輝く星に ―時の誘い―












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第1章 集う1つの星
4話 少しの勇気
 探検隊になるため、4匹はギルドに続く道の怪階段の前に来ていた。

「うわぁ……長い階段……。何段あるんだろう?」

 スウィートが目の前の階段を見ながら呟く。確かに40段くらいはありそうだ。シアオ達は見慣れているようで、フォルテが「そうね」と頷く程度だった。
 そしてアル、フォルテ、スウィート、そしてシアオの順番に階段を上る。
 シアオはトボトボと元気なさそうに、スウィートはそれを見ながらオロオロしていた。フォルテとアルには気にするなと何度も言われたが。
 すると半分くらい上った頃に

「うぎゃっ!!」

 という情けないシアオの声が聞こえた。3匹が後ろを見るとシアオがうつ伏せの状態になっている。おそらく転んだのだろう。転げ落ちなかったのが幸いだ。
 そんなシアオにスウィートはまたオロオロし、フォルテは「馬鹿ね」と呆れたような顔をしながら言い、アルはため息をついた。

「いったった……」

「だ、大丈夫?」

「な、なんとか……」

 スウィートの疑問に苦笑いしながら、シアオはゆっくり立ち上がる。そんなシアオをスウィートは心配気味に見ている。こんな調子で大丈夫だろうか、と。
 するとスウィートの様子を見たフォルテが軽くシアオをあしらうように

「大丈夫よ。こけるとか躓くとかよくある事だから。いちいち心配してたらキリがないわよ」

 と言った。それはそれで大丈夫か、と疑問になったが考えないことにしたスウィートだった。

 そしてようやくギルドの前に来た。
 ギルドはプクリンの形をした可愛らしい建物。門は鉄格子で入れない様にしてある。その前には穴に格子がつき、誰が乗っても落ちないようにしてある。
 何の為だろうか、とスウィートが考えていると

「あの格子の上に乗って足型を見て、怪しいものじゃないか確認するんだ」

 とアルが説明してくれた。
 いきなり説明されスウィートが驚いた表情でアルを見る。「顔にでてた」と苦笑して、アルは答えた。とりあえずスウィートはお礼を言っておいた。
 そしてクルッとフォルテが後ろを向き、シアオに

「じゃ、まずあんたからね」

 いい笑顔で言った。シアオはビクッと体を揺らす。アルとスウィートもシアオを見た。シアオは一向に動こうとしない。顔はひきつっていた。
 スウィートはなんだか見ていられなくなり、声をかける事にした。

「シアオ……諦める?」

「へっ……?」

 先程とは違うスウィートの口調。だがシアオはスウィートの言った言葉に対してキョトンとした。
 一体、何を言われたのか、頭の理解が追いつかなかったからだ。
 フォルテやアルもシアオほどではないが、キョトンと目を丸くしていた。
 しかしスウィートは構わず続ける。

「このままじゃ、ううん。今のシアオじゃ、探検隊にはなれないと思う」

「そ、それは……」

 スウィートにはっきり言われ、シアオは俯く。
 流石に言いすぎではないか、とフォルテが声をかけようとするが、アルがそれを阻止し「いいから見てろって」と言った。フォルテは複雑そうな顔をしたが、頷いた。

「こんな所で立ち止まるのに、夢が叶えられるわけない」

「そんな事……」

「分かってる、って言いたいの? 行動に表せないようじゃ、全然分かってない」

 スウィートの言っていることは確かだが、シアオはそれよりも恐怖心のほうが強かった。
 次のスウィートの言葉が怖い。自分の夢が達成できないものだと言われたくない。そういう恐怖がシアオを襲った。

 だからシアオは顔を上げることが出来なかった。何も言い返せなかった。
 そしてスウィートが口を開いた。

「……でもね、夢を叶えたいって強い気持ちがあるのなら、いけると思うの」

「……え?」

 予想した言葉とは違う言葉にシアオは驚き、顔を上げる。
 そこには先程、きつい言葉を言っていた者とは思えない、いつものスウィートだった。

「夢を叶えたいんだよね? 絶対ってくらい、叶えたい夢なんだよね? そうだったら簡単に諦めることなんてできないから、頑張れるはずだもの。
 だからシアオがちょっとずつでいいから変わらなくちゃ。少しの勇気でいいから出してみて、ね? きっと……シアオなら出来るから」

 スウィートが笑顔で言う。シアオはずっと言われた言葉を頭の中で復唱していた。

(自分自身が変わる…………勇気……)

「……ありがと、スウィート。あと、ごめんね」

 シアオはスウィートの方を向き、自分の気持ちを伝えた。ひきつっていた顔は、もう見えない。
 スウィートは今更ながら

(わ、私……とんでもないおせっかいを……。偉そうなこと言っちゃったし……! あぁ、もう何やってるの、私!?)

