棲生活はなんだかんだで始まる。
とはいえ徹底的に陽の人物である天海姉さんは朝一俺を起こして、ランニングに付き合わせるし、夜は速くて、たまに俺を抱き枕代わりにしてしまうような人だ。

俺が欲しかったのはもっとイチャラブ出来る嫁だったんだが、しかしまぁ……嫌いではない。
いつか本当に好きになれるんだろうか……?



突ポ娘 サイドストーリーズ
太陽の章 シャイニング、よ太陽よ輝いて end


KaZuKiNa ( 2019/07/16(火) 15:43 )