輝く星に ―闇黒の野望― - 第4章 来訪する珍客
43話 VS氷の鉄壁
「やー、思ったより早く終わってよかったね! 最初にとった石をとっておいて正解! みたいな」

「そのおかげで鞄はすごい重いけどな……」

 シアオはるんるんと、アルは少々うんざりした様子で進む。
 ダンジョンを出て少し進むと、またしても石碑が見えてきた。勿論あの石碑はスタート地点にあったものであり、『シリウス』がスタートに戻ってきたということを克明に表していた。

「でも、これできっと何か出てくるはずだよ」

「そうね。まあこれでダメだったら……シアオを殴りましょうか」

「なんで!? ちょっと待って、僕が殴られる意味って!?」

 また喧嘩をしだしたシアオとフォルテ。
 2匹を無視し、スウィートは石碑まで近づいて鞄から「ICE」の石を取りだす。そしてくぼみに1個1個はめていくと、蒼輝の読み通りぴったりだった。
 アルは隣でその様子を眺めている。他2匹はあーだこーだ言ってまだ喧嘩しているが。
 3つの石をすべてはめ終え、スウィートは目を閉じる。

 スウィートは目を閉じていて気づかなかったが、傍らで見ていたアルはすぐにその異変に気付いた。

 石碑が、光りだしたの。途端、地面が揺れだす。
 さすがに喧嘩をしていたシアオとフォルテも、目を閉じていたスウィートも石碑に目を向けていた。
 咄嗟にアルがスウィートの腕を掴んで石碑から離れさす。
 それとほぼ同時だっただろうか。石碑がまばゆい光を放ち、場を覆い尽くした。

「っ……」

 光が収まったかと推測をし、スウィートは恐る恐る目を開く。

「……ほんと、に、あたり…………」

 そして、そう呟く。
 先ほどあった石碑は、なくなっていた。しかしその代わりに石碑があった場所には階段が続いている。それはまぎれもなく先へ進む道ということを示している。
 スウィートは思わず息をのみ、そして小さく笑った。

「こんな形で進めるなんて……」

「さすがにびっくりしたね……。ていうかどういう仕組みになってんのかな」

「面倒くさい仕組みね。誰かしら、こんな面倒くさいアホみたいな仕掛けを作ってくれた奴は」

「そんなこと言ってないで進まないと先を越されるぞ」

 アルがそういうと、シアオが「早く行こう!」と急かしてくる。
 負けたくないんだろうなぁ、そう思いつつスウィートはシアオの言葉に頷き、『シリウス』は階段を下りた。


 下りて少し進むと、広い場所にでる。しかし、進めそうな場所はどこにもない。
 それに『シリウス』は首を傾げた。

「……進める場所がない? どういうことだろう……」

「もしかしたらこのフロアにも謎解きが――」

《謎ヲ解キシ者タチヨ》

 シアオが続きを言う前に、無機質な声、というより音が場に響いた。
 4匹は咄嗟に警戒態勢をとり、辺りを見渡す。だがどこを見ても自分たち以外、この場所には誰もいない。
 すると『シリウス』の前方で、ほわっと光が集まりだした。いくつもの光は重なり合ってだんだんと大きくなっていき、原型を留めていく。
 そして、ソレは姿を現した。

「我ハコノ間ノ番人、レジアイス」

 独特な形をした氷の体に、上部には黄色い点がいくつか規則的に並んでいるポケモン――レジアイス。
 音はそのレジアイスから発せられている。口はなく、それがどこから響かされているのかはわからない。その音はまるで機械のような、そんな音だった。

「……番人?」

「あれかな、ヒュユンたち的な――ってあれ、それ戦わなきゃいけない系?」

 ヒュユンたち、とは時の歯車≠守っていた番人3匹のことである。3匹は時の歯車≠守るためにいた番人。
 つまりレジアイスが番人ということは、恐らく“番人の洞窟”の宝を守っているということ。


「コレヨリ先ニ進ミタケレバ、ソノチカラ、我ニ示セ」


「っ!?」

 レジアイスから発せられた冷凍ビームを咄嗟に『シリウス』は避ける。先ほどまで4匹がいた場所は、見事に凍っている。
 ぶわっとフロアに冷気が舞う。スウィートはそれに身震いしてから、技を発動させた。

「手助け!!」

「10万ボルト!!」

 アルが攻撃をすると、レジアイスはげんしのちからで弾き飛ばす。
 少しの隙も逃すまいとすぐさまフォルテは畳みかけた。

「その氷の体、溶かしてあげるわよ――火炎放射!!」

 威力高めの炎が、まっすぐレジアイスに向かっていく。
 おそらく避ける。そう思ってスウィートとシアオ、そしてアルは次の攻撃に備えて態勢を整える。
 しかし、レジアスは全く避ける素振りを見せない。それどころか炎に突っ込んだ。

