ポケモン不思議のダンジョン 正義と悪の狭間で





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-第一章 日常という名のスパイラル!-
第二十九話 守護神の森@

「よーし、皆、準備できたね?」

「「「もっちろん、さー!!!!」」」

「よーし!テンション上がってきた!絶対、俺が何なのか知ってやる!」
『チャームズの時とは随分と違うね〜。』
「またいきなり出やがって!…って何でそれ知ってんだ!?お前、いなかっただろ!」
『それは、ヒ・ミ・ツ☆』
「…。」

ともかく、遠征の始まりである。


「では、予定通りにチームごとに行動だよ!獣道があるから余計な行動しなければ迷子にならないからね。万が一の時は、W穴抜けの玉Wでも使って最初から頑張ってね?」

リヴは親方らしく的確な指示を出す。
今回の遠征は全四組に分かれて行動する。丁度、分岐が五つあり、結果的には森の中にある村ウッズで落ち合う形となる。そして、そこで一泊し、翌日には更に奥地へと進んで行く。奥地にはジャングルの秘宝W草のラッパWが眠っているという。草タイプのポケモンたちを魅了する美しい音がでる楽器だ。あるポケモンが隠し持っているという噂だが、その真意は誰も知らない。

『身体!身体!僕の身体!』
「うっせぇ…」

次は、この守護神だ。ミステリージャングルに自分の身体が置いてあるという。隠秘の湖での蔦で絡まった祠。彼とファインの出会いはそれが最初だった。憑いてからしばらく経つが、いまだにファインにとって彼はナゾ、その一言に尽きてしまう。

「じゃあ、Aチームから…」

折角なので、どのチームに誰がいるか確認でもしよう。
Aチームには、ノイザ、ロスナス、サマベル。Bチームには、ブランド、ウィリー、グジット。そして、Cチームは我らサンライズとチャームズ。で、最後は…

「僕らも後から追うからね!ねぇ、アルト?」
「は、はいぃ…(今回の遠征もクッタクタだな、トホホ…)」

Dチーム扱いのリヴとアルトである。残りのメンバーは、ギルドで留守番。可哀想な気するけど、ここは彼らの分まで頑張るしかないと思う。

「じゃあ、いってきますわー!…ノイザ、行きますわよ!」
「うっせえよ!先頭は俺様だからな!」
「行きましょ、行きましょ〜。」

そういってAチームはさっさと先に行ってしまった。それに続いて皆はそれぞれの道へと足を進めていった。サンライズ、チャームズも行こうと思った時だった。ラビィはニコッと笑って、

「さて、サンライズのみんなが先頭ね?」

、と言った。すると、

「えっ!?」
「僕たちがっ!?」

当然ながら驚く。こんな実力差でどうしてサンライズを先頭に立たせるのか、アクタートとシードはそう思った。しかし、ラビィは笑顔のまま続ける。

「これは私たちの遠征じゃなくて、WあなたたちWの遠征なの!」
「アタイらは万が一の時、後ろから補佐する程度だけさ。」

尤も過ぎて誰も言い返せなかった。彼女らにかかれば、こんな樹海はさっさと抜けられるに決まっている。遠征とはギルドで培った実力を発揮するチャンス、ってリヴが言っていた気がする。

「じゃあ、仕方ない。頑張るぞ。」
「何よ〜、ファイン、結構ノリノリなのね!」
「この遠征で俺が何なのか分かるかもしれないんだからな!あったりまえだ!」

ファインは気分上々で昨日準備をしたこんもりと膨らんだ黄色のバックを肩に提げていた。ガルーラのリィタムに貰ったスペシャルリボンも左腕に身に付けて準備は万端だ。

「よし、サン、アクア、シード!初めての皆で遠征成功させるぞ!」

「もちろん!」
「このアクタートに任せとけば、敵が来ても安心だな!」
「僕も、出来るだけ頑張る!」
『皆、張り切ってるね!僕も目的のために頑張んなきゃ!』

「皆って言ったが、ミュウは除外な。」
『ガーン!ファイン、酷いよぉ!』

こうして和気藹々(わきあいあい)としたムードで彼らの遠征は始まった。





「ラプラスに乗って〜?」
「どこまでも行こう〜?」

「ここ、森だぞ。」

熱帯雨林気候であるミステリージャングル。高湿度、無風、深い陰り。昼間だが、薄暗く、草木も多く茂っていた。

「歌ってたほうが気分紛れるんだもん。」
「まぁ、俺はこれぐらいジメジメしてる方が好きだな!」
「アクア、水タイプだもんね。」
「羨ましいぜ…」

一方、炎タイプのファインにはあまり向かない。土が湿って、腐葉土が一歩を踏み出す度に足の裏にへばりついてくる。元気良く勇んでいたことは別にいいけども、こんな環境じゃやはり陰鬱になってしまう。
しばらくの沈黙の後、それを脱するかのようにアクタートが話をファインに吹っかけてきた。

