突然始まるポケモン娘と○○○する物語





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第二部 突然始まるポケモン娘と旅をする物語
第23話 ここでいきなり温泉回

突然始まるポケモン娘と旅をする物語

第23話 ここでいきなり温泉回

2つ目の町ケダシに到達した俺たち。
前回の戦いでそれぞれ完全には無視できないダメージを受けた皆を休めるため、俺たちはある施設を利用した。

そうそれは―――。


カポーン。

ナツメ
 「ふぅ〜……疲れに効きますねぇ」

温泉だった。
ケダシの町は温泉の出る町として栄え、この北部では珍しい地熱の豊富な町だった。
故に地熱を利用した土地生産能力は大きく、北部で首都カノーアに次ぐ規模の観光街だと言える。
茂は全員のダメージを見るためにも、温泉宿を選びポケモン娘一行は温泉で疲れを癒やす。

ニア
 「に〜、極楽〜」

ナギー
 「うぅ……染みる〜……」

前回特にダメージの大きかったナギーは全身に切り傷があり、その激戦が見て取れる。
最も危惧された膝蹴りでの肋骨に対するダメージは問題なかったようだが、茂から厳重注意を受けた事は言うまでもない。
一方、最も激戦区にいた筈のニアはこれと言ったダメージもなく、のんびりと湯に浸かっている。
ナツメに至ってはもはやただの旅行感覚だ。
元々後衛で茂の護衛と後方からの支援がメインだから、最もダメージが少ないと言える。

伊吹
 「あ〜、良い気持ち〜♪」

美柑
「温泉回……再びすぎません?」

保美香
 「第1話(13話)ですからねぇ、今回は茜がいませんが」

さて、一方伊吹は前回とは違う温泉にこれはこれで良いとご満悦だった。
一方で前回の屈辱を思い出しているのは美柑である。
既に体感時間では半年も過去の話だが、あの胸を揉みくちゃにして、自分を散々弄った事を忘れない。
一方美柑を弄り倒した保美香は何所吹く風、ただ過去の温泉回では彼女も思うところがあったため、殊の外顔を紅くしていた。

保美香
 「それにしても、ここで温泉っていうのは因果を感じますわね」

美柑
 「因果、ですか?」

伊吹
 「温泉回が終わったら〜、アタシたち〜、ここに来たんだよね〜」

「あ」と、美柑もあの出来事を思い出した。
思えば、もう随分昔に思える話だが、確かにアレがフラグだと言うなら、最終決戦直前というのは因果だとしか言えない。

美柑
 「茜を取り戻したら、再びゲートが開くって、ご都合主義ですかね?」

伊吹
 「まぁ〜、流石にそれは出来過ぎだって思うけど〜」

保美香
 「そもそもあんなに易々とゲートが開いた事が相当にイレギュラーですからね」

別の世界同士を繋ぐゲート。
それは時にウルトラホールとも呼称する穴は、一体どういうメカニズムが働いたか分からない。
ただ、一つ理解するならば茂はゲートと関係がある可能性が高い。
ポケモン娘たちを無意識に引き寄せ、そして今はポケモンの世界……これ程奇想天外な旅はなく、小説にしても事実は小説より奇なりは確実だろう。

保美香
 「まぁ、例え火の中水の中草の中森の中土の中雪の中でもだんな様に着いてくだけですわ」

美柑
 「まぁ本当についてきちゃったし、多分ずっとついて行きますよね」

伊吹
 「運命共同体〜……だからねぇ〜」

なんだか、だんだん蕩ける伊吹に、保美香もいい加減気が付いた。
温泉だと成分の都合粘液は出にくいが、出るには出る。
保美香は伊吹を引き上げると僅かに、ローションのような粘性の液体が滴った。

保美香
 「伊吹、逆上せていますわね」

伊吹
 「きゅ〜」

保美香は伊吹を無理矢理揚げると、伊吹に風を当てる。
それは適切な看護なのだが、茂一行二大巨乳が何やらしているのだから、女性陣も釘付けだ。
もし茂もいれば悶絶物であろう。

ナツメ
 「やっぱり反則的ですよね……」

ニア
 「に〜、大きいことは良いことだ」

ナギー
 (身長の割にはないのよね……昔は気にならなかったけど、今は気になるかな)

ナギーはニアとナツメに比べても胸は控えめだ。
無論まな板でやじられる美柑ほどではないが、普通より少し小さめの乳房は今じゃコンプレックスにも感じている。
これまで戦いに明け暮れ、胸など剣を振るう時邪魔だと感じ、特に気にはしなかった。
元々男勝りの性分もあって、ここまで放置した訳だが、今更になって女を意識するようになってからは、随分しおらしなったとナギーも思っている。
特に今では茂の目線が気になって仕方がないのだ。

