突然始まるポケモン娘と○○○する物語





小説トップ
第二部 突然始まるポケモン娘と旅をする物語
第20話 ナツメイト、その男を越えて

突然始まるポケモン娘と旅をする物語

第20話 ナツメイト、その男を越えて


 「迂回ルートで行こう」

結局目的地に変更がないのなら、俺は安全策を選ぼう。
確かにニアの言う通り、夜になるリスクはある。
だが、それは結局森を通過しても同じ事が言えないだろうか。
森で迷えばそれだけでタイムロスするし、最悪永遠に彷徨う可能性もある。

GPSのような高度な通信機器が使えない中では、安全策の方が確実だろう。

ナギー
 「うむ、言い出しっぺは私だからな。私も全責任を背負って行こう!」

ナツメ
 「ナギー、これは皆の問題よ、責任は全員で背負うもの」

保美香
 「さて、そろそろ休憩も終わりにしませんこと?」

いい加減、皆も水を補充したようで俺は荷物を背負い直す。
このまま進めば約7日、俺達が帝国の首都カノーアにたどり着くには1週間はかかる。


 「皆、行くぞ!」

俺は全員を先導して、先へと進む。
再び単調な歩行は始まり、まずは黒い森を目指す事になる。


 「一応聞くけど、進路はこっちで合ってんだよな?」

ナギー
 「……大丈夫だ、そのまま進めば黒い森が見えてくる、森は入らず右側を迂回だ」

ナギさんは俺の隣で地図と前方を交互に見て答えた。
やはり平野は何所までも続き、遙か遠くはなおも霞む。
既に後ろにフリズ雪山は見えず、後戻りは出来ないのだなと、痛感した。

それから歩くこと30分、霞むほど遠くに森は見えた。

ナギー
 「よし、地図は合っているようだ」

ナギさんは黒い森が見えてきた事でほっとしたようだ。
地図を任せるため、流石に責任は重いからな。


 「このまま5時間も歩けば良いわけか」

5時間、言っててなんだか自分がいつの間にかタフになったなと痛感する。
システムエンジニアなんざ、身体が衰えるのが普通だったが、すでに仕事から遠ざかって半年近く、すっかり健康的だ。

ナギー
 「少し急げば夜前には着きそうだな!」


 「だそうだ! 皆頑張ってくれ!」

伊吹
 「うん〜! 元気百倍〜、頑張るよ〜!」

美柑
 「主殿の命とあれば!」

一番後ろ、ソリを任された二人からも元気な声が返ってくる。
この元気が続くなら、到着した町ではゆっくり休みたいな。
こういうのは初日が一番キツいとも言うし、ここは多少でも元気を出して行くとしよう。


 「……?」

俺はふと、前方に人影が見えたような気がして首を傾げる。

ナツメ
 「どうしました茂様?」


 「ナツメ、周囲に誰かいるか?」

俺は列の後ろを進むナツメに聞いた。
ナツメは目を閉じて胸の紅い角に感覚を集中する。
もしも誰かがいるのなら、ナツメには判別出来る筈だ。

ナツメ
 「……いえ、周囲には誰もいないようですが……ッ! 前方!」


 「え?」

俺は前方に視線を戻した。
しかしそこには雪原しかない。
だが、何かが急速に迫る。
それは放物線を描いて。

ナギー
 「危ない茂さん! 全員退避行動に移れ!」

それは少しでも反応が遅ければ危なかったかもしれない。
遙か遠くから放物線を描いて飛んできたのは砲弾だ。
ただし随分旧式な、黒い鉄の塊。


 「なんだぁ……なんで鉄の塊が!?」

それは特に爆発することもなく、ただ地面を砕く、それだけだった。
えらく旧式というか、対人なら炸裂弾を使いそうな物だが。


 「帝国兵か!?」

ナツメ
 「前方……遠い」

それはかなり遠方から飛ばされた、ただの質量兵器。

ナツメ
 「この感じ!? まさか!?」

ナツメは何かに気が付いた?
しかし、それは俺たちには分からない。
何故なら、その場でナツメがテレポートしてしまったのだ。


 「ちょ!? ナツメは何所に行った!?」

俺は咄嗟にナツメに脳波を送る。


 (お前何所へ行った!?)

