突然始まるポケモン娘と○○○する物語 - 第三部 突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語
第10話 虐待

突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語

第10話 虐待



 「………」

家に帰ってきたのはもう8時になっていた。
心配になって玄関で茜が抱きついてきたのが印象的だったが、俺の心はそこにはなかった。
思いついたのはハニーさんと御影さん。
俺にはハニーさんが分からない。
あんないい人が虐待の対象になっているのか。
どうして御影さんが現れた時助けを求めなかったんだろう。


 (俺に何が出来るかって、そりゃ何も出来ないかもしれないけど、さ……何かすることも否定したら、俺を否定しちまう)

無力だからって何もしないで良い訳じゃない。
無力さに打ちひしがれるより、何が出来るのか探したい。

保美香
 「だんな様……」

俺は部屋のベッドで横になっていると、静かにドアを開けた保美香が心配そうに部屋を覗き込んでいた。


 「保美香か? 一体どうした……」

保美香
 「ご主人様、わたくたちはご主人様が何も言ってくれなければ何も分かりません、ですがご主人様が何かを抱えているのは分かりますわ」


 「っ!  俺は……」

保美香の言葉が不思議なほど、俺の胸に響いた。
俺が何も言わなければ、保美香たちでさえ何も出来ないそれは正に今ハニーさんに待っている状況そのものだ。


 「……保美香、俺に力を貸してくれ」

保美香
 「だんな様?」

結局俺は何も出来ない。
でもそれは俺一人ではだ。
結局、問題の解決ってのは色んな力を集めなければ、何も出来やしない。
それでも、結局俺は諦めたくなかった。

保美香
 「……畏まりました。なんなりとご命令を」

保美香は最初こそ少し驚いたが、直ぐに安心したように頷いていつもの表情を見せた。
まだそれで何が出来るのか分からない、それでも何かしなければ何も始まらない。



***



真莉愛
 「梔子(くちなし)さん、どうかしら……この件」

私は夜ある居酒屋で、知り合いの刑事と会っていた。
部屋は個室で、密談するには最適って所ね。
PKM問題に取り組むより依然、私が検事として働いていた時からの友人で、歳は30代後半のおじさんだ。
捜査一課で働くが、一課が携わるような刑事事件以外でも、造詣が深く頼りになる相手だ。

梔子
 「PKM関連じゃ、警察は動けねぇ……だがこの赤城って奴なら動けるな……」

真莉愛
 「やはり問題はPKMの自白……それさえあれば、警察は動けるのに」

梔子
 「おい御影、お前政界に顔が利くんだろ? だったら法律を変えろ、それかお前が総理大臣になれ」

真莉愛
 「あの、無茶苦茶言わないでくださいよ、法律変えるって簡単じゃないんですから」

梔子
 「PKMが被害者になろうが加害者になろうが、警察が動けねえんじゃ国は守れねぇ、とりあえずPKM相手に審問も告発も出来ねぇってのは異常だぞ?」

……分かっている、この国の今の歪さ。
PKMを守っているのは法律ではなく、人の良心。
PKMがなんであれ、人権を得るに至るのは時間の問題だけど、この過渡期を私たちは生きている。
安定へ至るか、破滅へ至るかは今は分からない。
それでも、少しでも世界を良くしたい。

梔子
 「でもまぁ、ある意味でPKMってのは最強のジョーカーだよな」

梔子さんは、刺身を突きながらそう言った。

真莉愛
 「ジョーカー……、確かに人の法が彼女たちに適応出来ないなら、逆説的に彼女たちは外道の法を律する」

私の後ろには愛紗が今もひっそりと闇に隠れている。
彼女はあくまでも志願して、私の仕事に協力してくれている。
でも、それは時に一軍よりも強力なPKMを御する為である。
時に戦術級、戦略級の力を持つPKMはその存在自体がジョーカーだ。

