第17話 その人
彼、アンタレスはギンガ団を裏切った。
その印に『アレ』とやらをイオから奪った、という。
よくわからないけど、アンタレスが味方、らしい。
それで、わたしは本名を聞いてみることにした。
「僕の名前は…」
「僕の名前は、レッド」
レッドさん。彼は、確かカントーリーグチャンピオンで、最強のトレーナーなんだけど!?
「レッドさんって…まさか、伝説のトレーナーの!?」
「そう呼ばれてるけど、実際はそこまで凄くはないよ」
なんか、わたしのイメージとは違う。トウガンさんみたいな、ゴツい人だと思ってた。でも、実際はそれとは程遠くて。ナオキよりもなよなよしてる感じがするんだもん。あ、ナオキはああ見えて?結構なよなよしてるのよ。バトルを申し込まれてもすぐ逃げようとするし。
「でもレッドさん。シロガネやまにひきこもってたんじゃないんですか?」
マミちゃん。ひきこもるっていう言い方は少し失礼だと思うよ。現にレッドさんちょっと精神的ダメージ受けてるっぽいし。
「ああ、いたよ。カントーリーグ副部長のヒナギク…って人からの命で、僕のところまで来たって言ってた」
ヒナ…。なんだかんだ言ってわたしに協力してくれてるんだ。
「れ、レッドさんのところまで!?それってかなり強くないと…」
「確かその人…ホウエン、って地方の元チャンピオンって言ってたよ。確か、ダイゴって人。あとは、その幼馴染が一緒にいたかな。名前は知らないけどね」
ヒナが公式にレッドさんに応援を頼んだ、ってことは世界がヤバい状態にあるってことだと思う。そんなにギンガ団やロケット団は強大で…凶悪なの?
「それで、レッドさんはこれからどうするんですか?ギンガ団を倒しに行くんですか?」
カイリが聞くと、少しの間うーん、と唸ってから言った。
「いや。依頼主のヒナギクさんに会いに行くよ。指示を待つ」
「じゃあ、ヒナギクに電話しましょうか?わたしの妹ですし」
「じゃあよろしく頼むね。その後ポケギアの番号を交換して…ギンガ団の情報を教えてあげる」
「じゃあ、一気に話すからよく聞いててね。
まず、ギンガ団の構成から。前のボス、アカギが消えて、三幹部は全員改心し普通の人生を歩んでいる。これは協会が確認しているから事実だよ。だけど、もう一人の幹部プルートが脱獄してもう一度ギンガ団を創ったんだ。そして現在のボスは女。名前はコロナ。紅い髪をしていて紅い瞳を宿している。幹部はプルート、僕たちが会ったイオ、女のユミル、男のスピカ。
あとは、これ。イオが『アレ』って言っていたもの。すごく焦っていたからとても重要なんだと思うよ。これはホノカちゃんたちが持ってて。
それじゃあ、僕はイッシュ地方に行くよ。何かあったら、連絡してね」
レッドさんはイッシュに向かって飛んで行った。
レッドさんにもらった『アレ』。それは、白い紙に『galaxy world』と書いてあるだけだった。
何に役立つんだろう?
きっと、ギンガ団の重要機密…だったらいいな。