プロローグ
第0話 〜誰も知らない未来〜
人とポケモン、この二つの存在はお互い助け合い生活をしていた。
だがそれも今は昔の話。



ここである人物が制作した実験レポートを見てみよう。



〇月×日
ロケット団はとある一人の少年によって壊滅してしまった。
ボスはあれからどこかへと行ってしまい行方不明となった。
ありえん……たかが一人のガキに……! 何かの間違いだ!


〇月▽日
ここからものすごくかけ離れた地方で暗躍していた組織の技術。
それを手に入れた。
普通のポケモンをより強くすることができる技術。
ココロを完全に閉ざし兵器として戦うことができる、遠い地方ではそれをダークポケモンと呼ばれていた。


〇月◇日
何度か実験をしたがうまくいかない。失敗ばかりだ。すぐに元に戻ってしまう。
ここで少し趣向を変えてみた。野生のポケモンではなく手持ちのポケモンで実験をしてみよう。


〇月◆日
実験は成功した。
私の手持ちで実験をしたところ完璧なダークポケモンになったのだ。
普通のポケモンとどこも変わらない。遠い地方では本来ダークポケモンが放つオーラが見える少女がいるらしいが行方不明らしい。
どうやら野生のポケモンではなく誰かが育てているポケモンならば効果があるらしい。
これを使い手下やダークポケモンを増やしていくことにした。
ポケモンバトルで勝つことにしか飢えている馬鹿を使えばすぐに増える。
ここで私は新しいロケット団、通称【ロケット・シャドー団】を結成した。


×月〇日
あれから1年……ここから私の本格的な実験が始まる。
誰も勝つことができないまさに完璧なポケモン。これを作り上げるのだ。
秘密裏に手に入れたミュウの細胞を手に入れこれをベースに完璧なポケモンを作り上げることにした。


▽月〇日
様々なダークポケモンの細胞を使い徐々に完成に近づきつつあった。
培養液が入った機械の中にミュウツーと同じ姿をしている何かがいた。
私はこいつに【ゼロダーク】と名付けた。
まだまだ実験は続けるつもりだ。
もっと……もっと強くなれ!


◆月〇日
いよいよ完成に近づきつつあった。
部下も多く集まりもはや私を止めれるものはおらん!
さあ! ゼロダークよ……私に早く強さを見せてくれ!



ここでレポートは途切れていた。

世界はこの日から狂い始めた。

ゼロダークは培養液が入った機械から出てくると大きな雄叫びを上げダークポケモン達を従えてロケット・シャドー団を壊滅させ
今度は無関係だった人々に襲い掛かってきたのだ。

熟練のポケモントレーナーでも伝説のポケモンでもゼロダークを止めることができなかった。
野生のポケモンだけでなくトレーナーの手持ちのポケモンまでもをダークポケモンにし人々襲い掛かってきた。
半年もしないうちに人々は生活を追われ現在はシェルターを作りひっそりと過ごすしか方法がなかった。


ダークポケモンに見つかれば最後だ。
シェルター内で息を殺しながら生活をし一日一日を生き伸びることに感謝をしながら生きる。
これが当たり前になった。
昔人々はポケモンと共に互いに助け合いながら時には協力していたのはもはやないことだ。






某所。とある瓦礫が大量に集まっているところにて……。
シェルターの入り口で一人の少女が見張りをしていた。
紺色の短めの髪の毛。瞳の色は青。目つきは鋭くよく見れば八重歯が生えている。長いズボンと無地のシャツ、上にはカーディガンを羽織っている。
背はやや低めだが女性らしいところはちゃんと出ている。
少女の名前はラズリ。

(今のところ……何もないか……)

ほぼほぼ廃墟と化した周囲を見渡し何もいないのを見て少し安心した。
ポケモンはもはや人々の敵となっている。
昼も夜も見つからないように息をひそめているしかなかった。