梔子
 「殺しはさせるなよ、マスコミが騒ぐ」

真莉愛
 「PKMの犯罪を警察も裁判所も裁けないですからね」

勿論逆説的には、彼女たちを保護する法は薄っぺらい。
幸いにおいて、PKMによる犯罪はまだ存在しない。
それにはPKMが人間よりも大分大人しい存在だという事も大きいだろう。
だが、誰もが分かっているのだ、PKMが知的生命体である以上、インディペンデンス・デイは来るのだと。

今も、世界はPKMを祝福するべき新人類だという派と、恐るべき侵略者だとする派に別れる。
ナンセンスにも程があるが、大真面目に考えている人は多いのだ。
なんと言ってもこれまでの空想の中にしか存在しなかった、未知との遭遇。
それは、人類がいつか出会うであろう異なる生命体だったのだ。
彼女たちは決して人類を越えた科学や思想を持っていた訳ではなかった、だが彼女たちは人類を根絶やしにするのに易い力を所持している。
今は反感の芽を育てない事が重要なのだ。

梔子
 「俺は所詮刑事だ……スーパーヒーローにはなれねぇ」

梔子さんはそう言うと日本酒を一気に呷る。
近年ニュース番組で刑事事件を報道しない日はあるだろうか、それ程に警察に掛かる負担は大きい。
その上に徐々に表面化してきたPKMの問題。
PKMは警察や裁判所の管轄には入らない、これは政府の管轄であるからだ。
それが刑事である梔子さんには疎ましいのだろう。

梔子
 「まぁ飲めや、仕事の話ばっかりじゃ億劫になるだろう」

真莉愛
 「では一献頂きます」

私は注いで貰った日本酒を飲む。
こう見えてもアルコールには強く、一升瓶程度なら問題ない。

梔子
 「いい飲みっぷりだ、ただまぁ御影に頼まれちゃ、俺もやらねぇ訳にはいかねぇ」

真莉愛
 「……では?」

梔子さんは再び酒を呷ると、にやりと笑った。
私はハニーさんに気付いて欲しい、マスターに全てを委ね考えることを止める事が正しいという訳じゃないことを。



***



ハニー
 「はぁ……はぁ……」

ビークインのハニー、彼女は家では首輪を付けることを義務づけられている。
最初は違和感もあったが、今ではあまりない。
彼女は裸で地面に倒れ、息が荒い。
体中に痣があり、それが事後である事を物語っていた。

赤城
 「全くハニーったら、これはお仕置きだよ? それなのにお漏らししちゃうなんて反省しているの?」

妙に太ったハニーの保護責任者である赤城は嫌らしい下卑た微笑みを持ちながら、SMプレイ用の鞭を掌で叩いた。
身体の痣は鞭の痕であり、痛覚はやがて快感になり、フローリングを濡らしてしまった。

ハニー
 「ご、御免なさいご主人様、ハニーは一杯反省してます……」

赤城
 「だったら!」

バチーン!

ハニー
 「ンアーッ!」

鞭がハニーの身体を打つと、ハニーの身体が仰け反る。

赤城
 「二度と! あの役人を! 連れてくるな!」

バチーン! バチーン! バチーン!

何度も強く叩き、ハニーは苦痛に身体をくねらせる。
赤城愉悦に満ちていた。
この保護責任者にとって、ハニーは自分の歪んだ願望を叶える道具なのだ。
生活はハニーを引き取った時点で、給付金が毎月支払われるから、働く必要がない。
生きる上でも、全てハニーにやらせれば、ハニーは一切逆らわず従ってくれる。
PKMとはなんと便利な道具なのか、家政婦にもオナペットにも喜んでなってくれる。
PKMはマスターに絶対服従だ、これ程便利な物がなぜ今まで現れなかったのか。
しかし、赤城はそれ以上を求めない。
ハニー以外にPKMのホストになっていないし、必要とも考えていない。
ハニー以外のPKMを囲めば、それが隙になる。
赤城はその邪悪で下卑た欲求とは別に、狡猾な男だ。
例え保護責任者といえど、PKMへの暴力は禁止されている。
あの時、国の役人来たときは肝を冷やした。
ホストの権利を剥奪されれば、それまでなのだ。
それだけは絶対に避けないといけない、その程度の頭は回る邪悪な男だった。



