-序章-
暗闇の中で疼くのは闇の塊だった。それは深く沈み込み、沈黙をただ守る続けるだけだった。漆黒の玉座に鎮座しているそれは例え難い恐怖そのものだった。
一匹のポケモンが王座の前に
跪き、頭を垂れる。すると、鎮座していたそれが
静寂を破る。
「やっと来たか、内容は聞いているか?」
「はい、もちろんです。今すぐにでも現地に行くことは可能です。」
「では、すぐにでも向かってくれ。」
「はい、分かりました、W王様W。」
ポケモンは静かに立ち上がり、別室へと向かう。そして、すぐに深い闇へと消えて行った。それの消滅と共に新たなポケモンが現れる。それは王座の前に横へ静かに舞い降り、W王様Wと称えられる者に囁く。
「W王様W、大丈夫ですか?あんな幼子一人で?」
「まぁ、心配は無いだろう。彼奴は試験紙のようなものだ、いずれにせよ何らかの成果は出るだろう。」
ポケモンはただ微笑したかと思うと、それも闇の中へと消えて行った。残ったのは、王と闇だけだ。
「我は、成さねばならぬだ。これは使命であり、あの方の望み、そして我が望み…。」
闇が疼く。それは果ての無い欲望のせいか、はたまた感情が飛躍しただけなのか、それを知っているのはその主である王だけ。決して外界とは共有出来ない孤独な
思惟に他ならなかった。
闇が笑う。声高に笑う。自らの使命に酔いしれた狂喜は周りの暗闇すらも同調させ、反響を繰り返した。同調した闇は更に回りを侵食し、一体化させ
趨勢を増していった。
ーーーー闇は笑う。笑う。笑う。