突然始まるポケモン娘と○○○する物語





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第三部 突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語
第3話 凪の性癖

突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語

第3話 凪の性癖

常葉家の朝一番は特に速い。
まず朝5時には保美香が起きて、朝食の用意を開始する。
それと同時に美柑が朝練を開始。
保美香と美柑は相部屋で、二人とも活動開始が同じくらいで丁度良いのだろう。
一方でこの時間でも眠っているのは相部屋の茜と伊吹、そして茂さんだ。
私はというと……普段は7時前後に起きるんだが、今日は6時前に目覚めていた。
気が付くと相部屋している華凛がベッドに姿がなく、私はただ悶々した。


 (華凛の奴……まさか茂さんに夜這いを?)

最近、気が付いたら華凛の姿が見えない日が続いており、隣のベッドの女の様子に悶々していた。
茂さんはなんだかんだで華凛に甘いし、華凛は本気で茂さんの子供狙っている気がする。
きっと、まだ茂さんは眠っている……こっそり入った華凛はそっとズボンを下ろして、自分はきっと下の割れ目から下着を濡らして、口でそっと茂さんのパンツを……。


 (だぁぁ! 妄想中止!)

私が最近悶々している一番の原因はこのエロ妄想だ。
華凛がいなくなると、私は決まってエロ妄想をオカズにオナニーをしていた。
騎士にあるまじき変態性だが、自分では全く止められない。
むしろ普通の女性ならこれ位普通なのかも知れないが、しかし私はまだ中途半端だ。

普通の女性に戻りたいという反面、あの戦うだけで良かった時代が良かったと思う自分もいる。
はっきり言って私は思いっきり華凛に嫉妬している。
同じ世界の出身なのに、向こうに完全に女性としての魅力で負けており、普通に私としては危機だと実感している。
それが余計に今の中途半端な私は悶々する事態にしているのは間違いない。

華凛の夜這い妄想も結局のところは、自分の欲求不満を満たす道具に過ぎない。
真偽はともかく、それを止めようともせず、ただオカズにしているのは自分の情けなさが滲み出る。
騎士であろうと思った自分は自分でも肩が凝るほど、窮屈だったのかも知れない。
一方で普通の女性は自由だ、縛るものもないし、当たり前にあった規範となろうという意識もない。
それが自分の変な部分を引き出したのかも知れない。


 「……水飲もう、頭冷やしたい」

私はゆっくり起き上がると、身体が薄らと汗ばんでいる事に気付く。
この世界の9月は秋の初めらしいが、私には暑すぎる位だ。
気が付けば格好も薄着になってて、その抵抗感も薄れてきている。(それでも未だ茂さんに見られるのは恥ずかしいが)

部屋を出ると、既に明るい。
キッチンからは料理の良い匂いと、音が零れている。

保美香
 「そう、沸騰させちゃ駄目よ」


 (? 保美香だけじゃないのか?)

私はキッチンの近くの会話から保美香以外がいるようだと特定する。
とりあえず水を貰いにキッチンへと近づくとそこにいたのは。

華凛
 「ふむ、和食というのは繊細で難しいな……」

そこにいたのはエプロン姿の保美香と華凛だった。
何やら華凛がお吸い物を作っているようだが。


 「華凛、こんな朝早くから何を?」

華凛
 「ん? 凪か……なに、いい女と言うのは味噌汁が美味いそうだからな」

保美香
 「料理を学びたいそうよ、まぁ最終的に最も男性を引きつけるのは胃袋を掴んだ女と言うのは定説ですからね」

……最近、知らない間に一人起きて姿が見えないと思ったら、料理を学んでいたのか。
私は華凛を見ていると、益々情けなくなる。
華凛はいつでも、茂さんのために努力を惜しまない。
普段はおちゃらけたようにしているのに、華凛はこうやって陰ながら努力している。
それなのに私は邪な事考えていたのか。


