夢と星に輝きを ―心の境界―








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3章 多彩な邂逅
33話 ドテッコツ組始動
 シャンリが来てから数日。
 のんびりとクレディアとフールと御月は朝食をとっていた。

「今日の出撃メンバーはシリュアとクライと御月とレトね。私とクレディアはヴィゴのところに行って来るから」

「あぁ……。様子を見にってワケか」

「そういうコト。まあシリュアがいるから大丈夫だとは思うけど、ヘマはしないでよ」

「へーへー」

 フールの指示に、適当に御月が答える。
 今の『プロキオン』で1番強いのは、冒険家として実力を積んできたシリュアだ。反対に弱いのはクレディアとクライ。フールと御月とレトは均衡状態といってもいいだろう。
 「リーダーはむいていない」とやら言ってたフールだが、出撃メンバーのバランスはきちんと考えている。
 だからこそ、誰も異論は唱えない。寧ろ御月は高く評価していた。

「そろそろパラダイスも本格的に始動しなくちゃ」

 フールはそう呟いて、切ってあるモモンの実の口に入れた。





「〜〜♪」

「まぁた始まった……」

 クレディアが歌い始めたのに、フールがため息をつく。
 そろそろ慣れてきたフールであるが、やはり呆れてしまう。

「あっ、クレディアさん! フールさん!」

 するとマハトとポデルが駆け寄ってきた。
 クレディアはぴたりと歌うのを止めて、フールは首を傾げる。そしてフールが問う前に、マハトが先に話した。

「今日からドテッコツ組が本格的にオープンするんだ! だからちょっと来てくれ!」

「えっ、ちょ……」

 元から行く気であったが、お呼びらしい。
 ポデルがクレディアを、マハトがフールの手を引っ張ってドテッコツ組へと向かっていく。勿論、そこにはヴィゴいた。

「よお! この前はじょうぶなツタ≠りがとよ! お陰でカンも戻ってきたことだし、今日からドテッコツ組オープンだ!」

「わぁっ、おめでとう!!」

 ヴィゴの言葉に、クレディアがぱちぱちと拍手をしながら喜ぶ。
 するとフールが首を傾げた。

「しっかし……ドテッコツ組は何をするわけ?」

「それを今から説明する。フール、お前の夢はポケモンパラダイスを作ることなんだろ?
 お前は施設を建てたいとか言ってたが、お前が所有している土地は荒地だ。だからまずその土地を普通の土地にしなければ、施設が建てられねぇ」

「あ……そういえば進めない場所とかいっぱいあるのよね。そっか、それをどうにかしないといけないや」

 忘れてたと言わんばかりの態度でフールが呟く。そして困ったような顔をして見せた。
 するとヴィゴがにやりと笑った。

「ドテッコツ組は材料とポケさえ持ってきてくれればその土地を開拓してやる」

「……まじで!?」

「おう」

「あ、フールさん。これ、俺らなりにまとめたメモです」

 ポデルがまとめられたメモをフールに渡す。それを受け取りぱらぱらと捲ると、どんな風に開拓をするか、施設の一覧、必要な材料が書いてあった。
 「ほー」とフールとクレディアが関心していると、マハトが付け足した。

「今の俺らができる範囲でしかまだ書いてないんだけど……でもやっている内に慣れてくると思うんだ。だからできるモノが増えたら、またメモを渡すよ」

「これでも結構あると思うんだけどなぁ……」

「とりあえず開拓しないと施設は建てられないんでしょう? じゃあ早速頼んでもいい?」

 フールがメモに目を通してから、ヴィゴに問う。
 するとヴィゴは明るく笑った。

「あぁ! 材料とポケさえくれればやるぜ! ただ開拓は1日〜3日ぐらい掛るかもしれねぇけどな」

「りょーかい。……とりあえず今できるのは……“さわやかな草原”ね。クレディア、ゆたかな土≠ニ積み立てハーブ≠ニってきてくれる?」

「わかった!」

 クレディアが嬉しそうに頷いて、預かりボックスの方へ駆けていった。
 フールはぺらぺらとメモを捲る。

「畑とかあるけど……この畑は私たちが世話しなきゃなんないの?」

「雇えばなんとかなるんじゃないか?」

「んーまあ、そこらへんは考えようね……知名度が高くないから難しそうだけど」

 ふぅとフールがため息をつく。ヴィゴもそれを聞いて少し考え込む。
 自分たちで管理しなければいけないのであれば、計画なしに作ることはできなさそうだ。特にそんなことをしたら御月が1番怒るだろう。ただでさえバイトも掛け持ちしているというのに。

