第13話 ついに
「ギンガ団…今あったこと、教えてくれない?」
わたし、ホノカ。テレビコトブキのキャスターよ。「シンオウ!ナウ」というテレビ番組の司会をしているの。訳あって、今は旅の途中。旅で寄った地点で中継して、出させてもらってる。司会は女子アナのルミちゃんに任せてきたの。今日はGTSの特集。中継ついでにお母さんにわたしのボックスを見てきて、お母さんがトレードしたポケモンが入っているわよ、って言われた。シンオウ地方に住んでないポケモンのはずだから期待していなさい、って。楽しみ!
「取材なのになんで浮かれてんだ?」
「お母さんからポケモンをもらうかららしいよ」
カイリがわたしをジト目で見てくるけど、そんなの気にしない!今日の取材はいい笑顔でできそう!って思ってたら、GTS前広場から何かが聞こえてくる。
「…て!……を…る……!」
鮮明に聞こえるように、そう思ってわたしたち3人は隠れながら小走りで近づいてく。盗み聞き?違う違う。ネタゲットよ、ネタゲット。ただのジャーナリズムなんだから。
「返せ!ポケモンを返せ!」
「…嫌だと言ったら?」
「力で以て奪い返す!」
ただの泥棒か。いや、ただでもなんでもないんだけどね。物騒ねー。
「ただの泥棒じゃねーぞ。泥棒の胸元のマーク、よく見てみ?」
カイリに言われてみてみると、胸元に「G」のマーク。まさかあれって。
「ギンガ団…?」
「どうやらお出ましみたいだな」
盗まれたっぽい男の子2人と女の子はギンガ団下っ端らしき3人に善戦。おーおー、やるじゃん。お、勝った。すごいすごい。あ、ところで。
「ねえナオキ。この映像撮ってるよね?」
「もちろん。近づいたあたりから撮ってる」
さっすが!ナイスジャーナリズム!
「…………」
なんて言ってるのかしら。声が小っちゃくてわかんない。
「……………、………………」
どこからともなく、フーディンのテレポートで入ってきた黒髪の女。何言ってんのかさっぱり。
「…………………………………………………」
ああ、何言ってんの、そう思ったらけむりだまでドロンよ。まったく。咳払いして、あたしのトゲキッスで霧払いしたらもういないの。はあ、特ダネが。でもあの男の子たち3人にインタビューしないとね。
「ギンガ団…今あったこと、教えてくれない?」
「…え?」
「わたしはテレビコトブキのホノカ。こっちはカメラマンのナオキで、さらに…」
「僕はカイリ。ジョウトで『カイリの僕ラジオ』という番組をやってる」
「あ、僕はコサメといいます。こちらはキリヤ、ミハルです」
「そうなの。…それで、何があったのかしら。もちろん、情報代はお支払するわ。…まろやかポフィン詰め合わせと栄養剤詰め合わせ2個はどうかしら。コーディネーターと、トレーナー2人の分で」
「あ、ありがとうございます!でも、なんでわかるんですか?コーディネーターと、トレーナー2人だって」
「勘よ。そんな感じがしたの」
「そうですか。えっと、何があったかをお話ししますね…」
アヤカちゃんは、こう語った。
曰く、ギンガ団が、GTSのモンスターボールを盗んで、選別していた。それでコサメくんたちがかけつけてバトル、下っ端は倒せたがあの幹部らしき黒髪の女は倒せず逃げられ、今に至る。目的はあらゆるもの全ての支配で、昔よりもスケールが大きいらしい。
「そう。…それで、選別の基準はわかるかしら?」
「えっと…スターミー、ヒトデマン、ピッピ、ピィ、ルナトーン、ソルロック、だったと思います」
「ありがとう。…ナオキ、共通点は?」
共通点。タイプも違う、出身地も違う…なんだろう?
「星や月を冠するもの…宇宙に関係しているもの、かな」
「確かに!ギンガ団という名前からも推測すると常に現れるキーワードは『宇宙』です!」
ということは何かしら宇宙が目的に関わっている、ということなのだろう。
「そうか。ギンガ団は前やるはずだったことをもう一回やって、それから規模を拡大する気だ!前も同じようなことをやってたからな。ジョウトにも情報は入ってきた」
カイリははっとした顔で言った。確かに、局長の話ではいろんな人のポケモンを根こそぎ奪っていた、って話だったし。
「ありがとう、コサメくん、ミハルちゃん、キリヤくん。ポケギアの番号、交換しましょう。わたしたち、3人と」
そしてわたしたちはポケギアの番号を交換した。
「それじゃ。なにかあったり困ったりしたら、いつでもかけてきてね。元気で!」
わたしたちはGTSの中に入っていった。すっかり忘れていた、お母さんのポケモン!
「ようこそGTSへ。交換なさいますか?それとも、ほかのご用件でしょうか?」
「あ、えっと、ボックスからポケモンを連れて行きたいです」
「かしこまりました。あちらのパソコンでご確認くださいませ。では、失礼いたします」
よし、連れて行くぞー!まずはアカウントIDの入力、パスワード…。よし、開いた!あたしのポケモンはっと…。
「ラルトス!よろしくね!」
「らるらるー!」
あたしはこうして3匹目のポケモンをゲットしたのだった。