第34話 集まる意思たち
突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語
第34話 集まる意思たち
永遠
「く……ここは?」
私は激昂し、ギラティナに殴りかかるも、彼女の破れた世界にボッシュートされてしまう。
しかしそれも直ぐに別の場所へと跳ばされ、今度は無骨な鉄筋のバトルフィールドだった。
永遠
「茂君は? 良かった……そんなに離れてないわね」
私は時の結晶を目印に茂君がどこにいるのか探ると、それは少し上の方にいることを確認した。
どうやらかなり地下のようね。
とりあえずどうやって戻るか……そんな事を模索していると、私は空間の異常を直ぐに確認した。
永遠
「この感じ……パルキア! 近くにいるの!?」
私はどこともなく叫ぶ。
すると目の前10メートル程離れた場所で、彼女は突然現れた。
パルキア
「……」
永遠
「パルキア?」
パルキアはぐらりと腕を降ろしたまま、その場に俯いて立っている。
私はそばに寄ろうとすると。
フーパ
「駄目だ! それ以上近寄るな!」
永遠
「えっ?」
それは真後ろで叫ぶフーパだった。
私はそちらを振り向いた瞬間、なぜフーパが止めたのかを理解する。
パルキア
「う……ああああああああ!!!」
パルキアが顔を上げると咆哮を放つ。
すると空間はぐしゃぐしゃとねじ曲がり、破砕していく。
私は咄嗟に離れたが、パルキアの突然の暴走に戸惑うことしか出来ない。
永遠
「何これ? 一体どうしたのよ!?」
フーパ
「ダーク化させられたんだ! だがまだ洗脳が浅い、今なら取り戻す事も可能なはずだ」
ダーク化、私はその言葉に歯ぎしりをする。
ギラティナは実の姉をなんだと思っているの!?
あの子が破れた世界でどうなったかは分からない。
だけど、もう許せないわ!
永遠
「パルキア! 絶対にアンタを助けるから!」
私は時の力を集め、パルキアと対峙する。
ある程度暴走したパルキアは今度は私たちに目線を合わせる。
その顔は目が血走っており、元の優しい姿はみじんも無い。
パルキア
「あああああ!?」
パルキアが乱暴に手を振るうと、空間が幾重にも切り裂かれる。
それは頑丈そうなフィールドさえもズタズタにするものだった。
私は突っ切って、パルキアをぶん殴りに行く。
しかしパルキアの暴走は激しい。
フーパ
「ち……! これはアタシでも捌ききれない!?」
フーパは私の傍でなんとか空間の歪みを抑えようとはしてくれているが、フーパの力では空間の神には及ばない。
永遠
「パルキアー! 目を覚ませー!」
私はパルキアをグーで殴った。
しかし私の拳はパルキアに届かない。
何十層にも重ねた空間の歪みがたった数センチのパルキアの顔を果てしない遠さにしてしまっている。
パルキア
「! あああ!」
フーパ
「やばい!? 直ぐに手を引っ込め!」
フーパは慌てて、リングを使って私を少し後ろに転移させる。
その直後、私のいた空間が削り取られる。
フーパの判断が遅かったら即死していたかも。
永遠
「けど、明らかに私より力が上がってる? 全然対等に思えないんだけど」
フーパ
「リミッターが設定されてないからな、現実に与える影響なんて完全に無視してりゃ、バランスは崩れるさ」
現実に与える影響、それは如実に現れている。
このままだと茂君がいるエリアにまで被害が及ぶかもしれない。
永遠
「フーパ、貴方なら届く?」
フーパ
「不可能じゃないけど……難しいね、あそこまで出鱈目だと」
パルキアは空間を幾重にも重ねたり、それを壊したり行動に一定性がない。
まさに暴走、だけどそれがチャンスでもある。
永遠
「フーパ! リングをパルキアの最短距離に! 龍の波動! 届けぇ!」
私はフーパの開けたリングに龍の波動を放つ。
それはパルキアの防御膜の内側からの攻撃、パルキアの上半身が龍の波動に覆われ爆発する!