***



翌日、それぞれはその想いが様々に動き始めていた。


美柑
 『侵入成功』


 「見つからないように、中を探ってくれ」

翌日、日曜日であり、普段はぐーたら過ごす俺だが、今日はかなり早起きして、ハニーさんの家にやってきた。
朝5時、まだ街も寝静まっている中、俺の身勝手な命令を皆は快く快諾してくれた。
先ずは壁抜けの出来る美柑が中に侵入し、状況を探る。
虐待の現場を押さえられれば、俺は玄関を蹴破ってでも捕まえる気だ。
俺は知った、虐待を止めることの難しさ、それは現場を押さえなければ、法で裁くことも出来ないという事。

美柑
 『……うわ、汚いし変な臭いする』

伊吹
 「もっと具体的に〜」

美柑
 『ゴミ屋敷って程じゃないけど、全然整理されてないし、なんか衣類が乱雑に放られてます』

会話はスマートフォンを使って行う。
なるべく小声で、住民を起こさないように気を配りながらの家捜しだった。

華凛
 「……在宅への不法侵入か、バレたら一大事だな」

華凛はそうやって冷やかすが、俺はもう止まるつもりはない。
はっきり言って、ハニーさんは他人だ。
俺がここまでするのってお節介も良いところだと思う。
でも、もし声を出して助けを呼べないのなら、俺は手を差し伸べたいと思ったんだ。

美柑
 『居間に来ましたけど、うわー、なんだろ、これ』

露骨に嫌そうな美柑の声がスマートフォンから洩れる。


 「一体どうした?」

美柑
 『うー、なんか床に変な液体がー、それに臭い』


 「……本当に人の住み家か?」

凪が疑問を呈するが、ここには一応人が住んでいるはずだ。
流石に御影さんじゃないんで、相手の住所や連絡先、家族構成なんか分からないが、それを知るのも今回の役目だ。

美柑
 『人が寝てる……凄い太ってる』


 「保護責任者だな」

昨日見た姿と一致する。
美柑の報告では、だらしない格好でいびきをかいて眠っていたようだ。


 「キリの良いところで戻ってきてくれ」

美柑
 『了解です』



***



美柑が強行偵察してきてくれたことから、内情はある程度把握できた。
住んでいるのは保護責任者とハニーさんのみ。
1階には保護責任者が住んでおり、ハニーさんは2階で眠っているようだ。
1階には非常に興味深い物もあったようで、美柑が何枚か撮影してきてくれた。

保美香
 「う〜ん、鞭にローター、大人のオモチャですか」


 「その場に煩雑に置いてあるなんて、普通じゃないね」

俺たちは白いワンボックスカーを借りて、中で状況を精査していた。
美柑の持ってきてくれた情報から、性的虐待の可能性は高いと予想される。
しかしそれ以外は流石に分からないが、隠しカメラなんかを設置する余裕もないしな。


 「……うーむ、1番良いのはハニーさんに全てを証言して貰う事だけど」

俺はハニーさんの事を思い出す。
恐らくだが、保護責任者を売るような真似はしないだろう。
ハニーさんがホストに対してどういう思いを持っているのかはよく分からない。
ただ、ハニーさんがホストに対して、素直に評価出来ない何かがあるのは確かだろう。

コンコン!

俺たちがうーんと頭を捻っていると、車のドアガラスが叩かれた。
違法駐車で咎められるかと思ったが、そこにいたには違った。
そこにいたのは。

真莉愛
 「あらあら、こんな所でどうしたのかしら?」

御影さんだった。
朝早くから精力的な事で、恐らく目的は同じだろう。

真莉愛
 「少しお話し良いかしら?」


 「ハニーさんの事ですよね」

御影さんがコクリと頷く。
僅かに覗くサングラスの奥には昨日とは違う瞳見えた。



***



車をコインパーキングに置いてきた後、俺と御影さんは二人で喫茶店に来ていた。
当然これはこれからの打ち合わせだ。

真莉愛
 「なんというか、やっぱり常葉さんって、面倒ごとに自ら首を突っ込むのね」


 「……ただの面倒ごとなら逃げるさ、でもそこに知り合いがいるなら逃げられない」

……実際、親しいとも言えない相手に俺は、本気になっている。
でも、俺は最後に見たハニーさんの顔を忘れられない。
ハニーさんは保護責任者に必ずしも、スッキリした思いではない事が表情で分かった。