「え゛、はぁぁぁ!?」

「フォルテ!!」

 でんこうせっかでフォルテの前へスウィートが動く。レジアイスは炎の中から出てくると、足を上げる。やろうとしているのはふみつけだろう。
 そうはさせまいと、スウィートは尻尾を思いきり振り上げた。

「っ……!」

 手応え的に、溶けている様子はない。本当に炎があたった氷なのかと思うほど頑丈で、スウィートは尻尾に伝わる重圧に顔をしかめた。
 その間にシアオがレジアイスの背後にまわった。

「はっけい!!」

「凍エル風――冷凍ビーム」

 無機質な音とともにぴゅうっと冷たい風がふく。その冷風でさらに強度を増した冷凍ビームは、はどうだんを突き抜け、まっすぐにシアオへと向かっていった。

「う、わ!?」

 しかしそれがシアオにあたることはなかった。アルがでんこうせっかで移動し、シアオの首根っこを適当につかみ引っ張ったからだ。その折にシアオが「ぐぇっ!」と潰れたような声をあげたが、アルは全く気にせず冷凍ビームとは逆方向にシアオの体を引っ張る。
 そしてシアオの首根っこから手をはなし、頬袋に電気をためて、放った。

「放電!」

「しんくうぎり!!」

 アルの攻撃のフォローのため、スウィートも技を放つ。
 しんくうぎりでレジアイスの周りを固めて移動範囲を狭くし、アルの放電を避けられないようにする。アルもできるだけ放電を範囲を狭めて放つ。
 レジアイスは放電を避ける。しんくうぎりを食らいながら、だが。
 しかし放電よりはしんくうぎりの方が威力が低いので、妥当な判断だろう。

「でももうこっちにいたりして! まねっこ――冷凍ビーム!」

 でんこうせっかで移動していたシアオが冷凍ビームを繰り出す。しかし、レジアイスは避ける素振りを全く見せない。
 え、とシアオが声を漏らすと同時、冷凍ビームはレジアイスに直撃した。

「冷凍ビーム」

「えぇぇぇぇぇ!? うわぁ!」

 レジアイスは自身の体に付着した氷を全く気にせず、シアオに向かって冷凍ビームを放つ。
 慌てて転がるように避けたが、シアオの左腕の一部分が凍った。顔をしかめながらも、地面をごろごろと転がって距離をとる。凍っていない方の手を使って体を起き上がらせ、レジアイスを見た。
 先ほどシアオが放った氷は、まるでレジアイスと一体化している。

「まねっこ禁止かなー……うわ、フォルテの目が怖い」

「何やってんのよこのヘタレェェェェェ! 役立たず!! 能無し!! 炎の渦!」

「ちょっ、悪口は今はいいとして僕まで巻き込んで攻撃しようとしんないでくれる!?」

 火力最大ともいえる炎の渦を、レジアイスと、そして掠りそうな位置にいるシアオが避ける。レジアイスは冷凍ビームで床を凍らせ、スケートをするかのように。シアオはでんこうせっかで。
 若干シアオのことについてハラハラしながらも、スウィートも動いた。

「真空瞬移――シャドーボール!」

「10万ボルト!」

「冷凍ビーム」

 まずアルの10万ボルトを、レジアイスが冷凍ビームで防ぐ。
 すると真空瞬移で真上に移動していた幾つもの小さなシャドーボールが勢いよく落下していく。落下したのはレジアイスの足場。スウィートの目的はレジアイスの足場を崩すことだった。
 シアオは一気に詰め寄って、攻撃をしかける。

「はっけい!」

 近距離技では攻撃を食らう可能性が高くなる。しかし今レジアイスは足場が崩れて態勢は整えられていない。つまり、好機。
 しかし、そうはいかなかった。

「凍エル風」

 レジアイスは態勢を崩したままでも、凍える風を放った。

「っ……!」

 冷風に体が悲鳴をあげるが、そのまま突っ込んでレジアイスにはっけいをくらわす。
 そしてシアオは一度きちんと地面を踏み込み、勢いをつけて後退した。手元に力を集中させながら。

「特大はどうだん!!」

 後退しながら、無理な体勢で撃ったためにシアオの体は勢いよく仰向けに倒れる。
 レジアイスは崩れた地面から抜け出してすぐだったため、すぐに反応はできなかった。それでも咄嗟冷凍ビームで氷の壁を作って威力を半減しようとする。
 するとフォルテが一歩足を踏み出した。

「チッ、これでくたばりなさい!」

「ぐふぅっ! 痛い痛い痛い! これ絶対わざとだよね!? わざとじゃなかっ、」

「火炎放射!!」

 片足でシアオを踏みつけながら、フォルテが技を放つ。ちなみに踏まれているシアオの抗議は完全に無視だ。
 レジアイスは床に冷凍ビームをして、滑って素早く避ける。
 スウィートは一気に畳みかけて決めてしまおうと攻撃を放つと同時、レジアイスも動いた。

「スピードスター!」

「ゲンシノチカラ」

 レジアイスがその技名を言った、音を響かせた瞬間、数十の岩が浮き上がった。
 それはスウィート、シアオ、フォルテ、アル、4匹すべてを狙っている。正確に、逃げられないよう囲んで。

