第11話 ベリーとムンナ
オレたちが結成後、ポケモンセンターに行こうとした。その瞬間。叫び声が聞こえ、この有様、なわけだ。
「放して!あたしのムンナを放してよぉ!」
紅い髪のベリー、という女の子が叫ぶ。相手はプラズマ団。その周りを取り囲むようにオレたち4人。プラズマ団にベリーのムンナを盗られてしまったのだ。
「いやですね。私たちの目的のためにもムンナが必要ですから」
ベリーは泣いている。ベリーの連れだろうか、2人の男女も俯いている。
「そうでございますか。実力行使で返していただきますよ」
そう言ってヒナはゼブライカを出す。見た目でもわかるくらい強そうなポケモンだ。レンジャーのオレでもわかるくらいだから、デントやラングレーはすぐに見抜いただろう。
「キミたちは実にバット・テイスティングだよー!ムンナを返したまえ!」
デントもなんかわけわかんないことを言いながらイワパレスを出す。今はソムリエぶらなくてもOKなんだけどな。
「じゃ、あたしも」
ラングレーはやれやれと言わんばかりの顔でツンベアーを出す。こう見ると圧巻、すごいポケモンが3体もこの場にいる。オレはレンジャーだから持ってない。プラスルとマイナンもあまりバトル用には育てていないので期待できない。そうなると答えは1つ。キャプチャだ!トップレンジャーになってからの初キャプチャがこんな感じでいいのかわからないがとにかくキャプチャ。そこに飛んでいたケンホロウをキャプチャ・オン!力を貸してくれよ、ケンホロウ!
「…この場はお前たちに任せます。ムンナをとられないように」
そう言って幹部らしい奴は下っ端にムンナを手渡してけむりだまで逃走。下っ端なら、あるいはプラスルとマイナンで倒せるかもしれない。
「ムンナは渡さねえぜ!出てこい、チョロネコ、ミルホッグ!」
2匹。余裕だろう。
「3人とも、ポケモンは出さなくても結構です。私が2匹とも倒します。…5秒で」
流石ヒナ。副理事兼副部長なだけある。オレもそういうこと言ってみたい。…到底無理だってことくらい、知ってるよ!でも、今のオレはトップレンジャー!おうおう、いつか言ってみせる!
「へえ。それはどうだろうな。ボッコボッコにしてやるぜ!」
プラズマ団下っ端A(Aって言っても1人しかいないけどな☆)がそんなことをほざいている間にあいつの手持ちは気絶。もうまともに戦える状態ではない。
「な!」
「申し上げました通り、5秒で片付けました。あなたの手持ちはすべて、お終いに」
瞬時、ヒナのゼブライカはニトロチャージを繰り出していた。オレの動体視力は、自分で言うのもなんだがいい。それでも…ブレて見えるくらい。とにかく、すごかった。
「…ムンナは返してやるよ!クソ!」
下っ端Aはけむりだまを使った。とり逃したが、ムンナは帰ってきた。とりあえず、一件落着だ。
「ムンナ!ありがとうございましたぁ〜。あの、お名前は?」
「私はヒナギク。こちらがミナト、続いてデント、ラングレーでございます」
「そうですか〜。本当に、ありがとうございましたぁ〜」
そう言ってベリーはプライムピアの方へと去って行った。
「これでプラズマ団の下っ端のレベルがいかがなものか、わかりました。有力なデータです。この程度であれば、私の知り合い5人ほどに協力を求めるつもりです」
ヒナ…お前、案外策士だよな。小さいころも、オレを…(以下略)。それで、これからはどうするんだろう。
「あの。ヒナギクさん…でしたよね?先ほどは、ベリーがご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。お詫びといってはなんですが、少しプラズマ団に関しての情報があるんですよ。…どうです?」
ベリーの連れらしき女の子は、にこりと笑って提案した。