夢と星に輝きを ―心の境界―








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3章 多彩な邂逅
32話 回るVルーレット
 太陽が昇り始めた頃、凄い勢いで火の玉が空を横切った。それは、そのまま勢いを止めず、ある場所に落ちていく――……。


「ん?」

 クレディアが料理の準備中、首を傾げる。すると御月がそれに反応し、不思議そうな顔をした。

「どうかしたか?」

「うーん。何か凄い音が聞こえたような……?」

「気のせいだろ。つーか焦がすなよ」

 それ、と御月が指さすのは鍋。クレディアは「はーい!」と元気よく返事をする。
 家が出来てから、クレディアは毎日早起きして、御月の朝食作りを手伝っている。最初こそ何も出来なかったものの、御月に教えてもらっているうちにクレディアは料理が少しはできるようになっていた。因みにフールはまだ熟睡中である。
 そして御月が「ふー」と息をつく。

「しっかし……ヴィゴも涙もろいよな」

「何で?」

「じょうぶなツタ≠渡したら感動して泣かれた。……あんなんで泣いてどーすんだか」

 御月が呆れたように言う。クレディアは「泣くことは悪いことじゃないと思うけどなぁ」とぼやいているが、御月はスルーした。
 そして朝食ができる頃に、フールがむくりと起き上がった。

「んー……? おは……よぅ……ふぁぁぁ……」

「フーちゃん、おはよう。今日も眠そうだね」

「昨日けっきょく遅くまで天体観測とかしたから……やっぱ早く寝ればよかっ、ふあ〜……」

 フールは大きな欠伸をする。どうやらかなり眠いらしく、目には涙が溜まっていた。
 そんなフールを横目で見て、御月は大きなため息をついた。

「まいっかいながら朝食ができるタイミングで何で起きんだよ。タイミングの良さにつくづく驚かされるわ」

 呆れたといった感じの口調でそう言い、御月は朝食を少し荒い音をたててテーブルに置く。クレディアはゆっくりと運んで、音をたてずにテーブルにおいた。
 フールはもう1度欠伸をしてから、テーブルの近くに座った。

「……しっかし……冒険チームって、違うヤツに初めて会ったわ……」

「あー、まあそうだろうな。冒険家は沢山いても、冒険チームってのは救助隊とか探検隊とかと違って少ねぇし。それに2匹以上なら隊は作れるけど、冒険チームには4匹って制限もあるし、それを集めんのも大変だ。
 ま、今の世の中じゃ……作る奴はもっと少なくなるだろうな」

 御月の「今の世の中」という言葉に、フールは暗い表情をした。
 シリュアも言っていた、「騙し騙されあっている」世の中。どうしてこんなことになっているのかは分からない。しかしここ最近、どんどん酷くなっているのは目に見えていた。
 フールはそれにポツリと呟く。

「英雄で盛り上がってたときは、そんなんでもなかったのに」

「ほとぼりが冷めるのは仕方ねぇだろ。それに小説にノンフィクションって書かれても、信用できねぇ奴だっている」

 「いただきます」、そう言って3匹が朝食に手をつけ始める。
 そんな中、クレディアは別のことを考えていた。

(『陽炎』、かぁ……)

 『陽炎』、と聞いて思い出すのは昨晩のシャドウの言葉。

〈俺も、人間だった〉

 自分に言ってきたシャドウの真意は定かではないし、あの言葉が本当かどうかも分からない。それに自分のことを「人間」と当ててきたのも、謎だ。
 人間であることは、フールにしか言っていない。それも、最初の方だけ。
 しかしクレディアはシャドウの言うことを信用していた。嘘をついているはずがない、と。
 そしてクレディアはふと疑問を覚えた。

(……そういえば、アーちゃんやせっくん……ライちゃんは知ってるのかな。シャウくんが、人間だって)

 シャドウ率いる『陽炎』は、アリス、水芹、ドライがいる。
 そして、アリスはシャドウと水芹のことを幼馴染≠ニ言っていた。すると、さらに疑問が生じる。

(小さい頃に人間からポケモンになって、それで出会って幼馴染……ってことなのかな。それとも……)

