番外編−The Star Festival−
Believe番外編
−The Star Festival−
−森の広場−
−PM4:00−
今日は七夕。
広場には、天の川を見に来たポケモンがたくさんいた。
広場の中央には見事な笹があり、短冊が風に揺らいでいた。
「今年も七夕の日がやってきたな…。」
赤い帽子を被っているピカチュウが呟いた。
「そうだね、ボス…。」
ボスと呼ばれたピカチュウの側に座っていたブラッキーが言った。
「ルナ、ボス、2人とも何でそんなにしんみりしてるの?」
すると、綿菓子らしき物を3つ持ったツタージャがやってきた。
「はい、綿菓子!屋台を見つけるのが大変だったよ…。」
ツタージャは綿菓子を手渡し、ルナと呼ばれたブラッキーの横に座った。
「サンキュー、サモン。」
「ありがと!」
そして3人は空を見上げながら、仲良く綿菓子を食べ始めた。
−PM5:00−
「そういえば、2人とも短冊書いた?」
ルナが2人に尋ねた。
「ボクは書いたよ〜。」
サモンは笑顔で言った。
「あ、オレは書いてないや…行ってくる!」
ボスは慌てて、広場の中央へ行った。
「ボスってば相変わらずだよね。」
ルナはクスクスと笑った。
「確かに。」
サモンもクスクス笑った。
「あ…雨雲が出てきたみたい…。」
ルナの言うとおり、向こうの空から雨雲が近づいてきていた。
「…今年の天の川見れるかな…。」
ルナは心配そうに空を見上げた。
「見れるって!」
サモンはルナと同じように空を見て言った。
「あー、ゴメンゴメン。」
すると、短冊を書き終えたボスが戻ってくるのが分かった。
「…雨雲が出てきたみたいだな…。」
「うん…。」
3人は心なしか沈んだ表情で空を見た。
「…すぐに通り過ぎるさ!」
ボスはそう言って、草原に腰を降ろした。
−PM5:30−
「うわ!」
ルナは自分の鼻に冷たい物が落ちてきたのに驚いた。
空はどんよりとした雨雲に覆われ、空が見えていなかった。
「雨…だね…。」
サモンが言った。
「短冊…大丈夫かな…。」
ルナは広場の中央にある大きな笹を見つめて言った。
笹は小降りの雨に打たれていた。
広場にいたポケモンは、突然の雨に驚き、自分の家へと帰っていっていた。
「…もう少し…。」
「?」
「もう少し待っていようぜ。」
ボスが空を見て言った。
「通り雨かもしれねぇしな!」
ボスは晴れやかな笑い顔で言った。
「そうだね!」
「うん!」
2人はボスの笑い顔を見て言った。
−PM6:00−
雨雲は通り過ぎ、空には星々が輝き始めていた。
「雨、止んでよかったね!」
「ああ!」
笹も無事だったようで、またサラサラと風に吹かれていた。
しかし、広場にはこの3人しか残っていなかった。
「あ!」
サモンはふと空を見て言った。
「天の川だよ!!」
サモンの指指す方向には美しい天の川が広がっていた。
「綺麗…。」
ルナは思わず感嘆の言葉を漏らした。
「だな…。」
3人はしばらく天の川を鑑賞していた。
「ねぇ、2人は何をお願いしたの?」
「「!!」」
ルナが突然質問すると、2人の顔が真っ赤になった。
「そ…そういうお前は何にしたんだ?
ボスがしどろもどろに尋ねると、ルナも真っ赤になった。
「そ…それは…。」
「じゃ…じゃあ余計な詮索はな…なしにしようぜ…。」
3人は表情を真っ赤にしながら俯いた。
−天空−
「ふぁぁ…。」
空の上では、小さな黄色のポケモンが欠伸をしながら起きてきた。
「むにゅむにゅ…。もう1000年が経ったのか…。」
彼(?)は地上を見下ろし、笹にかかった短冊を見た。
「なになに?『彼女が出来ますように…』?…ボクにもいないんだけど…。『お腹いっぱいにご飯が食べたい…』?…叶えられるでしょ…。?」
彼は、とある広場の笹を見た。
「ふふふ、この3人面白いねー。3人とも同じ事を願ってる…。」
彼はクスクスと笑った。
「『2人といつまでも一緒にいられますように…』か…。」
彼はいつの間にか寝てしまっていたボス達を見て言った。
「ボクが余計な事をしなくてもよさそうだね…。君達、心配ないよ。なぜなら、君達はいつまでも一緒にいられるから…。」
彼はそう言って、他の短冊を見に行った。
空には満点の星空が浮かんでいた。
〜Fin〜