しばらく周りを見ているとシェルターの入り口から30代ぐらいの男性が来た。
同じよりにシェルターの中に避難して共に暮らしている。

「ラズリ。長老が呼んでいるぞ。食料を調達しに行ったジオの奴もさっき別の場所から帰ってきてシェルター内にいるが来るように言っていたからさっさと行ってこい」
「ジオもか? まさか我が水浴びをしていたところをまた覗いていたのがばれたのか? 証人として我からも話を聞くとかか?」
「また性懲りもなく……うらやまし……いや、なんでもない」

咳払いをして男性は見張りを始めた。ラズリはシェルターへと行き最深部にいる長老のところへと行くことにした。
ちなみにジオという少年はラズリと同じシェルターで過ごしている少年だ。
年齢は同じのため数少ない友人として共に行動することが多い。
欠点は先ほども言っていた通りややスケベなところがあると言ったところだ。

シェルター内に入ると広く数名程度の人が立てたテントの中で生活をしているのが見えた。
いる人に見張りお疲れ様、今日はいい缶詰が手に入ったよと言われ少しばかり食事の時間が楽しみになった。
しばらく歩いていると聞きなれた声が聞こえたのだ。

短い金髪で瞳の色は赤い。
背は高め。背中にマスターボールがプリントされている紺色のジャケットを羽織っており下は薄い青色のズボン。ジャケットの中は半そでの白いシャツ。
そして何より首飾りをつけており中央には宝石みたいなのが装飾されており見たこともない紋章が宝石に刻まれている。
少年の名前はジオ。ラズリと同じくここのシェルターで生活している気の知れた友人だ。


「よーす! 見張りお疲れ様!」
「ジオか。何もなかったか?」
「ああ、食料と水と確保できたぜ」
「他に人は?」
「……ここから少し離れたクチバって町は……もうダメだった。大勢の人がダークポケモンの襲撃にあって殺されていた。見つかると終わりだから墓も作れねえ」
「そうか……」

ダークポケモンに抵抗する手段はなく見つかれば最後だ。食料の調達も命がけであり数週間前にラズリとジオ、それと10名の大人と行ったときに2名犠牲者が出てしまったほど命がけだ。
あまり外に出ないように場所を移しながら生き残らなければならなかった。


「それはそうと地下にいるジジイが呼んでいるってよ」
「それは我も聞いたぞ。多分だがジオが我が水浴びをしているところを覗いていた件だろうな。こっぴどく叱られろ」
「マジか!? ってか誰がお前なんか覗くか!」
「なんだと!? 数週間前覗いた時に少し乳が成長したなって言っていただろうが!」
「ふざけろ!」

ギャアギャアと言い争いをしながら地下にいる長老のところに来た。
長老がいる部屋には数名大人がいており何やら重要な話のようだった。
長老はシェルターの隅のほうで何やらやっており時々いなくなると思えばすぐに帰ってくるなど不思議な人物だ。
最近ではガタクタや変な機械の部品を弄り何やら変なものを作っているらしい。

「来たかラズリとジオ」
「なんか用か? 我は今日は夜の見張りもあるからご飯食べて早く寝ていたいのだが……」
「俺も同じく夜の見張りだ」
「なあに今日来てもらったのはなお主らにあることをしてもらいたいから呼んだのじゃ」

