第二章「夢とギルドとアリアドス」
−第七話−
   Believe
  −第七話−


 (またここか…。)

 ボスはまた真っ暗な場所へ来ていた。

 (オレ…死んじまったのかな…。)

 「案ずるな、お前は夢を見ているのだ。」

 ボスは突然声をかけられて、飛び上がった。
 すると、ふわふわと光が浮かんでいた。
 光は前より輝きを取り戻しているように見えた。

 「何をそんなに驚いているんだ?」

 光の声(?)は、ボスの頭に直線響いてくるように聞こえた。

 「いや、別に…。」

 「私はお前に、『属性(エレメント)』を全て見つけもらわなければならない。だから、私はお前に死なれては困る。」

 「そのことについて質問なんだが…。」

  ボスが真剣な顔で言った。

 「何だ?」

 「お前はゼウシアとか言ったな。種族は?」

 「アルセウス、創造神…とでも言うべきか?前に言ったような気もするが…聞こえなかったみたいだな。」

 「…。」

 あっさりとゼウシアは言った。
 それを聞いて、ボスは少し面食らった。
 そして、次の質問をした。

 「なぜオレなんだ?」

 「それは、お前の運命だからだ。」

 「…。」

 ボスは納得がいかなさそうな顔で、また質問をした。

 「『属性(エレメント)』…だっけ?それは何で集めなきゃならないんだ?」

 光は、こう言った。

 「それは…今から2ヶ月前のこと…私は、1000年の永い眠りについていて、翌日に目覚めるはずだった…。だが、何者かが私を襲撃し、力の源を奪おうとしたのだ。しかし私は目覚めかけで意識はあった。私は奪われる前に『属性(エレメント)』を世界中へ飛ばしたのだ。」

 「…。」

  ボスは黙ってその話を聞いた。
 「不幸にも、その者の顔は見えなかったがな…。しかしまだ諦めてはないだろう…奴らに全ての『属性(エレメント)』が奪われるか、世界が崩壊しえしまう前に、 どうか全ての『属性(エレメント)』を集めてくれ!頼む!!」

 「ああ…分かった、引き受けよう。」

 「ありがとう…。」 光はとても嬉しそうに輝いた。

 「…どうやら『属性(エレメント)』を取り戻す事で、私の活動できる時間も延びるよう だ…。」

 「…。」  

 「今日のところはこれで消える。意識だけで活動するのはキツいのでな…。では…世界を頼んだ…。」

 光はそう言って消えた。
 後に残されたボスの意識も、少しずつ消えていった。

 *

 「ーーっ。」

 ボスは、自分のベッドの上で目を覚ました。

 「あ、起きた!」

 声のする方を見ると、ルナがタオルを持って立っていた。

 「あれから3日間経ってたんだよ!」

 (……ハイ?)

  壁にかかっている日めくりカレンダーを見ると、確かに探検に出ていた日 から3日経っていた。

 「…っ!」

  起きると、毒針を受けた時の傷が痛み、またベッドに倒れ込んでしまっ た。

 「動いちゃダメ!まだ完治してないし…。」

 「外行きたい…。」

 「聞いてなかったの!?」

 ルナはそう言ったが、ボスは包帯をほどき始めた。

 「ボス!!」

 「ギルド行ってくる、心配すんな。」

 ボスは、クリスギルドへの道を歩いていった。

 *

 ークリスギルドー

 ボスはギルドへ入ったが、中には誰もいなかった。

 「誰かいないのか?」

 だが、ギルドの中は静まり返っていた。
 仕方なく、テーブルに座り待っていると、チルットが開いている窓から慌 てて入ってきた。

 「ソプラノ?そんなに慌ててどうしたんだ?」

 ソプラノと呼ばれたチルットが振り返った。

 「ボス!?大変なんだよ!!」

 「大変?」

 「実は…10年ぶりに『ギルド・カーニバル』が開かれるんだよ!!

 「…何それ…。」

 「一番強いギルドを決める大会だよ!!その説明会へ皆行ってるから… ボスも着いてきて!!」

 「なんでオレ?ってうわっ!!」

  あっという間にボスはソプラノの爪で首を捕まれ、空へと飛び立った。

 To be Continued...

イチゴ ( 2012/07/05(木) 07:05 )