第十二話:バトル大会 後編
「え〜実況を務めていたサンダースが気絶し、実況が続けられないのでサンダースに代わりロトムが務めさせていただきま〜す?」
最後にクエスチョンマークを付けたロトム。
「今大会ベストフォーに入ったのは全員がルーキーだぁ!!」
「まず、その転がりで相手を弾く!ドンファン選手!」
「雷の如き速さで相手を翻弄するレントラー選手!」
「その根性で逆転劇を見せてくれたアリゲイツ選手!」
「その容姿は赤き炎の姫、マグマラシ選手だ!」
四匹の名前が呼ばれる度に、観客が歓声をあげる。
「選手の紹介が終わったところでバトル開始するぜ!皆盛り上がってくれよ!!それではマグマラシ選手、ドンファン選手、バトルフィールドへ!」
「戦う前から結果は見えておる。この勝負お主の負けでござろう。無駄な怪我をせぬうちに降参せられい」
「ドンファン選手がマグマラシ選手に対して勝利宣言!よっぽど自信があるようだ!!」
「そう言われると意地でも勝ちたくなるんだよな」
「それではバトルスタート!!」
「マグニチュード!!」
マグニチュード4がマグマラシに向かう。空はいつの間にか暗雲が立ち込めている。
「くらうか!」
マグマラシはジャンプしてかわす。
「主のその隙、もらった!雷牙転!」
雷の牙、丸くなる、転がるの合わせ技にさらに高速スピンで速さを上げた技だ。
「それくらったら死ぬって!火炎放射!」
マグマラシは迫ってきたドンファンをかわすために火炎放射を放って滞空時間を稼ぐ。
ドンファンの攻撃ははずれ、ドンファンは壁に激突する。
「すげぇ破壊力…壁が…」
壁は半径5メートルくらいの穴が開いている。
「わしの特性が頑丈なればこその技」
「関係あるのか?遠吠え三連発!」
「わしの突進の威力、とくと見よ!突進!」
「危ねえ!身代わり!」
マグマラシは横に逃げ、分身を作り出す。
「ぬ、身代わりとはこしゃくな。突進!」
「煙幕!」
マグマラシ達は煙幕をして姿を隠す。
「何も見えぬ…高速スピン!そしてマグニチュード!」
煙幕が高速スピンで作り出された気流で無くなっていき、マグニチュード6が発生する。
「火炎放射!」
マグマラシ達はジャンプの後火炎放射で再び滞空時間を稼ぎ、安全に着地する。
暗雲から雨が降ってきた。
「「ダブルフレイムボール!」」
マグマラシ達は煙幕を払い除けている気流の中心へ向かって技を放つ。
ドンファンはマグマラシ達の攻撃を受け、吹き飛ばされる。
「ぐっ!おのれ!雷牙転!」
「「ダブルフレイムボール!」」
「その技はくらわぬ!マグニチュード!」
ドンファンは技を解除し、マグニチュードを使う。マグニチュード10が発生し、マグマラシ達にあたる。身代わりは消えてしまった。
「ぐわぁぁぁ!」
効果は抜群で、マグマラシはもうふらふらだ。
「辛かろう。そろそろ負けを認めぬか」
「いやだ…」
「ならば負けるがいい!雷牙転!」
ドンファンが迫ってくる。マグマラシはダメージが大きいようでうまく動けない。
「動け…動け!」
マグマラシの目の前まで来たドンファンが急に方向を変え、壁に向かって行った。
「!泥のせいで滑ったのか!今しかない!」
マグマラシはドンファンに近づいていく。ドンファンは瓦礫の上でひっくり返っている。
「お、起き上がれぬ!」
「くらえ!起死回生!!」
起死回生が決まり、ドンファンが気絶する。
「勝者!マグマラシ選手!!アリゲイツ選手、レントラー選手!バトルフィールドへ!」
マグマラシは体力の限界が来たのか倒れ、ライチュウ達に搬送される。
アリゲイツとレントラーがバトルフィールドへ入る。
「それでは、バトルスタート!!」
「充電!」
「竜の舞五連続!!」
アリゲイツは能力を上げ、とてつもない速さで移動している。相手が電気タイプということもあり、短期決戦にするようだ。
「速いな…。しかし雨が降っているのを忘れてはいないだろうな!」
「それがどうした!アクアテール!」
レントラーはアクアテールをくらって吹っ飛び、壁にぶつかる。
「ぐぁ!…放電!」
「ぎゃぁぁぁ!」
