第一章
第二話 【VSチョロネコ、モグリュー、チュリネ、ズルック】
「ああ……満足だ……もう死んでもいいか……」
「死んでもってそんなオーバーな……」
「食べたことなかったんだぞ。我は今まで」

パンケーキを食べ終えてラズリはふうと一息ついていた。
美味しそうに食べていたためラピスの母親もいい笑顔で晩御飯も食べると聞いてきたため二つ返事で答えてしまった。

そしてしばらくしてからだ。
家のインターホンが鳴りラピスの母親が出た。
少しばかり待っているとすぐに戻ってきたのだ。

「ねえラピス。ちょっといいかしら?」
「どうしたの?」
「近所に住んでいる女の子が飼っていたチョロネコがいなくなったのよ。しっぽに赤いリボンが目印なんだけど見なかった?」
「いや私は見なかったよ?」

近所に住んでいる女の子が飼っていたチョロネコが急にいなくなったらしい。女の子と一緒に遊んでいてちょっと目を離した隙にいなくなったとのことだ。
その子の家にも町を探してもどこにもいなかった。

「ちょっと探しに行こうか?」
「わかった。パンケーキの恩だ。探しに行こう」
「あ……ちょっと待ってください!」

急にラピスに呼び止められたため何なのだろうかと思ったがあるものを渡されたのだ。
それは洗濯して乾いたラズリの服だった。さすがにパジャマのまま出ていくわけにはいかなかった。

「着替えてください!」
「わかったじゃあ着替えるからちょっと待っていろ」

ラズリが着替えてからラピスとラズリの二人は自分達の手持ちのポカブとピカチュウの二匹を連れて家を出てチョロネコを探すことにした。
目印はしっぽに赤いリボンがついてある奴である。

「どこにいるのかな……?」
「まあ考えられるとすれば町の片隅にいる。それかすでに町の外に出てしまっているかだな……それはそうとラピス。もう少し早く走ることは出来ないのか?」
「こ……これでも全力……な……なんです……! ラズリさん……」

町を走って探しているがラズリとポカブ、ピカチュウは先へ進んでいるがラピスは走るのが遅く運動オンチだとすぐにわかるほどだった。
ぜいぜいと息を切らしながらラピスは走っているがラズリは全く息切れ一つすら起こさずに軽く走っている。

(ま……待ってぇぇぇ……!)
必死に見失わないように追いかけていたがふとラズリ達が町の外れ、ヒオウギシティからサンギタウンへと行く道路の前で立ち止まっていたのだ。
止まっているのが見えたためそこで何かあったのだろうかと思った。
ラピスが到着するとそこには女の子が飼っていたチョロネコがいたのだ。しっぽに赤いリボンがついておりそれが何よりの証だ。

「よかった! 見つけたんですね!」
ほっとしてラピスがチョロネコに近づこうとしたその時だった。
ラズリに腕を捕まれたのだ。
「な……なんですか!?」
「様子がおかしい。不用意に近づくな」
様子がおかしいと言われふとそのチョロネコを見た。
大人しい性格で人懐っこく何度か頭をなぜたことがあったのだがここまで人に対して敵意をむき出しにする子ではなかったはずだ。
初めて見たラズリに対して警戒しているようには見えない。
何か別、そう倒してやるぞと言わんばかりにこちらをじっと見ているのだ。

(こいつ。まさか……!)
ふとラズリは集中しそのチョロネコを見てみると黒いオーラのような物が周囲に漂っているのが見えた。
それはまさしくダークポケモンの証だ。
ラピスや他の人には見ることができないものだ。
(間違いない……ダークポケモン! どこかにこいつを操っている奴がいるはずだが……)

キョロキョロと辺りを伺ったがそれらしき人物はどこにもいなかった。
しばらくするとだチョロネコは町から出て行ってしまったのだ。

「まずい! あのままだと!」
「急ぎましょう! このままだと見失ってしまいます!」
見失うよりも更に大変な事になるかもしれない。だがここで騒ぎが大きくなる前にどうにかしなければならなかった。
チョロネコを追っていると草むらのほうで怪しい男を見つけたのだ。
その男はある薬のような物を持っておりチョロネコが戻ってくるとやっと戻ってきたかというような表情になったのだ。
それをラピスとラズリはこっそりと木の陰から覗いていた。

「あれって……?」
「間違いない。あいつだ。100%あいつだ」
「でも……」
「これ以上被害が酷くなる前に……」

ラピスが何か言い終わる前にラズリは木の陰から出た。
一体何をするのかと思った次の瞬間だった。
信じられないことをラズリはその男に対してしたのだ。

「さてと。この薬でっと……ん?」
「オラァ!」
「え……えええええええええええ!?」

ラズリは飛び蹴りを男の顔面に喰らわした。
急所に当たった! 効果はバツグンだ!