(茂
 「そうだ、保護責任者に迎えに来て貰ったらどうだ?」)

(ハニー
 「……ご主人様は」)


昨日……、あの後彼女は何を言おうとしたんだろう。
もし何もやましい事もないのなら……彼女の顔はもっと晴れやかだったはず。
俺は、なんとも幼稚な理由だと思うが……ただスッキリしたいんだ。

真莉愛
 「……道具だけじゃ、性的虐待は証明出来ないわね」


 「……でも、現場で押さえれば」

真莉愛
 「もっと決定的じゃないと、プレイで言い逃れされちゃうわね」

……俺は美柑が撮影した家の中の写真を御影さんに見せると、御影さんは一つ一つ見ながら、ゆっくり精査するが決定的な物は捉えられていない。

真莉愛
 「それにしても堂々偵察とは、不法侵入よね、これ」


 「責任は全部俺がとります」

真莉愛
 「……まぁ、見なかった事にするわ。と言うかこっちもするつもりだったし」

御影さんもやっぱりハニーさんをあのまま放置は出来ないらしい。
既にダークライの愛紗さんが、潜入して監視しているらしい。
愛紗さんなら、確かにあらゆる場所に潜入して、そしてその気配に気付ける者はいないだろう。
そういう点では俺は勇み足だったかもしれない。

真莉愛
 「いっそ、狂言回しに手伝って貰おうかしら」


 「狂言回し?」

それは、ある意味俺では発想の出来ない、御影さんだから立てられる作戦だった。



***


午前10時、ハニーさんの一日の行動は大体ルーチンワークで出来ている。
御影さんから提出された資料から、俺はこの狂言を開始した。

ハニー
 「……」

伊吹
 『こちら伊吹〜、ターゲットが駅にはいりまーす』


 「了解、接触する」

俺は各地からハニーさんを監視する皆から情報を受け取り、動き出す。
ハニーさんはいつも同じスーパーで買い物をするらしく、今日もほぼ同じ時間だったようだ。
俺はそんな荷物を持つハニーさんに近づいていく。


 「どうもこんにちわ、ハニーさん」

ハニー
 「あっ、常葉さん」

俺はなるべく自然にハニーさんに接触すると、ハニーさんは相変わらず丁寧に会釈する。


 「今日は晴れて良かったですね」

ハニー
 「はい、昨日は傘も持っておらずとても迷惑をかけてしまいました」

昨日の暴風雨紛いの大雨は一夜で過ぎ去り、今日は晴天である。
まぁ昨日のアレは傘があった所でどうにかなるとは思えなかったが、それよりも誰かの手を煩わさせたという所にハニーさんは申し訳なく思うらしい。

ハニー
 「常葉さんはお出かけですか?」


 「まぁそんな所です、ハニーさんは遊びに出たりしないんですか?」

ハニーさんはそれを聞くと少し暗い顔をした。

ハニー
 「私は……家の事もありますし、何よりご主人様が……」


 「保護責任者さんとは、一緒に出かけたりしないんですか?」

ハニーさんは俯いたまま、首を横に振る。
やはり、ハニーさんと保護責任者の関係にはなにか歪さが感じられる。
それでも一切文句も言わず、保護責任者を立てるハニーさんは、とても立派で凄いと思う。
だからこそ、これからすることに俺も良心の呵責を迫られる。