直後!
永遠
「やった……ぐふぅ!?」
フーパ
「うあっ!?」
パルキアに龍の波動が被弾するも、フーパのリングを経由して相手の見えない攻撃が私たちに襲いかかる。
私は片膝をつき、フーパも真後ろに大の字で倒れた。
一方でパルキアはただ咆哮を上げる。
フーパ
「くそ……向こうは痛覚なんて機能してねぇから無茶やるねぇ!」
永遠
「ああもう! 相打ちじゃ向こうの勝ちってこと!?」
私たちはパルキアの見えない攻撃に反応しながら後ろへと下がる。
距離20メートル、向こうに取っちゃあんまり関係の無い距離でしょうけど。
永遠
「どうしたものかしら?」
フーパ
「アタシが渡した石、ちゃんと持ってるよな?」
永遠
「この琥珀色の石?」
神である私も見たことがない。
ただ普通じゃない事だけは理解できる。
フーパ
「その石持ってただ信じろ、茂君をな!」
永遠
「え?」
そんな話も束の間、パルキアはその場から動かず攻撃を繰り返す。
亜空切断、そんな大技をなんのモーションもかけず放ってくるのだから恐ろしい。
永遠
(信じろって信じているわよ! 一体どういうこと!?)
私は兎に角的にだけはならないように時を弄くって回避する。
フーパも別の方向に逃げ、私は自問自答した。
パルキア
「ディア……る……!」
永遠
「え!? パルキア意識が!?」
パルキア
「が……あああああ!?」
私は油断した。
この戦いでその一瞬の油断がどれ程恐ろしいのか知っているにも関わらず。
パルキアは腕を空間転移させて、私の足を掴んで逆さまにする。
永遠
「しまっ!?」
パルキア
「あああ!?」
パルキアはそのままその場でケンカキックを放つ、それは空間を離れた私に直接蹴りのダメージが届き、私は胃の中の物をリバースしてしまう。
フーパ
「ち! 今助ける!」
フーパがリングを跳ばすと、パルキアの腕を外してくれた。
私は地面に着地するが、まだ目眩がしてくる。
永遠
(くそ……届かない! あの子はあんなに近くにいるのに、まるで時をどこまで加速させても届かない位置にいるみたい!)
フーパ
「ああもう! アタシが血路を開く! 後はアンタでなんとかしな!」
フーパはそう言うと大きくリングを広げ、最大限の力を発揮しようとしているようだ。
私はなんとか立ち上がろうとすると、フーパは後ろから見えない力に背中を捕まれる。
フーパ
「くぅぅ!?」
永遠
「フーパ!?」
フーパの力では空間全てを覆えるわけではない。
リングの力は確かに限定的ながらパルキアを超える力がある。
でもここはパルキアの空間、ここではフーパも無謀だと言える。
フーパ
「馬鹿……! さっさとパルキアをなんとかするんだよ!」
フーパは力に抗いながらもリングだけは維持し続けている。
恐らくリングを増幅器にしたのだろう。
永遠
(くそ……茂君! 私はどうすれば!?)
その時、フーパの渡した石が熱く光り輝いた。
私は驚いたが、そこから感じる茂君の熱に背中を押された気がした。
永遠
「力が……!?」
フーパ
「共鳴(バースト)だ! お前の最大の技をぶち込めぇ!」
永遠
「バースト!?」
私は全身に巡る凄い力を最大限に出力を上げる。
身体が悲鳴を上げそうな力をフーパの展開するリングに!
永遠
「パルキアー! 私の声を聞けー! バースト奥義! エターナルソングブラスト!」
私は自然と出たそんな言葉、時の咆哮を超えたZ技にも匹敵する技を放つ!
それは時の声となってリングを通過し、パルキアの滅茶苦茶に作り替えた空間を悉く破壊する!
