−第十一話−
Believe
−第十一話−
−ギルド・カーニバル会場−
会場には沢山のポケモン達が押し寄せ、ギルド・カーニバルが始まるのを待っていた。
「うおー!人でいっぱいだな!」
グレイシアのフィリが辺りを見回して言った。
「ちょっとフィリ!あんまりキョロキョロしたら田舎者だって思われるでしょ!!」
とルナはフィリの言葉に噛みついた。
「五月蝿い…」
と、フタチマルのムサシが呟いた。
「まあまあ。」
2人をなだめに入ったのはユンゲラーのハルト。
しかし、ハルトのなだめも聞かず、2人の論争は止まらなかった。
「ギャーギャーとうるさいな…。」
ボスは少し不機嫌そうな顔で言った。
「まあまあ。」
ボスをなだめたのはガバイトのティル。
そのやり取りをクリスは我が子を見るような目で見ていた。
そうこうしているうちに、開会式は終わり、第一回戦へと大会は進んでいた。
「…ったく…ん?」
ボスは会場の観覧席から、バトル場を見た。
バトル場ではバトルが始まっていた…が、バトル場の様子がおかしかった。
「何だアイツは…!」
青コーナーのバトル場に立っていたのは全身を黒のフードで包んだ正体不明の人物であった。
しかも、青コーナーのベンチには人気が無く、謎のポケモンはたった一人で戦っているようだった。
「ちょっと待て…もう七人目の試合じゃないか?」
と、フィリが言った。
確かに、赤コーナーのベンチにはもう戦えそうなポケモンは居ず、傷だらけのポケモン達が座っていた。
バトル場にはマスターのような風格を持つローブシンが立っていた。
「くっ…オレのギルドの精鋭達がたった一人のポケモンに負けるとは…」
「…。」
ローブシンは悔しそうな表情で言ったが、謎のポケモンの反応はなかった。
「そのフード…オレが引っ剥がしてやる!!」
ローブシンはそう言って謎のポケモンに掴みかかっていった…
ー刹那…
ローブシンの願いはあっさりと打ち砕かれた。
なぜなら、謎のポケモンがローブシンが自分に攻撃をしてくる前に攻撃を放っていたからだった。
ボスにはその技を見切ることが出来なかった。
ローブシンはその場に倒れ、黒のフードを被ったポケモンが踵を返した。
ローブシンが倒れた場所には大きなクレーターのようなひびが出来ていた。
「興ざめだ…。」
謎のポケモンはそう言うと、踵を返した。
踵を返した瞬間、フードから赤い髪のようなものが見えた…ような気がした。
『勝負ありー!!』
MCの判定がボス達の耳のに聞こえてきた。
「…凄いな…。」
ムサシが感嘆の声を漏らした。
「ああ、勝負が決まった瞬間が見えなかった…。」
「何ていうギルドなのかな…?」
「さあ…。」
ハルトがパンフレットをピラピラと捲りながら言った。
「ダメだ、載ってない…。」
「でも、どんなやつが来ようと、私達が絶対に勝つよね!!」
ティルがやる気満々!という感じで言った。
「そうだな!!」
全員は頷き、円陣を組んだ。
「全員で勝つよ!!」
と、クリスが言い、円陣を組んだメンバー達は「オゥ!!」と、叫んだ。
*
ー控え室ー
『何をやってるんですか…。』
控え室に通信機のような電子音が響いた。
「悪い悪い。
何分退屈だったんだ…。でも、二回戦にはもう出ねぇよ。」
『当たり前です。』
電子音はピシャリと言った。
控え室にいるのはさっきのポケモンのようで、黒のフードがそこにかけられていた。
椅子に座るポケモンの頭には深紅の毛が覗き、少し灰色がかった色をしていて引き締まった体がちらちらと見えた。
そのポケモンは狐のような風貌のゾロアークだった。
『ハァ…全く…しっかりして下さいよ。』
「悪いな。」
ゾロアークが冗談混じりで言った。
『それより…例の反応なんですが…』
その言葉を最後に控え室から会話は聞こえなくなった。
To Be Continuede...