第十二話 森の臆病者
「W王様W、客人です。前に言った希望者のようです…」
「…通せ。さて、どんな悪人かな、いや善人か?ふっ…」
*
「…こいつは!」
「フシギダネ!?」
「あぁ、そうみたいだ…、生存者がいたようだ。」
闇夜の森に来て約二時間。やっとのことで生存者を見つけた。アクタートが眠っているフシギダネを揺らして起こそうとする。
「おい、起きろ。助けに来たぜ。」
「…ん、」
するとフシギダネが瞼を開き始めた。
「あんたよくこんな所で寝れるな。」
「大丈夫?怪我ない?」
「俺たちが来たからには大丈夫だ!」
三匹が安否を確認する。しかし、フシギダネは眠そうな顔で黙ったままだ。ファインは、まだ寝ているんじゃないか、と思い、手をフシギダネに出す。
「おい、まだ寝てんのか?」
しかし、次の瞬間!
「…!!!?さ、触るな!!」
フシギダネがファインの手を払い除ける。そして、フシギダネは足を、というより全身を震えさせながら立ち上がる。
「痛っ…いきなり何すんだ!!」
「…ひいっ!!」
しかし、ファインが大声出すなりフシギダネは体をビクッとさせてしゃがみ込む。ファインたちはフシギダネの奇妙奇天烈の行動に戸惑う。
「…?」
「僕は、は、こ、怖く、なんかな、なななないんだ!お前た、ちちがこの森を、を!父さん、母さんを!!」
フシギダネが何か言っている。この森、父さん、母さん…、やっぱりこの大火災の被害者であることは間違いないらしい。それにしても、吃りまくりだな。ファインはバッチを出してフシギダネに向ける。
「俺たちはサンライズ、この森の火災について調査に来た。お前はここの住人か?」
ファインが形式的にフシギダネに尋ねる。しかし、彼は…
「こここ、怖くなんて、ななないぞ!お前たたたちなんてすぐに僕が……!?」
次の瞬間、フシギダネが急に魂が抜けたように前方に倒れた!ファインたちは彼に駆け寄る。
「おい、大丈夫か!?」
ファインがフシギダネを起こして腕に抱える。横にいるサンが手をフシギダネの額に当てる。
「ちょっと、スゴイ熱よ!」
「まじかよ…仕方ないな、調査は一旦中止だ!ギルドに搬送するんだ。アクア、手伝え!」
「お、おぅ!」
ファインが熱でぐったりするフシギダネを背負う。アクタートはそれを後ろから支えている状態だ。
「私が先導するから付いてきてね!」
「あぁ。」
「…うぅ」
ファインたちはサンに従って、闇夜の森を後にした。
*
@ギルド内 空き部屋
「これで一安心ね。」
サンが冷水に浸したタオルを寝込んでいる謎のフシギダネの額に被せる。そして彼の横に座り込み、辺りを物珍しそうに眺める。
「こんな部屋あったかしら…」
この部屋は崖の一部を切り崩して、ギルドの地下二階から小橋で繋げた場所にある。橋の下を覗くと荒々しい海をお目にかかることができる。落ちたらもれなく死神の歓迎を受けることとなるだろう。病人をこんな場所に置いておくのは気が引けるが、ギルドの部屋も空きがなかったので仕方ないと言えば仕方ない。
「おーい、サン!」
アクタートの声がする、やけに馬鹿でかく。サンが振り返ると部屋のドアが開いた。
「リヴ、呼んできたぜ!」
「フシギダネの具合はどう?」
リヴが心配そうな顔をして尋ねる。
「ぐっすり眠ってるわ…。てか…」
「?」
サンが立ち上がって、何か言いた気にしている。
「あんたうっさい!この子寝てるんだから、もっと静かに出来ないの!?」
「そんなにかぁ?あんま気にならないけど…。」
「本人は自覚なくて当然よ!自覚した上だったなら多分、アクアは今ここにいないわよ…」
「はい、以後気を付けます…。」
アクタートは顔を引きつらせて自然と頭を下げていた。この二匹の様子を見ていたリヴがそれを諌める。
「まぁまぁ、二匹ともこうやって生存者を見つけられただけでもスゴイよ!調査はまた今度いけば行けばいいし…そう言えば、ファインはどうしたの?」
「さっき外に出かけてたぜ。多分、サメハダ岩にいったんじゃねーか?」
「ふーん…」
リヴはドアの方を見て相槌を打つ。彼の横顔は何かを考えているようにも見えたが、もちろん何かかはアクアやサンに分かるはずもなくて…
「あっ!!」
「ど、どうしたのリヴ!?」
「いきなりどうした!?」
「セカイイチを食べる時間だ!僕の大好きなセカ〜イイチ〜♪リンゴの森からやってきた〜♪るんるるるるんるん…」
バタンッ。