 「すまない、水を貰えるだろうか……」

保美香
 「少しお待ちを」

保美香は冷蔵庫を空けると、氷と水を取り出す。
更に冷えたコップを冷蔵庫から取り出すと、冷たい水が出来た。

保美香
 「本来的には体温に近い方が良いのですが、最近はこの時間でも暑いですからね、これで涼を」


 「気遣い痛み入る」

私はコップを受け取ると、一気に呷る。
身体が芯から冷えた気がして、私は少し気持ちが楽になった気がした。

保美香
 「……要らぬ気遣いかも知れませんが、何かお悩みがあるのではないですか?」

……悩みか、保美香は私の様子を見て、何か抱え込んでいると思ったんだろう。
だが、こんな事説明出来るか?
最近オナニーを覚えました、なんて説明出来るか!
しかも華凛と茂さんが繋がる所を妄想してでなど……。
こんな変態性癖に目覚めたなんて……誰にも説明出来るわけがない。


 「すまない……悩みが無いわけではないが、説明出来ない」

華凛
 「ふふ、人生楽しまないと損だよ、凪はもう少し笑顔を練習するべきだ」

そう言う華凛はいつも表情は柔らかいな。
敵として戦った時は、こんな姿は想像できなかった。
それが共に生活してみれば、私は華凛相手には惨めに思うばかりだ。
私の女の魅力ってなんだろう……。
茂さんだって、こんな不器用な女より、華凛みたいな自分のために努力を惜しまない女の方が良いに決まっている。
でも、それだけなら私だって努力すれば良いだけのこと。
ただ華凛は同じ努力ではいつも上を行く。

もしかしたら、茂さんを好きっていう想いでさえ、私は負けているんじゃないだろうか……。


 「皆、おはよう……」

暫くキッチンにいると、やがて茜が起床してくる。
まだ少し眠いのか、瞼を擦りながら冷蔵庫に向かう。

華凛
 「やれやれ、茜、私より遅い起床はどうなんだ?」


 「だから華凛さんは、ご主人様じゃないし、もうメイドじゃない」

そう言えば、茜は華凛のメイドをしていたんだったな。
相変わらず、華凛に対して全く敬うつもりはないようだが、バッサリ自分の人生割り切れる茜は凄い。


 「茜は料理は出来るのか?」

私は気になって、茜に聞いてみる。
茜は冷蔵庫から麦茶を取り出すと、コップに注いだ。


 「一通りは出来るけど?」

保美香
 「茜は昔から努力を惜しみませんわね」


 「……昔は見捨てられたくなくて必死だった」

華凛
 「見捨てるとは、ダーリンにか? ダーリンはお前を一番寵愛しているだろうに?」

私たちは茜の言動に不思議がっていると、保美香は横でクスクス笑っている。

保美香
 「無理もないですわよ、初めて出会ったときは、まるで原始人みたいでしたものね」


 「今じゃお箸も使える」

茜は麦茶を飲むと、そう自信ありげに言った。
茜はこの家の最初の住人らしい。
その当時のことはよく分からないが、保美香が来るまでずっと茂さんと二人っきりだったようだ。
その当時は、本当に茜は辛かったのだろう。
恐らく今ほど和気藹々とはしていなかったろう。
茂さんが仕事の間ずっとひとりぼっちで寂しい思いをしたに違いない。

保美香
 「あの頃といえば、茜、結局夜這いは成功しましたの?」


 (よ、夜這い!?)

唐突に現れる隠語に私は噎せてしまった。
既にコップの中身は氷が踊るだけで、零す心配は無かったが、そういう言葉を会話に交えるのはどうなんだ!?


