第3章 ギンガ団、来襲
第18話 幻の街

レッドさんにもらった紙。『galaxy world』って書いてあるだけかと思ったら、そうじゃなかったみたい。

裏に何か書いてあるのを発見したの。

『ジョウトのツルバミシティに来て。ある人に会わせたいから。場所は、チョウジタウンにいるブルーに聞いてね』

ツルバミシティ。聞いたことのない都市名。カイリ曰く、噂ですらジョウトのお偉いさんしか知らないらしいの。なんでカイリが知っているの、って聞いたら「オレが協会に行って帰ろうとしたときその話で騒いでてな、盗み聞きした」だって。

「ホノカさん、行きましょう!」

「そだね。じゃあ…ふ、船か」

わたしは軽く落ち込んだ。船嫌だなあ。





やっとの思いで着いたジョウト・アサギシティ。今回も待ち人がいるので観光はしない。時間短縮のためわたしの最速バージョンじゃないトゲキッスでチョウジタウンまでひとっとびよ!ちょうど定員も4人だからぴったりなの。

「たぶんまっすぐ行っても6時間くらいかかるから。覚悟しといてー」

先に忠告しておく。それでも6時間だから、やっぱりトゲキッスは速いと思う。

「ねえカイリ、ここってあんたの生まれた地方でしょ?」

「そうだけど。それがなんか関係あるのか?」

「アレ、説明しなさいよ」

そう言ってマミちゃんが見つめる向こうには…。

ロケット団。

「アレは…ロケット団だな」

「知ってるけど。なんであたしたちのほうに来てるのよ」

「知るか!」

そしてカイリとマミちゃんはやいのやいの騒ぎ出す。こっちに来てるんだったらそんな口論してないで逃げたらいいのにね。

「おい、そこの4人。いや、正確にはそこの茶髪女だけでいいんだが。リニアの中ではずいぶんとやってくれたじゃねえか?」

リニア?ああ、なんか元ロケット団やらなんやらの騒ぎね。

「あの騒ぎのせいでマイトは逮捕されて上司である俺が怒られたんだぞ!そしてこの復讐はサカキ様直々のミッションであり俺の怨念だ!なんで俺が倉庫の見張り番なんだー!」

「ただの逆恨みじゃない」

「ああ、逆恨みさ!でもこの復讐を遂げたら隊長になれんだ!絶対に失敗するわけにはいかねー!」

「たぶん捨て駒ね」

「なんだとコラ!お前から殺してやる!」

マミちゃんは涼しい顔で淡々と言葉を吐き出す。相手のポケモンはピジョン。鋭い爪でマミちゃんに切りかかろうとするけど、ギンガ団の幹部イオを倒すほどの猛者マミちゃんをたかが倉庫番(元マイト?の上司)が勝てるはずもなく。

「ポッチャマ、れいとうビーム!」

あっという間にピジョンは氷漬けになった。見事に形はピジョン。なにかの像を見ているみたい。

「く、くっ…覚えてろよー!」

そう言って倉庫番はタンバ方面に向かって走って行った。…そっか、田舎の倉庫番だったんだね。かわいそうに。でもね、田舎の倉庫番。恨むならわたしじゃなくてラングレーさんだと思うんだけどなあ。元部下を倒したのラングレーさんだし。

「見事だったな。それよりホノカ。トゲキッスで移動せずにラルトスのテレポートで移動したほうがいいと思うぞ」

ごめん、ラルトス。その手をすっかり忘れてたよ。

「じゃ、行くよー!」

瞬間、あたりは光に包まれた。





今わたしがいるのはいかりのみずうみ。5秒程度で6時間の移動距離を移動できるんだから、改めてポケモンって偉大だよね。

「ブルーさんはどこかな?」

「ココよ、ココ」

ブルーさんは近くの樹木に寄りかかっていて、なんというか…大人、って感じ。

「レッドから話は聞いたわ。幻の街に行きたいならついてきて。たぶん、驚くと思うわ」

ブルーさんはにこっと笑っていかりのみずうみへと歩き出した。


■筆者メッセージ

オリジナル要素全開です!
白雪ゆいの ( 2012/07/15(日) 16:16 )