−第八話−
Believe
−第八話−
「降ろせ!」
ボスは空中でソプラノに抗議の声をあげていた。
「…降ろしてもいいの?」
「うっ…。」
ボスは下を見て、降ろせと言ったことを後悔した。
「分かればいいのよ。あ、本部が見えてきた…。」
ソプラノの言うとおり、ボス達の目の前には、大きな建物が見えてきた。
「降りるよー。」
そうして、ソプラノはギルド連盟の本部へと滑空していった。
*
ーギルド連盟本部ー
本部の前には、本部で働くポケモン達で一杯だった。
しかし、ソプラノにとって図体がある(失礼だが)クリスを見つける事は容易い事だった。
「ただいま戻りました、マスター!」
ソプラノはボスを掴んだまま、クリスの元へ降りた。
着地をする瞬間、ボスを離し、自分は少し離れた場所に着地した。
「お帰りなさい。ボスは連れてきた?」
「もちろんです!」
ソプラノは誇らしそうな顔で頷いた。
「何でオレをここに呼んだんですか?」
ボスはクリスに聞いた。
「説明は後でするから、今はとにかくついてきて。」
「はい…。」
そして、ボスとクリスは本部の中へと入った。
*
−会議室−
「遅くなってごめんなさい…。」
クリスは会議室に入って言った。
「遅い。」
一番手前にいたドサイドンが言った。
「まあ、そんなに怒るなってクラッグ!気楽に行こうぜ〜♪」
クラッグと呼ばれたドサイドンの隣にいたヘルガーが言った。
「てめぇは少し真面目になったほうがいいと思うぞ…ルマン…。」
クラッグは少しイライラした表情で、ルマンと呼ばれたヘルガーに言った。
「心配ご無用♪君より真面目だから♪」
「どの口が言ってんだ…?」
「え?この口だけど?」
と喧嘩を始めた2人だが、クリスの一言で喧嘩は終わった。
「あら?ルーウェンの姿が見えないわね…。」
「そういえば…。」
「あいつに限って珍しいな…。」
ルーウェンとは、ギルド連盟公認の四方ギルドのマスターの一人である。
雄のルカリオで、3人の馴染みの人物だ。
今日のギルド・カーニバルの会議もルーウェンによって収集されたはずだったのである。
クラッグは、辺りを見回した瞬間、クリスの側にいたボスの存在に気がついた。
「?誰だ?」
「私の弟子よ。」
「ボスだ。よろしく。」
「へぇ…。」
ルマンも興味津々の様子でボスを見た。
−その時
突如ドアが開けられる音がして、一人のポケモンが入ってきた。
「…誰だ?」
ドアのそばに立っていたのは、ボスと同じ年くらいのピカチュウだった。
「あれ?ルーウェンはどうしたの?」
「…マスター…ルーウェンは行方不明になった。」
「「「「!?」」」」」
会議室にいた4人は弾かれたように立ち上がった。
「嘘…でしょ?」
クリスが汗をかきながら訪ねた。
「嘘なら俺はここに来ていない。」
ピカチュウは答えた。
「なぜ?なぜなんだ!!」
「俺に聞かれても困る。」
「じゃあ、君が代理で来た…というわけだね?」
「いや…俺が正式なマスターを受け継いだ。…元ルーウェンギルドは俺が取り仕切っている。」
ピカチュウは至って落ち着いた表情で席に座った。
「俺の名前はスタイン、ルーウェンの息子だ。」
「息子…あいつには息子がいたのか…。」
クラッグがスタインを見ながら言った。
「ここに親父の机から見つけた資料がある。これで会議を進めるしかないんじゃないか?」
スタインの話しはもっともで、3人は会議について何も聞かされてなかったのだ。
「…まずは、なぜ10年ぶりにギルド・カーニバルを開催するか…だな。」
ルマンが資料の要項を読んでいった。
「それについて、俺は親父に話を聞いている。」
スタインはテーブルに出されていた水を飲んでから言った。
「それはそこのピカチュウにも関係がある。」
「オレ?」
ボスは自分を指差して言った。
To be Continued...