リヴが上機嫌に踊りながら外へ出ていった。アルトがリヴのことを「妖精みたいなお方」と言っていたことが思い出される。二匹は深い溜め息をして、リヴのスゴさに改めて感心する。
「よくあれが親方やってけるよな…。」
「あぁ、見えても一番にギルドのことを想ってると思うわ。」
アクタートは、どうだかな、と笑って答えた。
二匹がこんな感じに会話を交わしている時、すると、
「ん…」
「サン、フシギダネが…!」
「お目覚めかしら?」
*
「…」
ファインはサメハダ岩の崖に腰を下ろして、赤みがかった空と海を呆然と眺めていた。別に特に用がある訳もなく此処に来た。強いて言うならば、少し独りになりたかったとでも言えばいいのだろうか。
「(あのフシギダネ、大丈夫か…?)」
焼失した森で見つけた彼は少し怯えていたようにも見えた。火災の被害者であることから、しかも草タイプというからそうなってしまうのは仕方のないことだが…
「(だからといって、いきなり敵視されるのは気分良くねーな…)」
ファインは眉を顰めて後ろに倒れ込んで真上をみる。キャモメとペリッパーの群れが森の方角へと飛んで行くのが見えた。ペリッパーを先頭にキャモメらがせっせと付いてきている。善い子は帰る時間、ファインも便乗するかの様に立ち上がってギルドに向かおうとする。すると、
『やほ〜♪』
「よぉ、守護神様…」
『あれ?せっかく帰ってきたのにつれないなー!少しは驚いてくれてもいいのに?!』
甲高くファインの耳に障った声。しばらく顔を見せなかったミュウだ。
「何用ですかね、守護神様?」
『そんなよそよそしい呼び方はやめてよぉ!ミュウって呼んで、もしくはミュウとかミュウとか、別にミュウでも、』
「わかった、わかった!…ったく…」
ミュウは膨れた顔から満面の笑みに変わる。そして、ファインの周りを嬉しそう、というか面白気に飛び回っている。ファインは苦笑しながら歩み始めた。
「今まで何処いってたんだ?」
『んー、旧友に会いに行っただけだよ。いろんなポケモンに会いに行ってたから大変だった?!』
「お前ならテレポーテーションとかしそうだけどな〜。」
     ファインは少しからかって訊く。ミュウは、うーん、と言って暫し考えて答える。
『これは実体じゃないから無理!本体がなきゃ出来ないね!』
「出来んのかよ…」
ファインはこいつは冗談が利かない奴だと思った。でも、自分もそんな感じのする今日この頃。
『冗談が利かないって僕のこと〜?』
「おい、テレパシー使ってたのかよ!?全く、お前性格結構悪いからな…」
ファインは驚くと同時に呆れが心の中を満たした。やっぱりこいつは苦手だ〜
『ヒドイな〜!ボク程、純真無垢で清廉潔白でそして天真爛漫なポケモンはいないと思うけどなぁ〜。…ほら、そんなことよりギルドに着いたよ。』
ファインはギルド前で足を止める。顔を上に向くとプクリンを模した偶像らしきものがギルドの入り口となっていることに改めて気付く。そうだ、リヴとあまりまともに話し合ったことなかったな。今度、色々と訊いてみよう。サンがいつか見せてくれた手紙でポードの母親が言ってた通りなら、彼は様々なことを知っているはずだ。ギルドのこと、この世界のこと、そして多分きっとおそらくだけど自らのことも…。
『ど〜したの、ファイン?』
テレパシーが聞こえない振りをするミュウ。しかし、ファインは調子を合わせて、何でもない、と答えた。
「じゃあ、中に入るか。そうそう、今日の任務で…」
「うわあああああああああぁぁっ!!?」
突如、ギルド内から悲鳴が上がる。ファインとミュウは急いでギルド内へ向かった。梯子を降りてみると、地下一階には誰もいない。地下二階か!!ファインたちは確信して下に降りていった。
「おい!どうした!?」
「ファ、ファイン!ミュウもいるじゃねーか!」
いち早く二匹の存在に気付いたのはノイザ。彼は焦燥感を露わにしながら二匹に近付いた。
「フシギダネが、大変なんだ!」
「何だと!?」
『誰〜?』
確か、フシギダネは別室の部屋で寝ていたはずだ!ファインはそこに繋がる橋の入り口に集っているギルドメンバーの間を掻い
潜って入り口へと出る。
「!!?」
そして、ファインは衝撃の光景を目の当たりにする。
「おい!絶対、離すなよ!!」
「ん〜!!」
「ひぃっっ!!」
なんと、別室へと中継する岩壁に張り付けられた小橋からフシギダネが今にも落ちそうになっている!そして、それをアクタートとサンが救い出そうとしているところだ!鉄橋(小)には柵があるというのにどうしてこんな状況になるのか!?