 などと考えていた。本当に今更である。
 そしてそんな事を考えた瞬間に、シアオに勢いよく頭を下げて

「わ、私のほうこそごめんなさいっ!!偉そうな事言って……それに……」

 と謝罪を始めた。
 シアオは頭に疑問符を大量に浮かべながら、戸惑った。そしてしどろもどろになりながら、スウィートに問いかける。

「え、あの……なんでスウィートが謝るの……?」

「いや、だって……」

 じれったい。永遠に終わりそうにない謝罪と疑問。フォルテは若干イラついたような顔で見ていた。
 フォルテをチラリと見たアルが溜息をついてから、間に割り込んできた。

「スウィート、もう謝罪はいいから。シアオ、さっき言われたとおり……」

「……うん。分かってる」

 笑顔でシアオが言った。決心したようだ。
 この様子なら大丈夫だろう、とアルはスウィートとともに後に下がった。

(勇気を……ださなくちゃ……!!)

 シアオは少しぎこちない動きで、格子の上に乗った。
 するとスウィートを除く3匹にとっては、当たり前の声が聞こえてきた。

「ポケモン発見! ポケモン発見!」

 いつものような元気な声だった。
 それにシアオ、そしてスウィートがビクッと体を揺らす。こういうことか、とスウィートは納得する。

「誰の足型? 誰の足型?」

(勇気……いける、大丈夫……!)

「足型は――



        リオル!!足型はリオル!!」

「やったぁぁぁぁ!!」

 確認できたとともに、シアオは格子から飛びのき、喜びまわった。
 シアオの喜びっぷりにフォルテとアルは呆れ顔、スウィートは小さく喜んでいた。
 すると先程とはちがう声が聞こえた。

「ん……? あと3匹いるな。乗れ」

 するとフォルテが不満そうな顔をしながら

「いっぺんに乗ったら駄目なの?」

 と尋ねたがアルに即却下された。
 そのときにフォルテが「チッ」と小さく舌打ちしたのはきっと幻聴……とスウィートは信じておいた。

「じゃあ……私、乗るね……」

 そう言い、スウィートが格子の上に乗る。するとまた同じ声が聞こえた。

「ポケモン発見!ポケモン発見!」

(え……またやんの!? めんどくさっ!!)

 心の中でフォルテがツッコむ。
 それを読み取ったかのように、アルは隣でばれないように、小さなため息をついた。

「誰の足型? 誰の足型?」

「足型は――……」

 なぜか声がそこで止まってしまった。
 これまでにない事に3匹は疑問符をうかべ、スウィートはオロオロしている。
 するとまた声が聞こえた。怒鳴り声が。

「おい! 見張り番! 見張り番のハダル!」

 するとシアオの足跡をいっていた元気な声が、戸惑いながらも返す。

「エート……多分イーブイ! 多分イーブイ!!」

「はぁっ!? なんだ、多分って!?」

「だって…ここらじゃ見かけないし……分からないものは分からないし……」

 会話からして、足型がどうやら分からないようだ。そのせいで揉めている。

「うぅ……。ごめんなさい……ややこしくて……」

 スウィートは先程から謝罪。ブツブツと何度謝ったかもう分からない。
 シアオは中に入りたくてうずうずしている。今まで入れなかったのはアンタのせいだけど、とフォルテが目線で訴えているのには気づいていない。
 アルはため息をついてから穴にむかって叫んだ。

「あってますから、とっとと次やってくださいーー!!」

 すると向こうの言い合いもとまり、「次どうぞ!」という声が聞こえる。
 アルとフォルテは問題なく確認された。
 そしてようやくゴゴゴ……と重そうな音をたてて、鉄格子の門が開いた。

「入ろ、入ろ♪」

 シアオは落ち着かない様子で入っていく。開いた瞬間、もしくは完全に開いていない状態で入っていった。

「あ、ちょっと待ちなさいよ!!」

 フォルテはすぐにシアオを追いかけ、中に入っていくアルはまたまたため息をつきながらゆっくりと追いかける。
 スウィートはそんな3匹を見て苦笑しながら、追いかけた。

アクア ( 2012/07/08(日) 21:02 )