−第九話−
Believe
−第九話−
「そうだ。」
スタインは、そう言って会議室の扉を開けた。
扉の向こう側には、一匹の雄のアブソルが座っていた。
「こいつはヴェルグ。俺のギルドの一員だ。」
アブソル…ヴェルグは部屋の中にいた5人にぺこりとお辞儀をして、会議室に入ってきた。
「マスターに紹介されましたが…私の名前はヴェルグ。見ての通りアブソルです。」
「そいつとオレとどう関係があるんだ?」
ボスはイライラした面立ちで言った。
「それは、私から説明します。」
ヴェルグはボスを見つめて言った。
「実は、ギルド・カーニバルの開催が決定する一週間前…私はある事を察知しました…。」
「あることって…?」
ルマンが首を傾げて言った。
「世界の崩壊…です。」
「「「なっ…!」」」
座っていた3人は同時に席を立ち、驚いた表情でヴェルグを見た。
「そんなこと…。」
クラッグが信じられないとばかりに言った。
「…非常に残念だが、ヴェルグが予知を外したことはない。」
スタインが言った。
「ですが…予知の途中に気になる物が見えました。」
「気になる物?」
クリスが聞き返した。
「…そこにいるピカチュウさんです。」
「!」
ボスは驚いてテーブルから立ち、ヴェルグをじっと見た。
「私が見たのは、ピカ…」
「ボスだ。」
ボスが冷静に突っ込みを入れた。
「…すいません…私が見たのはボスさんがこの世界を救おうとする姿です。」
「ボスが?」
クレイグがボスを見ながら言った。
「ええ…その帽子とゴーグル、癖毛…間違いありません。」
「…なんか、けなされてるような…。」
しかし、ヴェルグはボスの言葉を無視し、話を続けた。
「私はこの事をルーウェンさんに言いました。そしてルーウェンさんはギルド・カーニバルの開催を決定し、この会議を開く事になったのです。」
ここで、ヴェルグは少し言葉を切った。
「…しかし、ルーウェンさんは皆さんの召集が終了し、探検に出たきり戻ってこないのです…。」
「そんな事が…。」
クリスが少し悲しそうな顔をして言った。
「ルーウェンさんは来る日に備えて、ギルドの結成の向上、メンバーの実力を高めるためだと言っていました。」
ヴェルグが付け加えて言った。
「オレを呼んだのは何でなんだ?」
ボスがヴェルグに尋ねた。
「それは、この話をあなたに伝えたかったという事と、何か知っているのでは?と私が思ったからです。だからルーウェンさんにあなたを呼ぶように伝えたのです。」
ヴェルグはそう言い、その場にいる全員を見渡した。
「そうか…じゃあ、今日はここで会議をお開きにする?」
ルマンは言った。
全員は頷き、会議はお開きとなった。
To Be Continued…