夢と星に輝きを ―心の境界―








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1章 星の欠片
7話 同伴者
「この十字路から“石の洞窟”に行けるだぬ。ただ分かってるとは思うだぬが、“石の洞窟”というのは不思議のダンジョンだぬ」

「だよね……。頑張らないと……」

「家を建てるのも大変だし、私たちもそれくらい大変なことをしないとね!」

 クレディアが張り切った調子で言うと、フールは「そだね」と笑った。
 セロは「まあ危険な敵に会ったらすぐ逃げるんだぬよ」と忠告した。それを聞いて、フールはむすっとした表情をした。

「なーんでセロは私たちがそんな危険なところに行くのにそんなぬぼーっとした感じでいられるの?」

「ぬぼーっとした感じは生まれつきだから仕方ないだぬ。それに……」

 セロが言葉を一度区切った。それにクレディアとフールは首を傾げた。

「それに?」

「ヌシ達なら何故かやり遂げる気がしてぬぅ。なんか安心しているだぬ。全く根拠はないだぬが」

「いい加減だなぁ……。私はむしろ心配ばっかりなんだけど……特にクレディア」

「あはは、だいじょーぶ、だいじょーぶ。蔓のムチの使い方はバッチリだから」

「昨日あれだけ酷くてなにがバッチリ!?」

 思わずクレディアにツッコんだフールだが、ツッコんでも無駄だと分かったのか「はぁ……」とため息をついた。
 そして「まあ……」と言って重々しく口を開いた。

「家を建てるには……頑張るしかないもんね。じゃ、いこっかクレディア」

「うん!」


「ちょっと待ってもらえるか」


 クレディア達がいこうとすると、宿場町の方面から声がした。
 その声の方向を3匹が見ると、先ほど食堂にいたゾロアがいた。それにフールが首を傾げる。

「えっと……何か用?」

「俺も“石の洞窟”まで連れて行ってもらいたい」

 その申し出に、フールが目を丸くする。クレディアは首をかしげているが。
 するとセロがゾロアに話しかけた。

「何かあっただぬか?」

「いや。ただ俺も“石の洞窟”に水色の石を拾いにいこうと思っただけっす。それで食堂でそいつらが行くって聞いたからついでに、と思って」

 どうやらゾロアとセロはどうやら知り合いらしい。慣れた口調で淡々とゾロアは話す。
 すると「あっ」と喋らなかったクレディアが声をあげた。

「貴方も家を建てるの?」

「……は?」

「あれ、違うの? だから石を取りに行くんじゃないの?」

 クレディアの言葉に一瞬 呆気にとられたゾロアだったが、首を横にふって「違う」と否定しておいた。するとクレディアが「そうなの?」と首を再び傾げる。
 するとフールが「まあ、」と言った。

「私は別に構わないけど。クレディアもそうでしょ?」

「うんっ!」

 この様子では誰でも受け入れそうだ。クレディアの様子をみて全員がそんなことを考えてしまった。
 はぁ、と小さくため息をついてゾロアは2匹の方を向いた。

「俺は朝比奈 御月。一応いっとくけど朝比奈が苗字で、御月が名前だ」

「……どゆこと?」

 フールがゾロア、御月の言葉に首を傾げる。
 するとセロが説明してくれた。

「遠くの地方の一部では人間が使っていた漢字≠使って名前をつけるんだぬ。御月は遠くの地歩から越してきたポケモンだからぬ。かなり珍しいぬ」

「へぇ、そんな所もあるんだ。何がともあれ、よろしく御月。あ、私はフール・ミティスね」

「あっ、私はクレディア・フォラムディだよ! よろしくね、みっくん!」

「…………みっくんて何だ」

「気にしちゃ負けだよ御月。クレディアはどうやら誰にでもそんな変なあだ名をつけるらしいから」

 どうやらフールは割り切ったらしい。御月は若干だが顔をひきつらせている。セロは「ワシにはないぬ〜」とぼやいていたが。
 そしてフールはセロの方を向いた。

「とりあえず、御月と一緒にいってくるね」

「うぬ。御月もクレディアとフールを頼んだぬ」

「……俺、そこまで頼りにならないっすよ」

「わぁい、これでもっと賑やかになるねー!!」

((超不安だ……))

「気をつけるだぬよー」

 セロの呑気な言葉を聞きながら、2匹は不安を抱きながら、3匹は“石の洞窟”へ向かうのだった。




――――石の洞窟――――

「蔓のムチ――ふわぁ!?」

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 クレディアがだした蔓が、クレディアの頭を叩き、そしてフールがいた場所をバシンッと叩く。何とかフールは避けたが。