ナツメ
 『少しお待ちを……この距離で脳波を察知しながら念話は辛いので』


 (距離だぁ!?)

俺は咄嗟に前方を見た。
当然鉄球が飛んできた先には何も見えない。
だが、そこに何かある!
そしてそこにはナツメがいる!


 「ナギさん! 前方に先行してくれ! 俺も全力で追いかける!」

ナギー
 「全く嫌な予感しかしないな!」

ナギさんは荷物を全て降ろすと、その翼を広げて前方へと飛んでいく。


 「くそ、一体誰が来たんだっての!」



***



トウガ
 「ふふ、挑戦状……受け取ってくれて嬉しいぞ」

ナツメ
 「久し振りですね……帝国軍七神将の一人トウガ!」

私はかつて知っている敵の気配に、真っ先に向かっていった。
そして巨大な投石器の隣にトウガはいた。

トウガ
 「思えば、貴方との遭遇はあの男との遭遇……それはこの戦いの始まりだった」

私は剣を抜いた。
そして、それは彼の槍を抜かせる事になる。
まるで馬上槍のような巨大なランスを片手に一本づつ。
その力は凄まじい、あの槍を片手で扱える腕力に、それをさも片手剣でも扱うような技量。
欠点は鈍重な事だけれど、それも彼の力量ならそれほど苦にはならない。

ナツメ
 「貴方は危険です。私が倒します」

トウガ
 「出来るかな? 少なくとも常葉茂の到着はまだかかりそうだが?」

相手の圧倒的余裕。
そう、私のエストックでは、相手に致命打を与えられない。
加えてこちらは一撃でも貰えば駄目だ。
でも、私だって強くなった。

ナツメ
 「!」

私は念動力を強める。
しかし、シュバルゴであるトウガにはサイコキネシスはまるで通用しない。
それでも、これで動きを阻害すればチャンスはある。

トウガ
 「ふ、相変わらず賢しい」

ナツメ
 「はぁ……!」

私はエストックを振るう。
まずは肩口を狙う。

キィン!

トウガ
 「ふ、しかしそうそう二度目はないよ」

トウガは僅かに槍を動かして、エストックの刺突をずらし、エストックは肩アーマーに弾かれる。
そう、これがトウガの技量。
鋼の外骨格を纏い、そして何者にも屈しないその強さ。
純粋な戦闘能力だけなら、ナギーをも上回るかもしれない。

トウガ
 「今度はこちらから!」

トウガは右の槍を振りかざす。
私は槍に念動力を集中、その重力を引き上げる。
しかし止められない! 鋼の身体はそれ自体がエスパーの技を弾いてしまう。

トウガ
 「ふん!」

私は咄嗟に身を捻って、槍の一撃を回避する。
しかしトウガの力はそれ以上に凄まじい。
そのまま振り下ろされた槍は地面を砕き、雪とその下の土がはじけ飛ぶ!

ナツメ
 「く!?」

私はほんの数メートル後ろにテレポートする。
並の相手なら、サイコキネシスで押し潰す事も可能だけれど、鋼タイプであるトウガには不可能。
それどころか動きを止めることも出来ない。

トウガ
 「流石にあの頃の小娘だった時とは違うな」

ナツメ
 「当然……と言いたい所ですが、通じなければ変わりませんね」

私はゆっくりと息を整える。
この男に勝てなければ、茂様を助けるなんて言えない。
私は神話の乙女になれないのかも知れない。
でも構わない! 例え神話の乙女に選ばれなくても私は茂様が好きだ!
だから私は茂様のために戦う!