ニア
 「ナギーの控えめな胸って、やっぱり空気抵抗?」

ナギー
 「いや、メイルで胸は覆うから、空気抵抗が大きさには関係ないと思うが……」

同僚を思い出しても、巨乳の鳥ポケモンもいたはずだから、特に関係はないはず。

ナツメ
 「でも飛行タイプのポケモンは、骨格が軽い傾向にあるし、無駄は極力削がれる体質なんじゃ……」

無駄って……さり気なく控えめの胸を無駄と断じられた気がして落ち込むナギー。
しかしもはや種族特徴だと言うなら、それは諦めるしかないのか。

ナツメ
 「まぁ胸は男を振り向かせる最大の武器、せめて保美香さん位は欲しいですよねぇ〜」

ニア
 「私は成長期だから放っておいても大きくなる……」

ナツメ
 「食べたものが全て胸に行くなど……その代償に身長は伸びていないようですわね」

ニア
 「そんな事ない、半年で3センチ伸びた」

胸はそれ以上大きくなった、更にそうアピールするニアナギーは余計に鬱になる。
元々傾向としては獣系ポケモンは巨乳の傾向が強く、ニアは突出している部類だが、それでもナツメを越えるバストは充分に驚異を覚えさせた。

保美香
 「ふむ、では品定め」

ニア
 「にゃあ!?」

突然伊吹の介抱を終えた保美香はニアの後ろに回ると、そのおっぱいを鷲づかみする。
あまりにも咄嗟の不意打ちに叫声が零れるが、保美香は気にしない。

保美香
 「うーむ、83と見た……身長からしたらFですわね……なかなかの美乳ですが、胸で抜かせるとなると重さが足りませんね」

美柑
 「て、人のおっぱいの寸評は止めてください!」

保美香
 「因みにアレは、胸を弄ると大体現れるので悪しからず」

知ってる、それは三人とも理解し合していた。
ニアは一旦解放された後も、胸がドキドキした。
温泉で体温が上がっており、あんな場所で胸を揉まれて心拍数が上がっている。

保美香
 「それでは次はナツメ……と、ニア? 貴方顔色が悪いですわよ?」

ニア
 「逆上せたからもう出る」

ニアはそう言うと温泉から出た。
外では茂もいるはずだし、湯冷めする前に茂の身体で暖まろう。
そう考えて、浴室を出た。
丁度温泉からはナツメの喘ぎ声が聞こえていた。

ナツメ
 「あの……あ、な、なんで……んっ! ハァ……ハァ……、そんな、揉むんですか?」

保美香
 「トップバストにアンダーバストまで測るとなると詳細な形が要りますもの」

ナツメ
 「ニアには……ああっ! そこまで……して、はくっ!? ら、らめ……!」

保美香
 「まぁぶっちゃけ貴方の方が反応が面白いからかしら?」

ナギー
 (恐ろしい性戯だ……)

美柑
 (は、破廉恥すぎる……っ!)

保美香
 「因みに胸は……84かしら? うーむ、ニアに比べると美乳度は低いかしら?」

ナツメ
 「ううぅ……こんな辱めをうけるなんて……!」

結局逝かせてさえ貰えず、更に割と酷評されるナツメ。
正にオークに犯される姫騎士の気分そのものだろう。

保美香
 「く、殺せ……と言えれば完璧ですわね」

お風呂場では、保美香無双だった。



***




 「雪の温泉街……これが冬の北陸とかなら風情もあるんだがなぁ」

以前温泉に訪れたのは夏の太平洋側での話だった。
そんなに悪い旅でもなかったし、今度は金沢の方とかも悪くないな……そんな風に当時は考えていた。
しかしこの世界に召喚されて、あんまりにも慌ただしく、向こうの世界のことを考えたのは本当に久しぶりだ。


 「地図の上で見れば後一つ、最後の町を越えれば帝国の首都は目の前……か」

本当に最後を迎えるんだな。
だけど、俺の人生は茜を取り戻しても、カリンと決着をつけても終わらない。
あくまで一つの節目であり、俺の旅はある意味で死ぬまで続くんだろうな。

ニア
 「お兄ちゃん」


 「おっ、出てくるのが早いな、もっとゆっくりしてても良かったろうに」

俺は雪がこんこんと降る宿の外にのんびりと立っていると、風呂上りの姿のニアが宿から出てきた。
ニアは嬉しそうに尻尾を振りながら俺の腰に抱きついた。

ニア
 「どう? お風呂に入って綺麗?」


 「ああ、ニアは元から美人だからな、お肌艶々だな!」

俺が頭を撫でると、ニアは耳をピコピコさせて嬉しそうに目を細めた。
全くニアも日頃に美人になっていくもんだから俺も困るぜ。
初めて出会った時なんて浮浪者丸出しで見窄らしい少女だったのに、気が付いたら誰もが一度は振り向く美人に化けるんだから世の中分からない。
まぁ最もニアが目線を向けるのは大抵は男性で、しかも目線は首から下な訳だが。
昨今でもやはり珍しいロリ巨乳なんだから、世の男の劣情を誘うのも仕方ないが。


