第21話 夜の闇討ち
もう1度旅をする、と決めたその日の夜。僕たちは民宿モナミに泊まって協力者2人を待つことにした。部屋で僕はテレビを見て、ハルカは毛づくろい、ミツルはポロックを作って、アイリはかいふくのくすりの調合をして待っていた。そして午後8時ぐらいになったころ、ノックの音が3回聞こえた。
「失礼します。待ち合わせの方がお2人お見えになっております」
昼間の仲居さんだ。2人が上がってくる。そして僕たちにパソコンを差し出した。パソコンのスクリーンに誰か中年のおっさんが映っている。
「よう。また随分と面倒なことを思いつきやがるみたいだな、副理事は?そして、よりによってまたお前らか。覚えてるだろ、この顔?」
「覚えてない」
「おい!ユウキお前ってヤツは…。アオギリだ!アクア団のボス、アオギリだ!本当に覚えてないのか!?」
「ああ…」
「いたな、そんなヤツ、みたいな目で見るな!」
アオギリか…いたな、そんなヤツ。割とどうでもいいことだからすっかり忘れてて中年のおっさんとしか認識できなかったよ。
「そんなことより…お前たちの手紙、見せてもらったぜ?今いる協力者2人も、仲居もアクア団だ。仲居に渡させたのは俺たちが作った手紙。本当の手紙を見たきゃ3人を倒すことだな!はははは…」
アオギリの高笑いが煩わしかったので電源を切っておいた。
「そういうことよ!手紙を見たければあたしたちを倒しなさい!」
仲居さん…もとい、アクア団が僕たちを指さしながら言う。なんでこんな面倒なことに…。
「行くのよ、パルシェン!」
「行け、サメハダー!」
「ルンパッパ、がんばれ!」
まずは戦局の分析。パルシェンはみず・こおりタイプで、サメハダーはみず・あくタイプ、ルンパッパはみず・くさタイプ。じめんタイプがいないので、でんきタイプを出すべきだろう。僕の持っているでんきタイプを出せば、バトルは有利になるはず。
「いけ、デンチュラ!」
デンチュラはでんき・むしタイプ。相性的にはこおりタイプからは通常のダメージだし、あくタイプとくさタイプに効果は抜群なので、判断はとても正しいはずだ。
「3対1でいいよ」
ハルカ・ミツル・アイリとフルメンバーでかかるのは流石にかわいそうなので、僕1人で受けて立つ。それでも圧勝だと思うけどね。
「随分となめられたものね!パルシェン、畳にみずのはどう!」
…先手を打たれた。床が水で濡れていては、でんき技はとても危険だ。
「ふふ、これででんき技は封じたわ。残念ね!」
「どうだか。ユウキがでんき技を封じられたからといって負けたとは限らない!」
ハルカ…。ハルカの期待に応えるためにも、むし技で全員を倒す!
「いけ、シグナルビーム!」
最大級のシグナルビームを、今、放った。
民宿モナミ804号室の修理代はヒナギクさんに払ってもらいました。