 1つ、仮説が浮かぶ。
 しかしクレディアは「まさか、」と思った。

「――ディア、クレディア!!」

「へっ、んん、何?」

 考え込んでしまい、フールに話しかけられていたことに気付かなかった。クレディアははっとして反応する。
 そんなクレディアに、フールが心配そうに顔を覗き込んだ。

「大丈夫? 体調悪い?」

「フールの寝言が煩くて寝不足なんじゃねーの?」

「御月、君は黙れ。あと次変なこと言うと電気ショックくらわせてやるから」

 静かに言い合いを始めた2匹に、クレディアが微笑む。

(まあいっか。考えても分からないものは分からないし)

 これは頭の隅にでもおいておこう。クレディアは頭の中で完結させることにした。
 そして暫くしてから食事が終わり、食器の片付けを3匹でしてから家を出る。

「あれ……?」

 1番に家をでたクレディアが首を傾げた。
 何故なら、見たことのない現象が起こっているから。ふわふわと、とても微小の綺麗な光が、風にのっていくつも漂っているのだ。
 フールも御月もでてきて、そしてフールは首を傾げた。

「これは、風? でも普通の風と違うよね……」

「……もうそんな時期か。これはXウェーブだよ」

「「Xウェーブ?」」

 御月の言葉を2匹が復唱したとほぼ同時くらいに、風が止んだ。それにまた2匹が首を傾げる。
 説明しようと御月が口を開こうとすると、シリュアとクライがこちらに向かってきた。

「おはよう」

「おはよう。レトは?」

 フールがそう聞くと、シリュアとクライは「え?」と言って後ろを振り返った。しかし誰もいない。
 そしてクライが首を傾げた。

「あれ……? さっきまで一緒だったんだけど……」

「……はっはーん。さては気を遣ったとか!?」

「いや、ねぇよ。寧ろ今気ィ使ったところで俺らがいたら意味ねぇだろうが」

 思わずフールの言葉に御月がツッコむ。
 そしてクレディアが「んー」と声をあげて、再び疑問符を頭に浮かべた。

「ね、クーくんとシーちゃん、さっき不思議な風みた?」

「あ、うん。何だったんだろうね?」

「あぁ、Xウェーブのことね」

 クライは同じように首を傾げるが、シリュアはどうやら御月と同じで知っているらしい。
 すると御月がさきほどしそびれた説明を始めた。

「Xウェーブはこの季節になると吹き始める独特な風だ。炎や水……ポケモンのタイプごとのウェーブが流れる。
 例えば……ある日に電気のウェーブが流れてるとしよう。そのときは電気タイプのポケモンが強くなったり成長しやすくなったりする。ま、その日はフールがムダに強くなるってワケだ」

「へぇ〜。……ってムダに強くなるって何よ」

「そんな風があるんだぁ……」

 フールが目ざとく御月の言葉に反応し、クレディアが納得したように声をあげる。
 するとクライが首を傾げた。

「じゃあその日は電気タイプが有利になるんだね。……じゃあ、他のタイプのポケモンは不利になっちゃうの?」

「フフッ、そうなるわね。Xウェーブは天気と同じように、日によってコロコロ変わるの。だからいつまでも得をしたり、損をしたりということはないわ。1日だけよ」

 「へぇ〜」と知らなかった3匹が声をあげる。
 するとクライとシリュアの少し後ろから「おーい!」という元気な声とともに、足音が聞こえた。全員がそちらを見ると、レトが丁度走ってきているところだった。

「レト! どこ行ってたの?」

「ちょっと止められてさ。“パラダイスセンター”でセロが呼んでるんだ!」

「はっ、セロ?」

 もう馴染み深くなっている名前に、フールが首を傾げる。
 他のメンバーも首をかしげていると、「とにかく行こうぜ!」とレトに急かされた。そして各々疑問を抱きながら、レトを先頭に“パラダイスセンター”へと向かう。
 因みに“パラダイスセンター”とは、セロやヴィゴ、そしてヴェストの店があり、そしておしごと掲示板がある場所だ。