 「駄目だった……裸で迫っても駄目だったから相当手強い」

華凛
 「なんと、と言うことはロリでは勃起しないという事か?」


 「多分勃起はしてた、でも理性が勝ってる」

保美香
 「だんな様はヘタレですからね、一人の女を愛することでさえ躊躇ってしまう」

華凛
 「だから全員で迫って、ハーレムセックスをだな」


 「問題は全員の排卵日を合わせるのが難しい」


 「ちょ、ちょっと待て君たち! 平然と会話しているがおかしいだろう!?」

私は飛び交うエロ言語について行けず、溜まらずストップをかけた。
しかし彼女達は何がおかしいのと、私に無言で返してくる。


 「ハーレムセックスとか、排卵日とか……そんな、卑猥な」

保美香
 「別に皆の欲求は同じですし構わないのでは?」

華凛
 「寧ろハーレムは難しいのだぞ、基本全員孕ませて貰うつもりだから、全員確実に危険日でなければ」


 「一人だけ妊娠できないとかなったら、疎外感凄いもんね……」

あれ? おかしいの私の方?
そりゃまぁ、私だって茂さんの子供は授かりたい。
でもそれを当たり前に会話するのっておかしくないのか?
普通に皆ハーレムを肯定しているけど、この国の法律的に大丈夫なのか?
段々自分に自信がなくなってくるが、倫理観ってなんだっけ?

華凛
 「凪、お前はもう少し性をオープンにしてみろ、出ないとダーリンを奪う事なんて出来ないぞ?」


 「う、奪うつもりなんて無い! ただ愛してくれればそれでいい……」

そう、愛してくれれば、他は何も要らない。
私自身はセックスなんて求めていない、ただ愛が欲しいだけだ。


 (でも、なんで感じるの……、私は本当は淫乱なのか?)

保美香
 「さて、もうすぐ7時、美柑も帰ってきますわね」

華凛
 「うむ、朝ご飯の用意を急ごう」


 「覆面ライダー幽霊の再放送始まる」

彼女達は割り切るのも速い。
さっきまで猥談で盛り上がっていたかと思えば、保美香と華凛は朝ご飯の用意に戻り、茜は早速テレビの前に行く。

伊吹
 「う〜、まだ暑いね〜……皆おはよう〜」


 「これで起きていないのは茂さんだけか」

茂さんの起床時間は決まって7時30分。
いつもゆっくりしようというつもりは無いらしく、割と慌ただしく出社していく。

今日も平日の朝はいつも通りやってくる。



***



茂さんが仕事に出た後は、家も少し静かな時間だ。
今は洗濯機が回っており、保美香がカチャカチャと朝ご飯で使った食器を洗う中、皆はテレビの前に集合していた。


 「○ァイナル○ァンタジー、○ーパーファミコンミニで攻略〜」

保美香
 「茜、貴方がRPGやるなんて珍しいですわね」

洗面所で唯一テレビの前にいない保美香も音だけで付き合っているようだ。
茜は普段から、アクションゲームという物を特に好んでいる。
一方でRPGはどちらかというと苦手らしかった。


 「読めない漢字とか出ると辛いし……でも、それも克服」

伊吹
 「でも〜、敢えてFF6なんだぁ〜……」


 「なんだ? 難しいのか?」

私はまだこの世界の事には慣れていない部分も多い。
特に茜が好むゲーム系は難しい。
この家の住民は一通りゲームの好みは違う。
茂さんはなんでも卒無く熟し、茜はさっきも言った通りの対戦格闘のような操作の難しい物を好む。
伊吹はゆっくりプレイできるSLGを好み、美柑は体感ゲームを好む。
唯一保美香だけはゲームを趣味にはしない。

当然この世界にまだ慣れない私と華凛なんかは特に好きも得意もない状態だ。

伊吹
 「寧ろFF6は簡単な方だけどねぇ〜、同時収録されている○リオRPGも簡単な方だけど〜」

美柑
 「……よく知らないけど、どっちが良いんですか?」

伊吹
 「うーん、個人的には○リオRPGの方が初心者向けだけど〜……アクション要素強いからなぁ〜……」

意外なほど、伊吹は茜に次ぐゲーマーだ。
アクションは昇○拳も出せない程だけど、RPGならそこそこ出来るし、SLGはかなり上手。
本人曰くSLGでも、ストラテジーの方は苦手らしいが、ターン性等なら全く問題ないようだ。

