エピローグ それぞれの明日へ
突然始まるポケモン娘と旅をする物語
エピローグ:それぞれの明日へ
戦争は終結した。
伝説のポケモンイベルタルの出現は、両軍を震撼させ、早期に戦いは決着した。
イベルタルはその後、開いたゲートに戻って、ゲートは再び閉じる事になった。
皇帝カリンの失踪、そして宰相ギーグの死亡はすでに帝国に戦う意思を持つものを奪った。
唯一、徹底的に戦っていたにはハリーさんとワンク将軍だけ。
あの二人も最後はクロスカウンターの相打ちで両者共倒れで決着した。
今は事実上帝国という国は存在しない。
あるのは民主的に代表者を決めるアーソル共和国のみ。
だけどそれも、ホウツフェイン王国が管理下に置くという傀儡政権での事だ。
共和国の扱いは主要四国でも揉めて、結局私が貧乏くじを引くことになったわ。
コンル
「女王陛下、お車の用意が出来ています」
ナツメイト
「分かったわ、コンルさん」
ホウツフェイン王国に帰った私は今は大忙しだ、各地へ慰問し、更に貴族会への出席、ナツメとして好き放題出来た事が懐かしい。
そしてこのコンルさんだけど、私は帝国で働き口を失った多くの人を雇うことにした。
コンルさんもそんな一人でメイド長として奮闘して貰っている。
***
セローラ
「お願いニアちゃん! 茜に変身して! そしておっぱいペロペロさせて欲しいの!」
ニア
「おととい来やがれ」
私は私の後ろからおっぱいを鷲づかみにして揉んでくるこの変態駄メイドに辟易していた。
あの戦後私はエーリアスの養子にならず、ナツメのボディーガードをすることにした。
まだ、正直治安は回復したと言えないし、万が一を防ぐためナツメの影武者を演じるのも私の務めだ。
正直ナツメはやっぱり不安だらけで、心配だからお兄ちゃんに変わって私が護ってやるのだ。
ナツメイト
「お待たせしました……て、お楽しみ中でしたか」
そうこうしていると準備の出来たナツメがコンルを引き連れて現れた。
コンルは絶賛セクハラ中のセローラを見ると。
コンル
「セローラ! 貴方一体いつになったら!?」
セローラ
「ヒャッハー! 言われなくても、スタコラサッサだぜー!」
セローラは一目散に逃げ出した。
いつもこうやって結局は因果応報受けるから私もセローラのセクハラは我慢しといた。
まぁなんだかんだで悪い子じゃないし、もういいやって感じ。
ナツメイト
「ニアも大変ね、人気者で」
ニア
「ナツメ程大変じゃないよ」
私はナツメを馬車の荷台に載せると、続いて載った。
***
トウガ
「はぁ!」
野盗
「グハァ!?」
俺は戦後、世界を放浪していた。
戦いは終わったが、それは俺の人生を終えることではない。
まだまだ世界の治安は悪く、俺は罪なき者たちを護ることしか出来なかった。
ニャルマーの少女
「ありがとうお兄さん!」
ブニャットの母親
「感謝します!」
トウガ
「気にするな、それよりも早く安全な場所へ!」
俺はまだ万全ではない。
左腕はまだ動かないし、胸の傷もまだ完治は遠いようだ。
野盗に襲われていた母子を救う程度なら訳はなかったが、このままではいかんな。
?
「トウガ様ですね?」
トウガ
「貴様は?」
母子が去るのを見届けると、黒いフードを被った男が現れた。
俺はその男の放つ気配に、無意識に槍を握り混む。
?
「帝国残党はまだ、雌伏の時……貴方はどうする?」
トウガ
「もう俺は帝国の騎士ではない。理不尽を振りまくのなら残党とも戦うまで」
?
「くくく……時を待ちましょう、ふふふ」
フードで覆った正体不明の男はそう言うと、薄らと消えて行った。
テレポートか? いや違うな……。
イリュージョンが最も近いか?
