第19話 秘密の場所
「行くよホエルオー!さあ、みんなホエルオーに乗って」
わたしたちはブルーさんに言われるがままに乗っていく。ホエルオーは5人乗ってもまだ大丈夫なようで、あと3人くらい乗れる隙間があった。
「向こう岸にでもあるんですか?」
カイリが聞くと、ブルーさんはノンノン、と手を振って、
「そんなわかりやすい場所にあるわけないじゃない。なんせ協会ですら掴めていない秘密の場所よ?ここに来てもらったのもそのため。まずは身体検査させてもらうわね」
虫眼鏡のようなものを取り出した。
「いっちばん怖いのは盗聴器なんだから。とりあえず検査会場としてここを選んだのよ」
ブルーさんは全員の体に虫眼鏡のようなものをかざした。何の音もなかった。異常はないみたい。
「盗聴器はなかったようね。じゃあ、いよいよ行くわよ。ホエルオー、ダイビング!」
わたしたちの体は水中に沈んだ。
「道はわかってるわね。サクサク進んじゃってー!」
ホエルオーは向こう岸のほうへと向かってどんどん泳いでく。水深20メートルほどの場所に崖があって、そこに穴があった。とてもわかりにくい場所にね。
「よし、入っちゃって!」
わたしたちはその穴に入り込んでいった。しばらくすると、わたしたちは地上に出た。
「ここが…ツルバミシティ」
地下で日光はささないのに明るい。それはひとえに色とりどりのランプがついているおかげだろう。ツルバミシティはきれいなドーム状の形をしていて、なんだか妖しい雰囲気を醸し出している。
「おや。…久しぶりの外客じゃの。ほれサスケ、この方たちを案内してやりんさい」
「わかりました。僕はサスケといいます。ここで『オール・ボール』というボール店を経営しています。じゃあ、お店を紹介するのでついてきてください」
「あ、はい」
まずホノカたちが来たのは彼の店『オール・ボール』。名の通りすべてのボールを扱っているとか。禁忌のボール『ハントボール』ですらも扱っているそうだ。信用できる人にしか売らないらしいが。ちなみにハントボールとは、たとえトレーナーのポケモンでも必ずゲットできる、恐ろしいボールのことである。
次に来たのは最初にあった、おばあさん…フミヨさんの漢方、石などを扱う店『稀商』だ。ブルーは入った瞬間に顔をしかめ、4人ともそれは失礼だろうと思ったという。
「それでブルーさん。今日は何の用で?」
「ああ、それはね。レッドがこの紙を渡せばわかるとかなんとか言ってたわ」
「…はあ、ついに外もこうなりましたか」
サスケは神妙な顔つきでため息をついた。