第十三話:レントラー
大会が終わり、意識の無いマグマラシの代わりにアリゲイツが賞金を受け取った。
アリゲイツ自身も表彰台に上り、表彰された。
そしてここはポケモンセンター…
「おーい!マグマラシ〜!」
「レントラー!!」
レントラーがマグマラシ達のところへほどほどの速さで走ってくる。あまり速く走るとライチュウ達に怒られるからだ。
「マグマラシ、いいバトルだったな!」
「そうだな!レントラーって強いんだな!」
「お前も俺と引き分けになっただろ。十分強いぜ!!」
「レントラー!あそこで雨が降っていなかったら俺は勝っていたからな!」
「アリゲイツ、負けは負けだろ。それとももう一度バトルして俺の雷をくらうか?」
「望むと…もご…」
アリゲイツの口をふさいでいるマグマラシ。
「なぁ、レントラーはこの町に住んでいるのか?」
「ああ!すぐそこだし、何なら寄って行くか?」
「いいのか!?」
口をふさいでいたマグマラシを払い除けて言うアリゲイツ。
「いいぜ!」
マグマラシ達はレントラーの家に行く事になった。
しばらく歩くとレントラーが立ち止まる。
「ここが俺の家だ」
「こ、これは!すげぇ…小っせ…」
アリゲイツがそう言うのも無理は無い。
アリゲイツも目の前にあるのはせいぜい一辺三メートル位の立方体をした建物。
「やっぱそう思うか!実際はもっと広いぜ!」
「中が外よりも広いのか?」
「…まぁ、そんなところかな?」
「異次元にでも繋がってんのか!?」
「いいや。まぁ、中に入れよ。分かるから」
「邪魔するぜ!」
「御邪魔します」
「「狭!!」」
「そこにじっとしてろよ…」
レントラーは尻尾を鍵穴のようになっている所にいれ、電気を流す。そして扉が閉まる。
「何してるんだ?」
そうマグマラシが聞いたとたん、部屋が揺れ、落下していく。
「部屋が!?」
部屋の動きが止まり、扉が開く。
「え!?どういうこと?」
目の前にあるのは広い部屋。
「何でだ!?」
「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け…という事でここが俺の家だ。さっきのはエレベーター式の入り口だ」
「すっげ〜!!」
ものすごくはしゃいでいるアリゲイツ。
「お前等はどうしてこの町に?」
「ジムや、遺跡とかを巡って行く旅の途中でこの町に寄ったんだ」
「したら、バトル大会が開催されてたからそれに参加したって訳だ」
「そうか。なら、その旅俺も連れて行ってくれないか?」
「「良いぜ!」」
「サンキュー!今日は泊まってくれ!」
「なぁ、いくつか聞いていいか?」
「何だ?」
「あのバトル大会って今日急に開催されたのか?」
「よくわかったな。あの大会は一年間でランダムな日に急遽開催されるからエレクトタウンの周囲一キロメートルの範囲のポケモンを集めて開催される。だから出場選手は主にエレクトタウンに住んでいるポケモンとそこらをたまたま通りかかったポケモンだ」
「そうなのか。だから相手が強すぎる事が無かったのか!」
「そういうこと!」
「じゃぁ次の質問だ。エレクトタウンは主に地下に作られてるのか?」
「そうだ。エレクトタウンは他の町よりもハイテクだが、環境を破壊しすぎるのは良くないという事から、主に地下に住居などを建てるんだ。建てるとは言えないかもな」
「そうか」
「なぁ、レントラー。腹減ったから何かあさってもいいか?」
「アリゲイツ。俺が料理作ってやるよ」
「俺も手伝う!」
「マグマラシ、こっちでこれを煮てくれないか?」
「おう!」
「マグマラシ、レントラー俺は何してればいい?」
「レントラーどのくらいだ?」
「沸騰してから三分。その後器に盛り付けてくれ」
「お〜い。俺は〜?」
「よし、このくらいの味付けで良いな!」
ほっとかれているアリゲイツ。結局、料理が出来あがるまでほっとかれた。
「マグマラシ、これを運んでくれ」
「それなら俺が!」
「アリゲイツはこれを」
「うまそうだな〜!」
「当たり前だ!!俺らが腕によりをかけて作ったんだぞ!」
三匹は料理を運び終えた。
『頂きま〜す!!』
アリゲイツが料理にかぶりつく。
「なあ、味はどうなんだ?」
「………」
レントラーが味を聞くがアリゲイツはだまる。
「どうなんだよ?」
「うまい」
「それだけか!?」
「ああ、それ以上言うと長くなるけどいいのか?」
「いいから言ってくれ!」
「じゃあ…このスープはこのフィラの実を使っただろ?そしてこのフィラの実の辛さと甘苦い味の…。そうだな…これはナナの実だな。それらが他に使われている木の実の味とうまく混ざっていて争わず、フィラの実とナナの実を引き立たせ、それでいてそれらの木の実が消えているわけでは無い…。滑らかな舌触りだが程よい辛さが後味を残さずにすっきりとしている。そしてこっちの木の実リゾットは…」
一匹喋っているアリゲイツ。ベロリンガ並みの舌を持っているのかと思うほど的確に使っている木の実を当てる。
「凄いな…」
「だろ?アリゲイツは料理の事は結構敏感で、俺等の町の学校では味の判定人みたいな存在になってたんだ。それにプロの味の批評家と全く同じ答えを何度も出していて、実力も結構あるんだ。料理の天童とも呼ばれてるしな!だからアリゲイツを唸らせる事が出来たらその料理はとてつもなくうまいって事だ」
「そういえばお前達の町ってどこだ?」
「アトリュートタウンだ」
「あの!?お前らってアトリュートタウンのポケ校出身!?」
「あのって?」
「なんか今年物凄いかわいい♀が卒業したって聞いたぞ」
「そんなのいたっけ?アリゲイツは知ってるか?」
「俺に話させるだけ話させて聞いてなかったんだな…しらないけどよ…」
言ってくれと言われて言ったのに無視されてしょんぼりするアリゲイツ。
「そうか…第一進化を終えた炎タイプのポケモンで、腹側に黄色い毛を持つって聞いたんだが」
そうレントラーが言ったとたんアリゲイツが笑い転げ、マグマラシは黙り込む。
「ど、どうした?俺何か可笑しい事言ったか!?」
「ああ、十分可笑しいぜ!!その物凄いかわいい♀っていうのはマグマラシの事だからな!!」
「え!?マグマラシって大会では♂で登録してたけど♀だったのか?」
アリゲイツは余計笑い転げる。
「♂であってる!それによく♀に見間違えられるだけだ!!」
マグマラシが否定する。
「という事は…お前がポケ校の炎タイプの物凄いかわいい♀!?」
レントラーもアリゲイツと一緒に笑い転げた。
しばらく経って笑い終えたレントラーにアリゲイツは背を叩きながら言う。
「マグマラシが噂の元で残念だったな!」
「残念じゃないけどな。とりあえず食え」
料理を食べ終えた三匹はその後も寝るまで話をしたり何故か勃発したバトルをして楽しんだ。