そういうと二人にある赤い機械を手渡した。
見たこともない不思議な機械だ。

「それはなポケモン図鑑という物じゃ」
「ポケモン図鑑? それって確か聞いたことがあるけどよ……なんでそれを持っているんだよ?」
「それとこれとこれじゃ」

ジオとラズリの二人に荷物が入った鞄を手渡した。
一体頼みとは何なのだろうかジオは真っ先にそれを尋ねた。

「おい爺さん。これで俺らに何をしろって?」
「よく聞いてくれ。お主らには過去へ行ってもらいたい」

そのことを聞いてここにいる全員に衝撃が走った。
いきなり何を言い出すのかとだが長老は冷静な口調で喋った。

「わしはな秘密裏にあるポケモンを保護したんじゃ……それを見せよう」

そういうとモンスターボールを取り出しそこから一匹のポケモンを出した。
緑色の身体をしておりまるで小さな妖精。そのポケモンを出してから長老は話を再開した。

「このポケモンはセレビィ。時を渡ることができるポケモンじゃ。このポケモンの力を借りて
過去のある地方へと行ってほしい。そこでお主らはダークポケモンがまだ少ない時期に行ってこの未来を変えてほしいのじゃ」
「過去へって……できるのかよ!?」
「セレビィならば可能じゃ。それにお主らではないと駄目なんじゃ。
お主らには見えるじゃろう? ダークポケモンが放つ人には見えぬはずのオーラが」
「あ、まあな、最初は誰に言っても信じてくれなかったけどよ」
「我も気が付けば見えるようになっていた」
「そしてもう一つ数日前にダークポケモンを唯一捕まえ元に戻すことができる能力。お主ら二人それが備わっていた。
わしはこれを【スナッチ】。そして元のポケモンに戻すことが出来る【リライブ】
にわかには信じがたいが偶然ダークポケモンにモンスターボールを投げた際にやったのじゃろ?」
「……あれはまあヤケだったけどな」
「我も信じることができなかったぞ」

数週間前に遡る。食料を調達しにこっそりとシェルターから出た際にダークポケモン数匹に襲われ落ちていたモンスターボールを投げた時に偶然ダークポケモンを捕獲することができたのだ。
普通の人が投げても捕獲することができないのだがジオとラズリの二人はなぜかできたのだ。
その時は何のことかさっぱりわからなかったが出たときに恐る恐るダークポケモンが入ったモンスターボールに触れると光が包んで元に戻ったのだ。
必死だったためそのままそのポケモンをほおって走って逃げた。
周りの大人達もそれを見て信じられんとざわついていたほどだ。

「だけどよ過去に行ってどうするんだよ? ダークポケモンだったっけ? それをどうやって止めるんだ?」
「原因ならわかっておる。これじゃ」

そういうととあるレポートを出された。
そこにはある科学者がダークポケモンについて書いてあった。
通常のポケモンを兵器として生まれ変わらす方法。新たなポケモンを作り出したところまで書いてある。
ダークポケモンを使った場合に起こるトレーナーへの作用なども細かいところまで丁寧に書かれている。

「このレポートはなとある場所に乱暴に置かれていたそうじゃ。それを取りに行ったワシの孫は……これを届けてくれたのはいいが……」
震える声を聞くと理解できた。
長老の孫はきっとダークポケモンに襲われて亡くなってしまったのだろう。ラズリとジオの二人は深く聞かなかった。
「ロケット・シャドー団。それが俺たちが倒す相手なんだな?」
「難しい話はともかく。我も諸悪の根源がそいつだというのはわかった」

ポケモン図鑑に詳しいことは載せてあると言いラズリとジオはそれを確認した。
長老はさらに神妙な顔をしてしゃべりだした。

「過去に行けるかどうかはわからん。お主たちもどうなるかワシにもわからん……しかし今はそれしかない! 頼む! 過去へ行ってこの世界を変えてくれ!」
「わかったよ。外でおちおち寝ることができねえ世の中じゃあな。それにただ勝つために相棒であるポケモンを改造するなんてな。こいつは絶対に許さねえ……!」
「そうだな。我もこいつはゆるさん! 如何なる理由があったとしてもだ! こいつのくだらん事で毎日何人死んでいると思っているんだ……!」
「やってやろうぜ! ラズリ!」
「ああ! やる気満々だぞ! ジオ!」
やる気満々の二人を見て長老はほっと一息ついた。
大人達顔負けの度胸を持っている。そして何よりこの荒んだ時代で生き抜いた体や心の強さは誰よりも負けないだろう。