トウガ
「まだ戦乱は止まないというのか……」
***
ベルモット
「にゃ〜……お客様こないにゃ〜」
アタシは戦後カノーア共和国首都カノーアで宿屋を経営していた。
なんだかんだでアタシは帝国の出身だし、元々下町娘だったから、これからは平和に過ごそう……そう思ってたんだけど。
ベルモット
「どうしよう〜、このままじゃ潰れちゃうにゃ!? そうなったら野垂れ死ぬの確定だにゃ〜!?」
アタシは相変わらず駄目なお姉さんだった。
ニアから時々だけど手紙が届いて、それを見るたびに今の自分が嫌になる。
ベルモット
「あ〜もう! こうなったら酒だにゃ! 飲まないとやってられないにゃ〜!」
アタシはそう言うと一升瓶をがぶ飲みする。
最近はお酒を控えめにしているんだけど、今日は特別だにゃ!
カランカラン♪
ベルモット
「にゃにゃ!? お客様!?」
客
「うお!? 酒臭っ!?」
宿屋に入ってきたのはガテン系のお兄さんだったにゃ。
見たところブーバーかにゃ?
お客さんは鼻を摘まむと。
客
「大丈夫かここは……? 止めとくか」
そう言うと即座に踵を返す。
ベルモット
「え? ちょ? ま、まってにゃ〜!? サービスするから〜!?」
***
ジョー
「……」
戦争が終わった。
厳密に言えば俺の戦争が終わっただけで、外ではまだ戦争が続いているだろう。
俺は最も戦地から遠い南部の秘境に身を移すと今後について考えていた。
傭兵業は、これからも需要が見込めるが、ナギーに破れた俺は意欲を失っていた。
?
「ねぇ師匠? ご飯出来たよ〜?」
俺の前に現れたのはツバサという名のスバメの少女だ。
ツバサという名は俺が名付けた。
最初は本当に気まぐれだったが、南部では山ほど子供が奴隷にされており、たまたまツバサを助けた事で、付きまとわれる事になった。
ツバサ
「早く私も強くなりたいんだから!」
ジョー
「強くなってなんになる?」
ツバサ
「そんなの分かんないよ! 敢えて言うなら天?」
そう言ってツバサは空を指差した。
言ってる意味を理解しているか怪しいが、俺は微笑する。
ジョー
「飯を食い終わったら修行を再開するぞ」
***
ワンク
「かかっ! ここ残党のアジトか?」
戦争の後、ワシらは中部に潜伏する帝国軍残党の秘密基地へと赴いた。
まずワシを出迎えたのは2メートル近い巨漢のエレキブルじゃった。
確か名をマーチスと言ったか? 中部方面軍総司令官じゃったな。
マーチス
「お初目掛かりますな、ワンク将軍、それにハリー将軍!」
ワシの後ろにはあの最後の戦いで敵となったハリーの姿があった。
ハリーは両腕を組むとガハハと豪快に笑う。
ハリー
「今はただの戦鬼よ!」
ワンク
「まぁワシらは戦があるところに姿ありじゃ」
マーチス
「……その戦ですが、後2年は控えて貰いたい」
ワンク
「2年か……長いな」
マーチス
「我々残党群が再起図るにはまず、潜伏できる拠点作りが必要です。その建設には2年は掛かりましょう!」
ハリー
「くく……まぁよい! 戦いの火蓋は何れ落とされる! 楽しみに待つとしよう!」
***
ドドドドド!
戦争が残したのは爪痕だけじゃない。
私達を乗せて運ぶ機械の馬、車は激しく揺れるが移動を快適にしていた。
ニア
「……」
ナツメイト
「やはり茂様がいないと寂しいですか?」
ニア
「ううん。お兄ちゃんのお陰で友達もできた、寂しくなんてない」
そうだ、賑やかな皆はいなくなったけど、私は寂しくない。
寧ろ忙しさが心地良い気さえする。
ゾロアである私が誰かのために頑張れて、友達が出来る。
正直凄く贅沢だと思う。
でもこれを普通だと思えるように頑張らないといけない。
『突然始まるポケモン娘と旅をする物語』
エピローグ それぞれの明日へ 完