華凛
 「魔大戦……○ストラ帝国……」

さて、気が付いたら茜はゲームを開始していた。
華凛は食い入るように見ているが、帝国という言葉に既に反応している。


 「この精神操作されている女が主人公なのか?」

とりあえず、○導アーマーとかいう兵器に載った少女は精神をコントロールされているらしいが、操作はプレイヤー次第だ。
とはいえ序盤は自由度なんて無い。
ひたすら雪原を進む三機の○導アーマー、北部の印象がどうしても残るな。
やがて、帝国兵たちは○ルシェに到達する。

美柑
 「露骨に○ルシェって向こうの世界を思い出しますね」

華凛
 「ゲームの世界でまでか……」

ドット絵というそうだが、ゲームの世界はリアルではないが美しい。
それが逆に没入感を生むのか、私も気が付いたら食い入って見ている。

保美香
 「ボス戦BGM……○ミールだったかしら?」


 「プレイした事あったの?」

保美香
 「皆さん程プレイしないだけで、してはいますわよ」

少なくともBGMだけで状況を察しているらしく、そこそこやり込んでいるんじゃないのか?
状況は最初のボス戦○ミール。
強力な雷を操るが、最初のボスだけにそこまで強くないようで、細かい回復をしながら○ェッジがトドメを刺した。

華凛
 「○導アーマーの量産の暁には世界征服出来そうだな、誰が載ってもパフォーマンスが安定しているのは兵器の魅力だな」

伊吹
 (後々二束三文でなぎ倒されるけどねぇ〜)

華凛は○導アーマーに惹かれる物があるらしく、真剣に検証しているのかも知れないが、結局の所、○ィナの○導アーマーが一抜けて強い事から、エースパイロットを揃えないと意味ない気がするが。

保美香
 「ネタバレ、○ックスと○ェッジの出番はここまで」

美柑
 「あ、顔がコンパチだからまさかと思ったけど……」

状況は既に氷付けの幻獣と遭遇しており、少女が幻獣と共鳴すると、○導アーマーごと二人は消滅、○導アーマーも爆発して、場面転換する。

華凛
 「○ックス、○ェッジ……哀れ」

彼らもまた帝国兵であり、所属国家は違うが、華凛は感情移入はしてしまうのだろう。
私としてはずっと戦っていた相手だから、あまり活躍されても複雑だが。



***



ゲームはようやく、プレイヤーにある程度自由度が上がるには意外と時間がかかった。
○ックの○ィナの救出後、一旦休憩することにした。

華凛
 「美柑はこの中だと何が好みなんだ?」

美柑
 「ボクはどちらかというとアーケードゲームの方が好みなんですよねぇ、○DRとか好きだし」

必然と休憩中も話題はゲームになりがちだ、私は少し会話からは離れ、保美香と一緒に洗濯物を干していく。

保美香
 「意外と手慣れているのですわね」


 「実家が宿屋だったし、寮生時代は掃除洗濯は自分でやるものだったからな」

ベランダで私は洗濯物に向き合うことで自分を落ち着かせようと思う。
華凛に現状勝っている点があるとすれば、家庭的な部分は私に分があるだろう。
しかし、急速に自分に足りない物を吸収する華凛は直ぐにでも追いつくだろう。

保美香
 「なんとなく察したのですけど、凪さん、貴方は少し華凛を意識しすぎですわね」


 「えっ?」

突然何を……、保美香はこの状態なら他に聞かれる事もないと判断したのか真剣な顔だ。
この家の人達は本当にお人好しばかりだな。
保美香は私の問題が解決するまで、付き合うつもりだろう。
きっと皆そうだ、茂さんだってそうする。
だからこそ、申し訳ないんだ。


 「なぁ保美香、たまに普段エッチな事ばかり言っている奴が、実際はマグロだったりするよな?」

保美香
 「所謂ビッチの振りした処女という奴ですね。それがなにか?」

……口が紡がれる。
やはり自分の性癖をカミングアウトするのは勇気がいるな。
保美香は決して笑ったり、誰かに言いふらすような不義理な女ではない。
とはいえ、共有して貰って何かが軽くなったりするのだろうか?