「そういえば、ファイン。ミュウとかと色々あるんだろ?」
「まあな。でも、俺が用あるのは一泊する村。ミュウは多分、もっとその奥地に行きたいんじゃないか?」

と、ファインは言った。すると、アクタートは顔をニヤニヤさせながら言う。

「今回の旅でお別れかもしれねーんだろ?…寂しくなるね〜。」
「そ、そんな訳ねーだろ!」

しかし、その可能性は多いにあり得る。短いと言っても、半年以上こいつとは一緒だ。その時になったら、やっぱり…。
そう思い、恥ずかしそうにして、横に飛んでるミュウを見たらこいつもニヤついていやがった。

『ファインもさび−−−』
「くそっ、少しでもコイツを心配した俺が馬鹿だった…」

『もう照れ屋さんだなー。ねぇ、アクア?』
「ヘヘッ、そうだなミュウ♪」

気持ち悪い…気持ち悪いぞ、こいつら!

一方で、サンとシードはチャームズと話していた。

「ねぇねぇ、チャームズたちはどのくらい探検をしてるの?」

「うーん、十年以上前かなぁ…」
「もうそんな経ったんだね〜。そろそろアタイらも立派なオバサンかな。」
「もうチャーリーやめて!私たちはまだ現役よ!このスタイル観れば分かるでしょ?」

ラビィはそう言って、腰を振りながら歩く。

「ラビィさん、カッコ良い!シードもそう思うでしょ?」
「う、うん…」

シードは顔を紅潮させながらそう言った。そしてラビィはその様子を見逃すはずはなく…

「あら、照れちゃって、素直な子ね♪私、そういう子、大好き?」

「す、好き…?」

シードは更に顔を真っ赤にする。頭に血が昇り、混乱しているようである。

「うふふ、カワイイわね?」

「そ、そそそそそんなっ!う、わああ…あぁ〜。」

「もうシード、照れ過ぎ!はしゃいでた私が馬鹿み…」



べろんっ



「ひゃぁっ!!?」

突如、サンが変な声を出す。周りの皆もいきなりの大声のびっくりする。

「サン、どしたの?」
「ひいぃ…いま後ろから何かがベロって…ベロってぇ〜」

サンはシードに抱きつきながら首をブンブン振っている。すると、シードはサンの後ろに誰かいるのを見つけた。

「誰かサンの後ろに…」

シードがそう呟いた時だった。それが叢から出てくる!

「ベロぉー!!誰だ、そこをうろついてる奴は!」

「うわああぁ!!」
「ベロリンガ!!」

正体はベロリンガだった。唾液を滴らせた長い舌をブンブン振り回しながら此方に迫ってくる。

「いやっ!寄ってきたわ!」
「チャ、チャームズ!どうしたら…」

サンとシードが涙目になりながら、チャームズに助けを求めた。すると、チャームズはニコリと笑って、

「私たちは、」
「置物だから、」
「気にしないで戦いな!」

と信じられないことを言った。そこでサンは閃いた。

「シード、ゴー!!」

「うわぁ!!」

サンはシードの背中を押して、ベロリンガの前に立たせた。シードはバランスを崩しそうになる。そして、ベロリンガは舌を出しながら近づいて来る。

「めんこい奴らばっかだな〜。誰か一匹でもいいからわいの女にならんか?」

「イヤッ!こっち来ないでっ!!…シード、さっさとやっちゃって!」
「(僕が出来るかな…?よぉし…)」

シードは、出来るだけ頑張る、と出発の際に言ったとおりそうすることに決めた。一応、シードも雄であるから雌を守らなくてはいけないというプライドはあるらしい。多分。

「ぼ、僕が相手…」
「そこのフシギダネ、邪魔だ!」

言い終わる前に、ベロリンガが襲いかかる!長い舌でシードの頬を叩きつけた!

「ふぎゃっ!!」

「シード!!」

シードは横に飛ばされて木の幹に衝突する。ぶつかった木から葉がはらはらり。シードは痛む体を気遣いながら立ち上がる。

「うぅ…」
「男は下がってるんだ。さて、どの子が…」

「だから、来ないでって言ってるでしょっ!しっしっ!」

ベロリンガがジリジリと近づく。

「(僕は、気弱で、女の子なんて守る自信ないけど…)」


−−−俺にとってのヒーローだ!


「(頑張ってみる!)」

そう思いシードはベロリンガに焦点を合わせた。

「葉っぱカッター!!」

シードからいくつもの葉刃が出てくる。そして、一気にベロリンガへと向かった!