ナギー
 「姫さま!」

トウガ
 「ほう、先行してきたか」

ナツメ
 「ナギー……」

私は時間を掛けすぎたのか、ナギーが救援にやってきた。
ナギーは私の前に立つと剣を抜いてトウガに構える。

ナギー
 「ここからは私が相手だ!」

トウガ
 「構わんよ、どの道全員相手にする覚悟だからな」

トウガは正々堂々とした男だ。
おそらくあの挑戦状も、私と先に決着を付けたかったのだろう。
そして一対一で正面からこちらの撃破を狙っている。

ナツメ
 「ナギー、今は邪魔をしないで」

私はナギーを押しのけてトウガの前に出る。

ナギー
 「姫さま危険です! その男はかなり出来る!」

ナツメ
 「だからこそ、彼の騎士道を汚すことは私が許しません!」

私はエストックを振るう。
自らの威をもってナギーを制する。
ナギーはそれに剣を納めた。

ナギー
 「……時機に茂さんたちも着きます」

ナツメ
 「結構、それまでに決着をつけます!」

私はナギーを静止して、それと同時に自分も覚悟を決める。
この男に守りの戦いは失礼だし、それでは勝てないと分かった。

ナツメ
 「あの強固な外骨格にはまともな攻撃は通用しない……ならば」

私は全ての念動力をエストックに集中させる。
あまりにも濃い念動力は薄い紫のような色を持つ。

トウガ
 「ほう、そうきたか。だが!」

トウガの左の槍が動く。
私は先に突っ込んだ!

ナツメ
 「スピードは私が上です!」

剣士を相手にするのは馴れているだろう。
本来並の剣なら外骨格で弾けば済む。
実際相手はそのセオリー通り動く。
私は槍の刺突を回避して、内側から肩口を突く。

トウガ
 「何度やっても同じ事!」

そう、彼は凄いと思う。
何故なら必ず同じ受け方を成功させるのだから。

ガキィン!

例え念動力で強化した剣と言えど、外骨格を一撃で破壊するには至らない。
そう一撃では……だ。

ナツメ
 「まだまだぁ!」

私は力を込めた。
全力でその肩の外骨格を貫く!

バキィ!

トウガ
 「なに!? ぐぅぅ!?」

トウガが苦痛に顔を歪めた。
相手からすれば、自分の外骨格を砕かれると思わなかっただろう。
だが、三撃だ。
三撃同じ場所に全力の刺突を食らえば無事では済まない。

ナツメ
 「あなたは正確過ぎた。必ず同じ方法で防御してしまう。そして受ける箇所でさえ常に同じ……それが仇となった」

トウガは苦痛に顔を歪めるが左の槍は落とさない。
持っているのも苦痛の筈なのに、彼はそれを手放さない……それはプライドだろうか。

ナツメ
 「もう一撃、そこに一撃加えれば貴方の左腕は死ぬでしょう」

トウガ
 「そうだな……外骨格を砕かれたのは初めてだが、痛いものだな」

私は剣を構える。
トウガの戦意を削ぐには左腕を切り落としても止まらないだろう。
だから剣を持ってその意志を挫かないといけない。

トウガ
 (強くなった……あの頃からは考えられないほどに……それは肉体も、精神も……だが!)

トウガは右の槍を構えた。

トウガ
 「改めて貴方を強敵と認めよう!」

静かな一瞬。
今は余裕も恐怖もない。
ただ、来るべき終わりを待ち構える。

トウガ
 「はぁぁ!」

ナツメ
 「!」

トウガが先に動いた!
その鈍重な身体を動かして、右の槍を真っ直ぐに打ち抜く!
私はその一撃を回避して、カウンターのように心臓部を狙う。
最も装甲が厚く、最も安全な場所だが、そこにただ一点衝撃を与えれば、装甲越しにダメージは与えられる。
後は私の技量次第!

ナツメ
 「もらっ!?」

私は驚愕した。
このトウガの戦いに掛けたある執念。
彼の左腕は動いていた!

トウガ
 「これが俺の! 『ダブルニードル』だ!」

右の突きから間髪入れずに放たれる左の突き。
万全の状態ならカウンター殺しとして機能したであろう技が放たれる!

ナツメ
 (だめだ! 回避できない! やられる!?)

私は心の中で諦めかけた。
その一撃を貰えば自分の華奢な身体ではどうなるかは想像に難くない。
だけど、やっぱり身体は諦めなかった。
二発目のダブルニードルは、私の脇腹を切り裂く。
その激痛に呻き声を上げても、私はエストックを両手で握りしめ、トウガの心臓部を打ち抜いた!

ナツメ
 「い、やぁぁぁ!」

ガキィン!