 「その逆……清純清楚なのに、中身は淫乱ってあるのか……?」

保美香
 「実際会った事はありませんが、存在はするのではないでしょうか? 自分が気付いていない自分の潜在部分は殊の外大きいようですし」

……その言葉は、どの程度私を救ってくれるのだろう。
私は洗濯物を手に取ったまま、ただ固まってしまう。
ああ、やっぱり怖いな……でも、楽になりたい。


 「実は私は……淫乱かもしれない」

保美香
 「はぁ? 淫乱ですか? それ位ならわたくし相当淫乱だと思いますわよ? こう見えて正式にだんな様に変態メイドの称号を賜っておりますので」

そう言って彼女はボクサーパンツを取り出した。
言わずと知れた茂さんのパンツを彼女は惜しげもなく鼻先に近づける。

保美香
 「はぁ〜、オスの匂いが溜まらない、これは止められません」


 「私の問題は、性癖がちょっと異常なんだ」

保美香
 「異常ですか?」

保美香はパンツを干すと、次に取りかかる。
私はその先を言うのに、少し時間が必要だった。
ああ……なんでこんな変態になったのか分からない。


 「私は自分がセックスする妄想が出来ず、いつも他人と茂さんのエロ妄想をしてしまうんだ! こんなの変態の極みだろ!? うぅ……今までこんな性癖無かったのに……」

保美香
 「なるほど……」

保美香は再び真剣な顔に戻った。
私の性癖を保美香は冷静に判断しているのだろう。

保美香
 「意外と普通ですね」


 「は? 普通?」

それは、随分タンパクな解答だった。
保美香は本当になんてこともなく、そう解決してしまう。
私は釈然としなかった。

保美香
 「結構いますよ、自分がするのは想像できないのに、他人なら出来るって……というかエロ本読むのもエロゲーするのもそういう性癖ですわよ。私なんて誰にも理解して貰えない性癖だというのに! あああ、だんな様と神経接続して電気信号相互循環したい!」


 「な……そう、なんだ」

保美香は段々自分の欲求を抑制するのが辛くなったのか、自分の欲求を青空にぶちまけた。
部屋の方からは、ああ、またかという声も聞こえてくる。

保美香
 「凪さん、それは別に変でもありません。リア充なら自分を投影するかもしれませんが、貴方のように露骨に性知識の少ない人物にはあり得ます、なので! 今夜だんな様の寝込みを襲いませんか!?」

……なんか、段々保美香がヒートアップしているのが分かる。
というか寝込みを襲うってアウトだろう。
私はなるべく冷静に伊吹のブラジャーを握り潰す保美香を諫める。


 「落ち着け保美香、夜這いは不味いだろう?」

保美香
 「そうですね……一人では難しいですが、二人で襲えばだんな様も抵抗出来ないでしょう、下は凪さんに譲りますから」

……あれ? 論点がおかしくない?
なぜ夜這い前提で彼女は語っているんだ?
ていうか下って……茂さんの下……。


 「ば、馬鹿なこと言ってないでさっさと干すぞ!」

私は直前まで茂さんの下ということ言葉に妄想を膨らませる。
しかしズボンを下ろすところまで妄想できたが、そこで頭を振って妄想を棄てる。
私は顔を真っ赤にしながら、洗濯物を物干しハンガーに次々とかけていく。
でも、その中で私は少しだけ安心した。
ああ、やっぱり私はどっちかというと常識人だ。
この家は変態の巣窟だから麻痺していたけど、ちょっとエッチな位普通なんだ。
本物の変態の格が違った。
それが……私を少しだけ笑顔にさせてくれた。



***



 「なんで○ナン死んだらゲームオーバーなん?」

美柑
 「お前の顔、怖ーい!」

保美香
 「だから○ナンは後列に下げろと」

洗濯物を干し終えた後、ゲームを再開した。
今は○ルトロス戦……なのだが速攻で○ィナがたこ足で即死、○ッシュは耐えたが、○ナンが死んでゲームオーバー。
幸い○ルトロス戦のすぐ前にセーブポイントがあり、そこから再開となった。

