プロローグ side : one of the worlds
貴方と出会った日のことを思い出します。
その日から、わずかにしか残されていなかった私のいのちは、美しく、鮮やかに、彩られました。
今思うと、偶然によって生まれたあの出会いは、本物の記憶ではなく、ただの夢、ただの幻、私だけの幻想であるような気さえします。
それでも構わないのです。
たとえ貴方が真に存在しないのだとしても、私は貴方に伝えたい。
この世界は、貴方が思うよりもずっと、新たな驚きと不思議な喜びに満ちているのだと。
私達のいのちは、貴方が思うよりも、深く、強く、繋がりあっているのだと。
偶然は、必然と紙一重の存在。幾つもの生命が流転する中で、私の祈りは響き、ここではない何処かにいる貴方のもとへ伝わってゆくでしょう。
貴方の耳に、心に、私の声と祈りが届いた時、どうか、嵐の先にある、未来の可能性を信じてください。
さようなら。
ありがとう。
生まれ変わった私が、もう一度、貴方の歌を聞けますように。