「俺が何とかしてやろうか?」

「できるの?」

 ぱちぱちと瞬きをしながらヴィゴを見ると、「おう」と笑いながら返してくれた。

「昔知り合った奴らに聞いてみてやるよ。もしかしたらやってやるって奴がいるかもしれねぇしな」

「そうしてくれると助かるわ。ありがと」

 意外に何とかなりそうだなとフールが考えていると、クレディアが「持ってきたー!」と駆け寄ってきた。

「ゆたかな土≠ニ積み立てハーブ=I」

「よっし。それで……ポケは300ね。はいっ」

 フールが300ポケとつたかな土=Aそしてつみたてハーブ≠渡す。
 ヴィゴは受け取り、そしてマハトとポデルに目を向けた。

「よしっ、“さわやかな草原”だな。お前ら! 1番最初の開拓だ! 1日で終わらせるぞ!! ドテッコーーーーッツ!!」

「「おーーーーーッ!!」」

「あ、ちょ、別にゆっくりでもいい…………早っ」

 フールが引きとめようとしたのだが、元気よく3匹は駆けて行ってしまった。クレディアは「元気だねー」と呑気に感想を告げる。
 しかし行ってしまったものは仕方ない。

「……まあ、報告を待とうか」

「そうだねっ! どんなのになるかなぁ」

 そう行って、宿場町に向かった。



 そして、その日の夜。

「…………常識って知ってる?」

「す、すみません! 早くご報告したくて……」

 フールは不機嫌そうに目をこすり、ポデルは申し訳なさそうに謝る。クレディアはコクンコクンと首が揺れ、今にも寝そうである。御月はそんなクレディアに「起きろ」と何度も注意する。
 今の時刻は夜中。3匹も寝ていたのだが、ポデルの声で起こされてしまったのだ。

「で? 開拓が済んだの?」

「はい! マハトも兄貴もこっちにいます!」

「おい、クレディア起きろ。寄りかかるな起きろ!!」

「んん〜……」

 ポデルがこっちだといってパラダイスセンターとは逆方向に進む。それに3匹が付いて行く。クレディアはかなり危なっかしい。
 そのままポデルについていくと、フールは目を丸くした。

「わっ……!」

「此処です!!」

 フールは先ほどまで不機嫌そうだった顔とは一変、目をキラキラとさせる。
 買ったときの荒地とは一変、きれいな草原が広がっている。さぁ、と風が吹くと草が舞う。見事に開拓されていた。
 するとマハトとヴィゴが近くに寄ってきた。

「どうだ、フール! いい出来だろう!!」

「うん! 予想以上の出来だよ!! ビックリ!!」

 フールは興奮した様子で返事をする。ヴィゴは自慢げに「そうだろう!」と胸を張った。
 マハトとポデルはクレディアと御月の反応を見ようとしたのだが、2匹というかクレディアを見た瞬間に固まった。

「……クレディアさん、寝てないですか?」

「あー、もう放っといてやってくれ。お子様は寝る時間だから」

「俺より年上だよな……?」

 睡魔に負けてしまったクレディアは御月に寄りかかって完全に寝てしまっていた。よほど眠かったらしい。
 クレディアを見てため息をついてから、御月は開拓された土地に目を移した。

「……まあ、確かにすげぇわ。よく1日で此処まで綺麗に開拓できたな」

「喜んでもらえてよかったですよ! ね、兄貴!」

「ホント、頑張った甲斐があったな!」

「あぁ、そうだな。これは我ながらいい出来ばえだと思うぜ」

 御月の賞賛の言葉で、ヴィゴもマハトもポデルも各々が賞賛の言葉をあげた。
 そしてフールが「よっしゃ!」と言葉をあげた。

「これで施設が建てれるってワケね! まあ今日はやらないけど……」

「あぁ。ただし施設を作るのはドテッコツ組の所だけじゃできねぇからな。だから施設を作るときは俺たちを呼んで、どこに作るか教えてくれ。いいな」

「オッケー。きちんと覚えとくわ」

 ヴィゴに注意事項を言われてフールが頷き、「此処とかいい感じかなぁ」とフールが呟く。


「……もういいか」


 御月がうんざりしたように言うと、全員がそちらを向く。
 寝ているクレディアに思いきり体重をかけられている御月。クレディアが起きる気配は全くなく、本当にぐっすり眠っている。

「ご、ごめんごめん。ていうかヴィゴ達、今日はいいけど次からはこんな時間に報告しにこないでよね!」

「クレディアと御月はともかくお前ははしゃいでるからいいだろ」

「そういう問題じゃありませんー。電気ショックするわよ。ってちょ、ちょっ、おいていくな御月!!」

 ヴィゴの言葉にフールが噛み付くが、クレディアを担いでさっさと御月が家に向かっていくので慌てて追いかけていった。

アクア ( 2014/04/06(日) 21:44 )