即興小説
4、マニフェスト
 えーみなさん、本日はわたくしのマニフェスト発表記者会見にお集まりいただき、まとこにありがとうございます。本日、わたくしが発表したいマニフェストは、今までにない画期的なものであると自負しております。仕事に帰りなんかにですねえ、町を歩いていますと、ポケモントレーナーである若者が大いに浮かれ、はしゃぎまわっている一方で、職を失い、生活が困難となっている高齢者の方がいる。この国はですねえ、わたくしが思うに、トレーナーに税金をかけすぎじゃないでしょうか。もう少し税金を平等に回すべきではないでしょうか。そこでですねえ、今回わたしくが提案するマニフェストはこちら、『ポケモントレーナーにかける費用の削減』。これを主軸にしたものとなっております。
 さっそく一つめのマニフェストの発表にまいります。こちらです。「投げたボールを、拾って再度使用することの徹底」。モンスターボールというものは、フレンドリィショップ等で手軽に購入することができるのですが、これには非常に多くの税金が費やされている。すなわちトレーナーは非常に安い値段で購入できるのです。にもかかわらず、大半のトレーナーはポケモンに当たらなかったボールを、拾ってもう一度使用するということを致しません。恐らく、拾うのが面倒なのでございましょう。しかし、これは非常にもったいない。なのでここでこの法令を提案いたします。この法令を破った場合、懲役百年以下の罰金が科せられることも検討しています。
 続いてのマニフェストを発表いたします。「傷薬を一回で使いきることの禁止」。傷薬もですねえ、モンスターボールと同様に多大な額の税金が費やされている訳ですけれども、しかしですねえ、多くのトレーナーが傷薬を一回で使い果たしてしまうのです。自分の大切なポケモンが傷ついているからしょうがないと言い訳をしてですね。これは非常にもったいない。このようなことはあってはならない。なのでここでこの法令を提案いたします。この法令を破った場合、懲役四百年以下の罰金が科せられることも検討しています。死後もあの世で支払っていただくということですね。
 続いてのマニフェストの発表にまいります。「ポケモンセンターの有料化」。トレーナーはポケモンを回復させる際、ポケモンセンターを利用する訳であります。トレーナーにとってポケモンセンターはなくてはならない存在。従ってこれを有料化させない手はない。具体的にどのように有料化するかというと、ポケモンを一匹回復させるごとに十円、状態異常になっているポケモンならプラス二十円、瀕死のポケモンならプラス五百円となっております。しかしこれでは、トレーナーが余りポケモンを回復させず、必要以上にポケモンを苦しめてしまうのではないか、という問題が起こる可能性もあります。そこでですね、このような対策を取ります。「ポイントカード制の導入」。傷ついたポケモンを回復するごとに、ポイントカードにスタンプが一回押される。スタンプが十ポイント溜まったなら、素敵な景品と交換できる。このようなシステムを導入すれば、トレーナーは頻繁にポケモンセンターを利用することと思われます。
 その他にも様々な政策を用意しています。バトルを行い、公共施設を破壊した場合の損害賠償の増額。ジムリーダ及び四天王の給料を八割削減。バトルで勝ったときの賞金をお母さんに少し送らせず、国に送らせる。等がございます。
 


 記者会見が終わったとき、開場から盛大な拍手が沸き起こった。男は意に満ちた表情を浮かべた。
 男は会場から去って行った。外に止めてあった高級車に乗った。運転手に指示を出し、予約した高級レストランへと向かっていった。彼は運転手と談笑していた。やがて、口元に笑みを添えつつ、彼はこのように言ったのだ。
「分かりますよね。高齢者に税金なんか回しませんよ。トレーナーから取りたいだけです」


逆行 ( 2013/10/11(金) 21:35 )