閑話 ある相棒の思い
泣きそうな顔を見ながら、時空ホールに飛び込む。
無意識に俺の唯一無二の相棒の名を呼び、柄に泣くなきそうになりながら、ソイツに言った。
「悪いな。ありがとう」
今まで、ありがとう。
叱ってくれて、色々なことを教えてくれて、ともに笑ってくれて、協力してくれて、信じてくれて、支えてくれて、ありがとう。
きっとお前に会わなければ、ここまで来ることは不可能だった。それはお前がシアオやフォルテ、アルナイル、そしてギルドの者達。ソイツら全員を繋げ、味方としてくれたからだ。
レヴィの出会いだって、あの煩いヴァーミリオンの兄弟姉妹だって、全てお前が引き合わせてくれた。
お前がいたから、俺はここまで来れた。
最初から最後まで泣き顔っていうのは、ちょっと心残りだがな。
最後までお前と一緒にいることはできないが……お前の隣にいる奴が俺の代わりにしっかりやってくれることを信じている。
お前は不思議な奴だ。
誰にでも、敵にでも思いやる心を忘れない。まあ無意識なのかもしれないが。それは俺たちのいた時間でも同じだった。
人見知りが激しくて、オドオドしてて、泣き虫で、危なっかしくて、でも勘がありえないくらさえていて、他の奴にはない何かを持っている奴。
頼りになるんだかならないんだかは、深く関わっていかなければ分からないかもしれない。
俺にとっては、いなくては困る存在だった。
しかしお前がいなくても、俺はやる。お前が俺の代わり、そっちで使命は果たす代わり、俺はあっちで俺のできることをしてお前を支えよう。
そういえばシアオが「皆が楽しく笑えるようなパーティーがしたい」とかどうとか言ってたな。
俺も、そしてお前も消えてしまうからそれは実現できないかもしれないな……。
アイツらは優しいから、俺たちが消えてしまったらしないかもしれない。それはそれで残念だ。俺たちが使命を果たし、未来を変わったことを喜び、パーティーをしてほしい。
けど、あの時間の奴らはみんな優しいから……やっぱりしないだろうな。
……あいつの願いを叶えられないのも申し訳ないが、お前の願いを叶えられないのも申し訳ない。
それはまだ、俺たちが消えるなんて知らなかった時だっただろうか。お前が記憶喪失じゃなくても、もう忘れているかもしれないな。
あのときのお前の願いは、そしてそれを想像をしているお前は、とても綺麗に輝いているように見えた。あの暗い世界で、とても輝いているように見えた。
そんな願いを叶えてやれないって、ほんとに、俺は情けないと思う。
ほんとに、
「私ね、この世界が変わったら、皆がとびっきりの笑顔になれるようなパーティーがしたい!!」
悪いな、スウィート。