「何すんの、クレディア!?」

「ご、ごめんね。うーん、どうして上手く使えないんだろう……。もういっか、いたっ!!」

 御月はそれを見ながらゴチムを追い討ちで一撃で倒した。
 そして未だギャーギャー言っている2匹に近づく。そして心底信じられないといったような口調で話しかけた。

「お前ら……一体どうやって生きてきたんだ?」

「なっ、失礼な! 私はきちんと技使えるから!!」

「あたっ!!」

 またしてもクレディアが自分の頭を蔓のムチで叩く。それを見てフールと御月は頬をひきつらせた。
 そして御月がクレディアに話しかける。

「クレディア。ホントお前どうやって生きてた?」

「えへへ……」

「いや、「えへへ」じゃねぇよ!?」

 御月が思いきりクレディアにツッコむ。クレディアは蔓で叩かれた場所をさすりながら笑うばかりだ。
 そんなクレディアに頭を抱えた御月は、おもむろに近くにあった岩を指さした。

「クレディア、これに向かって蔓のムチをしてみろ」

「ん? わかった!」

 御月とフールが自己防衛のために岩から離れる。
 クレディアはそんなことも露知らず蔓をだす。そして指定された岩に

「ていっ! ――ふにゃっ!!」

 やったはずだが、見事に自分の頭に直撃した。
 ここまできたらクレディアの頭に何か蔓を引き寄せる力があるとしか思えない……、と頭の片隅でフールはそんなことを考えていた。
 御月はクレディアを見て、そして話しかける。

「クレディア。もうちょっと蔓に集中しろ。あと目標物をちゃんと見ろ」

「んん、分かった」

 クレディアが「集中、集中」と呟いて、そして岩を見る。
 そんな様子を見てからフールは何をするつもりだ、と御月を見る。御月はクレディアをじっと見ている。
 そしてクレディアは蔓をだし、しっかりと岩を見た。

「いくよ――蔓のムチ!」

 気合をいれて出したクレディアの蔓のムチは曲がることなく真っ直ぐ行き、そして――岩を破壊した。
 フールは目を瞬き、御月は息をつく。
 そしてやっとの思いで技を成功させたクレディアというと

「やっ、った……! やったよ、フーちゃん! みっくん!! ちゃんと技だせた!」

 小さな子どものようにピョンピョンと跳ね、喜びを露わにしていた。その表情も笑顔で、本当に小さい子どものようだった。
 フールは我に返り、クレディアの方を駆け寄る。

「やったじゃん、クレディア! やっと技使えるようになったね!」

「うん! よかったぁ!! ありがとう、みっくん!」

「俺は初歩的なアドバイスしかしてねえけどな……」

 そんな御月の言葉を聞いていないのか、クレディアは大喜びだ。フールも便乗して喜んでいるが。
 本当にどうやって生きてたんだコイツ。と再び思った御月だが、聞くのはやめておいた。

「これで幾分だけど楽に進めんだろ」

「だね! よーし、いくぞー!!」

「おー!!」

「……おー」

 そうして3匹はダンジョンを進んでいった。




 
 そのままダンジョンを進んでいると、3匹は行き止りの場所まで辿り着いた。

「うわぁ……水色の、石がいっぱい……!!」

 クレディアが感激したような様子で声をあげる。
 1番奥と思われるその場所は、クレディアが言ったとおり、水色の石がたくさんあった。大小さまざまな水色の石がそこらへんに転がっている。
 フールと御月は感嘆の声をあげた。

「すげぇな……」

「これなら5個くらい余裕だね! よし!!」

 フールが石を拾い始める。クレディアもそれを見て手伝い始めた。
 御月はその様子を横目で見てから、石を1個だけ拾ってそれを眺めた。水色をした石はきらきらと輝いている。おそらく太陽に透かしたらさぞ綺麗になるだろう。
 そして5個拾い終わったフールが満足そうに声をあげた。

「よしっ、これで家を建ててもらえるね!!」

「だねー。どんな家ができるかな……?」

 家を建ててもらえるということが余程 嬉しいのか、2匹が想像し始める。
 御月はそんな2匹を見て若干だが頬をひきつらせ、はしゃいでいる2匹に話しかけた。

「おい、帰んねぇと家を建ててもらうどころじゃねぇだろ」

「むっ、そんなこと分かってますー!」

「帰ろー♪」

 御月の言葉にフールが喧嘩腰で返し、クレディアは聞いていないのかウキウキとした足取りで元来た道を戻り始める。
 戻っている間にクレディアは鼻歌を歌い、フールと御月は小さな小言を言い合いながら帰った。

■筆者メッセージ
新たなキャラ、朝比奈(あさひな)御月(みつき)です。
さてどんな風に関わってくるかなー。

そして今年最後の「心の境界」の更新です。
つい最近始めた小説ですが、宜しくお願いしますね。皆さん、よいお年を!
アクア ( 2013/12/30(月) 20:58 )