第一章
第五話 【VSブビィ ダルマッカ】
「何か聞こえなかったか? 人の声みたいな……」
アレスは少し不思議そうな顔をしていたがジオは声が聞こえた方を見てみた。
するとそこには雰囲気が悪そうな男が老人からポケモンを奪い走り去ろうとしていたところを目撃したのだ。

「白昼堂々とかっぱらいか!?」
「え……えええええと、ど……どどど……どうしよう!?」
「わかっているだろ! 見過ごすわけにはいかねえなぁ!」

白昼堂々と力のない老人からポケモンを奪い去ったのだ。
ジオにとってはあまり見過ごせないことだ。
アレスも一緒に走って老人からポケモンを奪った人物の後を追いかけていった。

ポケモンを持って逃げた人物を追うとアレスとジオはカラクサシティへとたどりついたのだ。
人通りはやや少ないがどこへ逃げたのか見失ってしまった。

「ッチ……どこ行きやがった?」
「ここのあたりは……」

ふとアレスは歩くのを止めてある場所を見た。
ジオは一体何なのだろうかと思いそこを見てみるとそこは焼けた大きな屋敷があった。

「ここは?」
「確か数か月に大火事があって焼けた屋敷なんだって。確かポケモントレーナーの名家で有名な場所だったんだけどね
放火があったらしくてここに住んでいた人は一人を除いて皆無事だったみたいだけどね」
「一人を除いて?」
「聞いた話によるとここに住んでいたお嬢様かな? お嬢様が急に姿を消したんだって逃げ遅れたかもしれないって聞いて焼けた跡を探したんだけれど姿がなくって
そして屋敷の紋章が刻まれた大切な首飾りが盗まれたんだって」
「お嬢様ねぇ……見たことあるのか? そいつって可愛いか?」
「可愛いかはわからないけどさ。僕もよくわからないよ……それにここの家あまり良い噂を聞かないんだ」
「噂?」
「ポケモンバトルで勝つために審判を買収したりとにかく卑怯な手を裏で使って勝利を得ていたんだって。
それがポケモンリーグの協会にばれて大変な事になったって」
「勝つためねぇ。全くどんな奴なのか見てみたいぜ」

ポケモンバトルに勝つため。栄光に目がくらみ裏で色々とやっていたのだろう。
アレスとジオは呆れながら屋敷の跡地を見ていた。

「多分放火ってのも卑怯な手を使われて負けた奴の恨みじゃねえの? 自業自得だろ」
「そうかな……ってこんなことを言っている場合じゃないよ!」

老人からポケモンを奪った奴を見つけていない。
当初も目的を思い出し二人は盗んだ奴を急いで探し出すことにした。

(……なんだろうな……俺……ここを知っているような……)
「ジオ! どうしたの!?」
「いや。なんでもねえ」

よくわからなかった。だけれどジオはなぜかこの場所を知っていた。
気が付けばカントー地方のシェルターにいたのだがこの土地を町を覚えていた。


しばらく走っているとふと町のはずれで怪しい黒ずくめの服装をした男性がコソコソと怪しい動きをしていたのだ。
きっとあの老人からポケモンを奪った張本人なのだろう。
ジオとアレスの二人は逃げられないように構え相手に近づいて行った。

「あいつっぽいな。怪しいにおいが嫌ってほどしやがるぜ」
「そうなのかな?」
「服装からしてRの文字と黒ずくめの服と怪しい要素満載じゃねえか」

確かに怪しさが満載だった。
こんなところでそんな姿をした人なんて見たことがない。

「おいそこのおっさん!」
「お……おっさんだと!? 誰だてめえは!」
「名乗る気はないが……さっきそこにいた爺さんポケモン盗んだのお前だろ! 正直に言えば許してやるかもなぁ?」
「ケッ……誰が言うかよ! どうしても教えてほしかったらなぁ……俺を倒してみろ!」

そういうと相手はダルマッカとブビィの二匹を出してきたのだ。
だが気性はかなり荒そうでとてもではないが懐いているとは思えない。

(……こいつらもダークポケモンかよ……)

