第3章 ギンガ団、来襲
第16話 vsイオ
「威勢だけはいいようだな。行け、ゴルーグ!」

ゴルーグ。シンオウでは滅多にお目にかかれない、珍しいポケモン。イッシュでは使うトレーナーもそこそこいるらしいけど、ね。

「がんばって、ポッチャマ!」

一方マミちゃんが出したのはポッチャマ。だ、大丈夫かな…?と思ったら、マミちゃんは何かささやいている。何言ってるんだろ?

「タイプ相性的にはお前が有利だが…体格的には、こちらが有利だ。進化しているしな」

「まだ負けると決まったわけじゃない!」

「タイプ相性のことを引いても、進化しているほうが有利だと言っている。お前のポッチャマはすごく弱そうだぞ?」

「…」

「ふん。弱い相手であろうとも、私の覚悟は変わらない。ただ、圧倒的に勝つのみ。お前なんて眼中にないが、戦ってやろう」

うー、敵ながらカッコいいなあ。わたしも今度、言ってみよ。「ただ、圧倒的に勝つのみ。」…なーんちゃってっ!

「とりあえず、先手はいただくぞ。ゴルーグ、いわなだれ!」

「ポッチャマ!よけて!」

マミちゃんのポッチャマは華麗なフットワークで見事にいわなだれをかわす。

「ゴルーグ、続けてシャドーボール乱れうち!」

「ひたすらよけて!」

ポッチャマは全部よけた。そう思っていたら、最後の一個に命中。うまく急所は外れたみたいだけど…。うーん、割とダメージを受けてる。

「はっ!よけることしかできないこのポケモンが私のゴルーグに勝てると思うか?しかも今、一回攻撃が当たった。しかも一回当たっただけでこのダメージ。絶望的なのは、目に見えている!」

うう。悔しい!わたしは何かないのかと思ってナオキに小声で聞いてみたけど、「大丈夫。マミさんを信じて」と返された。まったく、何が大丈夫なんだか。

「…」

マミちゃんは何も言わない。ポッチャマを見つめているだけ。すると、カイリが叫んだ。

「おいマミ!なんで何も言い返さないんだ!悔しくないのか!」

「正論だからだろう?私の言っていることは正しい。だから、何も言い返せない。…違うか?」

ゆっくりと諭すように言うイオに余計に腹が立つ。

「ポッチャマ、立てる?」

「ポチャー…」

「ゴルーグ、シャドーパンチ!」

「ポチャッ!」

ポッチャマはかろうじて気絶してないけど、見る限り体力は限界、だと思う。ああ、負けた…。

「私は強い。油断したな」

そうだ。コサメくんとキリヤくんを1人で倒したんだ。強いに決まっている。するとマミちゃんは口を開いた。

「油断したのはどっちかしらね?」

まるで悪者のようににたぁっと笑うマミちゃん。いつもの天使の笑みとは全然違うよ。どういうこと?

「そろそろ気づいてもいい頃だと思うけど。強いんなら、ね」

「…みがわり、か!」

「そう。…たかがポッチャマだと思って油断したのはアンタのほうよ」

バトルが始まる前にささやいたのは、みがわりの指令だったのね!納得納得。

「さあてポッチャマ。…ハイドロカノン、よ!」

すごい水技が繰り出された後、イオのゴルーグは気絶していた。

「ねえ、ナオキ。ハイドロカノン、って何?」

「水タイプの究極奥義。水タイプで一番強い技、だよ」

マミちゃんがそんなに強いとは思ってなかった。最初の弱さは演技だったんだ!

「…仕方ない。やれ、アンタレス」

「…嫌ですね」

「なんだ、アンタレス!お前!」

「イオさま。いや、イオ。僕はお前を…ギンガ団を裏切る!」

な、なんなの!?何このドラマ!裏切りって…ああ、ちゃんと撮ってる。さすがだわ。

「アレを盗ったのは、僕。決してあの3人じゃない。さあ、さっさと逃げることをお勧めする。そこの女の子や、僕に叩きのめされたくなかったら…」

「くっ…。お前の裏切りは、ボスに報告する。裏切ったことをせいぜい後悔するがいい!」

イオはけむりだまを使って逃走した。





「大丈夫かい、君たち」

「あ、ありがとうございます!お名前を聞いても…?」

「僕?僕の名前は…」

■筆者メッセージ
アンタレスが一体何者か、予測できる人はできるんじゃないでしょうか。

ヒントは、僕という一人称(これはどうだろう…)、アンタレスという星です。ヒントが少なすぎるかもしれませんが。これは文中のヒント。あとは白雪からのスペシャルヒントです。原作キャラ、です。ポケスペもアニポケもどちらかしか出ていないかもしれませんし、どちらもでているかもしれませんし、あるいはゲームにしか出てきていないかもしれません!

答えは、第17話で!
白雪ゆいの ( 2012/07/15(日) 16:12 )