パルキア
「うあああああああ!?」
それはパルキア自身にも多大なダメージを与える一撃だった。
パルキアが乱した空間は正常になると、荒廃としたバトルフィールドに倒れたパルキアの元に直ぐに向かう。
永遠
「パルキア! しっかりしなさいよ!?」
パルキア
「う……酷いなぁ、ディアルガ」
永遠
「パルキア!? アンタ!」
パルキアは目を開けると、優しい顔に戻っていた。
私は大粒の涙をこぼしながらパルキアを抱きしめる。
パルキア
「いた、痛いよディアルガ……!」
永遠
「我慢しろ馬鹿! 馬鹿ぁ……!」
パルキア
「ごめん」
パルキアは動けないほどボロボロだ。
さっき放った技は強力すぎた……パルキアの空間内でなかったらこの施設が崩壊していたかも知れない。
ある意味で何百層にも歪め固めた次元断層のお陰でこの程度で済んだと言える。
フーパ
「お熱い所申し訳ないけど、もう1戦ある訳よ?」
永遠
「ギラティナ! パルキア……ここで大人しくしていなさい」
私はパルキアを離して立ち上がるとまず茂君の気配を探す。
パルキア
「ボクも……行くよ。走りながらでも治癒は出来るから」
永遠
「アンタ、でも……!」
パルキアはかなり無茶な力の使い方をした性でしばらく空間を弄くるのも難しいはず、しかし彼女は気丈に笑う。
フーパ
「アタシが治療に力を貸してやる、3人で行くよ」
フーパはそう言うとリングをパルキアに通し、パルキアに何かを装着させた。
フーパ
「とりあえずパルキアには肉体補助、それにしても永遠も結構姉馬鹿だねぇ」
永遠
「……う!」
言われてみれば、パルキアやギラティナの事になるといつも感情的になってしまう。
でももうギラティナは許さない!
泣いて謝ってもゲロ吐きながら平謝りするくらい絞ってやる!
永遠
「行くわよ二人とも! 馬鹿な妹を更生させてやるんだから!」
フーパ
「因みに修正してやるは、ハラスメントで訴えられるから気を付けてね〜?」
パルキア
「言葉で説得できるかな?」
永遠
「Low of the west!」
パルキア
「西部の掟?」
フーパ
「多分私がルールだ、と言いたいんじゃない?」
***
ギラティナ
「今から行くのはこの施設の心臓部、メインルームだよ」
茂
「そこで決着を付けるのか」
俺はギラティナに誘導されて、洋館の地下へと進む。
地下は予想通り○ンブレラ社の某洋館の如く要塞然としている。
前の世界線で利用したシェルターにも似ており、同じ系列組織だと分かる。
茂
「それにしても核シェルターでも兼ねてるのか? 随分降りていくが」
俺たちはエレベーターシャフトを利用しているが、既に地下20階は下らない気がする。
ギラティナ
「良く気付いたね。その通りここは核戦争を想定して建造された製造能力を持つ完全自立型シェルターだと言える」
製造能力って、さながらスパロボのアースクレイドルみたいだな。
しかしこれだけ巨大ならそれだけ大規模な事も可能なんだろうな。
改めて、よくまぁこう軽く1世紀は未来技術を有した組織が今日まで姿を隠してたもんだ。
近未来から下手すりゃ遠未来に匹敵するテクノロジーはゲートの産物だとかつて聞いたが、それだけでも無いんだろうな。
茂
「それにしたって規模の割りには誰もいないよな」
アグノム
「兵士は最低限の200名しかいませんし、後は研究員が20名程、殆どは人工知能が賄ってくれますから」
茂
(監禁された所も同じだったが、本当に省エネな組織だな。俺にやたらご高説してくれた顔の見えなかった男も、もしかしたら人工知能だったり?)
なんとなくSF技術に思えるものの、一般にもそれなりの人工知能は出てきたしな……、製造ロボット系は日本じゃ世界トップクラスに発展してるし。
ドォン! ドォォン……!