ピシッ……装甲は確かに念動力で補強されたエストックを弾いた。
しかし私の執念の一撃はトウガの胸部装甲に亀裂を入れた。

ナツメ
 「はぁ……はぁ……!」

もう動けない、腹の出血が気になるが、視線を下にだけは下げられない。
何故なら目の前にはまだトウガが立っているのだ。

トウガ
 「……ふ、これが俺の運命……か」

ガシャン!

トウガが両手の槍を落とした。
そして自重を支えられないトウガは静かに崩れ落ちる。

ナギー
 「姫さま!」

ナツメ
 「はぁ、はぁ……!」

トウガが倒れた?
それは分かっているのに、今だ緊張で身体が動かない。
それどころか呼吸もあやしい、今力を抜くと、全身弛緩して今度は立てなくなるだろう。

ナギー
 「姫さま、お見事です」

ナツメ
 「ナ、ギー……少し、支えて……」

私は剣を落とし、ナギーに寄りかかって力を抜いた。
そのまま私は重力に任せて動かなくなる。



***




 「おいおい……こりゃとんでもないな」

ナツメとナギさんを追って、敵のいる場所までやってきた俺たちは既に倒された敵と、そして倒したであろうナツメを見た。
倒した相手はまさかのトウガ、見ると幾つか装甲に亀裂があり、特に左肩の破砕が著しく、出血も見られる。
一方でナツメも腹部が切り裂かれており、ナギさんの腕で死んでいるように眠っていた。


 「ナツメの容体は?」

ナギー
 「奇跡としか言いようがないな、皮一枚切り裂かれたが、出血には至っていない」

美柑
 「それにしても、どうしてナツメさんは勝手に先行したんだろう」


 「トウガは……俺とナツメの最初の因縁の相手だった」

あの時、訳も分からずゲートとやらに飲み込まれた俺は暗い森の中に落ちた。
丁度、ナツメを追撃するトウガと両者鉢合わせに。
それは俺とナツメの運命の出会いであると同時に、帝国との因縁の始まりでもあった。


 「多分、俺を巻き込ませたくなかった事と、自力で決着を付けたかったんだろう」

俺は倒れた両者を見比べる。
片や大ダメージに見えるトウガ、片や軽微なダメージに見えるナツメ。
しかしこれでは。


 「最後まで立っている事だけは出来なかったか」

これでは、引き分けと変わらんな。



***



北部はたった数年前までどこも貧しく、野盗が蔓延る暗黒の地だった。
俺は生まれつき身体が強く、2本の槍を武器に戦った。
しかし俺一人ではこの北部の民に光を与える事は出来なかった。
そんな中現れたのは皇帝陛下カリンだった。
この俺が憧れ恐怖するほどの力を持ち、毒をもって毒を制すように、瞬く間に北部を平定し、アーソル帝国を築き上げた。
北部は帝国の成立後、一気に治安は良くなった。
だが貧しい事に変わりはなく、中部の国々と対等とは言えない状況は続いた。
しかし俺達は北部のポケモンたちにとってカリン様は希望だった。
全土統一を掲げた戦争で、俺は常に最前線にいた。
この戦で頭角を現し、七神将の位も頂き、本当の意味で北部の民を救う後一歩……だった。

だが異変は二つあった。
一つは中部平定を境に、急にやる気を無くした皇帝陛下。
もう一つは常葉茂の出現だ。
この二つの異変が、今アーソル帝国を滅亡の危機に晒している。
だが、しかし……必要なのは帝国なのか?
違う……欲しいのもう子供たちが飢えで苦しまなくて良い世界だ!



パチパチパチ……!

トウガ
 (……? 一体なんだ?)

炎の音、そして会話の声が。

ニア
 「結局夜を迎えたね」


 「しょうがねぇだろ、トウガを放っておく訳にも行かないんだから」

トウガ
 「う……俺は?」


***




 「お、目を覚ましたか」

俺たちは倒れたナツメとトウガを回収すると、目的の町へと向かった。
しかし二人合わせて230kgの荷物が増えた事で、俺たちのスピードは著しく低下。
そして、結局夜を迎えた事で、俺たちは野営の設置に移った。
今はキャンプファイアを取り囲んでいる状態で、明日朝再び出発することになる。