 「で、皆はまだ風呂?」

ニア
 「もうすぐ上がると思うけど」


 「それならそろそろ宿に戻るか」

俺はそう言うと入り口に引き返した。
宿の中は暖房が効いており、防寒具はそれ程必要ない。
見ると待合室でぐったりしたナツメの姿があった。


 「おい、ナツメ……お前大丈夫か?」

洋服をはだけさせ、逆上せたようにぐったりしたナツメはそれ以上に深刻な顔だった。

ナツメ
 「茂様になら、喜んで捧げましたのに……」


  「はぁ? 何の事だ?」

ナツメはそう言うと顔を手で覆い隠して何も言わなかった。
一体風呂場で何があったのか。

伊吹
 「あ〜、茂君〜♪」

そうしていると今度は伊吹が宿の奥から現れる。
伊吹も身体を火照らせており、俺を見つけると直ぐさま抱きついてくる。
と言っても上から覆い被さる見たいな格好で、端から見たら「何してんだこいつら?」という感じだろう。
とりあえず茹で上がった紅い肌が大変エロいが、こっちの伊吹耐性を舐めて貰っては困る。


 「暑苦しい」

伊吹
 「ちぇ〜、もう少しああしてたかったのになぁ〜」

そういえば、ここ最近伊吹って俺に甘えてくる事無かったな。
向こうの世界にいた時は、羞恥心0の伊吹はいつも俺にべったりしてきたイメージだが、こっちにきてからめっきり無くなった気がする。
伊吹と言えば、いつも皆の心配をしているイメージで、皆の事に精一杯で自分の幸せを二の次にしてたのかな。
でも今は美柑に保美香もいるし、少し伊吹の負担も減ったのかも知れない。
後は茜さえ帰ってこれば、いつもの伊吹に帰れるのかな。

保美香
 「全く揉んでも大きくならないなんて、貴方やっぱり呪われているんじゃ……」

美柑
 「盾がその分成長しているんですっ!」

何だか聞くに堪えない言葉を出して、風呂場から更に保美香たちが出てきた。
後はナギさんだけいないみたいだが。


 「保美香、ナギさんは?」

保美香
 「彼女でしたら、ニアの次に出て行きましたかしら」

一応ニアにも確認するが、ニアは首を横に振るう。
となると二階か。
俺はエントランスから伸びる二階への階段を見た。



***



ナギー
 「……はぁ、私はどうなってしまったんだろう?」

私は2階の借りた部屋の窓から出ると、屋根の上に座っていた。
空に高い場所、そこは本能的に鳥ポケモンが好む場所だ。
雪は止む様子もなく、ふわふわのパウダースノーが降り積もるが、私は気にしなかった。

ナギー
 「神話の乙女……本当に私なのか? だが、何故だ?」

あの夢……それは一体何を意味するのか?
もしも本当に私が神話の乙女なら、それは何を意味するのか。
分からない……私は何を成すべきなのだろう。


 「おっ、ナギさん発見!」

突然窓から茂さんが顔を出してきた。
私は茂さんを見ると顔を逸らしてしまう。
なんで、センチメンタルな悩みの時に限って発見されるのだろう。


 「よっと、屋根にいるのは予想外だったわ」

ナギー
 「じゃあ、どうして発見出来たんですか?」

内心では見つけて貰えて嬉しいわけだが、私は顔には出さない。
茂さんは私の隣に座ると。


 「そりゃ、ナギさんって意外と寂しがり屋な所あるし、隠れるなら意外と見つけやすい場所かなって……まぁ見つけたのは運だけどな」

ナギー
 「私はそんなに寂しがり屋かな?」

茂さんは「うーん」と首を捻ると天を仰ぐ。
私は自分の事を寂しがり屋とは思ったことはない。
親父と喧嘩別れした時だって、一人でやっていけると思った。
でも、自分でも気付いていない私ってあるのだろうか。


 「なんていうのかさ、ナギさんって思ったよりお姉さんしてないなって思ったんだよな。なんとなく同い年だからかな、結構近くに感じるっていうか……案外寂しさってのが感じるっていうか」