「い……ててて! なんだてめ……!」
「やかましい! とっとと死ね!」

ラズリのメガトンパンチ!
的確に相手のみぞおちに当たった! 急所に当たった!

「ぐあ……何を……」
「まだ生きているか貴様……」

指をペキポキと鳴らしラズリは男に恐ろしい表情で近づいてきた。
はたから見ればどっちが悪人かわからないほどだ。
唖然としていたがラピスがラズリを必死に抑えた。

「な……何をしているですか!?」
「何ってこいつが原因だったから蹴とばして殴っただけだ」
「だからと言ってもし間違えていたらどうするんですか!?」
「それは……全く考えてなかった」

呆れて何も言えなかった。もしただ餌をあげている人だったらどう責任を取るつもりなのか。
チラっと見たが相手はどうやら完全に怒っている。当たり前だ。
それを見てラピスはラズリの後ろに隠れた。

「クソが……ポケモン勝負に必ず勝てるよ〜って言われてよぉ更に稼げる良いバイト紹介してもらったのによぉ……」
「貴様。その薬をどこで手に入れた! 返答次第では貴様の目を抉り飛ばすぞ!」
「誰が教えるかよ! 教えてほしければな……勝負しな!」
「ああわかった。その代わり病院には連れてはいかんからな」

ラズリの手にはそこらへんに落ちていた石を手に持って相手に容赦なく投げようとしたがラピスに制止させられしょうがなくあきらめた。
多分容赦のない手を使いまくるだろうと思い必死に止めるしかなかった。

「ポケモンバトルってのはな勝たないと駄目なんだぜ? わかるか? どんな手を使ってでも勝たないと駄目なんだぜ〜?
必ず勝つ方法があるって薬もらってよぉ。それをポケモンに使ったらこうなったんだよぉ!」

そういうと相手はモンスターボールからモグリューとチュリネ。ズルックを出したのだ。
そして先ほど探していたチョロネコもこちらをギロっと睨んでいる。
ラズリにはこいつが出したポケモンが全員ダークポケモンであるとすぐにわかった。

「ど……どうするんですか!? 私ポケモンバトルなんて自慢じゃないですけど一回も勝ったことないんですよ!?」
「我もだ。ポケモンバトルとか本でしか見たことない」
「え……えええええええ!?」
「だが仕方ない! やるぞ!」
「そ……そんな……!」

こっちはポカブとピカチュウだけそして向こう側は4体、完全にこちらは不利なのは間違いない。
策はあるのだろうかどうすればこの状況を打破できるのだろうか最初からラピスは諦めムードだった。

「もうだめです……」
「最初っから諦めるな。勝てる戦いも勝てんぞ」
「……でも……」
「相手をよく見てみろ。ポケモンとはいえ4体も一気に出して全部に指示を出せるとは思えん。
ピカチュウ! 攻撃を当てることを考えるな! 相手の気をひきつけろ!」

ラズリの指示を受けてピカチュウは敵の注意をこちらにひきつけ始めた。
未来で老人から受け取った際に通常のピカチュウよりも不思議な感じがすると言われちょっとだけ調べたのだが
レベルが少し高いだけでなく技構成も少しばかり変わっているみたいだ。


チュリネやチョロネコはピカチュウに攻撃を当てようとしたが味方が多くいる中で攻撃を放ったためタイミングよくピカチュウにかわされ
その攻撃は味方のモグリューやズルックに当たってしまった。
するとだズルックやモグリューは怒り攻撃の標的をチュリネやチョロネコへと向け始めたのだ。
こんなことは初めてだったのか相手は驚きながら必死に落ち着け戦う相手は向こうだと言い言うことを聞かせようと必死になっていた。

「ど……どういうこと……? 普通だったらポケモンはちゃんということを聞くはずなのに……」
「普通のポケモンじゃないからな。あいつらは」
「え……?」
(だが普通じゃないにしろ。こいつらは全員助けておきたいな……)

しばらくすると相手のほうも動きがあった。
同士討ちが収まったと思ったが相手のポケモンは傷を少しばかり負ってしまっていた。
更にイライラしているのかこちらの動きをあまり見ないでいる。

