輝く星に ―闇黒の野望― - 第4章 来訪する珍客
49話 VS超能力と力の番人
 各々が移動してからも、スウィートはある方向を気にしていた。

「シアオとフォルテ大丈夫かなぁ……。喧嘩してないといいんだけど……」

「荒治療も必要だ」

「あっ、荒治療……」

 その言い方はどうなんだろうか。しかしそう口に出すスウィートではない。
 もう一度シアオとフォルテの方を見る。
 まだ言い合いは終わっておらず、目の前の敵させも放っておきそうな勢いである。あの様子で戦闘などできるのだろうか。
 しかしこちらにも敵はいる。あちらだけを気にしている訳にはいかない。

「てだすけ」

 スウィートがぽつりと呟くと、わずかだがアルの体が光に包まれる。今頃スウィートが気にしている2匹、そして『チャームズ』も同じ状態になっているだろう。
 一歩進み、アルはスウィートを背後に技を繰り出した。

「放電!!」

 スウィートには当たらないように、前方にむけて電撃を発射する。
 ドータクンはサイコキネシスで電撃を自分たちから背け、サワムラー2匹は素早い動きで正確に攻撃を避けてみせた。
 そしてサワムラーはそのままスウィート達の方へ突っ込んできた。

「しんくうぎり!」

 それを牽制するために、スウィートが技を繰り出す。サワムラーはそれさえも見事に避ける。
 しかしアルは避けている間のサワムラーの隙を見逃さなかった。

「フェイント」

 軽々とサワムラーたちに技を決める。
 スウィートはそれを確認しながら、後ろで構えているドータクンの動きをしっかり見据えていた。
 サワムラーの相手をしているアルに攻撃しようと、ドータクン2匹がじんつうりきの準備をする。その背後に、先ほどまでアルの後ろに控えていたスウィートが瞬間的に現れた。

「真空瞬移――《悪の波動》」

 高い声と、そして低い声が技名を発した。スウィートの瞳はいつものこげ茶の色から真っ黒な瞳へと変わっていた。
 後ろからの攻撃をドータクンがもろに食らう。
 するとぼこりと何もない足場が盛り上がる。それを確認し、スウィートもでんこうせっかでサワムラーの近くへと移動した。

「アイアンテール!」

「まわしげり!」

 スウィートの尻尾とサワムラーの右足がぶつかる。すると視界の端に――つまりスウィートの真横からもう1匹のサワムラーが迫っているのが見えた。
 真空瞬移で移動しようとした矢先、体が勝手に動いた。

「《怪しい光》」

 どちらのサワムラーも黒い光に包まれた瞬間、いきなり自分たちを攻撃しだす。どうやら混乱状態にあるらしい。
 違う方向では地面に穴が開いてバチバチという音が聞こえた。どうやらアルは狙い通り地面の下から放電を繰り出しドータクンに攻撃できたようだ。軽々と地面からあがってくるアルの姿が見える。
 サワムラーは混乱で暫く何もしてきそうにない。ならドータクンか。
 すぐにスウィートはそう判断し、アルに目配せをする。それにアルも気づく、小さく頷いた。

「シャドーボール!」

「10万ボルト!」

「「じんつうりき」」

 2匹同時に攻撃するが、それも相殺されてしまう。
 さらにドータクンは続けて攻撃してきた。

「ジャイロボール」

「っと、」

「《悪のはど――ぐっ!?》」

 攻撃を避けてから、スウィートが攻撃してきたドータクンに攻撃しようとしたときだった。いきなり体が動かなくなる。
 目線だけを後ろに向ければ、もう1匹のドータクン。

「《とおせんぼか……! 小癪な、》」

「チャージビーム」

 動くことができず、スウィートは真後ろから技が直撃し、壁に叩きつけられる。
 それを見て、アルがすぐさま動いた。

「10万ボルト!! たたきつける!」

 スウィートに攻撃したドータクンに10万ボルトを、そして後ろに迫っていたもう1匹を尻尾で地面に叩きつける。
 そしてアルは横目で状況を把握した。

(スウィートは暫く動けない。サワムラーもそのうち混乱が解ける。……俺だけでもドータクンは仕留めないとな)

 素早くそう考えて、アルはひそかに自分の体に電気を溜め始めた。一発で仕留められるように。
 しかしドータクンも黙ってはいない。

「ジャイロボール」

「チャージビーム」

「っ、」

 ジャイロボールを避けても、チャージビームは避けきれない。技を食らいながらも、アルは電気を溜めることをやめない。
 すると体が光った。これは、最初――戦いの始まりのときと同じ。