保美香
 「全員後列に下げて、○ナンはひたすら祈る、○ルトロスは炎弱点だから○ィナでファイア、後は回復はマメにですわ」


 「○ナンが敗北条件とは思わなかった……」

とりあえず保美香に従い、○ルトロスを攻略する、ここからストーリー分岐するようだ。


 「誰から行く?」


 「○ック編」

伊吹
 「とりあえず○ィナ編は直ぐ終わるよぉ〜」

美柑
 「○ッシュ編はどうです?」

華凛
 「私は○ィナが気になるな」

保美香
 「敢えて○グタン将軍召喚のため○ック編を……」

皆意見が分かれたな。
私としては○ックが気になるが、選ぶのは茜だ。
なお、結局は全員やらされるみたいだから、それ程気にする必要もないようだ。


 「よし、○ィナに決めた」

茜は○ィナ編から始めるようだ。
まずは軽い状況説明、そして○ルシェに向かうように指示されると、○ルシェ近郊に現れたようだ。
とりあえず○ルシェに入ると……。


 「え? これで終わり? 戦闘もなかったよ?」

伊吹
 「だから言ったよ〜、早く終わるって〜」


 「いや、速すぎだろう……5分も経って無かったと思うぞ」

あっさりと再び○ーグリに操作が移る。
今度は○ックと○ッシュの二択だ。
茜は……○ッシュを選んだか。

保美香
 「そろそろお昼ご飯の用意を致しましょうか」

キリも良かったことか、保美香は立ち上がるとキッチンに向かう。


 「良かったら手伝おうか?」

保美香
 「あらら? お手伝いしてくださるのかしら? ではお皿の用意でも」

保美香は冷麺の用意をしているようだ。
これだけの人数だと用意も大変な筈だが、彼女は楽しそうだ。
私はお皿を用意するとそれを黙って見守る。

美柑
 「○フカ死すべし、慈悲はない!」

保美香
 「○マ城辺りかしら、もうすぐ○列車ですわね」

向こうではゲームに盛り上がっているようだ。
保美香はそれ含めて楽しんでいるようだ。


 「あのゲーム、やり込んでいるのですか?」

保美香
 「まぁバグ利用攻略する程度にはですわね」

それは充分やり込んでいるのではないだろうか?
保美香さんも何気に謎の多い人だ。
実力は荒くれ者のフリズ雪山の山賊たちを統率できる実力者。
それでいて性格は温厚で、ちょっとしたギャグも挟める社交性の高い人。
メイドとしても優秀で、特に料理の腕はこの人ほど優れた人は見たことがない。
だが、最も優れているのはその気配り能力だろう。
まさにメイドの最高位家政婦(ハウスキーパー)の地位に相応しい。

華凛
 「おお!? ○列車が喋ったぁ!?」

保美香
 「○ェニックスの尾、相手は死ぬ」

伊吹
 「あ、セイントビーム〜、レア技だ〜」

保美香
 「○列車限定レア技にもう出会えるとは運の良いこと」


 「あ、間違えた。メテオスマッシュ……て、効くのっ!?」

あ、珍しく本当に茜が驚いている。
何だかワイワイ楽しんでいるな。


 「保美香、貴方には少し感謝している。貴方のお陰で性事情は悩まなくてもすみそうだ」

保美香
 「あらら、それならば貴方もだんな様を誘惑するのに協力してくれない?」


 「それはそれだ。私はまだハーレムを肯定したわけじゃない」

皆が全員幸せになれる方法は何もハーレムだけではないはずだ。
今は茂さんも決心出来ていないが、何れその決心もつくだろう。
その時皆が納得をすればいい、それまでは私は茂さんの傍で見守るつもりだ。
少なくとも愛は一つではない。

