第十五話:別れの森
レントラーの家を出発したマグマラシ達。
今は木がうっそうと茂って、薄暗い迷宮を織り成している別れの森の中にいる。地形の関係から霧が出やすいらしい。
この森の名前の由来は一斉に入ったポケモンが全く同じ道を通っても出てくる場所がばらばらという事が多いからこの名がついた。カップルで入って分かれずに出てこれる者は末永く結ばれるというそんな噂があるらしい。
「なぁ、別れの森ってこんなに長いものなのか?」
「いいや。何度も通ったことがあるがここまで長くはないはずだが…」
「俺達、この森で迷ったってことか」
「冷静に言うなマグマラシ!!迷ったんだぞ!!一生この森の呪縛から…放れる事が出来なくなるかもしれないんだぞ!!」
「呪縛ってそんなものあるわけ無いだろ」
「レントラー…呪は本当にあるぞ。アリゲイツ、もし呪があったとしたら過去にその呪にかかったポケがいるだろ!」
「そうか…」
アリゲイツは騒ぐのを止める。辺りにうっすらと霧が出てくる。
「呪があるってどういうことだ?」
マグマラシは今まで起きたことをところどころ隠しながら説明した。
サンやタルミ達の事だ。
「…そういうことがあったのか。世界には隠された歴史があったんだな…」
「この事は広めないでくれ」
「分かった。任せておけ」
マグマラシ達が歩いていくと、なにやら話し声が。
「ま〜だ〜?」
「ナマケロ、さっさと歩いて!」
「これ〜以上〜早く〜歩〜いたら〜倒〜れ〜る?」
「何故、疑問なんですか!あなたの身体の事はあなたが良く知っているでしょう!」
話しているのはエネコロロ、ナマケロ、メタモンの三匹組だ。
「アリゲイツ、あのメタモンって俺等の知ってるメタモンじゃないよな」
「…よく似てるが、メタモンは敬語使わなかっただろ」
「なら、他ポケの空似か…」
「友達にでも似てたのか?」
「ああ。多分違うけどな」
マグマラシ達の声を聞いて近づいてきた三匹。霧が濃くなってくる。
「すみませ〜ん!私達道に迷ってしまったんですけど一緒に行きませんか?」
一緒に行こうと誘うエネコロロ。
「マグ〜マ〜ラシ?かわい〜いな〜」
その横でマグマラシを♀だと思っていると思われるナマケロ。
「お前達も迷ったのか…」
レントラーがそう言っても微動だにしない三匹。
「ええ。迷ってしまったので心細くて…」
「じゃあさ、俺らと一緒に行こうぜ!」
「あ、私はエネコロロといいます。よろしく!」
「お〜いらは〜ナマ〜ケロ〜♪」
「僕は見ての通りメタモンです。…よろしく…」
なぜか歌いながら自己紹介したナマケロ。
「俺はマグマラシ」
「俺はアリゲイツ。そしてこっちはレントラーだ」
「俺だけ自分で自己紹介させてくれないのか!?」
「気にしない、気にしない!」
エネコロロ達と一緒に行動することになったマグマラシ達。
三匹は何故か少しそわそわしている。
「マグマラシ、俺等の知ってるメタモンじゃなかったな」
「ああ。でもあいつら何か変だな」
「そうか?別に気にならないぞ」
歩く。歩く。一言も話さず歩く。薄暗い森の中を出口を求めてひたすら歩く。
「まだか〜!」
「やっぱり適当に進んでいたらだめか…」
そのとき一陣の風が吹き、霧が一瞬晴れる。
「レントラー!アリゲイツ!あっちに何かあったぞ!!」
「ほんとか!?」
「うお〜!やっとこの森を抜けられる〜!!」
マグマラシ達はマグマラシの示した方へ走っていく。
そして森が開け、出口にたどり着いた。さわやかな風が吹き抜け、霧もなく、青々とした草が茂る草原だ。だが全員離れ離れになっていた。
「お〜い!レントラーどこだ〜?」
「こっちだ〜!!」
別れの森を出た後、数百メートルほど離れたところからレントラーが返事をする。