「そんなの効かんよ!守る!」

ベロリンガは腕を十字にした。その瞬間、透明なベールが現れた!既に止まることを知らない葉は見事に防御されてしまった。

「…っ!」
「ちょっと、シード!だらしないわよ!」
「分かってるよぉ〜!」

「ゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ!」

会話途中にも関わらず、ベロリンガは襲いかかってきた。シードは、やられる、そう思った瞬間…

「W火炎放射W!!」
「Wバブル光線W!!」

「ぐぁっ…!」

紅い炎、蒼き水がベロリンガへと襲いかかる!ベロリンガの急所に直撃。そして沈黙した。

「大丈夫か!?シード、サン!」
「付いてこないかと思ったら、襲われてやんの。」

「アクア、ファイン…」
「カッコ良いわよ、二匹とも!!」

前にいたファインらに自分たちの危機を気付いてもらったようだ。シードは安堵の溜息を吐いてへなへなと萎れてしまった。

「お、おい…シード、本当に大丈夫か?」
「うぅ…怖かった…」
「シードもありがとね?意外と根性あるじゃない。やっぱり修行のおかげなんじゃない?」
「お前は何もしてねぇけどな〜。」
「う…、仕方ないじゃない!いきなり舐められてビックリしたの!」

アクタートの一言でサンは恥ずかしそうに言い訳した。照れで目を伏せる。
すると、ニコニコしながらチャームズが此方に近づいてきた。

「あなたたち結構やるじゃない!」

「ラビィさん!ありがとうございます!」
「だから、お前、なにもして…イデェッ!」

アクタートはサンに思いっきり殴られる!目に涙を溜めて、痛みで頭をさすった。
そんな様子は特に気にせず、ラビィは続けた。

「それにしても、そこのヒトカゲくんもやるわね!見直しちゃったわ?」
「さんきゅ。…てか、俺はファインだ。分かってるくせにやめて欲しいぜ。」
「ごめん、ごめん〜!」

何故か嬉しそうなラビィ。ファインは、全く反省してなさげ彼女に少し苛ついた。

「このや…」
『ねーねー、村はまだなのー?』

「うーん、もう少し後ね…。日が暮れるまでには着くかも。」
「まぁ、気楽に行きましょうね!」

「よぉ〜し!さぁ、男ども、さっさと行くわよ!」
「ホイホイ〜、」

そして、再び、サンライズは歩き始めた。村へ向かって。

「死なずには済みそうだぜ、このメンバーじゃ…」
『ねぇ、ねぇ、ファイン?』

ファインは、何だ、と返事をした。ミュウは笑顔で周りを見て言った。

『僕たち、さっきからさ、ずっと野生のポケモン達に囲まれてるんだけど…』

「馬鹿言え、何処にそんなのが………えっ?」

ファインが辺りを見ると、草陰から、ギラギラと輝く鋭い目に囲まれていた。

「ははっ、さっきの戦いで…」
『見つかちゃったね☆』

動いたら一気に襲いかかって…。ファインは固唾を飲んで、一つの決心をする。






「あれ、ファインは?」
「さっきまで後ろいたよな?」
「置いてちゃったのかな…」

皆は、ファインがいつの間にかいなくなっていることに気付く。何処にいったんだ、とみんなが、思った時、

「ほらほら、来たじゃない。」

と、ラビィが後ろを指差すとファインが走って来ていた。

「ファイン〜、早く来なさい〜!」
「おっせぇぞ!亀の俺よりおっせぇぞ!」

そう、走って…

「ファイン、何か叫んでない?」
「そうねぇ〜、私が口読してみるわ!」
「読心だけじゃなく、口読もできのんか…」

「えーっと…」

サーナは、近づいて来るファインをよく見て、

「ろ……に…げ…」

「ろにげ?」

「じゃなくて……に…げ……ろ…」

「ニゲロ?…逃げろって?」

「おい…何か、走って来てるのファインだけじゃない…」

そして、彼らの肉眼に映ったのは…

「おおぉぉ〜〜いいいいぃ!!皆、逃げろおおおおおおぉぉぉ!!!」
『それじゃ、ファイン、僕はしばらく消えることとするよ。』
「てんめえええぇっ!!!」

その光景を見た皆は血の気が引く。

「野生のポケモンが…」
「追って来てる!!」
「ひぃぃ…」
「皆、」
「全力で、」
「逃げなさああああい!!」

「くっっそおおっっぉっ〜!!!村はまだかあああっ!!?」

まだまだ、遠征は始まったばかり。気楽にはいけなさそうである。





一方で、Aチームは…


「あっちだ!!」

「いいえ!こっちですわ!!」

「御二方…もう喧嘩はよしてください!」

「だって、ノイザったら…」

危険が…

「…おい、あぶねぇ!ロスナ、うし…」

「ノイザ、いきなり倒れて…いったい…キャッ!!」

「皆さん!あなたは一体…。」


「ふひひ、俺の名はヴィーだ。まぁ、ただ王からの使者だよ。よろしくな…」

迫っていた…


to be continued......


ヒート ( 2012/10/30(火) 11:34 )