「てだすけっ……!」

 動けずとも、加勢をしようとしているスウィート。どうやらこの「てだすけ」はアルにだけ、全力をこめて注いでいるもののようだ。
 アルがそれに気づくと同時、ドータクンはスウィートに狙いを定めた。

「シャドーボール」

「じんつうりき」

 2つの技がスウィートに向けられた瞬間、小さな声で「真空瞬移」とスウィートが言った。同時、スウィートがそこから消え、ドータクンが放った技は壁に打ち込まれる。
 するとアルのすぐ真横にスウィートが移動した。

「技は使えるから、私のことはあんまり気にしなくて大丈夫だよ」

「そういうわけにはいかないだろ。攻撃の避け方だって限られてくる。……きたぞ!!」

 ドータクン2匹がチャージビームの用意をしているのが見える。
 アルはでんこうせっかでその場をしのぎ、スウィートは真空瞬移で移動して避けた。

 しかし、予期せぬことがおこった。


「まわしげり!」

「――っ!?」


 アルは反射的に急所を守った。しかし技――足が腹部分にめりこみ、勢いそのままとばされ壁に激突する。

「「ジャイロボール」」

 さらに追撃するかのように、ドータクンの攻撃がアルに直撃した。

「アル!!」

「かわらわり!」

「っ、《悪の波動!》」

 クッションがわり、少しだけかわらわりの衝撃を柔らかくする。それでも効果抜群の技はかなりスウィートの体に響く。
 アルもアルでせき込み、顔をあげ状況を確認してから、苦笑をもらした。

「もうちょっと混乱しててほしかったな……」

 サワムラー2匹の混乱は、スウィートとアルが思っているより早く解けたらしい。
 ぴんぴんした様子のサワムラーを見て、スウィートは顔をしかめ、アルは小さく舌打ちした。
 電気はまだ溜め終わっていない。さらに4匹同時に仕留められるか。かなり難題だ。
 スウィートは動かない体で、考えた。どうやってアルに仕留めてもらうか。どうやって隙を作るか。
 そして案が思いついたスウィートは大きく息を吸った。

「真空瞬移、」

 スウィートが消える。ドータクンたちはアルに狙いを定める。しかし、

「しんくうぎり!!」

 真上から声が聞こえ、4匹は真上を見た。しんくうぎりは4匹の足場を崩し、バランスを悪くする。
 しかしスウィートの狙いはそうではない。
 目を伏せ、4匹を見た。ばっちりと、目が合う。

「黒いまなざし」

 黒くなっているスウィートの瞳が、さらに闇のように漆黒に染められる。
 見た瞬間、4匹の体が固まった。まるで石になったかのように、全く動かない。

「真空瞬移――アル、よろしく!!」

「あぁ、」

 4匹とも、アルとも離れた場所にスウィートが移動する。
 アルは4匹がいる方にむかって両手をかざす。ドータクンは動けずともシャドーボールでアルを狙い、放った。
 シャドーボールがあたる手前、アルが技名を言った。


「チャージビーム!!」


 ずっと溜めていた、かなりの威力になった電撃のでかい柱が4匹に向かう。それはシャドーボールをも打消し、直撃した。
 電撃の柱が消えれば、無残に焦げた4匹のポケモン。
 同時に、スウィートの体も自由に動くようになった。確認するように、スウィートが右手を握ったり開いたりを繰り返す。全く異常がない。

「スウィート、大丈夫か」

「うん。ちょっと体が痛いけどね……」

 苦笑しながらスウィートがアルの問いかけに答えた。
 本当はダメージもあまり受けず、早い時間でシアオとフォルテの加勢に向かうつもりだったのだが、思いのほか時間がかかってしまった。
 スウィートはそっとサファイアに触れる。

(ムーンもありがとうね)

《主の望みとあらば我はいつでも力を貸す。……今はゆっくり傷を癒せ》

 それにふわりと笑って、スウィートは応えた。
 アルはどうやらシアオとフォルテの方を見ていたようで、ぽつりと呟いた。

「……加勢はいらないか」

「えっ?」

 思わず素っ頓狂な声をだしたスウィートは、きっと悪くない。

■筆者メッセージ
とても遅くなって申し訳ありません。サブタイトルも意味不明ですみません。
これからは呆気なくてもあとがきで何も言わなことにします。だってどうやったって呆気なくなるんですから(おい。 ワンパターン化してて頭を抱えることしかできませんよ……。
ようやく4章も終わりがみえてきました。今年中には4章を終わらせます。……………たぶん、きっと。
アクア ( 2014/12/14(日) 23:06 )