「おい、どうしてこうなった!?」
「知らねぇよ!!いいからさっさと助けに来てくれ!」
「あああっ…!握力なくなってきたわ!」
「わかったから、今そこに…」
ファインが今、まさに橋に足をかけようとした。その時、
「ダメだよ!!」
「リヴ…!」
リヴが急に大きい声でファインを呼び止める。ファインは葉を食いしばってリヴの方に振り返り反論する。
「このままだとフシギダネは真っ逆さまだ!お前それでも…!」
「ファイン、」
リヴはファインの睨みにも動じず答える。
「ファインが行ったら、君ら諸共この海の中へ真っ逆さまかもしれないよ?」
「…!!」
ファインが驚く。リヴは気にせずに続ける。
「この橋は長年、メンテナンスをしていないからね。大人数を支えるには心許ない強度だ。」
「…。」
「だから、ファイン。君が乗ったら…ね?」
ファインは悔しそうに拳を床に叩きつける。リヴの発言が本当だとしたら、自分らは呆気なくお陀仏だ。一体どうすればいい!?考えろ!何か手が…
…
……
…そうだ!!
ファインは横に居るミュウの肩に腕を回して、囁く。
『どうしたの、ファイン?』
「お前、サイコキネシス使えるか?」
『うん、てか主戦力だし。』
「よし、そんなお前に頼みがある!」
ミュウはわざと疑問している顔をする。ファインは続ける。
「その技でフシギダネを助けられるか?」
『出来なくないけど、』
「よし、緊急事態だ。それで助けてこい!」
ファインは会心の笑みを浮かべて、ミュウの背中を押す。しかし、ミュウは押されるだけで身動きを取らなかった。ファインはその異変に気付く。
「どうした?早く…」
『ねぇ、』
ミュウがファインの言葉を遮る。そしてファインの方に振り返り目を細めて尋ねた。
『僕にそんなこと頼んでいいの?』
「いきなりどうした?俺はもうお前しか頼れない、それだけだ。それより、早く…」
『こんな得体の知れない存在に命が懸かっていることを任せてもいいの?もしかしたら、僕が彼を…更に悪い状況…いや、最悪の結果に貶めてしまうかもよ?』
そう言うと、ミュウは意地の悪そうな笑みをあえて周りの皆に見せる。彼らは背中がそば立ち悪寒する。
「ファイン、こいつなんかやばくねーか?」
「やめておいた方がいいわ。あの子、怖い…。」
ノイザとロスナスの意見が一致した。やはり、彼らは尋常な反応をしているようだ。そして、ファインは…
「…そん時はそん時だ頼んだぞ、ミュウ。これでも一応、信頼してんだぞ?」
『……わかった、』
「ひぃっ!」
「やばい!腕にもう力が…あっ!!」
「ちょ、アクア!」
ズルっ。嫌な音がした。その瞬間、アクタートの手から掴んでいたはずの感触が消える。周りの時が一瞬止まったような感覚に襲われるアクタート。そして横には顔を強張らせて落下を始める彼を見て悲鳴を上げるサン!