アリゲイツの身体をハリーセンやノクタスの針が刺さったようなものの数倍の痛みが駆け巡り、アリゲイツは倒れる。
「終わったな。審判兼実況のロトム、宣言を」
「はい。勝者…?ア、アリゲイツ選手はまだ戦えるようだ!!」
「何!?」
「竜の舞!じたばた!」
レントラーは吹き飛ばされ、再び壁にぶつかる。
「まだそんな体力が残ってたのか…」
「俺をなめんなよ?」
「次で最後だ。充電、そして雷!」
「俺も最後だ!じたばた!」
レントラーの放った雷のほうが速く、アリゲイツは気絶してしまった。
「勝者レントラー選手!アリゲイツ選手、惜しかったぞ!!ポワルンさん、天気を晴れにしてください。レントラー選手、休憩です」
「ほぇ〜い」
よく分からない返事をしながらポワルンは姿を変え、天気を晴れにする。
晴れになってから数分後…
「マグマラシ選手とレントラー選手の体力を回復できたでしょうか?」
その声に、デンリュウとライチュウがOKのサインをする。
「それでは、二匹ともバトルフィールドへ!」
「俺はレントラー。決勝に残った者同士、仲良くしようぜ!」
「俺はマグマラシ。よろしくな!」
「用意は良いか?バトルスタート!!」
「充電!」
「遠吠え!電光石火!」
マグマラシの電光石火が決まる。
「チャージビーム!」
レントラーのチャージビームがマグマラシに迫る。
「身代わり!」
マグマラシはチャージビームを避け、身代わりを作り出す。
「なぁ、俺の分身。もっとたくさん身代わりしてくれ」
「何でお前はしないんだよ!」
「何を話している!チャージビーム!」
「俺がすると体力が減るからな。お前は蓄積できるダメージが少なくなるだけだろ?煙幕!」
「分かったよ!身代わり!身代わり!身代わり!身代わり!身代わり!身代わり!」
マグマラシの分身は二匹、四匹、八匹と倍になっていく。そして六十四匹になる。
「煙幕か!どこから攻撃が来るか分からないな…なら、充電四連続!」
レントラーは充電を始める。
『遠吠え!』
一斉に遠吠えをするマグマラシ。
「うぉ!一体何匹いるんだ?」
「分身の俺達!全員で次々にフレイムボールだ!」
『フレイムボール!!』
「ぐぁ!!ぐふっ!」
マグマラシの分身は次々とレントラーに攻撃をしていく。自分の攻撃による小さな反動も耐え切れずに次々と消えていく。
「これ以上は…やばい!放電!」
一斉に消えていくマグマラシの分身たち。
「火炎放射!」
マグマラシ本体は火炎放射で放電を打ち消したようだ。
「マグマ…ラシ!…ハァ…ハァ…お前は…分身を使わなければ…俺にすら勝てない臆病…者だったのか?」
「何だと!?」
「俺が“威張る”のが…気に入らな…いのか?かかって…こいよ!」
「火炎放射!転がる!電光石火!」
マグマラシの放った技は全てあらぬ方向へ飛び、マグマラシは壁に自分をぶつけて痛めつけている。
「威張る成功…」
レントラーは威張るをしてマグマラシを混乱させたのだ。
「連続充電…」
レントラーは充電し始める。
マグマラシはまだ混乱している。
「充電…完了!雷!」
「ぎゃぁ!」
マグマラシは雷にあたり、その場に崩れ落ちる。マグマラシからは煙が出ている。
「これで…どうだ!」
「…ハァ…ハァ…威張るしてたのか…ただ挑発してきたのかと思ってた」
「ハァ、ハァ…マグマラシ、俺は次の攻撃が最後だ。全力で打つからな」
「俺も…さっきの雷のダメージが…大きいからたぶん次が…最後だ…」
「最大充電!」
「連続遠吠え!」
「いくぞ!雷!」
「起死回生!」
二匹の技はぶつかり、爆発が発生し、煙が視界を遮る。
「両者激しい技のぶつかり合いだったぞ!最後に立っているのはどっちだ!?」
煙がうすれていく。
「立っているのはレントラー選手かマグマラシ選手か?」
「マグマラシ…俺が負けたそいつにお前まで負けないでくれよ!!」
煙が消える。
「なんと両者とも立っていた!!」
「さすがだな…」
「お前もな…」
そう言って二匹は同時に倒れる。
「決勝戦!まさかまさかの引き分けだぁ!!!よって両者とも優勝とします!」
その声を聞いてマグマラシの意識は途切れる。