保美香
 「さてと、向こうが○ゾーパス戦を始める前に盛り付けを完成させますか」

保美香の冷麺は彩りも美しい。
紅いハム、緑のキュウリ、黄色い錦糸卵、カニカマとミニトマトを添えて完成だ。


 「皆〜ご飯だぞ!」


 「っ!」

ご飯と聞くと直ぐさまテーブルに着いたのは茜だった。
茜の食の探求は凄まじい。
見た目の割によく食べるし、そのスピードも速い。
間違いなくこの家で一番の大食漢だ。


 「まだ配膳も終わってないのに……」


 「食は万里を通ずるから」

……たまによく分からん事を言うな。
保美香は一つ一つ、冷麺の皿を並べると茜は目をキラキラさせた。

美柑
 「おお、今日は冷麺ですか……最後に食べたのって半年以上前ですよね」

伊吹
 「まぁこの世界の時間なら〜、1週間ぶり〜位〜?」

華凛
 「私は初めてだ」

保美香
 「皆さんお話しはそこまでですわ」


 「それじゃ皆さん、お手を合わせて……いただきます」



***




 「たっだいま〜」

夕方、今日も割と早くに家に帰ってこれた俺。
部屋に入ると茜がいないことに気が付く。
どうしたのかと思うが、部屋の奥へと向かうと。

美柑
 「帝 国 空 軍(○ンペリアルフォース)だ!」


 「え? 先生出番なの? ○ルトロス最後の出番?」

リビングから聞こえるの懐かしいFF6の曲、そして皆の声だった。


 「あ、済まない……皆ゲームに夢中になっててな」

……普段最初に迎えてくれるのはいつも茜だが、今日だけは凪だった。
その茜はスーファミのコントローラ握りしめて帝国空軍と戦っているようだ。
つーか、茜がRPGって珍しいな、大抵はこの後○ジャとニンジャの悪夢見る事だろう。
魔大陸だけは敵の強さがインフレするからなぁ。


 「荷物を持とう、今日もお疲れ様」

ん……なんだか凪にそう言われると、普段とは違う気分になるな。
なんというか露骨に既婚者になった気分というか。


 「はは、なんか凪さん俺の嫁みたいだな」

言ってみれば新婚さんだろうか。
同い年という事もあり、それほど気を遣い過ぎない俺たちはあたかも付き合いの長い夫婦のようだ。
そう言われた凪はというと、あまり意識してなかったのか顔を紅くしてバッグを奪った。


 「ま、全く茂さんは……、でも好き」

凪なりに、精一杯の愛情表現だろうか。
俺はネクタイを降ろすと、凪はスーツも受け取ってくれる。

ふとテレビ側を見ると一人保美香だけテレビ見ずに凪に何かを送り、拳を握りしめている。


 「?」

とりあえずよく分からんが、今日は何か違う日なのか?
凪を見ても、普段より積極的だが、同時にいつもの凪でもある。
というか、保美香は保美香で一体何企んでいるんだ?
まぁとりあえず自室に戻ると、着替え始める。
今日も暑い、9月と言っても残暑は中々抜けない物だ。


 「あの……茂さん?」


 「ん? まだ着替え中なんだがなんだ……っ!?」

俺は部屋の入り口に振り返ると凪さん恥ずかしそうにモジモジしていた。
それだけならただ俺の着替えに興奮しているだけで済むのだが、凪は上着を脱いで下着姿を見せていた……のだが、異様に凪のイメージに合わないピンクの煽情的な下着だった。
とりあえず……どういう事なのか数秒思考停止してしまう。


 「……っ! やっぱ無理! 精子下さいなんて言えない!」


 「いや、言ってる! 言ってるよ!?」

どうしたんだ今日の凪は!?
酔っ払うと途端に淫乱な凪だが、今日は素面でおかしいよ!
つーか、どうして今なの!?

凪もやはり羞恥心が勝ったのか、直ぐに部屋を出て行ってしまった。


 「……最近操が危ない気がしてきた……精力剤買っとくべきかなぁ……?」

……無論誰ともするつもりはないが、万が一はあり得る。
というか、華凛と保美香辺りはいつ夜這いしてくるか分からんから警戒である。


 「しかし凪も馴染んだな」

思い返せばそろそろこっちでの生活も半月になるのか。
徐々にだが凪が変わってきている事も分かるし、俺はそれが彼女にとって良いことだと、そう思いたい。


突然始まるポケモン娘と歴史改変する物語


第3話 凪の性癖 完

第4話に続く。


KaZuKiNa ( 2019/04/11(木) 16:17 )