第二章「夢とギルドとアリアドス」
−第五話−
   Believe
  −第五話−


 「今日は何をしに来たの?」

 リザードンが言った。

 「依頼を見に来ただけです。」

 「そう。」

 リザードンは頷き、こう言った。

 「たまには、ここの新入りちゃんに稽古とか付けてやってね。」

 そうしてリザードンは立ち去っていった。

 実はいうとこのリザードンは、『クリスギルド』のマスター、クリスである。
 メスのリザードンだが、大層な実力を持っていて、ギルド連盟の代表を勤めてもいる。
 そして『クリスギルド』の決まりはなかなか厳しく、退会する者も少なくはなかった。

 「ボス!!」

 ボスは後ろを振り返ると、ハートが駆け寄ってきた。

 「ほんまににアンタちゃうねんよな?」

 「違う。」

 ボスは首を振った。

 「ならええけど…。」

 ハートは、クリスに怒られたせいなのか、何も反抗しなかった。
 
 「ハート。」

 「?」

 ボスは、去ろうとしたハートを止めて言った。

 「最近変なこととかなかったか?」

 「変なこと?なんやそれは?」

 「えっと…流れ星が落ちてきた…とか…。」

 しどろもどろにボスは言った。

 「流れ星ぃ?」

 「ああ。」

 ハートは少し考え込んで言った。

 「そういえば、ここから結構遠くにある『灰色山脈』に流れ星が落ちたとか聞いたよう
な…。」

 「『灰色山脈』…。」

 ボスはから地図を取り出して言った。

 「ここか?」

 「そうそう。」

 「ありがとう。」

 ボスは、ルナ達が待っているテーブルへ向かった。

 「今日は『灰色山脈』に行くぞ!」

 ルナ達に向かって、ボスは言った。

 「分かったわ。」

 「じゃあ、このお尋ね者の依頼にしようよ!」

 と、Aクラスのお尋ね者の依頼を取って、ボス達は出かけた。
 遠くなっていく3人のシルエットを見て、ハートは大切な事を思い出した。

 「あ、ボスに『灰色山脈』には星2クラスの盗賊団がいるっていうの忘れとった。」

 しかし、その呟きは誰にも聞こえなかった。

 *

 −灰色山脈−

 「ここが灰色山脈か…。」

 ボス達は、灰色山脈のふもとまでやって来ていた。

 「さあ、お尋ね者を倒すわよ!!」

 ルナは意気揚々と灰色山脈の中へと入って行った。

 (…ここに流れ星が落ちたのか…。ここを探せば、『属性(エレメント)』が見つかるかも…!)

 「どうしたの?ボス?」

 サモンは、考え事をしていたボスに話しかけた。

 「いや、なんでもない。」

 そうして、三人は山脈の入口へと足を進めるのであった。

 *

 「いないねー。」

 ルナは余裕綽々といった平然で、現れる敵ポケモンを倒していた。

 「ああ。」

 ボスも、銃を構えながら言った。

 「うわぁ…。」

 サモンは道具を拾いながら足を進めていた。

 「お前…戦えよ…。」

 そう言って、ボスは物陰から出てきたニドラン♂を銃で撃った。
 銃から出た電撃がニドラン♂を捉えて、ニドラン♂をふっ飛ばした。

 「だって…ボク戦えないもん…。」

 「いいじゃん別に!」

 ルナも、飛び出してきたキルリアをシャドーボールで迎え撃った。

 「私達だけで平気だよ!」

 「まあな…。」

 ボスはそう言って、辺りを見回した。

 (…まだ見当たらないな…。)

 するとその時−

 「いたー!!!」

 ルナが指を指した先には、依頼書に書かれている絵と同じニャルマーがいた。

 「Aランク指名手配、『怪盗猫又』!覚悟しなさい!」

 「なんでここが分かったの!?」

 猫又と呼ばれたニャルマーが言った。

 「フフン、何でもいいから大人しくお縄につきなさい!」

 「嫌よ。あなた達に捕まる訳にはいかないわ!」

 猫又はそう言って、逃げていった。
 しかし、ボスはそれを許さず、銃を構えて撃った。
 弾は猫又に命中し、猫又は倒れた。

 「睡眠弾(サモン作)だ。こっちも逃げられる訳にはいかねぇんだ…。」

 「さすがサモン!」

 「いや、オレは?」

 と、突っ込みをしているボスをそっちのけで、ルナは猫又にバッチを掲げた。
 すると、猫又の姿が徐々に薄くなり、ルナが持っている側のバッチのスクリーンが点滅した。

 「よし、『転送』完了!あ、ジバコイル警官からメールだ!」

 ルナが持つバッチは、メールも出来る優れもので、依頼の確認も出来る物だった。

 「なになに?ゴ協力アリガトウゴザイマシタ…だって!」

 「おう!どうする?依頼は完遂したし、このまま進むか?」

 「そうだね!進もう!」

 こうして、チームBelieveご一行は奥へと進んで行った。
 だが、三人の後ろに不気味な影があることに誰も気づかなかった。

 「キシシッ!またカモが来やがった…。とりあえず親分に報告だ!!」

 To Be Continued...


■筆者メッセージ
 第五話です
 前回は、とんでもないミスを修正しました。
 結構大切な部分だったので大変でした…。

 いつの間にか、120viewを越えてるし…。
 読んでくださってありがとうございますm(_ _)m

 〜次回予告〜
 謎の影の正体とは…?

 閲覧ありがとうございましたノシ
イチゴ ( 2012/06/26(火) 06:57 )