ダークポケモンが放つ特有のオーラ。他人には全く見えないのだがジオには見えた。
間違いないこいつは何かを知っている。

「おいアレス……ちょいと協力しろ」
「え……え〜と……バトルかな?」
「それ以外に何がある!」

相手は二匹、こちらもジオとアレスの二人で何とかなりそうだ。
ジオは先ほど捕まえたブイゼルを出そうとしたのだが……。

「痛っ!?」
「どうしたの?」

バチっと何か衝撃がジオの手に走った。
ふと落ちたモンスターボールを見てみるとブイゼルはギロリとジオを睨んでいる。
先ほどダークポケモンになってしまったのを治したのだがそれでも警戒心を全く解いていなかった。
多分だが自分に変な事をしたため人に対しての警戒心が全く解かれていない状態になっている。

「ひゃっはっはっは! どうした!? 来ないんだったらこっちから行くぜ! ダルマッカ! ブビィ! 行ってこい!」
「うわわわ! 来たよ! ミジュマル! 行ってきて!」
「イーブイ! 行ってくれ!」

ブイゼルが言うことを聞いてくれないのであればイーブイを出すしかなかった。
先ほど戦ったばかりだが戦う気は満々だった。

「相手は炎タイプ。ミジュマルは水タイプだから十分有利だと思うけど……」
「どうした?」
「おかしいよ通常ならポケモンはトレーナーの指示通りに戦うはずなのにそれを無視して戦っている」

アレスからすると相手の指示はおかしいと感じていた。言うことを聞かないポケモンもいることもある。
ひのこだと言っているのに全く言うことを聞かずに通常攻撃をしている。
イーブイを狙えば勝ち目はあるかもしれないのにそれすらせすにしばらくすると同士討ちなどを急に始めたのだ。

「ちょっと待て! お前ら何をしている! ちゃんと攻撃を……」
「イーブイ! にどげり!」
「ミジュマル! みずでっぽう!」

戦いが長引くと厄介だと思いすぐに勝負を決めた。
イーブイの攻撃はダルマッカにミジュマルの攻撃はブビィに命中しじわじわと体力を奪っていった。
レベルが段違いで高かった場合言うことを聞かないことがあるが狂暴な獣のようになってしまっているダルマッカとブビィの二匹は
当然、相手の言うことに耳を貸さなかった。

ボロボロになり体力がなくなってしまい今に相手の二匹は力尽きそうだった。
それをジオは見逃さなかった。

「さてと……おいアレス。ちょいとモンスターボールをくれ」
「え……?」
「いいから!」

きょとんとしてモンスターボールを出したアレスからジオはすぐにボールを奪いダルマッカとブビィへと投げたのだ。
ダークポケモンを捕獲する唯一の方法【スナッチ】、はたから見れば他人のポケモンを奪い取る泥棒にしか見えないのが欠点である。
しかしジオはそれをやったのだ。当然何も知らないアレスは驚くしかなかった。

「え……ええええええええええええ?! ほ……捕獲っ……ってそれ泥棒だよ!」
「あぁ!? え〜と……事情はあとで話す!」

今は目の前にいるダークポケモンにされてしまった二匹を救うのが先だと思いジオは捕獲した二匹が入ったモンスターボールを手に取りリライブをし
元に戻したのだ。
当然、その場にいる全員は驚いて何も言えなかった。

「……てめえ! 俺のダークポケモンに何をしやがった!?」
「元に戻した。それだけだ! それよりも……奪ったポケモンを返しやがれ! ぶん殴るぞ!」

ペキポキと拳を鳴らしながらジオは相手に近づいて行った。
手持ちのポケモンもおらず自分の身を守るすべは今のところない相手はジオに盗んだポケモンを渡してそのまま走り去ってしまった。


「よし……盗まれたポケモンは大丈夫そうだなって……どうした?」
「……あの……さ……君は……一体……何なの?」

アレスは完全にジオを疑惑の目で見ている。
話をそらそうとしても追及してくるだろうと思い完全に諦めた。

「……ッ……お前は……まあ大丈夫か」
「何が?」
「今から言うことだ。決して他の奴には言うなよ?」

観念しジオはアレスに未来での出来事をしゃべることにしたのだった。




■筆者メッセージ

オリジナル設定
【カラクサシティの屋敷】
一流のポケモントレーナーを代々出している名家なのだが数か月前に没落した。
理由は書いてある通りです。
あまりいい噂など聞かないため町の人からは裏ではヒソヒソと噂話が尽きなかったらしい。
亜白夜 ( 2020/12/13(日) 11:53 )