茂
「なんだ? 下から揺れが……」
ギラティナ
「皆暴れてるねぇ、ディアルガじゃないかな?」
なんてのほほんしているが、神が大暴れしたらこの施設でも保つんだろうか?
ギラティナなら破れた世界に逃げ込めば問題ないかもしれんが、永遠クラスが本気で暴れたら地球が危ない気がしてならん。
ギラティナ
「着いたよ……地下450メートル、メインルームに」
***
茜
「あれは……?」
私は施設内を走って、ご主人様との合流を目指す。
とはいえ方向も分からないまま施設を彷徨うも、広大な広さがある割に敵と遭遇する事も無かった。
そんな中、私はようやく十字路で家族と合流を果たす。
伊吹
「あ、茜ちゃん〜! 無事だったんだねぇ〜」
茜
「伊吹も……大分傷付いているみたいだけど」
私はとてとてと敵地とは思えない遅さで走る伊吹と合流する。
伊吹は格好もボロボロで、かなりの激戦を予想する。
伊吹
「切り傷……」
茜
「大丈夫、伊吹よりは軽症だから」
伊吹は私の切り傷を見て心配してくれるが、私は伊吹の方が大ダメージに思う。
まぁ伊吹はそういう優しさで出来ているから、どんな事でも心配しちゃうんだと思うけど。
茜
「とりあえず合流できたっていう事は……」
私達が合流したのは十字路、どちらへの道が正解か考えていると更に足音が迫る。
保美香
「あら、やっと合流と思ったら、お二人だけですか?」
伊吹
「あ〜、保美香がそっちから来たって事は〜」
私たちは残り一方の道を見る。
このまま進んでいけば、ご主人様と合流できるだろうか。
この先に待っているのは罠?
だけど私はもう迷わない、例えどんな罠があっても必ず勝ってみせる。
***
永遠
「あれは……?」
私達は茂君の居場所を確認しながら突き進むと、途中で大きな通路に出た。
そこには同じ道を行く先行した仲間を発見する。
凪
「そこにいるのは……永遠!」
ジラーチ
「フーパ、どうやら無事終わったみたいね」
華凛
「そっちにいる小さいのがパルキアか」
パルキア
「お、大きい……」
向こうに居たのは凪に華凛とジラーチ。
こっちはパルキアとフーパが居るから一気に大人数になったわね。
永遠
「道に迷っているのかしら?」
ジラーチ
「そんな訳ないでしょ」
華凛
「ダーリンと合流したいのも事実だが、まずはここのふざけた研究所を叩き潰すつもりでな、それを探している」
凪
「私も華凛と同感だ、一先ず二手に分かれるべきかと思ってな」
成る程、確かにそれは放っておけないわね。
私はパルキアをあのように改造した組織を許すわけにはいかない。
その矛先はギラティナに向けていたけど、ギラティナ一人でパルキアをダーク化したとも思えない。
永遠
「パルキア、皆の位置は分かる?」
パルキア
「どうやら一カ所に集まりつつあるね、今なら即時ギラティナに奇襲をかけることも出来るよ?」
パルキアも走りながら回復を行う中、徐々に本来の空間の神としての力を取り戻しつつある。
とはいえ相手はギラティナ、まだ得体の知れない部分もあるだけに万全を賭したい。
永遠
「パルキア、一度皆と合流しましょう」
パルキア
「うん、分かった」
パルキアなら個別管理でそれぞれを特定の場所に送ったり、集めたり出来る。
フーパ辺りは「自分でも出来る」と不満そうだが、広範囲を覆えるのはパルキアの方だからね。
パルキアは目を瞑って、数十秒待つと全員の検索を終え、転移を行う。
パルキア
「跳ぶよ!」
***
通路と通路を結ぶ大きなドーム。
鋼鉄とコンクリートで固められた無骨なそれは他のバトルドームと同様だ。
茜
「……皆?」
突然パルキアの声が聞こえたと思うと、私は全く別の場所に転移する。
見ると、伊吹はもとよりそこには全員が揃っている。
美柑