「「マグマラシ〜!!」」
レントラーもアリゲイツもマグマラシからあまり離れておらず、すぐに合流することが出来た。
「お〜〜い〜」
ナマケロがマグマラシのやや斜め後ろから現れる。
…このナマケロ、マグマラシ達が走ったというのにもう追いついている。本当にナマケロなのかと思うほどの速さだ。
「エネコロロ、どこですか〜?」
「メタモン!ナマケロ!ど〜こ〜」
「こ〜〜こ〜?」
エネコロロたちも無事に合流出来た。
「皆そろったな!別れの森も抜けたし、ウイードタウンへレッツゴー!!」
「ちょっと待って下さい!」
メタモンの大声で走り出したアリゲイツがすっころぶ。
「何なんだよ!」
「その言葉を待っていたのよ!何だどうだと聞かれたら!」
「答えてあげましょう!」
「我〜等は〜」
「「「盗賊!セルシーフ!」」」
ただ口をあんぐり空けるしかないマグマラシ達。
「え〜と…悪者?」
「そうよ!フラッシュ!ほしがる!」
「うわ!眩し!」
エネコロロは目晦ましをした後、ほしがるでレントラーの荷物を盗って逃げていく。
「ナマケロ!メタモン!」
「あいよ〜。マグマ〜ラシちゃ〜ん〜ご〜めんね〜。ほし〜がる!」
「変身!ボーマンダ!」
ナマケロはマグマラシの荷物を盗って、変身したメタモンに掴まれる。
「エネコロロ!乗ってください!」
「えい!」
エネコロロはボーマンダの上に跳び乗る。
「じゃあね〜。これ、ありがと〜!!」
エネコロロ達はマグマラシ達にお礼を言って飛び去ろうとする。
「待て!荷物返せ泥棒!」
アリゲイツが水鉄砲を放つが届かない。
「逃げるのか?それなら荷物返してからにしてくれよ」
レントラーが焦らずに言う。
「レントラー!荷物盗られたんだぞ!」
「大丈夫。雷!」
レントラーの放った雷がエネコロロ達にあたる。
『うびゃびびびびぃびゅびぇびびょ!!』
三匹は訳の分からないことを言いながらやや遠く離れた一本の木のそばに落ちていく。
「な!大丈夫だったろ?荷物取りに行くぞ!」
「ああ…」
レントラーは当たり前の如く遠く離れた相手に雷をあて、墜落した所に向かっていく。
「レントラーって電気のコントロール上手いんだな」
「そ、そうか?」
マグマラシに褒められ、てれているレントラー。
「痛い…」
「たる〜い」
「うう…痺れる」
レントラーに雷を撃たれて麻痺している三匹。木の枝に引っかかったり、木の枝ごと落ちていたりする。
「いたぞ!!」
「お前ら!盗った物を返せ!」
「充電…」
レントラーは脅すように充電を始める。
「か、返すから雷は撃たないで!…それにしてもあなた達凄いわ!」
「何が?」
「私達から荷物を取り返したのあなた達が初めてよ。よし!私は泥棒しない事にする!」
『ボス!?』
「今度会ったときはバトルを挑むからね!」
結局何も盗らずに走り去っていくエネコロロ。残された二匹はその後を追う。
「あいつらって何だったんだ?」
「何も盗られなかったし良いじゃないか!アリゲイツ、あれがウィードタウンだぞ!」
目の前には緑の大樹が連なって、そこに草タイプをはじめとするポケモンが住んでいるのが見える。
「あれがウィードタウンか!あそこには時の祠って言うセレビィを祀った祠があるんだ!早く見に行きたいぜ!」
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エネコロロ「やっほ〜!」
メタモン「失礼します」
ナマケロ「ん〜だな〜」
さっそくでたね。セルシーフ!ちなみにセルフとシーフを合わせました。
ウィードタウンの時の祠どうしようか?
エネコロロ「セレビィの大群!セレビィの断末魔!」
うぉい!断末魔って!何でそんなのが出て来るんだ!恐っ!