 そしてヴィゴの店より少し奥にいくと、自分たちを呼んでいるというセロ、そしてヴィゴとヴェストがいた。3匹とも何かの看板の前にいる。
 3匹の方に近づくと、あちらもフールたちに気付いたようでセロが「丁度よかっただぬ」と言った。

「どうかしたの?」

「Xウェーブの季節も来たことだし、これを建ててみただぬ」

 これ、とセロが指をさしたのは看板。複数の紙が貼られている。
 『プロキオン』のメンバーがまたしても首を傾げると、ヴィゴが説明してくれた。

「これはXウェーブ予報図だ」

「Xウェーブ、予報図……?」

 馴染みのない言葉を、フールがたどたどしく復唱する。
 するとヴェストが「なんだ、知らねぇのか?」と言ったため、全員がそちらを見た。

「仕方ねぇな。じゃ、特別に俺様が教えてやっても……」

「ん〜っ……?」

「ひぃ! い、いえ! 是非お教えさせていただきます……!」

 偉そうに言おうとしたヴェストだったが、セロに見られて慌てて丁寧な口調に変わった。
 それを見てフールとレトが「何があったんだ……?」と思ったのだが、口を閉ざした。御月は「あーあ」と言わんばかりの目でヴェストを見る。
 そしてセロは看板の前から退き、ヴェストが説明しはじめた。

「まず、Xウェーブのタイプは日によって変わる。まあ天気みたいなもんだ。お前ら今日の天気とか、明日の天気とか気になるだろ? だから天気予報を見る。Xウェーブもそれと同じだ」

「……あぁ、そういうワケ。つまり天気予報のXウェーブ版ってこと?」

 納得したようにフールが声をあげると、ヴェストがこくりと頷いた。

「簡単にいえばそうだ。Xウェーブ予報図は今日や明日のXウェーブ情報が見れる。とりあえずお前ら、看板を見てみろ」

 看板を見ると、文字と絵が工夫してかいてある紙が貼られていた。

「Xウェーブの予報が見れるだろ?」

「本当だ。今日は格闘で、明日は電気。明後日は水……ね」

 フールが看板を見ながら呟く。
 看板に書いてあるXウェーブ予報図は全く難しいものではなく、簡単なものだ。簡略に書かれていて、読みやすいようになっている。

「そっか。今日は格闘だから、格闘タイプのポケモンが有利なんだね。僕はノーマルタイプだから格闘タイプにお弱い。僕が今日冒険するとしたら……格闘タイプの敵ポケモンには要注意しなくちゃならないんだ」

 クライが納得したように看板を見ながら言う。
 するとレトが「でも、」と口を開いた。

「そのかわり次の日は電気タイプのXウェーブになる。ずっとクライが不利になることはないし、俺とフールにとっては逆に有利になるぜ!」

「はいはい、胸はらなくていいから」

 フールが静かにレトに呆れたように言った。そして看板を再び見る。

「しかし……これだったら、これからの出撃メンバーはこれを見てから決めた方がよさそうね。今日はクライは不利だから休みとか、明日は私とレトが有利だから2匹とも出撃とか……」

「そうそう。そんな感じでXウェーブ予報図を利用していといいだぬ」

 セロの言葉に、「了解」とフールが短く答えた。
 クレディアは看板を見てほえ〜、と変な声をあげながら目を輝かせているのを、呆れてみていたのは御月のみだ。

 すると地面がゴゴゴ……と、揺れ始めた。

「な、何!? 地震!?」

「違う、これは地響きだ! おそらくアイツが――」

「あ、フーちゃん、フーちゃん。何か上から赤いモノがこっちに……」

 向かってる、とクレディアが言い切る前に全員がそこから素早く逃げた。御月はクレディアの首根っこを掴んで。
 そして全員がその場から逃げた瞬間――激しい音をたてて、地面に赤い何かが落下した。

「っ……何なの……?」

 土煙が舞い上がる中、コホッと咳をしながらフールが恐る恐る目を開ける。
 すると先ほどまで地味だった看板が、オレンジ色の縁がついた看板にかわっていた。そして先ほどまでなかった黄色い何かが平然とあり、その傍にはポケモン。