「ありがたい……それとこれをやろう」
そういうと長老はあるものを取り出したのだ。それはモンスターボールだ。
長老はスイッチを押しモンスターボールからポケモンを出したのだ。
その中から出てきたポケモンはピカチュウとイーブイだった。

「まだダークポケモンになる前に必死に確保した二匹じゃ。通常のイーブイやピカチュウよりも不思議な感じがする。こいつらを持って行ってくれ」
「よっし! これで何とか俺もポケモントレーナーだな!」
「なるほど。我はこいつだ。ピカチュウだ!」
「じゃあ俺がこっちか」

ラズリはピカチュウをジオはイーブイを受け取った。
そして二人は少しばかり嬉しそうな表情になった。
大人からポケモンバトルのことなど色々聞かされていたためそれに憧れがあった。
自分達もポケモンを持ってどこか旅に出たいと話し合っていたこともあった。
だがそれは叶わないと思っていたがまさかの形で叶ったのだ。


しかしその喜びもつかの間だった……。




「た……大変だ……!」
「どうしたんだ?」
ラズリと見張りを交代した男性が息を切らしながら現れたのだ。

「ここが……ここがダークポケモンに……!!」
「な……なんだと!?」

するとだ人の叫び声が聞こえ始めたのだ。
ポケモンが放つ技にあたり殺されているのだろう。

「時間が無い! 急ぐんじゃ! セレビィ! この二人を過去へ飛ばしてくれ! 場所は……!」
必死にどこへ飛ばしてほしいか長老が言った。
その間に時間を稼ぐといってその場にいた大人達は走って上の階へと行ってしまった。
ジオとラズリの二人は最後に皆から別れの言葉を聞き過去へ行く準備をした。
セレビィが二人の周辺をグルグルと周りながら移動すれば二人の身体は光に包まれていった。


「頼むぞ……未来を変えてくれ! お主らは最後の希望なんじゃ!」


長老がそう喋ると同時にジオとラズリの二人の姿は完璧に消えてしまった。
それと同時に何匹のダークポケモンが現れた。
ヘルガー、ダーテング、サイドン。次々に凶悪なポケモンが現れたのだ。
獲物を見つけたかのようにギロリと長老を睨みつけ大きな咆哮を上げ襲い掛かってきた。

「セレビィ……お主は逃げるんじゃ……!」

隠し通路を開きそこからセレビィは逃げていった。
逃げていったセレビィを見て長老は覚悟を決めた。

「……これでいい……」





数分後、シェルターの中は不気味に静かになった。
内部は血の匂いがついている。
そして最深部にいた長老も無残な姿になっていた。
長老の胸元から一枚の写真が見えた。

その写真には老人らしき人物が子供達を抱きしめて笑顔になっている姿があった。
子供達はゼニガメとヒトカゲを持っており写真の裏にはこれから旅に出るかわいい孫たちと書いてある。
写真がハラリと胸元から落ちると老人の血で赤く染まってしまった。






そして……誰もいなくなった。

過去へ飛んだラズリとジオの二人は除いてシェルター内には誰もただ一人、大人はともかく隠れていた子供も何もかも全てが殺されいなくなった。


無人と化したシェルターに一匹のポケモンらしき生命体が現れ周辺を見ていた。
姿はミュウツーと瓜二つ。だが決してミュウツーではない。
漆黒に近い色をした身体。背中には堕天使を思わせる翼。そして何より血の色をした瞳。

「……ヤツハ……ニゲタカ……」

人の言葉をつぶやくとその生命体は手下のダークポケモンを連れてどこかへと行ってしまった。




■筆者メッセージ

始まりはこんな感じです。

キャラ設定などはまた後程。
うまく行けるかどうかはわかりませんけどね……。

亜白夜 ( 2020/10/27(火) 23:42 )