「きゃあああっ!!!」
「しまった!!」
「うわあああああああああぁぁぁああぁ落ちるううううぅっ!!!!」
『サイコキネシス』
「!!」
その時、ミュウの目が蒼く光ったかと思うと、アクタートが崖を覗いて、ある異変に気付く。アクタートは指差す。
「おい!あれ見ろ!」
「あ、あれ、フシギダネが…!」
数秒後、フシギダネが蒼いオーラのようなものを纏って上にゆっくりと浮かび上がってきた。フシギダネは呆気に取られた顔をしてふわっと着地する。
「はぁ〜、良かったあ…」
「心臓が飛び出るかと思ったぜ。」
「ご、ごごごごごごめんなさいい!!」
フシギダネが焦って礼をする。アクタートは笑顔で答える。
「別にいいって。まぁ、お前だけが悪い訳じゃないし、許すかわりと言っちゃなんだが…」
「自己紹介をお願いしたいわね!!」
「じ、自己紹介!?ぼ、ぼ、僕が??」
フシギダネは顔を紅潮させ、下に俯く。
「じゃ、じゃあ…いくね…」
意味不明な緊張感が漂う。多分、それはこのフシギダネの周りだけだと思うが…。フシギダネは唾液をごくりと飲み込み、そして前を見て口を開く!
「ぼ、僕はフシギダネのシードです!よ、よろしくお願いします!!」
大きな声で自己紹介をしたシード。その後、一瞬辺りが静まる。シードはきょとんとして周りを見渡す。そして、今にも泣きそうになってきている。
「ぼ、僕…うっ、うっ…」
「よろしくな。」
「っ!!」
ファインはニカッと笑って答えた。そして、それを見たサンとアクタートも、
「よろしくたのむぜ!」
「よろしくね!」
そして、他のギルドのメンバーも次々と挨拶を始める。シードの顔も段々と綻び始めてきた。ほっとした様子のファインはそれを微笑ましく見ていた。すると、ミュウが横目でファインに訊ねる。
『これで良かったの?』
「何だよ、その質問。まるで、シードを歓迎してないような口振りだな。」
『いや、そんなつもりはないけど…。そ、そんなことより、これから彼はどうするの?』
「そうだな…」
シードは今となっては宿無しだ。理由は勿論、住処が火事で焼かれてしまったことである。そしてファインの頭に一つの考えが思い浮かぶ。
「おい、シード。」
「っ!な、何…?」
ファインがシードに呼び掛けた瞬間、ざわめきが消え去る。ファインはそれをあえて確認して質問を始めた。
「お前、これからどうするんだ?」
「あ…ぼ、僕…、家も燃えちゃって、父さんも母さんも友達も…」
再び涙ぐむシード。ファインは頭を掻いて話し続ける。
「森の調査は引き続き進めるってリヴが言ってたし、もしかしたらお前の両親も見つかるかもしれねーし、」
「父さんと母さん生きてるの!?」
「落ち着けって、ただ生死の確認が出来ないだけだ。…まぁ、俺が言いたいのはつまりお前はどうしたいのかってことだ!」
『復唱しただけじゃん☆』
ファインがミュウを横目で睨んで、ミュウはクスクスと揶揄して笑った。すると、サンがシードの肩をポンと叩いて言う。
「ファインが言いたいのは、君の御両親を自分で見つけたいかどうか、それを訊いてるの!」
「僕が父さん、母さんを…」
「そうよ!」
『シード、ご飯できたわよ』
『シード、そんなビクビクしてっと女にもてねーぞ!』
父、母の言葉を頭の中で反芻する。優しい母と厳しい父、ありきたりだけど自分にとって大切な人。自分は探さなくてはいけない、今までここまで育ててくれた両親を。もし、……だとしても、その時は全てを奪った火事の真実を…。
「で、どうするの?」
「僕は…」
シードは俯かせていた顔を上げて、宣言する。
「僕は父さん、母さんを見つけたい…!そして、この火事の原因も…」
「よし!決まりだな!じゃあ…」
ファインはリヴの方に振り返る。
「リヴ、俺たちのチームにシードを入れていいか?見つけたのは俺たちだし…」
「…。」
しかし、ファインの話を他所にリヴは唯々、シードを見つめている。
「あと面倒を看る義務があると思うし…サンとアクアもいいだろ?」