 「荷物、持ちますよ」

俺はそう言うと、ハニーさんの買い物袋を奪って持つ。

ハニー
 「ああ、そんなっ、常葉さんに悪いです!」

ハニーさんは困り顔でオロオロするが、取り返そうとはしない。
本人の弱気さか、ただ人類上位で、逆らわない事を絶対としているのか。


 「怪我、増えましたね」

ハニー
 「あ……っ」

ハニーさんには申し訳ないと思うが、俺はその部分に突っ込む。
初めて出会った頃はそんな目立った怪我なんてなかった。
でも今は昨日会ったばかりなのに、怪我が幾つも増えているのだ。
彼女はそれを説明できず、ただ身体を抑えて震えた。


 「こういう言い方したくないですけど、昨日から今日に掛けてその怪我の増え方、ただ転んだとか、そういうことじゃないですよね?」

ハニー
 「………」

ハニーさんはあくまでも沈黙を貫く。
そこには、やはり言えない事情が存在するからなのだろう。
そうさせてしまう何かに俺は、静かに怒りを拳に込める事しか出来ない。


 「……」

俺は黙ってホームへと向かう。

ハニー
 「あ、待ってください……!」

俺はICパスがあるから、改札で止まることはないが、ハニーさんは定期券は持っていないようだ。
保護責任者名義なら、ハニーさんでも定期券を持つことは出来るはずだが、ハニーさんは切符を買って追いかけてくる。

ホームに辿り着くと、丁度電車がホームに入ってきていた。
俺たちはいつも通りの列に乗ると、中は日曜と言うことでいつもよりは混んでいるが、座れる席は見つけられなくもない。
だが、相変わらずハニーさんは入口付近で直立で立ち、座ろうという気はないらしい。
俺はその近くでハニーさんと一緒に立つ。


 「……少し聞きたいんだけど、ハニーさんにとって人間はどういう存在なんだ?」

ハニー
 「私にとって……人間様は、尊ぶべき存在でしょうか。こんな風に答えるのは烏滸がましいでしょうか?」

それはハニーさんが、本心から思って答えているのだろうか。
自分をそこまで卑下ているにも関わらず、それでもなお自身を更に貶めている。
もし、それが調教の結果だと言うのなら、俺は許せない。

ハニー
 「あの私からも良いですか?」


 「どうぞ」

ハニー
 「あ、あの……。常葉さんから見たPKMはどういう存在なんでしょう?」


 「他人だな、俺にとって大多数のPKMは他人でしかない、そこに意識を向ける事は不可能だ」

ハニーさんは、一体どういう答えを期待していたのだろう。
残念ながら俺は、彼女のご機嫌取りをするような解答は出せない。
だが、それでも俺は助けを求めるなら、なるべく助けたい。


 「もし助けて欲しいという声があるなら、それでも俺は助けたい。確かに他人でも、苦しいという声があるのなら、なんとかしたい」

ハニー
 「………」

ハニーさんは、言葉もなく一筋の涙をこぼした。
今ハニーさんに何が去来しているのだろう、その涙が何を語るのだろうか。
俺は一切助けてとも言わず、苦しいとも言わないハニーさんを救いたい。
確かに俺とハニーさんの関係はまだまだ友人未満といった所だろう、それでもその涙を見て、見捨てるなんて選択肢は絶対選びたくない。

ハニー
 「もしも……」


 「え?」

ハニー
 「……っ。いえ、なんでもありません」

ハニーさんは何かを言おうとしたが、言葉を飲み込んだ。
一体何が彼女をそこまで束縛するのか、俺はある意味答えは得ている。
もしも、これも調教の結果なら俺はどうするべきだろう。
保護責任者の野郎はぶん殴ってやりたい位だ、しかし司法の場に持ち込むのが今回の狂言回しだ。

ハニー
 「あ、着いたみたいです」

時間というのは、あまりにも無情だ。
速く過ぎて欲しい時には遅く、ゆっくり進んで欲しい時には速い。
俺たちは、電車がホームに正確に辿り着くと、そのまま下車した。



突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語


第10話 虐待 完

第11話に続く。


KaZuKiNa ( 2019/05/07(火) 12:48 )