「よし。まずはあの草タイプのチュリネからだ。ラピス、お前のそのポカブだったか? そいつで倒せ」
「え……ええ!? 大丈夫なんですか!?」
「タイプ相性だ。ちゃんと知っているだろ?」
「は……はい! ポカブ! あのチュリネに火の粉です!」

ポカブの攻撃はチュリネに当たった。草タイプだったため炎タイプの攻撃は効果抜群でありぐったりと倒れてしまった。

「や、やりました! 私! 初めて倒しましたよ!」
「よしまずは一匹。そして次だ!」

ラズリの命令でピカチュウは頷き右手に電撃を集め始めたのだ。
一体何をしてくるかと思いチョロネコが前に出て襲い掛かったのだがそれよりも早くピカチュウが攻撃を仕掛けたのだ。

「ピカチュウ! かみなりパンチ!」

かみなりパンチがチョロネコに当たりチョロネコは気絶してしまった。
町に住んでいる女の子のポケモンなのだがこれくらいしないと今のチョロネコは止まらないだろう。
すぐに二匹やられてしまったのを見て相手は慌てていた。

「クソ! 役立たず共が! ズルック! モグリュー! いつまで喧嘩をしてやがる! さっさと……」
「さっさとどうするんだ?」

ピカチュウは電光石火でモグリューを攻撃するとそこにポカブの火の粉が当たりモグリューも倒れてしまった。
同士討ちなどで体力が減っていたためすぐに倒すことができたのだ。
相手のポケモンはあっという間にズルックだけになってしまった。そのズルックも体力があまりない状態になっている。どちらが勝つかは火を見るよりも明らかだ。

「さて……元に戻すか。おいモンスターボールを貸してくれ」
「え……え?」

ラズリはラピスからモンスターボールを貰ったのだ。
一体何をするのかと思った次の瞬間、信じられない行動に出たのだ。

「な……何をしやがる! 人のポケモンを取ったら泥棒だろうが!」
「知るか。今……元に戻してやる!」

そう言うとラズリはモンスターボールを先ほど戦ったチョロネコやチュリネ、モグリュー、ズルックに投げた。
カチッカチッと音を立てて相手のポケモンを全員捕獲してしまった。
そして捕獲したモンスターボールを手に取るとさらに手から光のような物を出し一瞬でモンスターボールを包んだのだ。
光が収まりモンスターボールから4匹が出てくると先ほどの気性の荒いのは無くなり元に戻ったような感じになっていた。
あまりの光景にラピスも相手も信じられないような表情になっている。

「リライブ完了……!」
「な……ななななな……てめえ! 一体何をした!」
「元に戻しただけだ。貴様のポケモンと奪ったポケモン全員な」
「……元に……?」

ラピスは何がなんだかさっぱりわからないような表情をしている。
相手はズルックや他のポケモンに近づこうとしたその時だ。

「クッソ! この! って……なんだお前ら……その目は……!」
「そりゃあそんな目にもなる。その汚い薬を無理やり飲ませて心を壊したお前は一生ポケモンに嫌われ続ける」
「な……なんだと……!」
「自業自得だ。お前を元に戻す方法はある。同じようにリライブをすれば治るが私はあいにくだがお前なんぞを助ける義理は持ち合わせてない。
さて……とまず聞かせてもらおうか! 貴様……その薬をどこで手に入れた!」
「し……知らねえよ! 俺はただ……ポケモンバトルで勝ちたいからよぉ裏で取引されているのを使っただけだ!」
「そうか。知らないか。じゃあ残りの薬はこっちで処分だな」

そういうとラズリは容赦なく相手の懐に入っていた薬を奪い取りそれをピカチュウの電気ショックで消し炭にし二度と使えないようにした。
帰り際に顔面に蹴りを一発入れてチョロネコをひょいと捕まえラズリは町へと戻ろうとした。
ラピスはあっけに取られていたがすぐに我を取り戻し相手を一瞥してラズリの後を追った。
そこにはモグリュー、チュリネ、ズルックの三匹に睨まれている男がただ一人いるだけだ。

「な……なんだ……! お前ら……やめろ……! やめろおおおおおおおおおお!」

倒すべく相手を見つけたかのようにじっと見ている。
ポケモンを見捨てて走って逃げだしていった。
モグリューやチュリネ、ズルックは逃げた相手を見るとどこかへと行ってしまった。
野生に帰ってしまったのだろう。
そこには誰もいなくなってしまった。



■筆者メッセージ

徐々に進んでいく感じですかね。
まあ筆が進んだらもう少し早く更新できるんですけどね……。
亜白夜 ( 2020/11/07(土) 23:19 )