「もちろん!」
「おう!」
「ってことだ!構わないか、リヴ?……ん、リヴ?」
「リヴ?」
「……」
「リヴ!」
サンがリヴに大声で呼び掛ける。リヴは、はっとしてサンの方に
「ん!何…かな?」
「まったくどうしたんだ、ボーっとして?シードを俺らの仲間にしていいかって訊いてんだ。」
「う、うん!もちろん、OKだよ!サンライズに任せておけば安心だね!」
リヴの承諾も貰った。ファインは安堵の溜め息をついた。ちょっと渋々だった様にも見えたが、気のせいか……、何か笑ってるしな。
「ハハハハハハハハハハハッ!」
「一安心ですね、親方様!」
アルトが適当に話を合わせる。やはり、リヴは何か知ってそうな感じだ、直感だけど。今度、ゆっくり話し合いたいものだ。アポとれるか訊いてみるか…。
「リヴ」
「ん?なーに、ファイン?」
「少し話したいことがあるんだけど…都合良いときでいいから時間割いてもらってもいいか?」
「うん、いいよ!ともだちの言うことなら、ボクは何でも聞いちゃうよ!」
「サンキュ、リヴ。」
すると、ファインの横からサンとアクアが来た。二匹とも何故か顔がニヤついている。
「な、何だよ、お前ら!」
「何かな〜、ファインくん?リヴに話って?」
「俺らに言えない事なのか?」
「まぁ、お前らには毛頭関係ない事だ。それよりも、シードに自己紹介だ!」
「なんかはぐらかされたような気がするわ…」
サンライズはシードの前に立つ。シードは驚いて思わず俯いてしまった。ファインはそれを見て微笑んで言う。
「俺はファイン。俺もちょっと事情があって此処にいるんだ…まぁ、訳は今度話すとして、よろしくな。」
「俺はアクタート。みんなからはアクアって呼ばれてる。よろしくな!」
「私はサン!将来はこのサンライズを有名にするのが夢なの。シード、あなたも私の夢に協力してね!」
シードは一匹一匹の顔を確認する。そして、紹介が終わったかと思うとシードは顔を真っ赤にして顔を押さえる。
「ふぃぁあ〜…」
「随分、シャイな子ね…。見ただけでこうなっちゃって…。」
「さっきは臆病だったぜ。」
サンとアクタートがシードの顔を覗き込む。すると、シードは更に顔を紅潮させて
蹲ってしまった。
「う〜ん、まぁ、よろしくな。てかさ…」
「シード、仲良くやっていきましょうね!あっ、アクアの寝相の悪さは気をつけてね、絶対に一度は被害に遭うから!」
「サン!いらんことを吹き込むな!」
「…てかさ、お前ら、何でシードが落ちそうになってたの?」
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「そこ訊くのか?」
「あら、所謂、KYってヤツね…」
「あれ、何で俺責められてるの!?」
「ハハハ…」
『ファインがこの原因を知ったのは後の話である。…そんなことより、ついに新たな仲間シードがサンライズが加わった!一体、これからサンライズはどんな冒険を繰り広げていくのか、それはまだ誰も知らなかった…。以上、ミュウでした☆次回もお楽しみに!』
「何でお前が締めるんだよ!」
「グダグダね。」
「グダグダだな。」
シードは笑った。でも、多分僕じゃ無理。こんな僕じゃ…無理だ。変わらなきゃ……。
新たな邂逅の日はこうして過ぎて行った。
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「お主らか?我の下僕になりたいという物好きは…」
「はい、ダー…いえ、王様。」
「お前ら!我らの王の名を口にしようとしたな!」
「落ち着け、ワンダー。薄々だが、これを読んでいる皆も感づいているだろうしな…」
「王様、何を仰っているのか、さっぱり…」
王は玉座の上で足を組み直す。そして…
「期待してるぞ…」
「はい、このスウィンドルズにお任せを。」
「イヒヒ、俺らに任せとけば…」
「最凶最悪でっせ!」
「フフフ…クッ…ハハハハッハ!!」
to be continued……