「皆さん、無事のようですね」
伊吹
「皆ダメージあるね〜……」
茜
(確かに、ギラティナを前に消耗している)
私は皆の傷を見て、決して楽な戦いではなかった事を物語る。
しかしあまり時間もかけられない。
ギラティナの真意が分からない以上、いつ最終戦争を始めるかも分からない。
ご主人様が望むものも完全勝利、だからギラティナに戦争を始めさせるわけにはいかない。
フーパ
「はいは〜い、こういう時はあたしの出番〜!」
フーパは次々と皆をリングに通すと、皆の傷を癒やしていく。
ジラーチ
「フーパ、アンタ消耗してる?」
フーパ
「そりゃ、こっちは死にかけたからねぇ」
本来なら即時全快も可能であろうフーパの能力低下にジラーチが訝しむと、フーパも疲れ顔で物語る。
フーパをあそこまで消耗させたなんて、それだけの激戦もあったのね。
華凛
「皆、私は凪と共に研究所の方に向かう」
茜
「研究所……」
フーパ
「よし、それあたしも乗った」
ジラーチ
「アンタ楽しようとしてるでしょう?」
フーパ
「さぁ〜? 何の事やら〜?」
マナフィ
「それじゃ空気読んでウチもそっち行こうか〜」
永遠
「なら、ギラティナを叩きに行くのは私とパルキア」
茜
「私も」
美柑
「ボクもそっちにします」
保美香
「……だんな様のこともあります、わたくしもギラティナの方に行きましょう」
伊吹
「……うん。アタシもそっちに行くよ〜」
伊吹はかなり考えたようだが、これで全員の行き先が確定した。
ギラティナを倒さなければ世界は滅ぶ。
でも、この組織が持つ力もまた、今後に禍根を与えるだろう。
華凛
「茜……ダーリンを頼むぞ」
茜
「……うん。絶対に護る……ううん、幸せにしてみせる!」
***
ギラティナ
「ほう、二手に分かれるか」
ギラティナはメインルームで逐一基地の情報を集めている。
どうやらそれによると家族は一度集合すると二手に分かれたらしい。
ギラティナ
「いやはや、全員を相手にするのはしんどいからラッキーだけど、これは舐められたかな?」
茂
「ギラティナもあんまり家族を舐めるなよ」
俺は敢えて警告のように放つ。
ギラティナは表情を変えて言った。
ギラティナ
「別に舐めちゃいない。でも世界を天秤に賭けたんだ、それこそ全世界の人間やPKMをね……その覚悟を侮られるのは気分が悪いね」
ギラティナもその顔は既に優しい女性の顔ではない。
これから戦いに向かう、覚悟を持った戦士の顔だ。
俺は改めて伝説のポケモンの威圧感を感じる。
茂
(追い詰められているのはギラティナの筈だ……だがそう感じさせない威圧感はあるな)
ギラティナ
「もうすぐ戦場になるから、茂君には避難の準備を」
茂
「お前は死ぬ気じゃないよな?」
俺はふとそれを聞いてしまう。
するとギラティナは少しだけ哀しそうな顔をして。
ギラティナ
「誰だって死にたくはないよ……神だってそれは変わらない」
茂
「なのに戦うのか」
ギラティナ
「そうしなければ、神々の黄昏には至らないから」
神々の黄昏、終末の最後を飾る大イベント。
だが、俺は未だその本質を知らない。
茂
「ギラティナ……」
ギラティナ
「ティナって……一度も呼んでくれないんだね」
茂
「名前は呪いだ、最近は不用意にそういうのを使うのは止めてる」
ギラティナは「そっか」と呟くと残念そうな顔をした。
俺自身ギラティナをどちらかというと好意的に捉えている。
だからこそ、それでも戦わないといけないことが辛くもある。
茂
(家族の無事とギラティナの無事をどっちも望む……我ながら贅沢なものか)
突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語
第34話 集まる意思たち 完
第35話に続く。