「じゃ〜〜〜〜〜んッ!! シャンリ到来!!」



 そのポケモン――頭の大きなオレンジ色のXに、クリーム色の体をした小さなポケモンがピースをしながら大きく元気な声でそう言う。

「「「「「「「「「………………。」」」」」」」」」

 しかしすぐさま反応できる者は、いなかった。1匹を除いて。

「おいコラ何が「シャンリ到来」だボケ! お前は誰か殺す気か!? あと能天気にピースサインとか作ってんだアホ!!」

「ひょへんっては〜」

 真っ先に動いた御月はそのポケモンの頬を掴み、最大限にまで伸ばす。笑顔で何か言ったが、何を言っているのかよく分からない。
 そしてようやく他の面子も動き出した。ヴィゴは御月に頬を伸ばされ中のポケモンに話しかける。

「なんだ、シャンリか。ビックリさせやがって」

「ひょへんほー」

「謝るぐらいなら最初からやるなっての!!」

 パッと手を離してから、最後に頬を叩いて御月は手を離した。「イタタ……」とシャンリと呼ばれたポケモンは頬を擦る。
 そして御月はため息をついてから、シャンリに話しかけた。

「ここに落ちてきたってことは、今年はここで店を開くっつーワケか」

「うん。此処に決めたんだ! 僕が。勝手に。よろしくね!」

 そしてシャンリはぴょいっと小さく跳び、Xサインを作ってポーズを決め


「Xルーレット!!」


 笑顔で言った。その瞬間、辺りがとても静かになった。
 そして気まずそうにフールがヴィゴと御月に話しかける。

「ヴィ、ヴィゴと御月は知り合いなの……?」

「まあな。俺だけじゃなく、ここらに住んでる奴はみんな知ってるさ」

 へぇ、とフールが声をあげてシャンリを見た。
 ニッコリとした笑顔を見て、フールは思わずクレディアを見てしまった。クレディアには笑顔で首を傾げられたが。
 御月はシャンリの方に少し目をやってから、口を開いた。

「コイツの名前はシャンリ・パビェーダ。種族はビクティニ。Xウェーブの季節になると必ずやってくる……厄介者」

「厄介者とは失礼だなぁ」

 御月の言葉にシャンリが反応する。しかしそこまで気にはしていないような表情だ。
 するとクライが傍にある黄色い何かを見て、首を傾げた。

「あれは……?」

「あ、これ?」

 シャンリは目ざとくクライの言葉を拾う。クライがこくりと頷くと、シャンリは笑顔で言った。

「これは、僕の自慢の……」

 その瞬間、御月とヴィゴが「げ」といったような表情をした。
 しかしシャンリは全くといっていいほど気にせず、


「Xルーレット!!」


 先ほどやったのと同じポーズとテンションで、同じことをやってのけた。

「僕の商売道具だよ」

 そしてまるでさっきのは無かったかのように、普通に話す。
 するとフールに何か伝わったのか、御月たちと同じように、面倒くさいといったような表情にかわった。クレディアは目を輝かせているが。
 シャンリは自分のペースを崩さずに続けた。

「これを回すと今日のXウェーブが変えられるんだ」

「えっ、変えられる!? そ、それってつまりタイプを変えられるってこと!?」

 クレディア、フール、クライ、レトが驚いた表情をして反応する。
 そんな4匹にニッコリと笑って、シャンリは頷いた。

「うん。この……」

 そして今度はフールも混ざり、3匹が鬱陶しそうな顔をした。


「Xルーレット!!」


 全く同じポーズに、全く同じ言葉に、全く同じテンション。
 流石にクライもレトも苦笑いしかできなくなっていた。フールは2回目で見限っていたようだが。

「……を回せばね」

 そしてやはりシャンリは先ほどと違って落ち着いた感じでそう言った。それから「でも、」と続ける。

「でもタイプを変えられるかは運次第。誰にも分からないんだ」

「運次第、ね」

 フールが顎に片手をあてて呟く。
 するとシャンリ「あと」と続ける。そしてまた軽く跳んだ。それはあれの合図である。


「Xルーレット!!」


 またしてもやりやがった。クレディアとセロ以外が、そう思った。
 どうやら同じポーズでそう言うのがシャンリとしては当たり前のようだ。かなり鬱陶しそうな顔をされているのには気付いていない。