 これは全員で守れない。自分を守るのは、精一杯。
 4匹はすぐにそう判断して、自身を守るために技を使った。

「ま、もる!!」

「「でんこうせっか!」」

「っ、放電!!」

 スウィートはすぐさま最適な判断を、シアオとフォルテは速い動きで岩に当たりながらも避け、アルは岩にほんの少し当たりながらも自分が技を使ったときに味方に当たらないか確認してから技を放った。
 レジアイスは無機質な音を響かる。攻撃の手を緩めないように。

「冷凍ビーム」

 今度は避けるためでなく、動きを封じるためにレジアイスが床に冷凍ビームをする。その範囲はずっと広く、フロアの半分以上を占めた。
 これでスウィート達は容易く動けない。下手に動けば、氷に足をとられる。
 そのまま攻撃を続けそうな勢いのレジアイスに、フォルテがしかけた。

「んな氷、ぜんぶ溶かせば関係ないでしょ――火炎放射!!」

「冷凍ビーム」

 あくまでも氷の床を崩させるつもりはないのか、素早く分厚い氷の壁を作ってフォルテの火炎放射を防いで見せた。
 その間にスウィートは真空瞬移でレジアイスの真上に移動していた。

「アイアンテール!!」

「バカヂカラ」

 氷の腕と、硬くなった尻尾がぶつかる。

「う゛っ、」

 力負けをして、スウィートの体が宙に浮く。
 宙に放り出されたスウィートを狙い、レジアイスが凍える風を放つ。それも広範囲で、スウィートだけでなく全員を狙うように。

「っ、真空瞬移!」

「アンタら後ろにいなさい! 炎の渦!!」

「熱っ! やっぱさり気に僕狙われてない!?」

「気のせいだ」

 スウィートは凍える風が届かない場所まで移動し、フォルテは自身の後ろに移動したシアオとアルも守るように炎の渦で自分たちを囲んだ。
 どんどんレジアイスの動きが優位になっていくのを感じて、スウィートは焦った。

(どうにかしないと……これはもう、一気に決めた方が――)

 地面に着地し、スウィートは瞬きを一度した。その一瞬で、スウィートの瞳の色が青と赤に変わる。
 そして大声を張り上げた。

爆裂大河(ブイソード)!!」

 炎と水があわさった大剣を思い切りレジアイスに振りかざす。
 この技に対抗できる技はないだろう、そう高を括っていた。しかしレジアイスは今まで使ってこなかった技を放った。

「ハカイコウセン」

 大剣と、凄まじい光線がぶつかりあう。
 地面がえぐられ、砂や石がぶわりと舞い上がる。
 風もともに吹き荒れ、スウィートは必死に踏ん張る。レジアイスは足を地面に突き刺し、動かないようにしている。
 少ししてから止むと、どちらも倒れていない。ぶつかり合ってだけで終わったらしい。
 しかしスウィートはふっと笑った。いける、そう確信した。

「さぁて、ぜんぶ溶かしといてやったんだからきちんとやりなさいよ!!」

 フォルテがふふんと威張る。そう、言葉の通り氷の床は溶け、普通の地面となっていた。
 するといつの間にかレジアイスの前にシアオが移動していた。

「はっけい!!」

「アームハンマー」

 シアオの腕と、レジアイスの腕がぶつかりあう。
 するとレジアイスの後ろの地面、そこがぼこりと盛り上がった。レジアイスはシアオに気を取られ、気づいていない。

「穴を掘る――雷パンチ!!」

 その言葉が聞こえた瞬間、シアオは少し後ろへと下がる。
 穴からでてきたアルは、腕に電気をまとわせながらレジアイスの巨体を殴りつけた。全く気付いてないかったレジアイスはなすすべなく、ゴゥンと音をたてて、少しだけ巨体を宙に浮かばす。
 そしてアルは高速移動をしてから早い動きで動きながら、声を張り上げた。

「シアオ! フォルテ!」

「まかせて、特大はどうだん!!」

「でしゃばんじゃないわよ、火炎放射!!」

 容赦ない、威力の高い攻撃。
 レジアイスは体を動かそうとするが、動かない。体がしびれている。その原因は先ほどの雷パンチしか思いつかない。
 そうしてどうすることもできず、レジアイスは2つの攻撃をまともに食らった。

 巨体はズゥンというおびただしい音とともに、地面に崩れ落ちた。

■筆者メッセージ
僕もう疲れたよパ○ラッシュ……。(←私の心情)
あっけなく終わりました。めっちゃ遅くなりました。そして長くなりました。
すみません……。戦闘描写に時間をかけてかけて……どうしよう、これからも戦闘続くのに。これから戦闘のクオリティが低くなると思いますが目を瞑っていただければ嬉しいです。ていうか瞑ってください。お願いします←
アクア ( 2014/07/19(土) 19:55 )