 「トウガ、アンタには複雑かもしれないが、捕虜として取り扱うことにした」

トウガ
 「捕虜……か、負けたのだから当然だな」

トウガは重い身体を持ち上げると、自嘲気味に笑った。
外骨格のダメージは予想以上に大きく、トウガの左腕は死んでおり、その姿は痛々しいものだった。

ナギー
 「だが、我々は軍ではない。故に軍事条約に基づいた捕虜の取り扱いは義務にはない」


 「だけどまぁ安心してくれ、次の町に着いたらそこで解放するさ」

トウガ
 「……何故生かした?」

トウガは自分の身体を見る。
既に最低限の医療処置は施されており、後は自然回復に任せる段階だ。
俺たちは確かに気絶したトウガにトドメをさすことは可能だった。


 「一つは当然、帝国の内情を知りたいからだ」

帝国は今どうなっているのか。
何故トウガ一人で俺たちを襲ったのか。
皇帝カリンの意志まで含めて、帝国の謎は多い。


 「そしてもう一つは、アンタを正道の騎士と認めたからさ」

これは単純に俺が、助けるに値すると感じただけだ。
別に今は無駄な事かも知れないが、それでも善行はいつか返ってくるだろう。
特にコイツほどの騎士ならば。

トウガ
 「ふ、流石伝説のポケモントレーナー。寛大な事だ」

保美香
 「言っておきますが、変な気は起こさないでください」

保美香はあくまでトウガに警告を与える。
当然、それぞれの立場でトウガは見られている。
純粋に信用出来ない者も、俺のように敵としては扱わない者も。
それも彼は察してか、素直に口を開いた。

トウガ
 「帝国は今や崩壊の危機だ……」

美柑
 「崩壊? 一体何が?」

トウガ
 「最も大きな原因は中部戦線の崩壊だが、それは元を辿れば皇帝に行き着く」


 「ッ!? カリンに?」

皇帝カリン……アイツの事は本当に分からん。
本当に悪逆の王なのか、それとも何か本当の意味があるのか。
ただ、トウガの話す内容は少しだけカリンの意志がくみ取れる気がした。

トウガ
 「帝国内部の残り兵力は少ない。そして皇帝は茂、お前の討伐に乗り出した」

ニア
 「お兄ちゃんを?」

トウガ
 「そう、今や帝国は伝説のポケモントレーナーの手で崩壊されると戦々恐々なのだ、だからこそ今や皇帝の不可解な行動を止める手立てがない」

皇帝の不可解な行動。
それは元を辿れば開戦当初まで遡るようだが、特に影響が出始めたのがここ半年といった所。
皇帝は大陸の帝国による絶対統治を掲げており、実際それは大陸の6割を完全な制圧下に置いた。
しかしその後の南部制圧にはあまり乗り気ではなく、この頃軍事はギーグに丸投げする傾向にあったらしい。
そして反撃が始まると更におかしくなった。
さも戦争に興味がないと、一切戦の場には関わらず、ギーグは七神将を動員してでも、戦線の維持に図り、今頃になってカリンは俺の討伐指令を出したという。

トウガ
 「お前を見て理解した。お前は帝国には興味がないのだろう?」


 「……ああ、ないな。ただ単に取り返したい家族と、俺に何を思っているのかよく分からんカリンに用があるだけだ」

そう、俺自身は一度も戦争に興味なんて持っていない。
寧ろ積極的に戦争したがる方がどうかしているだろ。

トウガ
 「やはりな。帝国を崩壊させるのは伝説のポケモントレーナーなどではない。皇帝自身だ……今納得した」

ナギー
 「……分からん。何故自分の力で築いた帝国を、自分で放棄するのか?」

トウガ
 「そこまでは俺にも分からんが、少なくとも帝国の権威には興味がないようだ」


 「……」

カリンの目的は間違いなく、伝説のポケモントレーナーの神話を打倒する事だろう。
逆説的には、帝国を生け贄に神話の再現を狙っているのか?
だが、根本的にわからんのは、なぜ神話にそこまで拘るのか。

だが……その答えはそんなに遠くない未来にでるだろう。


突然始まるポケモン娘と旅をする物語


第19話 トウガの信念 完

第20話に続く。


KaZuKiNa ( 2019/04/09(火) 11:34 )