「……を回すのは1日に1回だけ。チャンスは1回だからやるときは慎重にね。あとこれ、ポケをつぎ込めばすきなタイプに変えることが出来る……かもしれないからヨロシクね!」

「かも、なんだ」

 フールが呟くと同時に、


「Xルーレット!!」


 もういいよ飽きたわ。そう思っている面々の気持ちは伝わらないらしい。シャンリはこれを楽しんでいるようなので、気付くことは無いだろう。
 するとシリュアが前にでた。

「シャンリ! 久しぶりね!!」

「あっ、シリュア! ひっさしぶりー! 今はここにいるんだ! 凄い偶然だねぇ!」

 シリュアに声をかけられ、シャンリがニコニコしながら挨拶をする。
 「知り合い?」と首を傾げる他を気にせず、シリュアはシャンリに話しかけた。

「相変わらず元気ね。……でも、いちいち「Xルーレット!!」と言いながらポーズをとるのはどうかしら。ちょっとしつこいポケモンだと思われるかもしれないわよ」

「ちょっとどころじゃねぇよ。いい加減鬱陶しいわ」

 シリュアよく言った! という目線をクレディアとセロを除いた全員がする。御月はオブラートに包むことなく、本音をぶちまけた。
 少し考え込んだ様子で、シャンリは頷く。

「うん。そうだね。わかったよ。次からはやめるね」

 そう聞いて、「鬱陶しい」と思っていた者たちがほっと息をつくと

「きっと。多分」

 シャンリがそう付けたし、その息はため息にかわった。その瞬間、


「Xルーレット!!」


「やめろっていってんだろうが!! お前真面目に話聞いてた!? 聞いてねぇよな、聞いてるはずねぇよな!!」

 またしてもやったシャンリの頭を御月が容赦なく叩き、頭の両側をおさえてグリグリしはじめた。
 それを呆然と見ていると、シリュアがフールに話しかけた。

「フール。シャンリはノリはちょっと妙だけど……でもとても優しいポケモンだから安心して。シャンリはXウェーブで困っているポケモン達を助けたいと思って、あのXルーレットと一緒に色んな地域を回っているのよ」

「はい! まわってまーす! 僕も……Xルーレットもまわってまーす! あはは! あははははっ!!」

 御月から解放され、くるりくるりと回りながらシャンリが笑う。
 クレディアも何でか真似して同じように笑っている。何が楽しいのかは全く分からない。


「「Xルーレット!!」」


「何か増えた!?」

 思わずレトが声をあげる。そう、シャンリ以外にポーズを決めた者がいるのだ。

「違うよ! もっとこう、」

「こう?」

「そうそう! それで――」

 クレディアだ。そして何故かシャンリにポーズの決め方を教えてもらっている。
 その様子にセロ以外の者が呆れていると、シリュアが嘆息をついてフールに話しかけた。

「……まあ、とにかくXルーレットは必要なとき、つまりどうしてもタイプを変えたい時にやればいいんじゃないかしら?」

「う、うん。そうだね。……ねえ、クレディアとシャンリって似たもの同士なのかな。だからあんな意気投合してんのかな。馬鹿みたいなポーズが何で気に入ってるんだろ」

「……ほっとけ。とりあえずルーレットをやるときには慎重にしろよ。1日1回しかできねぇんだから」

 フールが冷めたような目でポーズをとっている2匹を見て、御月は呆れながらフールに言葉をかけた。
 そしてフールが「いこっか」とクレディアの方を見ると


「「Xルーレット!!」」


 またしても、やってのけた。

「「「「「「「「…………。」」」」」」」」

「できた! リーくん、出来てた?」

「バッチリバッチリ! 完璧!」

 同じポーズをとって、同じ言葉を元気よく言う2匹に、全員がため息をついた。

■筆者メッセージ
ゲームだったらいいけど、小説で「Xルーレット!」ってやらせるのはキツい。
アクア ( 2014/04/05(土) 22:05 )