第一話:教室にて
「ソニックブーム!!」
「おっと!剣の舞から電光石火!!」
ザングースはブイゼルのソニックブームをギリギリで避け、ブイゼルに向かっていく。
「やめなさい!!」
突然の大声に驚いたザングースはバランスを崩し、大声を出したポケモンの方へ転がって行った。
「…踏みつけ!」
大声を出したポケモンは、ザングースを全体重をかけた踏みつけで止めた。
「タ…タルミ先生…」
「ザングース君、ブイゼル君、バトルしてたわよね」
「全体重をかけた踏みつけをやめてくれ!重い!!」
ブチッ!…タルミ先生と呼ばれたミルタンクはこれからの不幸を予感させる喜ばしくない音を立てた。
「…ザングース君…否、化け猫ぉ!覚悟はいいわよねぇ!」
「先生はもう40歳を過ぎた〔アラフォー〕なんですからもっと大人とし…あ」
「イタチコンビ!!言い残すことは?」
「口が滑った…お父さん、お母さん、若くして死んでしまう僕を許してください…」
「俺は「化け猫には発言権なし!」
「ひでぇ!」
「化け猫からね。…ギガインパクトぉ!のしかかり!ギガインパクトぉ!のしかかり!ギガイン…」
ミルタンクの攻撃をうけたザングースは床から7メートルもある天井に頭からめり込んでダランとしている。
「さて…ブイゼル君は…反省文500枚!」
「うぁぁ〜…って…え?反省文?」
「化け猫退治したらスッキリしちゃったのよ♪」
ブイゼルとミルタンクが話していると意識を取り戻したらしいザングースが呟いた。
「温度差が激しすぎるだろ…鬼牛め…」
「化け猫。更なる罰がほしいようね…どんな罰にしようかしら」
「先生!こんなのはどうだ?」
声をあげたのはアリゲイツだ。
「まず、歓楽街等の風俗に売っぱらって使い物にならなくなるくらい使って」ゴン!
「いってぇ〜!」
何やら変な事を言い出したアリゲイツの後頭部に何者かのキックが炸裂した。
「誰だよ!俺の頭を…ア、アリゲイツ…」
「俺の姿で何言ってんだてめぇは…このエロスライムが!」
キックを受けたアリゲイツがドロドロに溶け、あるポケモンが正体を現した。
「俺はエロスライムじゃねぇ!メタモンだ!」
「エロスライムはエロスライムだ!未来永劫エロスライムだ!」
「だからエロスライムじゃ…」
メタモンとアリゲイツが言い争っていると、天井から抜け出そうともがいていたザングースを引き抜いたミルタンクが近づいてきた。
「アリゲイツ君続きは?」
「使い物にならなくなるくらい使って、その後…って何言わせようとしてんだぁ!!」
「…チッ」
そばで聞いていたサボネアが舌打ちをした。
「言ってたのは俺に変身したメタモンだろうが!」
――キーンコーンカーンコーン・・・キーンコーンカーンコーン――
「メタモン君はザングース君と校庭30周2セット!」
「「え〜!!」」
「増やそうか?」
「「ごめんなさい!!」」
(ハイパーボイスで…)【あのっ!!】
オタチの発したこの一声で教室が静まり返った。
「も…もぅチャイムがな、鳴ったので…授業始まっ…てます!」
恥ずかしかったのか舌をかみながら小声になっていく。
「あらら〜まぁいいわ。みんな!授業始めるわよ。コラッタ!」
「規律、鬼を憑け、霊!」
「コラッタ君ふざけないで!」
「起立、気を付け、礼!着席!」
「それじゃぁ、教科書254ページを開いて」
「誰かこの問題とける?」
ミルタンクは教科書とは関係ない問題を出していた。
「その問題どこから見つけてきた?」
ミルタンクに対する疑問を小声で言っているザングース。
「はい」
手を上げたのはサンダース。
「3 以上の自然数 n について、xn yn = zn となる 0 でない自然数 (x. y. z) の組み合わせがないことを証明せよ…この問題はこの公式で答えが出ます。」
そう言いながら前に出てきて答えを書いていく。
「ちなみに、X4Y5Z6(XYZ)でXが4、Yが5、Zが6でまずこの定理のほとんどを証明し、XYZ=n15:3で自然数と変数の関係を証明し、3 15 xyz(-18)=Possibleで可能であることを完璧に証明することができます。」
「正解!さすがサンダース君!みんなは解けた?ちなみにこの問題受験にすら使うこと無いから」
〈生徒全員〉『何で出題した〜!!』
「…気分♪」
気分でこんなことをよくやっているミルタンク。最近ダイエットに成功したのだとか。
――キーンコーンカーンコーン・・・キーンコーンカーンコーン――
「終わった〜!!」
「ザングース君終わってないわよ!まだ号令してないから。後で職員室に来なさい。コラッタ君!」
「起立、気を付け、礼!今までありがとうございました!」
〈生徒全員〉『今までありがとうございました!』
「長かったようで短かったこの二年半…とうとうみんなともお別れなのね…」
「……」
「みんな…ありがとう!…明日の卒業式が最後の思い出よ!心に刻んで!しっかり目に焼き付けておいて!!」
「それじゃまた明日!」
〈生徒全員〉『また明日!』
放課後誰もいなくなった教室を掃除している二匹。アリゲイツとマグマラシだ。
何を隠そう、このマグマラシこそアリゲイツの親友だ。
そしてこの二匹がこの物語の主人公のはずである。
「ザングースってよくやるよな二年半の間ずっとあれだぜ」
「だな。…ザングースはタルミ先生と付き合ってるって噂はやっぱり嘘か」
「え、そんな噂あったのか?」
「アリゲイツしらなかったのか。ここ最近そういう噂があって、二年半の間たまに二人でどこかに消えてるらしい」
「なぁ、その噂が本当かどうか確かめようぜ」
「どうやって?」
「尾行」
「ストーカーだよなそれ」
「気にしない!気にしない!よっしゃ掃除終わった〜!早速、GO!」
そう言うのと同時にマグマラシをお姫様抱っこして、走っていった。
「やめろ!!お〜ろ〜せ〜!!」
マグマラシは暴れたが、アリゲイツが放さず、職員室に着くまでそのままだったので、ポケモンとすれ違うたびにマグマラシの顔が真っ赤になって、口数も少なくなった。
すれ違った♂ポケモンの中にはマグマラシを♀と勘違いしてドキッとした者がいるのだとか。
「あのマグマラシ…か、かわいい。」
顔を赤く染めながら言う紫のドリルポケモン♂。マグマラシが♂だという事に気付いていながらマグマラシに惚れてしまったようだ。
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学校裏話
アリゲイツ「チャイムが鳴らされているけどあれは実はチリーンが全ての学校にいて、チャイムを担当してるらしいぜ」
マグマラシ「らしいってなんだよ」
アリゲイツ「実際見たわけじゃねぇからよ…」