私は茂さんの顔は見れなかったが、言葉は一つ一つ受け取った。
私は茂さんをどう見ているんだろう……同い年だから、勿論親しみや、それに皆のために勇気を出せる所にも尊敬は出来る。
でも、彼は私を女性としてちゃんと扱ってくれた。
好きだという感情は否定しない。
でも、その初めは自分が護らなきゃっていう保護欲によるものだった筈だ。
それがいつの間にか恋心に変わったのはいつだろう。
弟のような存在が、いつの間にか愛おしい男に変わったのはいつだろう。


 「うーん。やっぱりナギさんは寂しいって時、いつもそうやってちょっと近くで一人でいるんだよな」

ナギー
 「そうか、そういう君はいつも軽そうなのに、皆の事を見ている」

私にとっての茂さんは大きな人だ。
それは決して大器の格や王の気質などではない。
だけどアレだけ多くの個性的なポケモン娘がこの人の前では安心できるのだ、これを大きな人と言わずなんという。


 「お、言われてみればその通りかも!」

茂さんはそう言うとハハハと笑った。
茂さんも自分の性格に自覚はあるのだろう。
普段は少し軽いというか、なんにでも本気を出すタイプじゃない。
でも、もしも皆に危険があれば真っ先に自らを晒す。
義務感と責任感……それが奇妙な形で同居している。


 「俺ってさ、恋とか面倒だと思ってたんだよな。でも……先に家族が出来ちまった。家族を愛するのって家長である俺の務めだと思ったんだよな」

茂さんは家族を本当に大切にしている。
保美香も美柑も、伊吹さんも幸せ者だ。
そして今も想われている茜さんはきっと果報者だろう。
だからこそ、茂さんは頑張れる。
彼は剣の初心者なのに初陣でも果敢に戦えた……。
ああ……もしかして、クソ親父って嫌ってたけど、本当は好きだったのかな。
茂さんにお父さんを見てしまったのかな。

ナギー
 「茂さん……私は貴方が好きです」

私は茂さんを真っ直ぐ見た。
きっと私の顔は真っ赤になっているだろう。
茂さんは一瞬目を逸らしたが、顔を紅くして視線を戻すと。


 「えーと、突然の告白? まぁそりゃ俺もナギさんは好きだよ」

好き……と言っても茂さんの好きは友情だろう。
でも私の好きは恋であり、愛なんだ。
今の私にはまだそれを伝える勇気が無い。

ナギー
 「茂さん、お慕いしています」

私は立ち上がった。
このままここに座っていたら凍えてしまう。
私はまだ夢の続きにいるのかも知れない。
それは神話の乙女の義務なのか……でも、もう戸惑わない。
愛する人のために頑張れるならなんでもいい。



***




 「お慕いしています……かぁ」

俺は普段から鈍感な振りをしている訳じゃない。
ナツメは露骨に俺のことを愛してくれているし、ニアも本気で俺と結婚したいと思っている。
そんな奴らの恋ってやつ位は分かるさ。
でも俺は臆病だ、優柔不断野郎だ。
ただ緩慢な安寧が欲しいだけで、燃えるような恋が欲しい訳じゃない。
好きって言うのは簡単だけど、愛しているって難しいよな。
俺が特別臆病なのかも知れないが、少なくとも結婚とかには踏み込めない。
それでもいつかは結婚するのかな。
でも結婚したらきっと家族ごっこは終わりだ。
俺はそれが怖くて仕方がない。


 (多分最初は茜からだよな)

アレは最初の日だ。
何故俺は酔っ払って、そして何故茜は途方に暮れてたのか。
俺はどうして茜を受け入れたのか。
そしてどうして茜は俺に懐いて、どうして俺は茜を好きになったんだろう。


 「分からねぇ……正直酔いすぎてあの日のことはさっぱりなんだよなぁ」

気が付いたら一緒の布団で眠っているなんて何所のエロゲーだよって当時思ったもんな。
その上原始人みたいな子がいきなりご主人様呼び、展開が無茶苦茶すぎて、未だに分からん。
だがあの出会いを切欠に今の俺がいるのは事実だ。
人生には絶望しかなく、趣味もなくて、酒に溺れる毎日。
きとあのままならそのうち自殺していた。
そんな絶望から救ってくれたには間違いなくポケモン娘たちだ。


 「……茜、もうすぐ……ッ!?」

俺は屋根の上から信じられない物を見た。
それはメイド服ではあったが、確かにピンと立った茶色い耳に筆のような大きな尻尾。
そして幼さに見合わない巨乳。
どこからどう見ても茜だった。


 「なんでこんな所に! 茜!!」



突然始まるポケモン娘と旅をする物語


第23話 ここでいきなり温泉回 完

第24話に続く。


KaZuKiNa ( 2019/04/09(火) 22:48 )